銀の網亭
〜 1 〜
冒険者たちがそれぞれ、身体を休めながら過ごしているうち、いつのまにか日はとっぷりと暮れていた。
階下から夕飯時の美味しそうな匂いが漂ってくる。
■ヒノキ To:ALL
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……あ、あれ?
もうこんな時間かよ……いつの間に。
自覚してねぇけど、そんなに疲れてたって事か?
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ボンヤリしているうちに時間が過ぎていたのにビックリ。
■ジン To:ヒノキ、ALL
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ふむ。ナイトメアの後遺症なのか・・・時間の感覚が狂うな。
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■リュント To:ALL
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いつまでボンヤリしていやがるんだ!
そんな生活ばっかりしていると食いっぱぐれちまうぞ!
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■アール To:リュント
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おかえり。
そっちの首尾はどうだった?
この期に及んで駄目でしたって言わないでよ。
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■リュント To:アール
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それはミァが帰ってきてから発表会だ(笑)
重要な事は最後まで取っておいた方が楽しみが増すだろう?
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■ジン To:リュント、ALL
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その満面の笑みは「予想以上」ってことかな。
そいつは楽しみだ。
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■リュント To:ジン
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楽しみにしたまま聞き忘れないでくれよ(笑)
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その横で、ハンナはアールに買ってもらったおみやげの数々を取り出しては眺めたり、身にまとったりしながら楽しんでいた。
買ってもらったのは貝殻をあしらった素朴なペンダント、
抱えるほど大きな熊のぬいぐるみ、
そして、アールとおそろいの青いマントだった。
■ハンナ To:アール
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アールおにいちゃん、似合う?
わたし、冒険者みたいに見えるかな?
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青いマントをまとって、嬉しそうにくるりと一回転。
■アール To:ハンナ
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着こなしはまあまあかな。
冒険者っていうには…そうだな、もう少し大きくなってからね。
まだ悪いコトを覚えるには早いしな。
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頭をぽんぽん、と子供扱い。
■ヒノキ To:アール
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待てコラ。冒険者が全て悪者みたいな言い方をすんな。
そーいう些細なことから印象ってのは変わってくるんだぞ。
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■アール To:ヒノキ
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じゃあ、お前は今からこの子を冒険を連れていったとして、悪いものを見せないと言い切れるか?
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■ヒノキ To:アール
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お前の言い方だと「悪い事を見せる」んじゃなくて「冒険者が悪い事をしている」ように聞こえるんだよ。
ただでさえ胡散臭い目で見られることが多いのに、これ以上冒険者を怪しい集団にするような発言をしないでくれって言ってんの。
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■アール To:ヒノキ>ハンナ
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やたらと「ぶん殴る」っていうような娘になってほしくないだけだよ。
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しみじみ。
■リュント To:アール
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なんか切実な願いが込められているけど、比較対象になる人物でもいたのか?
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■ジン To:リュント>アール
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まあ、何人も殴らずに済む冒険の方が珍しいのも事実。
その目的が良かれ悪しかれ、な。
市井のまま、結婚して子を成すような人生を歩めればそれに越したことはない。
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■ハンナ To:アール&ALL
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マーファ様は、結婚の神様だよ〜。
わたしも、およめさんになりたいけど、冒険者になっても結婚はできるでしょ?
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にこにこと。
■ハンナ To:アール
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それに……もうわたし、大っきいもん。
魔法が使えるのと、神様の力をお借りするの……どっちがいいかなぁ?
おにいちゃんはどっちが好き?
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純度100%の瞳で聞いてくる(笑)
■アール To:ヒノキ
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この眼になにか言えるかね?君わ。
まだって意味…わかってくれよ(苦笑)
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■リュント To:アール
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この子がハンナか(笑)
あと数年したらいい女に育つかも知れないな(笑)
その為に今から付け届けか?
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意味がわからなかったらしい(笑)
■アール To:ハンナ
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こーいうオッサンがいっぱいいるからね。
冒険者なんかにならないほうがいいのさ。
ハンナなら、神様の力を人のために…その方がいいだろうな。
むやみに街にあこがれる必要もない、自分の村で身近な人たちのために祈る。そーいうのも大事な事だよ。
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至極、真面目に。
■ハンナ To:アール
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うん。わたし、毎日、お食事の前にはマーファさまに感謝のお祈りをしてるの。
そのうち、お力を貸してもらえるように、がんばるね。
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にこにこと答える。
■ヒノキ To:ハンナ
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いいかハンナ。
このオッサンはさっきアールが言った、悪い冒険者の良い例だ。
だから、こーいうのには絶対について行っちゃいけません。
けどな、冒険者の中には良い奴だっているのは確かだ。
ハンナにはその、良い奴と悪い奴を見分ける事が出来るか?
