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SW-PBM Scenario#158
銀のしおり

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蛇の巣穴

〜 2 〜


  七風亭

ジンの言葉に頷き、ヘルドラは話を続ける。
■ヘルドラ To:ALL
まず、あんたたちに「依頼」を出すことになった経緯から説明するわね。今から説明することはたとえギルド内といえども他言無用、ギルド外に漏らすのはもってのほか……禁を破ったなら“粛清”対象になるから、肝に銘じておいてね。

そう前置きして、真剣に話をする時にいつもそうするように、足を組み直した。
■ヒノキ To:ヘルドラ
うへぇ……堅ッ苦しい話ってのはあんま得意じゃねぇんだけどな。
それに、リュントとみゃーはともかく。
そんな重要な事を昨日今日パーティを組んだばっかの私らにまで話していいモンなのか?

■アール To:ヒノキ
別にヒミツのひとつやふたつあっても困るモンじゃないだろ(笑)
それに、この人は「ただのお使い」みたいだし。
文句は頼んだ人に言うのがスジってもんだ。

■ヘルドラ To:アール>ヒノキ&ALL
「お使い」はまた別の話なんだけどね……まぁいいわ。

正直に言うと、あんたたちにしかこの件を任せられなくなったのよ。
ジャックナイフが閉じ込められた“悪夢”の中に入り込めるのは、彼女と同じ呪いを受けた者だけ……だから。

全員の顔を見回す。
■ヘルドラ To:ALL
……少し長くて退屈かもしれないけど、良く聞いてちょうだいね。

みんなすでに知ってのとおり、「ジャックナイフ」……ユズリハ=アストークスはオランのシーフギルドの幹部、ラムリアース出身の齢57歳のおばあちゃんよ。
彼女の管轄は「新人の教育と管理」なんだけれど……その裏で数年前からずっと「危険人物」として追い掛けている、同じオランシーフギルド内の別の幹部がいてね。

■ミァ
裏で暗躍するぴちぴち57歳のばーちゃんでスカー。
確かに夢の中でもタフそーでしたもんネー。

■ヘルドラ To:ALL
その幹部の名は“氷嵐”のガル、ガルフェス=ロダリオ。
ジャックナイフと同じラムリアース出身の中年男よ。
数少ない情報から導き出されたガルフェスの狙いは、ラムリアースの北……ヤスガルン山脈に閉ざされたある地方を封印から解くこと、そしてそこに眠っているであろう魔法装置を手に入れること。
ガルフェスは封印の手がかりを得るために、密かにギルド幹部の立場を利用していたらしいの。

■ヒノキ To:ヘルドラ
ガルフェス……ロダリオ
なぁ、ちょっと待った。
私らは夢の中で、ユズリハばーさんの名と似た名を持つ【ユズリーフ=アストーカシャ】って奴と会ってる。
そしてその夢には【ローダリオンの樹】って名前の大樹があった。
【ロダリオ】と【ローダリオン】……。偶然の一致、で済ませて良い話じゃねぇよな。

■ヘルドラ To:ヒノキ&ALL
「ローダリオン」というのは、古代王国時代に現在のラムリアース付近に小さな都市国家を建国し支配していた一族のこと。
「アストーカシャ」も、その都市国家において重要な地位を占めていた一族だと言われているわ。
ローダリオン家はヤスガルン山脈の気候をコントロールして領土を広げようとしていた……そのために建てたのが「ローダリオンの樹」と呼ばれる魔法の塔ね。
その野望は、ただひとり祖国に逆らったユズリーフ=アストーカシャが彼の土地を丸ごと封印することで潰えるわけだけど。

……ふたりの真の名が意味するところは定かではないけれど……推して知るべし、でしょうね。
ガルフェスが執拗に封印されし彼の地を求め、ジャックナイフがそれを阻止しようと躍起になったのは、彼らに流れる血が図らずもそうさせたのかも……ね。

■アール To:ALL
時を越えた、因縁の対決ってことね。

■ヘルドラ To:ALL
ガルフェスはある日、冒険者として活躍中のとあるギルド員に目をつけたわ。
遺跡探索と珍しいアイテム集めを趣味としているアバランという冒険者。
……いまさら説明の必要もないわね。
1週間ほど前、アバランが北……ヤスガルン山脈付近の旅から帰ってきたことを知ったガルフェスは、彼に近づこうとした。何かしらの「封印の手がかり」を得ていることを期待したんでしょうね。

けど、その動きに気付いたジャックナイフが、先んじてアバランに接触して保護しようとしたの。この動きがきっかけとなって、ガルフェスは直接ジャックナイフを葬り去ろうと動いた……オランのとある場所でふたりは戦うことになってしまったわ。
しかしガルフェスは返り討ちにあい、命を落とした……ジャックナイフが言うには「死体は処理した」ってことらしいけど。

■リュント To:ヘルドラ
すると、幹部同士が争って、片方が死んで欠員が出たって事だよな?
それこそ、俺にお鉢が回ってくるってもんじゃねえか!

