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SW-PBM Scenario#158
銀のしおり

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未来に挑む者たち



  ローダリオンの塔・最上階

塔の入り口に設置されていた転送装置に入ると、しばらく魔法の力で満たされた暗い空間に身を包まれたまま待たされる時間が続いた。
100……150……180を数えるほどの時が過ぎただろうか。
唐突に暗闇から解き放たれると、東からの暗雲に染められつつある青空が視界に飛び込んできた。
間違いなくそこは塔の最上階。
1辺20メートルほどの円形の屋上になっていた。
屋上をぐるりと囲んでいる塀ごしには、針葉樹の森が眼下に広がって見え、さらに遠くまで目を凝らすと、ピクシーたちの村があるであろう方向から、時折魔法のものと思われる白い閃光が瞬いて見えた。
あちらでも戦いが始まっているのだ。
■ミァ To:あっち
モモで桃んに頑張るのでスヨー(>x<)ノ念

■アリス
ピクシーの子達とは仲直り出来たかなぁ……。

冒険者たちが出現した場所の対面には、小さな魔法陣がふたつ、対になって並んでおり、その間に奇怪な生物とひとりの小さな人影があった。
■ローブの少年 To:怪物
(下位古代語)
おおっ、本当に来たぞ。
やっぱじいの言ったとおりだな。あいつらが魔法の力を信じない、小汚い蛮族って奴なんだな?

■怪物(じい) To:ローブの少年
(下位古代語)
ハイ、それはもう。
ですがお父様の言われた通り、やがて剣の時代が来ることもまた星の予見するところ。
ですから我らがローダリオンの魔力を持ってすれば剣もまた支配下に置けることを、奴らに見せてやりましょうぞ。

複雑な文様が施されたローブを無造作に纏った少年は、アストーカシャと同じような年頃のように見えた。
子どもじみた尊大さを目元に宿しながら、冒険者たちを吟味するかのようにじろじろと見つめ、手元の青銅色の短剣を弄んでいる──その剣は、少年の手から離れ、宙に浮いているように見えた。
一方少年の傍らに控える「じい」と呼ばれた怪物は、ライオンの身体を持ちながら尻尾はサソリ、背中にコウモリの羽根を持った奇怪な姿をしていた。
顔は老人そのもので、噛んで含ませるような物言いで少年に語りかけている。
アリス、アール、ジンはその正体を知っていた。
マンティコア──邪悪な知識の守護者だ。
■アリス To:ALL
あれは……マンティコアだよ。
しっぽの毒と、暗黒魔法に気をつけてっ。

■ローブの少年 To:ALL
(下位古代語)
おい、お前たち。俺様はガルツァーク・ローダリオン様だ。
マナに見捨てられた蛮族どもには知り得ないほどの高貴な名前だぞ、よーく覚えとけっ。
で、じいが言うことによるとお前たちはユズリーフ・アストーカシャの味方だそうだな?
あの裏切り者の女に与するということはつまり、俺様の敵だ!

■ジン To:ALL
ほう、あの子供がガルツァークらしいな。
アストーカシャの味方はすべからく敵と見做す、か。
まるで本当の子供のような純真さだな。

■リュント To:ジン
あんな子供がガルツァーク!?押せば吹き飛ぶような小僧じゃねえか!

■ガルツァーク To:リュント
(下位古代語)
? 何をわめいているんだ?
蛮族の言葉は耳障りだな〜。美しくないぞっ!

■ジン To:ガルツァーク
(下位古代語)
なぜ俺達をアストーカシャの味方だと思ったのか、と驚いているのさ。
その獣の爺さんに、あんたがうまく丸め込まれているなと同情してるんだよ。

■ガルツァーク To:ジン
(下位古代語)
なんだって?

■マンティコア To:ガルツァーク
(下位古代語)
ぼっちゃま。妖精族の戯言などお気に留めなさいませんよう……。
爺はぼっちゃまが赤子のときから、いちばんの味方ではありませんか。

■ガルツァーク To:ジン
(下位古代語)
そうだ、じいを侮辱することは許さないぞ。
忙しい父上にかわって、俺様を育ててくれた親だ!

■ジン To:ガルツァーク
(下位古代語)
ふむ。子供なのは見掛けだけではないようだな。

■ヒノキ To:ガルツァーク
……ガキんちょ?

