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SW-PBM Scenario#158
銀のしおり

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近くて遠い呼び声



  西の館・1階小部屋

全速力で階段に向かうと、今まさに鉄製のプレートが頭上を塞ごうと迫っているところだった。
半ば滑り込むようにして、8人の冒険者たちとサテュロスたちは階段を駆け上がり、もとの小部屋へと脱出する。
最後の一人を危うく挟み込むような勢いでプレートが床の入り口を埋めると、再び下位古代語のアナウンスが流れた。
■プレートからの音声 To:ALL
(下位古代語)
……0。
カウント終了。規定のローテーションに従って、「時間指定無し解錠キー」が変更されました。ご注意ください。

■ノール To:ALL
あれ? さっきの正解ボタンが変わっちゃったってことかっ???

■リュント To:ノール
プレートに書いてある問題も変わってやしないか?

■ノール To:ALL
おいら、このむずかしい文字(下位古代語)読めないから、わかんないぞっ!

ぐぐぃっと胸を張る。
見たところ、文面も計算式も変わった様子はなかった。
■リュント To:ノール
俺の部下になりたいのなら、古代語位は勉強するように!

■ヒノキ To:ノール
ま、当たり前っちゃあ当たり前かもな。
しかしさっきのはヒントのメモがあったから良いけど、今度はノーヒントになるわけか……?

■ミァ To:ALL
1回行くと変わるだなんて、随分不便な作りでスネー。
ノーヒントだと…もう勘しか?(=▽=)

■ジン To:ALL
問題は変わっても、記号の意味は変わるまい。
でなければ、アバランやカボチャが入った時点でアストーカシャのヒントは使えなくなるはずだからな。

■アール To:ALL
そーいうこと。
問題は後でゆっくり考えようか。
ちゃんとゼムリャに報告できるようになってからね。

■ミァ To:ジン&アール
Σ にはははは、そーいやそうでスネー(ー▽ー;;
んじゃ吉報げっとするためにも、いっちょ頑張りまスカー!(ぐっ)

■リュント To:ALL
少しくらい気合を入れないとな。

ちょっと神妙に
小部屋の中に変化はない。魔法装置が止まったせいだろう、ダンスパーティ用の優雅な音楽ももはや聞こえてこず、不気味なほど静かだ。
しかし、そのおかげで館の外でふいに起こった「聞き慣れない音」が、分厚い石壁を通り越して一行の耳に届いてきた。
高く、よく通る、動物らしき鳴き声。
どこか哀しげで、同時に燃えるような怒りに満ちた、絞り出すような声。
それはヒノキにとってどこか聞き覚えのある「声の質」だった。
■高い声 To:???
ギィィィーーーーーッ……

■毛玉 To:こえ
ぴ? ぴぴぴっ。
……きゅ〜〜〜っ。

■ヒノキ To:声
――ッ!?
この……声……っ!

ヒノキのバッグの中で毛玉が猛烈な勢いで暴れ出す。
まるで高い声に呼応するかのように、しきりに首を持ち上げあたりを見回し、バッグの外へ踊り出そうとしている。
■ヒノキ To:毛玉
今はダメだ。我慢しろ……な?
必ず。必ず後で、逢わせてやるから。

そっと毛玉の頭に手を乗せ、落ち着かせるように優しく撫でる。
■毛玉 To:こえ
きゅ〜〜〜〜っ。
……きゅ〜…。

絞り出すような悲しい声を上げながら、ヒノキの手のぬくもりに再びぽってりと丸くなった。
■リュント To:ALL
何の音だ?
それになんでケダマンは暴れ始めているんだ??

■ヒノキ To:リュント
ケダマン言うな。
……多分、コイツの本当の親だよ。
鳴き声が、そっくりだ。

■リュント To:ヒノキ
可愛らしい呼び名だと思わないか?(笑)
今まで名前が付いていなかったんだから、そろそろ名付け親になってやったらどうだ?

■ヒノキ To:リュント
いいんだよ、毛玉で。
コイツはいずれ本当の親に返さなきゃならないんだ。
名前なんか付けたら……情が移っちまうだろ。

■ミァ To:ヒノキ
にょあー…天下のスノドラを連れてきちったんですカー、アバラン。
むむ、人質(ドラ質?)取られてるとなると厄介でスネー。

■ジン To:ALL
ふむ。巨大魔晶石は破壊したはずだが・・・まだ【鎖】は有効なのか?

■リュント To:ジン
鎖が無効になったから、子供を捜しに来たんじゃねえか?