■ヘルドラ To:リュント
ガルフェスが担当していたのは、「各国ギルドの情報収集と交渉役」よ。
残念だけど、あんたには10年早いわね(苦笑)

優しい苦笑を浮かべながら(笑)
■ヒノキ To:リュント&ヘルドラ
剣を振り回して戦うしか能がないって言ってるのと同じだよな、それって。

■リュント To:ヘルドラ&ヒノキ
俺だって交渉術は勉強したんだぞ!
俺のような交渉屋がいたって良いかも知れないぜ?
俺を「剣を振り回して戦うしか能がない」と思ったら大間違いだぜ?

何やら意味有りげに不適な笑い
■ミァ To:リュント
へーーふーーーん、ほーーー。
・・・・・・・・・・・・秘儀リュネット?(=▽=)b

■リュント To:ミァ
それは秘儀中の秘儀なんだから表で話すんじゃない(笑)

■ヘルドラ To:リュント
あたしは戦闘技術だけを買ってるわけじゃないわよ。
あんたの一番良いところは、判断の早さと決断力でしょ。
ま、それは自分の実力に裏打ちされたものとも言えるから、自分より強い者と対峙した時にどうなるか……ね。

試すような微笑を浮かべながら(笑)
■ヘルドラ To:リュント
それでも欠員が出たのは事実だから、チャンスというのは間違いではないわよ。
あたしはギルド幹部とは言えまだ中堅だから、推薦はできても決定権は無いわ。
決めるのはもっと上……ジャックナイフほどのね。

■ミァ To:ヘルドラ
ばーちゃん、何気にすっごいんでスネー。
夢の中では、こう、おちゃめなクマぷーでしたのニー。

■リュント To:ヘルドラ
幹部の中でも中間管理職とかあるんだな………
それでも構成員よりは何ぼもマシなんだから頑張って這い上がらないとな。

■ヘルドラ To:リュント
そう。中間は大変なのよ(苦笑)
道のりは長いと思うけど、いつかあたしの横に並べるように、頑張ってね。

■リュント To:ヘルドラ
俺の目標は横に並ぶんじゃなくて追い越すことが目標なんだからな!

身の程知らず
■ヘルドラ To:ALL
そのままどこかへ飛んで行っちゃいそうね(苦笑)
まぁいいわ、話を戻すわね。

……ところが、ガルフェスが死んだ次の日の夜、ジャックナイフは“悪夢”を見たのよ。
凍えるような冬の森に投げ出され、ピクシーたちに助けられるという、まるでおとぎ話のような夢を。
目が覚めた後、これが「ナイトメア」の呪いだと気付いたジャックナイフは、「報告書」……ええとつまり、リュントの推薦書を持ってオランのギルドを訪れたあたしにそのことを相談してきたわ。
「ナイトメア」は、儀式を止めさせなければ必ず呪い殺されてしまう魔法……
ジャックナイフは元々リュントの活躍には一目置いていたらしいんだけど、今回の事件は実力を試すには良い機会だと……リュントに、いえ……リュントと銀の網亭の冒険者たちに、自分に「ナイトメア」をかけてきている犯人を捜し出し、儀式を阻止して欲しいという依頼を出すことに決めたの。
そういった経緯で、昨日の朝に例の依頼書が貼り出されたってわけ。
……ここまでは理解したかしら?

■ジン To:ヘルドラ
・・・依頼の経緯は理解できた。犯人を捜し出す手段は皆目見当も付かんがね。

■ヘルドラ To:ジン
高位の精霊使いで、しかもジャックナイフの顔を知っている人物となるとかなり絞られてくるから……必然的にガルフェスの生死確認から入ることになっていたでしょうね。

■ヒノキ To:ヘルドラ
気になる事がいくつかある。
まず第一に、私たちまでナイトメアに巻き込まれた理由だ。
それはイコール、犯人に私らの事……つまり、ユズリハばーさんの動きが察知されてるって事だろ?
そのへん、どうなってんだ?

■ヘルドラ To:ヒノキ&ALL
ここから先は、あたしもさっき知ったばかりの情報なんだけどね……。

「犯人」は、アバランの記憶を通じてリュントのことを知った……リュントがアバランの旧友であることをね。
将来敵に回りそうな芽は、ついでに摘んでおこうとしたのよ。
犯人にとってはその「欲張り」が命取りになったわけだけど。

■アール To:ヘルドラ
「命取り」ってことは、アバランへのガルフェスの呪いは解けたってことか?

■ヘルドラ To:アール&ALL
ええ。みんなのおかげでね。
今回のナイトメアは、「魂の状態のみ、現実世界とリンクする」の。
だから、現実世界でもガルフェスの魂は逝ったわ。
同じように、夢の中で死んじゃってたらあんたたちも死んでいたのよ。
……生きててくれて本当に助かったわ。

■リュント To:ヘルドラ
俺がみんなと一緒なんだから、そんな簡単にやられる訳がないだろう?
そんなやわには見えないだろう??

