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SW-PBM Scenario#163
かわいい絵筆

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晴れときどき海釣りの日



  オラン南の海域・フレンジィ号/船上

オランを出発した商船──『フレンジィ号』と言うらしい──は、冒険者たちと陽気な船乗りたち、そして大事な荷物を抱いて、青くどこまでも広がる大海原を順調に進んでいた。
すでに太陽は高く昇り、上空ではたくさんの雲がまぶしいほど白く輝きながら、ゆっくりと東から西へと流れていく。
■リコリス To:独り言
うっわ〜♪ 海〜♪
風も気持ちいい〜。

ゆるやかな波の音、そしてやわらかな潮風。
ときおり、海鳥が急降下しては海面に突っ込み、また空へと消えていく。
見張りとして甲板に立つ冒険者たちのマントも、帆に合わせてはたはたとはためいていた。
■ライチ To:シグナス
あーっ、気持ちいい♪ やっぱり海は最高だね〜、そう思わない?
このまま何もなければいいのにね〜。

マストに付いた見張り台の上で、ライチは海に向かって身を乗り出すように伸びをしながらそう言った。
■シグナス To:ライチ
そりゃあ同感だが、ココの潮風は予想以上だな。目が痛てぇから途中から使い魔に任せてたわ。飛んでるし。

■ライチ To:シグナス
使い魔って、あのふくろう君? 潮風に晒されて平気なの?
かわいそうだから、風が強い時は中に入れてやりなよ〜。

そこらへんを飛んでいるアイゼンに向かって労うかのように笑顔で手を振ってみせる。
■シグナス To:ライチ
良いさ、日頃運動不足なんだし、こう言う……ああ、あいつ夜行性だったっけ。(Σ(*゜∋゜)!?)

■ライチ To:シグナス
そうだ、この辺りの海域は一番安全だし。
釣りでもやらない? シグナスとウーサー、持ってたよね?
もうそろそろお昼の時間だし、見張りは船員さんと交替して休憩にしようよ。

■シグナス To:ライチ
ん?もうそんな時間か。そうだな、それじゃお言葉に甘えますかね。
ああ、竿は俺が買って来たんよ。ウーサーの奴素人だからせめて道具くらいは、ってな?
あいつ一人じゃ釣果が怪しいし、手伝ってやってくれないか。

■ライチ To:シグナス>ALL
ん、そう? じゃあ教えてあげようかな。
おーい、みんな、釣りやろーっ♪

ライチはそう叫びながら、慣れた手つきでマストのはしごを降り、船首と船尾にいる冒険者たちに向かって手招きをした。
■イェンス To:ライチ>ソル
釣りですかぁ、久々に海釣りもいいですね。
さぁ、ソル様ここは釣りをして男を上げなければっ。

■シグナス To:ウーサー
ウーサー、お前と近いと糸が絡みそうだから離れてやれよ。ライチが見てくれるってよ。多分。

■ライチ To:ウーサー
って言っても、そんなに海釣りの経験ないんだけどね、私。
基礎的なことで良いなら教えられるよ。

興味深そうにふたりの準備を待っている。
■ウーサー To:シグナス
お、そりゃあ助かる。いや実のところな、釣りなんかやったこと無ぇんだよコレが。
いい所見せようとは思わねぇが、ビギナーズラックで今日のメシくらいは釣り上げてぇトコロだぜ。
固パンに潜んだコクゾウムシ以外の滋味ってのも、たまにゃあ重要だろ?

■リコリス To:シグナス&ウーサー&ライチ
シグ先輩とウーさん、釣りするの?
見てていい?
この辺では何が釣れるんだろうね〜?

一瞬シグ先輩の釣り針にまーめいどが引っかかりそうな気がしたのはナイショだ。
■ライチ To:リコリス
えーっと……イカ?

■赤ら顔の船員 To:ALL
マダイやキスなんかも釣れるぜ。

いきなり横からにょっと顔を出してくる船員。
■ライチ To:赤ら顔の船員(ティガ)
ちょうど良かった。ティガ、これから昼食用に美味しい魚を、みんながばんばん釣り上げてくれるっていうから、しばらく見張りを交替してよ、ね?

