小部屋の探索のために残ったリュント。
先ほどの罠が頬をかすめたせいで気持ちが引き締まったのか、今度は神業とも呼べるほどの集中力を発揮して小部屋内部を探索する。

あっという間に隠された扉を発見した。しかも、2カ所。
入ってきた扉と同じように、石壁を押し込むと開くタイプのようだ。
向かいの壁に一カ所と、左手側に一カ所。

続いて小部屋の中央部分にある鉄製のプレートを調べてみる。
幅80センチ四方くらいの正方形で、かなりの厚みがあり、持ち上げるにはひと苦労しそうだ。
表面には小さな記号を象ったボタン（指で押し込めるようになっている）が並んでおり、その記号を使った計算式のようなものが彫り込まれていた。
さらに、下位古代語で警告文とおぼしき一文も刻まれている。

鍵、あやまてば 汝に災いふりかかる ●　■　○ □　◇　◎ ●＋■＋○＋□＋◇＋◎ ＝？

←下位古代語 　←6つのボタン 　（指で押し込められそう） 　←計算式

リュントはまず、プレートそのものに罠が仕掛けられてないかどうかをチェックしたが、無いように思った。

ジンは、リナリアの使い魔を抱き上げて、プレートの内容がみえるようにする。

入って左手の隠し扉を調べ始める。
罠はないように感じた。ただの石の塊の扉なので、鍵はもとより付いていないようだ。

リュントは聞き耳も立ててみる。左の扉の奥からは、ヒノキとノールの声、そしておそらく二人のものと思われる足音がふたつ。
そしてプレートの下からは、女の子のすすり泣く声が聞こえてきた。
哀しげな声で何かをささやいているようだが、内容までは聞き取ることができない。

真ん中の部屋へ通じる隠し扉を押し開ける。