画材屋レモネィ再び
ライチと別れ、来た道を戻って来るリコリス。
店主が大柄な男性の肩をぽんぽんと叩きながら、諭すような口調で話し掛けている。対して大柄な男性は、大きな身体に似合わず肩を落とし、首を力なく横に振っていた。
店主は大柄な男性の背中をばしっと叩くと、そのままドアに送り出す。
すれ違う時の気遣いにお礼を行って、見送るリコリス。
申し訳なさそうに謝る。
店主は何かに納得し、安心したような笑顔で言った。
ぺこりんと丁寧に頭を下げた。
店主は、カウンターのそばにある小さな丸テーブルへとリコリスを促した。
粘土のかけらを手に取り、慣れた手つきでこねこねし始めながら話す。
照れたように口ひげを撫でた。
そこまで言うと、店主はふぅとため息をついた。
リコリスは自分が裏切られたかのように悲しそうに顔を曇らせた。
店主の手元でこねこねされている粘土が気になるらしい。
店主が手のひらを広げると、そこには片手で顔をかいかいしているような仕草の猫がちょこんとおすわりをしていた。
リコリスは粘土細工のネコに目を輝かせた。
丸テーブルの隣にはちょうど展示スペースがあって、様々な動物をモチーフにしたアクセサリーや絵付きの皿、画材などが置かれていた。
目を輝かせてネコ小物を見つめ、何点か手に取ったりしているリコリス。
リコリスが選んだのは剣の柄に結わえ付ける、もふもふ玉付き組紐。
ネコグッツを受け取ると、ペコリンとおじぎをして、リコリスは銀の網亭に向かって帰っていった。
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