だが、その声は2度と再び聞こえることはなく、かわりにバサッ、バサッという大きな翼が空気を掻く音が、館から遠ざかって行くのが感じられたのみだった。
その音を追うように、小部屋の壁全体を震わせるほどの怒号が響いてくる。
■アバランの声 To:???>カボチャ>リナリア
……あーくそっ! 鎖ごと逃げやがった!!

ふざけやがって……なぜこんな……! おいカボチャ! 次はてめぇの精神力をよこしやがれ! ……は、早くしろ!!
リナリアーっ! 何をしてやがる!
パーティは中止だ、料理など止めて早くここへ来い!!

■ジン To:ALL
・・・効果はあったようだな。

■リュント To:ALL
アバランはすぐ傍にいるのか!?
てっきり上にいるもんだと思っていたけど?
なんで微かにでも奴の声が聞こえるんだ??

■アール To:リュント
声を届ける魔法装置は館全体に設置してあるようだね。

■リナリア To:ALL
さっきと同じ、壁から聞こえてきてる……まだ、ダンスホールにいるんですね……。

ぎゅっと唇を噛みしめて、エプロンの裾を握りしめている。
■リュント
館全体に響いているから、近くにいるもんと錯覚したのか。

■ヒノキ To:ALL
…………は。あはははっ、……はぁ。
なんとか荒事を避けて済ませる方法はないもんかって、今まで心のどこかで考えてたけどよ。
……今ので、そんな考えがすっ飛んだ。
短い間でも保護者やってた身として、毛玉の本当の親をヒデェ目に遭わせた奴は許せん。
ぶん殴ってやる。

■アール To:ヒノキ
そーいえば、最初にやられた時の別れ際にもアバランをぶん殴ってやるって言ってたな。なあ、その、そんなに直に殴らないとダメなのか?

謝らせるとかいう、他の選択肢はないのだろうか(笑)
■ミァ To:アール
…きっと拳で語る神の愛があるんでスヨー。
ミーはぐららんだからさっぱりすっぱり分かりませんけどネー(=▽=)

■ヒノキ To:アール
謝らせたところで、向こうが心から反省してるのかは分かんねぇだろ。
それに殴るのは、私が怒りを発散させるためだ。
相手が謝罪してハイお終い、じゃ私の怒りのやり場がなくなるだろ?

要するに、【イライラしてるから殴ってすっきりしたい】という事らしい。
■アール To:ヒノキ
個人の趣向にまでは口出ししないけどな…。

さすがにちょっと引き気味。
■ジュアンナ To:ALL
そーよぅ! あたしとパフィオをこんな目に遭わせたアバランくん、あたしだって殴りたい! 後ろ足で蹴ってやるんだから〜!

■パフィオ To:ジュアンナ
ええっ!?
ぼ、ぼくたちがいってもじゃまになるだけだよふえをふくしかのうがないしここでまっていようよ?!

■ジュアンナ To:パフィオ
んもー、ばかー! パフィオのいくじなし〜!(ぷんすか)

■リュント To:ALL
でも、正直なとこ、さっき遭ったアバラン達ならお前達をかばってやる余裕は俺らにないぜ?
協力してくれるのなら、むしろ、ここで待っていてくれた方が助かるんだがな?

■パフィオ To:リュント&ALL
ももももちろんさぁ〜! 僕、とってもおとなしくここで待ってるね!!!

■ジュアンナ To:パフィオ
んもーっ。

■リュント To:パフィオ&ジュアンナ
まあまあ、勇気ある決断とか、引く勇気ってのも必要なんだからな(笑)



もめてる後ろで、なにかこっそり準備中…?
カチャカチャと食器の当たる音が…?
■アール To:ミァ
さーて、ミァは約束通り活躍したのでお茶をどうぞ〜

■ミァ To:アール
Σ ついに!!!(>▽<)
いいんでスネー! ミーもう止まりませんヨー!?

むちゃくちゃ嬉しそうな顔で、いそいそとティーカップを持ち上げる。
■ミァ To:お茶
でてこいでてこいおいしー紅茶。ちちんぷいぷいでスヨー♪

するとアップルのいい香りと共に、琥珀色がカップの中を満たしていく。
■ミァ To:ALL
!!!! ほんとに出た! 出たのでスーー♪
(ごくごく)・・・・・・ぷぁ〜〜甘い香りがまたべりーぐっとでスヨーo(≧∀≦○゛

■リナリア To:ミァ
わ〜、いい香り〜。
アップルティーの占いは、「油断しないで!」でしたよね。
ミァちゃん、どんな感じですか?