もっと年を経た渋い爺さんが登場するものだとばかり思っていたらしい。
■アール To:ヒノキ
見た目と中身が違うのはアバランで体験済みだろ。
姿に惑わされて気ぃ抜くなよ。

■ミァ To:ヒノキ&アール
てゆかアストーっちといい、目の前のこいつといい、なんでこー、ちんまいのがトップなんでしょうかネー。
昔はみんなこうだったトカー?
古代王国時代は謎に満ちてるのでスーゥ(=▽=)

■アール To:ミァ
ミァと違って小さい方が燃費がいいんだろ(笑)
…冗談はさておき、なにかと都合はいいだろうよ。
油断させたり…ね。

■ガルツァーク To:ALL
(下位古代語)
ふん、まぁいいや。蛮族には言葉よりも力で屈服させるのが早い!

その言葉に同調するようにして、空に浮いていた白い影が唐突に舞い降りてきた。
鎖2本で塔に繋がれたスノードラゴンが、まるで抗えぬ力にたぐり寄せられているような格好で最上階に着地し、塔を揺らす。
その身体を縛る2本の鎖の先は、まるで軟体生物のように形を変え、塔の石床に吸い付くようにして蠢きながら張り付いていた。間違いなく「生きて」いる。
■スノードラゴン To:ALL
ギィィィィ……ッ……

ヒノキのバッグの中で、毛玉が飛び出さんばかりの勢いで暴れている。
しかし、スノードラゴンはその気配にも何ら反応を示そうとしない。するどい牙を覗かせた口元から白い冷気を漏らしながら、冒険者たちを見下ろすその瞳の中に、理性の光はなかった。
■ジン To:ALL
・・・でかいな。

■ヒノキ To:スノードラゴン
ちっ。やっぱ、鎖で操られてるってワケかよ。

■ガルツァーク To:ALL
(下位古代語)
どうだっ、吐く息も凍るこの竜、強そうだろ?
俺様は剣だけじゃなく、ドラゴンすらも思い通りに操れる!
蛮族を剣でぶった切るってのも悪くないけど、まずはこっちを試してやるぞ。ふふん♪

■リュント To:ガルツァーク
分かったからさっさと始めようぜ。

何を言っているのか判らないのでちょっと面倒くさくなったらしい(笑)
■アリス To:スノードラゴン
すぐ助けてあげるからね〜。

■アール To:ガルツァーク
(下位古代語)
俺たちを「マナに見捨てられた蛮族ども」っていうのは構わないが、オマエはマナに使われてる、まるで「奴隷」のようだな。
支配どころかマナに振り回されているじゃないか…。
まあ、いいや。蛮族と奴隷、どっちが勝つかやってみるとしようか。

■ガルツァーク To:アール
(下位古代語)
お? 半妖精のくせに俺様と同じ言葉を使うなんて、変わってるな〜。
生まれながらの奴隷のくせに、畏れ多いぞっ!
すぐに俺様の元にひれ伏すことになるんだ、強がりはやめておけっ!

■アール To:ガルツァーク
(下位古代語)
やれやれ、爺さんが時代が違うって言ってるのに。
あいにくと、こっちは奴隷でもなんでもない「自由人」なんだ。
強がりでも何でも、自由にやらせてもらうよ。

■マンティコア To:アール
(下位古代語)
“自由”……良い言葉ですね。

■ミァ To:ガルツァーク
スノドラはあんたさんのおもちゃじゃないんでスヨー(−x−)
無害なスノドラを手下にしよーだなんて悪逆非道、おてんとさまの目はごまかせても、このミーの目は誤魔化せまセーーン!
覚悟しやがれでスヨー!(びしぃ)

■ガルツァーク To:リュント&ミァ
(下位古代語)
? 何を言ってるのかさっぱりわからないけど、興味があるな〜。
あとで“言語理解”の魔法でも使ってみようかな?

■マンティコア To:ガルツァーク
(下位古代語)
ぼっちゃま。くれぐれも精神力の使い過ぎには気をつけてくださいませ。
「魔剣」が操れなくなりますぞ……。

■アール To:ジン
聞こえたかな、ジンさん。
あの魔剣を操るのにも精神力を消耗するってさ。

■ジン To:アール、ALL
ああ。特筆すべきは、やつらの魔力も精神力ということだ。
魔力が有限なら、この戦い勝機はあるぞ。

■スノードラゴン To:ALL
ギィィィィーーーーーーーッ!

空気を引き裂くようなスノードラゴンの声を合図に、夢の中での最終戦闘──「絵本」の最後のページが始まった。


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