■ティガ To:ライチ&ALL
酒の肴だってぇ!? そりゃあ応援しない訳にはいくまいな。
よし、まかせろ。何かあったら、すぐに呼びつけてやるからな!!
ちなみに俺は、ヒラメが好きです。

そう言うと他の下っ端っぽい船員3人に指示。それぞれ見張りの場所へと散っていった。
■シグナス To:ティガ
アレ居るの海底だよ!?

■ライチ To:シグナス
あいつエンガワに目がないんだよね〜。
ま、酒のつまみになるならイカだって喜んでくれるよ♪

■シグナス To:ライチ
……魚釣ろうとしてイカが釣れるって、実はしくじってんじゃねえかと思うんだがな。

■ライチ To:シグナス>ALL
あはは、そうかも。
さーて、やろうかー♪

まずはシグナスが慣れた手さばきで竿を振り、糸を海中に投げ入れた。
ちょうど海は凪。風を失った船は、ゆっくり、ゆっくりと、潮の流れに乗ってわずかに動くのみ。
静かな海面にうかぶ糸を微妙に調整しながらアタリを待っていると、いきなり激しい感触が伝わってきた。
シグナスが勢い良く釣り上げてみると、そこには表面に橙色のまだら模様をもった体長30センチほどの褐色の魚が喰いついていた。
■シグナス
お、ソコソコでかいの釣れたな。さあて、切ってそのまま行くか、マリネにするか軽く炙るか、どうしてくれようかね?

■シグナス To:ALL
早速にでも調理に入るから、誰か変わりに竿使うかい?

釣り上げる様子を見ていたウーサーは、自分なりにシグナスの動作を咀嚼しながら、竿の準備を終えて甲板の端に立った。
■ウーサー To:ライチ
成る程な……ああやって時々、糸をいじって針を動かすワケか。
じゃあちょっくら、オレ様もやってみるか。だがオレ様はズブの素人なんでな、すまねぇがレクチャー頼むぜ?

■ライチ To:ウーサー
は〜い。竿は、こう持って……で、力任せにぶんって投げないで、びょーんって感じで投げるの。
あ、投げる前には周囲の安全確認を忘れないでね。さ、がんばれ♪

■ウーサー To:ライチ
びょ〜ん、なぁ。びょ〜ん……っと、こんな感じか?
え〜と……あとは基本、待ってりゃあいいんだっけか? 猟と違って、なんだか退屈そうだなぁ……?

ウーサーは持ち前の器用さを生かして、アドバイス通りに竿を操り糸を投げた。
しばらく無反応、なんとも言えない間があったが、やがて糸がぴくぴく動き始めた。
慣れないながらも思い切ってつり上げてみると、そこにはピンクと黒の縞模様の、やたらぷっくりした手のひらサイズの魚が喰いついていた。
■ウーサー To:ライチ
お……おお〜!?
すげっ! すげっコレ、ホントに俺が!? うお〜っすげぇ、釣れた! 釣れたよ!!
うわ〜っ! 見てくれよコレ、俺が釣ったよ! はじめて釣ったよ!!
面白ぇなあコレ!

小物であるとかなんとかは関係なしに素で喜びながら、子供のように大はしゃぎしている。
■ライチ To:ウーサー
あははっ、やったねウーサー♪

思わずつられて飛び上がりながら、ウーサーとハイタッチ。
■ウーサー To:ライチ
なあ、コレなんて魚だ? 美味い?
うわ〜面白いなあ釣り、もういっかいやってみようかな!?