……それが出来るようになる事が、大人になるって事なのさ。
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■リュント To:アール&ヒノキ
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オッサンって言うのは誰のことだ?
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■ヒノキ To:リュント
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言わなきゃ分からないなんて、空気の読めない奴が幹部なんて10年早いよな。
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■リュント To:ヒノキ
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いいか、ヒノキ。
読めないのと読まないのでは大きな違いが有る事を覚えるんだぞ?(笑)
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■ヒノキ To:リュント
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この場合「読まない」だと余計にタチが悪いんだけど?
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■リュント To:ヒノキ
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俺の存在自体がタチ悪いと思うんだけどな(笑)
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ハンナは真剣に話を聞きながら、リュントとヒノキを交互に見る(笑)
■ハンナ To:ヒノキ>リュント
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う〜んと……ヒノキおねえちゃんは、いい人だよね。
やさしいもん。
リュントおにいちゃんは、どんな悪いことしたの?
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ストレートな質問(笑)
■リュント To:ハンナ
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悪い事をしたとは限らないんだぞ〜?
才能ある人間ってのはどこからでも疎まれる、つまりだみんな羨ましがるって事だ。
ハンナはお利口さんだから才能は隠しておくんだぞ?
俺みたいに隠せないような才能だとこうなっちゃうから。
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■ハンナ To:リュント&ALL
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わたし、知ってる!
「のうあるシーフはツールをかくす」って言うんだよね。
でも、隠しながら神様にお願いするのって難しいよ?
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■リュント To:ハンナ
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ちょっと違うな
「のうあるシーフはツールを持たない」んだよ(笑)
現に俺は持っていないだろう?
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どこかへ置き忘れて来たらしい(笑)
■ヒノキ To:リュント
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ダメだこいつ……ダメおやじだ……。
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■ハンナ To:リュント
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ほんとだ〜。「まるごし」って言うんだよね。
おにいちゃんはすっごいシーフなんだ〜。
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キラキラした瞳で(笑)
■アール To:ハンナ
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どこでそんな言葉を聞いたんだ?(^^;)
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■ハンナ To:アール
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んとね……おねえちゃんからのお手紙に書いてあったの。
仲間のあーくんが良く言ってる言葉だって。
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■アール To:ハンナ
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まあ、隠さないといけないようなことは無理に覚えない方がいいんだよ。
普通にしてればね。
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■ハンナ To:アール
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でも、わたしもおねえちゃんみたいに冒険者になりたい……
そしたら、おにいちゃんと一緒に冒険に行けるよね?
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ちょっと赤くなって、アールのマントの裾を握ったり。
■リュント To:アール
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僕ももっと大きくなったらお兄ちゃんと一緒に行けるよね?
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反対側のマントを掴んでみたり(笑)
■ヒノキ To:リュント
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気色ワリィ真似すんなっ!
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向こう脛を思いっきりブーツのつま先で蹴り付ける……が、華麗に躱された。
■ヒノキ To:リュント
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こんにゃろ、いらんところで無駄に実力発揮しやがって……。
だから肉体労働しか出来ない奴だって言われるんだ。
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負け惜しみ。
■リュント To:ヒノキ
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しかって誰か言ったか?んん??
俺のこの溢れる才能はこれから開花していくんだ〜〜!
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すでに自分の世界に入り始めている(笑)
■ヒノキ To:独り言
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もうそろそろ枯れ始める方が周りの迷惑にならなくていいと思うんだけどな……。
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■アリス To:リュント
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あははっ。もっとおっきくなるつもりなの?
もしなれたら、ボクにもちょっと分けてねっ☆
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■リュント To:アリス
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これからは身体的に大きくなるとは違うのだよ。
社会的に大きくなると言う意味だな(笑)
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■リュント To:アール
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ちょっとした茶目っ気じゃねえか(笑)
あんまり真剣に悩むとハゲるぞ?(笑)
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■アール To:リュント
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リュントが悩まなそうだから、代わりに「リュントの将来について」悩んであげるよ。(笑)
失敗して、ヘルドラねーさんに河に沈められないか?とかね
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■リュント To:アール
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俺は意外と世渡り上手だと思わないか?
