おねがい!ぼうけんしゃ
あまりにも純朴かつ切ない願いに潤んだ涙腺を、目元を押さえてそっぽを向くことで誤魔化そうとしてみたり。
子ども達の夢を壊さないあえて口にはしないが、なにか釈然としないリコリス。
子ども達に聞かせないように、こっそりとたずねてみる。
小声で答えるユーミルだったが、その表情に悲観は無い。
元気いっぱいな声とともに、ユーミルと小さな頭たちがぴょこんとおじぎをした。
きゃっきゃっと楽しげな笑い声が、広い遊戯室を満たした。
ふいに遊戯室の入口から、鈴を転がしたような美しい女性の声が聞こえる。
突けばころころと転がっていきそうな、丸くふくよかなシルエット。
リエッタはウーサーにお茶を配るとき、ふとそのたくましい腕と雄々しい顔つきを見て、ぽっと頬を赤らめた……ように見えた。
バラ色の頬を両手で包み込んで、恥じらうリエッタ。
にこにこと自らの首(ほとんど見えないが)をぐるぐると動かしてみせる。
ウーサーに対して軽く肩を竦めて返すシグナス。
目を閉じて声だけ聞いていれば、絶世の美女の祝詞と勘違いすることうけあいな良く通るきれいな声で、祈りを捧げるリエッタであった。
つぶらな瞳の中に星くずを宿して、うるうると感激の熱いまなざしをウーサーにまっすぐに向けている。
子どもたちに聞こえないように小声で話すリエッタ。
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