■ライチ To:ウーサー
面白いでしょ? 糸を通じて海と対話する感じが、楽し……ん?
…………う、ウーサー、これ…。

毒だ。

釣り糸にぶら下がったまま、元気よく跳ねるふっくらした魚をまじまじと観察していたライチは、苦笑しながらそう告げた。
■ライチ To:ウーサー
アレクラストカミナリフグって言って……すっごい美味しいらしいんだけど、ちゃんとした料理人が処理しないと、かなりの確率で「サヨウナラ」だね……。

■シグナス To:ALL
……流石に俺、独断で捌くのは気が引けるな。あー、しくじっても怒らないなら試しては見るぜ?
つか、しくじってもつまみ食いしそうな酔っ払いが居るのが怖いんだが。

■ライチ To:シグナス
大丈夫だよ、その酔っぱらいが包丁扱えたはずだから。
まぁ、少しくらい毒盛っておとなしくなってもらった方がいいかもしれないけどね、ははっ。

その頃、ハッチを開けてデッキに顔を出すひとかげがひとつ。
ドワーフ特有の暗視を生かし、夜半直の見張りを申し出たゾフィーが夜にそなえた仮眠から起き出してきたのだった。
見渡す限り広がる青い世界をしばらくまぶしげに見つめた後、小さく息をすった彼女は目を閉じてゆっくりと数を数えた。
ふたたび目を開いたゾフィーは、仲間達の姿をみとめるといつもの口調で切り出した。
■ゾフィー To:釣りびとず
おやおや、この船には海中担当の割り当てまでございますのね。
それまで見張りを徹底なさっているようでは、ひとがいくらあっても足りませんでしょうに。

そう言いつつ、ゾフィーはすたすたと盛り上がる現場に近づいていく。
■ゾフィー To:釣りびとず
あなた方、もし結果を食卓に並べるということでしたら、口に出来る魚をきちんと見極めてからになさってくださいませね。
出航初日からそろって毒当たりなんて物語は、子ども受けを狙うにしてもやりすぎでございますから。

釣りに興ずる人々から離れ、甲板上のやや開けた空間に腰を落ち着けたゾフィーは、ふと思いたったかのように、近くにいた船員に声をかけた。
■ゾフィー To:日焼けした船員
もうし、そちらのあなた。
さしつかえなければお腰の得物を拝見させていただいてもよろしいかしら。

■日焼けした船員(カイネ) To:ゾフィー
やあ、目が覚めたのかい。ええと……ゾフィーさんだっけか?
俺ぁカイネってんだ、改めてよろしくな。
ん、これか? こりゃあ、ボス……あいや、船長が『フレンジィ号』の一員である証として、お揃いで作ってくれた記念すべき剣なのさ。

誇らしげに白い歯を見せると、気前よく腰の舶刀を鞘ごとはずし、ゾフィーに手渡した。
柄には『Frenzy:For Sea』と刻印されている。
■ゾフィー To:カイネ
まあ、ご丁寧にどうも。
なるほど、皆様刻印は柄になさっておられるのですね。

そう言いながら鞘から刃を抜き出し、しげしげと観察するゾフィー。
■ゾフィー To:カイネ
見事なカトラスですわね、仕事についての誇りと剣に対する愛情とをお持ちの腕のいい職人が鍛えた品のようですわ。
船長は人を見る目がおありのようね。
そしてあなたも記念とおっしゃるだけありまして、きちんとあつかっていらっしゃいますのね。
とはいえ、やはり経年からくる症状が現れ始めておりますわ。
わたくし、こうみえましても刀工のはしくれでもございましてね。
この先の危険を考えますと……よろしければ、今研ぎ直しさせていただきましてよ。

■カイネ To:ゾフィー
へぇ、そうなのか? 人は見かけによらないんだな〜。
そういや大地の妖精族は、金属加工の技術に長けているって言うもんなぁ。
じゃ、お願いしていいかい? お礼はガメルがいいのかい、それとも俺が知ってる海の昔話がいいかい?