自分ではそう思うんだけど………
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ちょっと悩む素振りを見せてみる
■アール To:リュント
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それは俺よりヘルドラねーさんに聞きなよ。
だいたい、呼び出された結果はまだ聞いてないんだからね。
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■リュント To:アール
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ふむ。
そうだったな。
ミァはまだ戻らないのか………
このまま戻らなかったりして………
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そこへ、様子を見に来たおやじとおかみがひょっこり顔を出した。
■おやじ To:ALL
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お前たち、疲れは取れたかい?
さっき使いにやってきたギルド員に聞いたが、今回は夢の中での戦いだったそうだな?
いやはや、いろんな依頼があるもんだ……。
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感心したように言う。
■ジン To:おやじ
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知らない奴からみれば、寝てるだけで大金が手に入ったように見えるんだろうがなあ。
夢らしく豪勢な戦いだったぜ?
命に関わらないんなら、また何度でも見てみたいもんだがね。
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■おやじ To:ジン
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俺の店で、眠るように死なれても困るからな(笑)
どんな冒険だろうと、無事に帰ってきてくれればそれで十分さ。
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■おかみ To:ALL
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とにかく、みんな無事に目が覚めてよかったわね。
お腹すいてるでしょ? 何でも注文してね。
依頼達成記念に、今夜はあたしが奢ってあげるから(^_-)~☆
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太っ腹モード。
■ヒノキ To:おかみ
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お、珍しいこと言うな。
いつもおやじが簡単に『奢る』って安請け合いして、おかみに怒られてるのばっかり見てたけど。
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■おやじ To:ヒノキ
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いや……正確には怒られないんだよ……ヒノキ。
黙っておこづかいを減らされるだけでな……
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■おかみ To:ヒノキ&おやじ
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何か言った?(^^(^^
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笑顔の奥に言いようのない凄みを感じて、慌ててかぶりを振る(笑)
■リュント To:ヒノキ&おかみ
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余計な事を言うんじゃない!
おかみさんの好意に甘えようじゃねえか!野郎ども!!
今日は「銀の網亭」主のおかみさんから奢りの許可が出たぞ!(笑)
人生の最良の日にしようじゃねえか!
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よくわからないが無駄に張り切りだした。
■アール To:おかみ
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「あるじ」って、おやじさんの立場が…(^^;)
まあ、それは置いといて、ご厚意に甘えるとしましょうか。
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■おやじ To:リュント
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待てリュント、あくまでも店の主人は俺だと
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■おかみ To:リュント
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その意気よ(^^
うちの主人が腕によりをかけてごちそうを作ってくれるんだから、遠慮しないで何でもリクエストしてね。
飲み物の注文も聞いていくわよ?
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■ヒノキ To:おかみ
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ナンか裏がありそうで怖いんだけどなぁ……。
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■アール To:ヒノキ
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冒険者の店もいろいろと競争が厳しいんだ。
今回の件でギルドのお墨付きがもらえるなら安いもんだ。
とか、勝手に理屈を付けとけば良いんだよ。
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■リュント To:おやじ&おかみ
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名実それぞれ違うもんだからな(笑)
名義はおやっさんだろう?
でも実権は間違いなくおかみさんが握っているんだから(笑)
俺はいつものエールをピッチャーで。
食い物は辛いつまみを少々でな。
しっかりと飲んだ後で食い物を追加するからさ。
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■おかみ To:リュント
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いつものエールとおつまみね、了解(^^
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■アリス To:おかみ
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それじゃね、ボクはね、なにか新鮮なお魚料理が食べたいなっ。
飲み物は、ココアをふわふわ生クリーム乗せで☆
お砂糖もたっぷりね♪
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もうすっかりなじんだ様子の「ヒノキ ままん バッグ」からひょいと顔を出した毛玉が、いつものように催促の鳴き声。
■ヒノキ To:毛玉>おかみ
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あ〜、はいはい。分かってるって。おかみ、コイツにもお願いな。肉と野菜と、バランス良く。
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嬉しそうにぴょこたと飛び出て、テーブルのまわりをうろちょろ。
■おかみ To:ヒノキ
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あらら、その子結局飼うことにしたの?
成長したらどんな毛色になるのかしら。
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心から鳥の一種だと思っている(笑)
■ヒノキ To:おかみ
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ん〜……どうだろうなぁ。
育ってみないことには……。
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おかみの顔を見ないようにしながらぶつぶつと(笑)
■ジン To:ALL
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まあ【奢り】というなら遠慮なく一番高い酒を貰うが・・・
どうもこの店では【奢り】でしか宴会をしてない気がするな?
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■おやじ To:ジン
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それは錯覚だから、次からはぜひとも自腹で高級蒸留酒を頼んでくれ……。
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