■ヘルドラ To:リュント
トールクーベの時と同じように、あんたの攻撃がみんなを守ったのよね。
大したものね……まったく……その運の強さも。

感心したように微笑を浮かべ、リュントを見ている。
■ミァ To:ヘルドラ
ああ、だから最初会った時に「生きててくれて良かった」とかなんとか言ってたんでスネー。
なんでそんなこと言うんだろーとか思ってたですケドー。

■ヒノキ To:ヘルドラ
もう一つ。
夢で会ったユズリハばーさんはこんな大事になってるなんて一言も言ってなかったけどな。
て、ゆーかボケてナンもかもすっぽり忘れてるみたいだったぜ。
……多分に演技臭いところはあったけどな。

私らに仕事を任せるつもりなら、全てを隠しておく必要はなかったはずだ。
これはどういう事だ?

■ヘルドラ To:ヒノキ&ALL
夢の中での記憶喪失は演技じゃなくて、本当のことよ。
ボケたように見えたのは、つまり、素……ってことね(苦笑)
今回みんなが巻き込まれた「ナイトメア」は特殊なもので、あるアイテムによるものなの。
夢の中での記憶喪失は、特殊効果のひとつ……ま、それはあとで現物を見せながら詳しく説明するわ。

■ヒノキ To:ヘルドラ
あンのボケ婆ぁめ……。
まともに覚えててくれりゃ、私らが苦労することもなかったのによぉ。

■ミァ To:ヒノキ
まーまーヒノキっちー、57歳のおばーちゃんにあんまり無理言っちゃ駄目でスヨー(=▽=)
ナイトメアしょっくでぽっくり逝かなかっただけ良かったと思わないとなのでスー。

■ヒノキ To:ヘルドラ
ま、それはいい。それから、アバランの事だ。
こいつも夢で聞いた話だが、ユズリハばーさんは私らに依頼をしたのとまったく同じ目的でアバランに接触しているはずだろ。
……まぁ、ヘルドラさんの話と合わせて考えれば、そいつはカモフラージュだったのかもしれないけどな。
それにしたって、保護の目的でアバランに会っていたのなら、その後アバランを一人で泳がせていたのが解せねぇ。
ナンか理由でもあったのか?

■ヘルドラ To:ヒノキ&ALL
ジャックナイフとアバランは、七風を通じて面会の約束を交わしただけで、実際に会ってはいないわ。
……不幸なことに、面会が実現する前に、アバランはオランの一角で、死亡したガルフェスが残した「青銅色の短剣」を偶然発見してしまったのよ。

……好奇心がなんとやらって奴で、短剣を手に取ったアバランは、ファントムと化したガルフェスに操られることになった。
宿に戻ったアバラン……ガルフェスは、「北の旅」で収拾したアイテムについてオランの学院で調べ上げ、それらのアイテムを利用して、ジャックナイフと将来的に回りそうな人物をまとめて“悪夢”に送り込み……抹殺しようとしたのよ。
あたしも実は危なかったのよね。顔を知られてなかったから助かったけど。

肩をすくめてみせる。
■ヒノキ To:ヘルドラ
なるほどね。その辺は理解した。
んじゃあ、あとはこれを聞かせろ。
ユズリハばーさんは、今どこに? 肝心の依頼主だろ?
それと、アバランもだ。どこにいる?

リナリアも……と言おうとして、そこはぐっと抑える。
余計な情報までわざわざ渡す必要はない。
ちなみにノールの事は綺麗サッパリと考えないようにしている。
■ヘルドラ To:ヒノキ&ALL
ジャックナイフは現在、昏睡状態に陥っているわ。
通常の「ナイトメア」と違って、「2夜目」で必ずそうなるらしいの。あたしに依頼の相談をした日の夜からそんな事態になってしまったから、放っておいてトールクーベに戻るわけにもいかなくなってね……こうしてあたしが引き取ってるってわけ。
今は、この建物のさらに奥の部屋で眠っている……厳重に警護中ってところね。

■ヒノキ To:ヘルドラ
2夜目で昏睡に陥る、だぁ〜?
って事はナンだよ、私らもまともに動けるのは今日一日だけって事かよ!?

■ヘルドラ To:ヒノキ&ALL
察しが良くて助かるわ(微笑)
残念ながらそういうこと。まぁ、一日あるだけ幸運だったと思ってちょうだい。
ジャックナイフの前例があるからこそ知り得た「期限」なんだから。

そう言うと、もう一度足を組み直した。
■リュント To:ALL
一日もあれば十分だろう?
依頼さえ解決すりゃいいんだから。

■ミァ To:ALL
んにんに。それに期限がわかった分、気合も入るってなもんでスヨー(`・▽・´)

■アール To:ヘルドラ
そーいうことなんで、リュントがどう解決するかじっくり見てやってください。

他人事ぽいw
■ヘルドラ To:アール
期待以上どころか、期待の明後日の方向にいっちゃうのがリュントとミァ。
あんたたち、しっかりと舵取りをお願いね。

至極真面目な表情で(笑)


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銀のしおり

GM:ともまり