■ミァ To:リナリア
んとですねーんとですねー…(ごくごーく)……ぷは(>▽<)♪
油断しないでだけあって、ピリリとスパイスが効いてるのが隠し味でばっちぐーでスー。
いい仕事してまスネー(うんうん)

ちなみに紅茶から得た恩恵は……魔力+1
グラスランナーには全く意味の無い効果でありましたとさ(笑)
■ヒノキ To:ALL
誰も取らないんなら私も貰うぞ。
ん〜、……っと。

言いながらカップにお茶を注いで、出たのはやはり林檎の香り。
■ヒノキ To:ALL
……アップルティー専用じゃ……ないよな。確か。
(……ところでコレ、飲んだらみゃーと間接キスだよなぁ)

ほんのり頬を赤く染めながら、それを隠すようにして一気にお茶を飲み干す。
■ノール To:ヒノキ
あ”〜〜〜っ!! ヒノキ、ミァっちと間接ちぅじゃないかっ!!?
おいらも、おいらにも〜〜〜!!!

じたばたと手を伸ばす。
■ミァ To:ノール
ノールん、みぐるしーのはミー、嫌いでスヨー?(・▽・)

■ノール To:ミァ
Σ おいらみぐるしい男!!?(ずががーん)

雷に撃たれたよーに石化。
■ヒノキ
……うぁちちちちっ!!
う〜……慌てて飲みすぎた。

■アール To:ヒノキ
誰も取ったりしないから、もう少しゆっくり飲みなって。
カップは取り上げるけどね。

ヒノキがカップを落とさないか心配そうに丁寧に取り上げる。
■リュント To:ALL
俺は腹が減っているからこっちで菓子をもらうぞ!
お茶だけ飲んでも腹に溜まらないからな。

お皿をセット。
■ミァ To:お皿
ΣΣ (☆△☆)!!ぎらーん

ミァの目が怪しく光った!
そんなミァの熱い視線を受けながら、お皿は「ぴろりん♪」という効果音とともにお菓子を出現させた。
出てきたのは小粒の黒い物体。「シェイド」の効果をもたらすチョコレートである。
■リナリア To:リュント
い、いいなぁ……でも、がまんがまん……。

うらやましそうに遠巻きに見ている(笑)
■アリス To:リナリア
全部終わって帰ったら、みんなでお茶会をしようよ。
あーくんも一緒にねっ☆

■リナリア To:アリス
うん……。ありがとう、アリスちゃん。

■リュント To:リナリア
食べたいのか?
欲しいのならやるぞ?
我慢する方が体に悪いしな(笑)

■アール To:リュント
おっさん、後がつかえてるから早くしなって。
リナリアもいるんなら素直にいいなよ。

■リナリア To:リュント&アール
え、でも、……ダイエット中だから……。
私なんかより、アールさん、食べてください。

■アール To:リナリア
ああ、遠慮するタチではないんでね。
しかし、いただく気はあるんだが、「アレ」を見て先には…ねぇ。

指し示した先にはミァが…。
■リュント To:リナリア
食べれる時に食べないと、「アレ」みたいになっちまうぜ?(苦笑)

そんな「アレ」の現在の様子↓
■ミァ To:ALL
うけけけけ、うけけけけけけけ、うけけけけけけ(☆▼☆)!!!
われはいまここにー、特製ケェキを手にいれたりー。
ていや! あわられたましーーあらわれたましーーー。

妙な呪文を唱えてがしっとお皿の縁を掴む。
しばらくすると、「ぴろりん♪」という2度目の効果音とともに、お皿の上にキャラメルが現れた。
■ミァ To:ALL
キャラメルげっとでスーーーーー!!!!(>▽<)ノ■
(もぐもぐ)……ああ、ミーしあわせ〜〜(うっとり)

余韻にひたるミァの前から空になったお皿をひきあげる。
■アール To:ALL
さて、みんなダイエット中だったり遠慮がちなようなので、せっかくだからセットで頂いちゃおうかな〜。

勝手なことを言っている合間にも、「ぴろりん♪」という効果音とともに、お皿の上にバタークッキーが現れた。
…そしてお茶の方はカラメルティー。
■アール 
いただきま〜す。

ふむふむ…

ほうほう…ぶつぶつ…

ひとくち毎になにやら呟きながらも、なにかをアピールしているのは目の前のリナリアに対してのようだ。
■アール To:ALL
いや、昔の人もなかなか洒落た道具を作るものだねぇ。
ごちそうさま。

■リナリア To:アール
が、がまんするもん……。

もじもじしながら目を背けている(笑)


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