楽しげに甲板に腰を下ろすと、ゾフィーの手元を観察する体勢に入った。
■ゾフィー To:カイネ
ああ、お礼は結構ですわよ、万が一の時まともな武器が多い方が心強いという話でございますから。
それに、工房で行うような本格的な作業がここで出来るわけでもございませんし。

■カイネ To:ゾフィー
そうか? 悪いなぁ。じゃあありがたく、見学させてもらうよ。

ゾフィーは荷物の中から手のひら大の砥石を取り出し並べ始めた。
5つ出したところで手を止め、再度手元のカトラスに目をやると、うちふたつを戻し、 代わりに油の入った壺を手元に置いた。
平らなデッキの上に置いた砥石の一つに剣を当てると、上から油を3滴垂らし、石の表 面全体に広げるように刃を動かし始める。
■ゾフィー To:カイネ
記念品ということでしたら、この刃の質からして観賞用の研ぎもできますけれど……やはり実用を優先したほうがよろしいですわよね。

■カイネ To:ゾフィー
そうだな、人間相手に使うことはまずないと願いたいけどね(笑)

砥石を変えながら研ぎ続けること一刻。
立てた刃にあわせながら、掌の中に収めた3つ目の石を動かしていたゾフィーの手が止まった。
日差しにかざしたカトラスは、曲線に沿うような形で鈍く白い光を放っている。
つとターバンの間に手をやった彼女は無造作に髪を一本引き抜き、剣の曲線に交差させる。
次の瞬間、髪はふたつに切れて甲板の上に落ちていった。

カイネはほーっとため息を漏らすと、ぱちぱちと控えめに拍手を送った。
■カイネ To:ゾフィー
いやぁ、大したもんだ。本気で見とれちまったぜ。
手に取らせてもらっても良いかい?
そうそう、手にした日はこんな輝きだったっけ……。

カトラスを受け取ったカイネは、誇らしげにそれを空にかざし、光を受けて輝く刀身を様々な角度から見つめる。
■カイネ To:ゾフィー
ありがとうな、後でボスに見せて……仲間たちにも自慢しちゃうぜ。
おっと、あんたの休憩時間に行列ができるようなことになったら勘弁な?
はっはっは。

■ゾフィー To:カイネ
いいえ、そこまでおっしゃっていただけるとは、光栄ですわ。
午後は長いですし、ご希望があるようでしたら受け付けましてよ。
業師の剣を、じっくり観察させていただける機会でもございますし、ご遠慮なくと皆様にお伝えくださいな。
ただし、万が一に備えまして、お預かりする剣は、一度に一振りまでとさせていただきますわね。

一足先に釣りを切り上げ、先に釣れていた魚を見事に捌いていたシグナス。早速切り立てを肴にワインの蓋を開けていた。
■シグナス To:ALL
釣り立てを、その場で捌いて即一杯。最高だぁね。
まあ、あんま火は使えねえから炙る程度が精々のもあるけど、寧ろ手の加え過ぎは野暮だねこいつは。
味が足りなきゃ、濃い目のタレも作ってっから適当に浸して食ってくれ。

■ライチ To:シグナス
すごいっ。あのフグも調理できたんだ!?
やるね〜。テンハンドの名は伊達じゃないんだね。

■ティガ To:シグナス&ALL
釣れたか? 釣れたのか!?
おおっすげぇ、なんつー豪華な海の幸だこりゃ!?!?
全然期待してなかったのに裏切りやがって!!
では遠慮無くいただきます。

いつの間にかシグナスの料理を取り囲むティガと下っ端船員ズ。
屈強な男たちは常人の約3倍のスピードで料理をたいらげていく。
■ライチ To:リコリス
あ〜あ。
リコー、食べよ〜♪ 過酷な生存競争に巻き込まれないうちにっ。

料理に群がる海の男たちの壁を超えられそうにないリコリスのために、一人分を皿に取り分けてリコリスに渡す。
■リコリス To:ライチ
あ、ありがと〜♪
男の人がいっぱいだと、すごいね〜。
うわぁ。どっちのお魚もおいしそう。

にこにことうれしそうに皿を受け取る。
■ライチ To:リコリスのみ
……ん、そうだ、リコリスにお願いがあったんだ。
昨日借りたハンカチ、もう少し借りててもいい?

■リコリス To:ライチのみ
? もちろんいいよ♪
オランに戻ってからでもいいし。
(お兄ちゃんも許してくれると思うし)

兄から貰ったハンカチだったらしい。
■ライチ To:リコリス
ありがと♪
あとで必ず返すね。

にっこり笑って自分の胸をぽんと叩いた。


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かわいい絵筆

GM:ともまり