絵画の語らい
〜 1 〜
★西の館MAP(別枠表示)
リュントが扉を開け、油断無く体を滑り込ませるシーフコンビ。
中は広々としたリビングになっていた。
部屋の中央には豪華なソファーとテーブルがあり、手入れの行き届いた、大振りな花がセンス良く飾られている。
■ミァ
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ああいうセンス花って、誰が活けてるんでしょうかネー?
リナリアっち?
そりともカボチャ……(想像)……乙女な華道のカボちゃんとかだったりするんでしょうかネー(=▽=)
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■リュント To:ミァ
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意外と大人しいぐららんとかな?(笑)
ここはまるで貴賓室みたいだな〜
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床にはふかふかの絨毯が敷かれ、部屋をぐるりと見回しただけでも壺、小物入れ、チェスト、棚など、立派な調度品がしつらえてあり、まるで貴族の邸宅を思わせる内装になっていた。
棚の上に置かれた、蓋の開いた小箱の中から、先ほど聞こえた繊細な音楽が流れてきているようだ。
■ミァ
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ほーー。こりがさっきの。
でも誰もいないのに音楽だけ…?
誰のために奏でている音楽なんでしょうネー?(はて)
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ミァのバードイヤーは、この音楽が何か魔法的な力を帯びた曲だと感じ取ることが出来た。
しかし自分たちに影響を及ぼすものでは無さそうだ。
だったらなおさら誰の為…? ますます疑問は増す。
■リュント To:ミァ
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意味が無いように思えて有ったりすんだよ。
それにしてもありゃなんだ?なんかの肖像画か?
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中でもひときわ目を引いたのは、入ってすぐ右手の壁にかけられた絵画だ。
縦1メートルはありそうな縦長のもので、金の豪華な額縁におさめられている。
描かれているのは、黒い三角帽子とオレンジのローブに身を包んだ少女だ。
どこか不機嫌で、悪戯っぽい笑顔を浮かべた様子はとても愛らしかったが、彼女の手元には何故か蜘蛛やナメクジや長虫、背景には虎や禿鷲など、多数の動物や虫たちが一緒に描かれているのだった。
■ミァ To:絵画
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Σ にょっ。
また、なんてゆーか……ヤな感じっぽいのがでスー(=x=;)b
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■リュント To:ミァ
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こういうのは大抵こけおどしだろう(笑)?
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■ミァ To:リュント
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えー。でも怪談でなかったでスカー?
暗い部屋の中で、絵画の目がぎょろりと動く、とかトカー。
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■リュント To:ミァ
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目から光線を出すとか?(笑)
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■ミァ To:リュント
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そうそう、目からびーーーーむ!(☆▽☆)シャー
ってまあそんな冗談はともかく、人影っぽいのはなさそうでスネー。
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■リュント To:ミァ
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人の気配がしないのに、曲のような音が聞こえたんだけどな〜
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部屋の中に、自分たち以外の生き物の気配はしない――
そう確かめた矢先。
■少女の声 To:リュント&ミァ
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foa i va hyolf ka valno. jvao ih, foaiu?
(ノックもせずに入ってくるとは無礼な。お前たちは何者じゃ?)
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絵画の中の少女が、動いている。口を動かし、ふたりに話しかけている。
その言語はふたりには理解できない言葉だったが、なぜか意味は頭の中に自然と流れ込んできていた。
■リュネット To:少女の声
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どなた?
今しゃべったのは??
ここは控え室ではなくって?
姿を現さず話しかけるなんて、そなたこそ失礼でしょう。姿を出しなさい。
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自己設定は貴族の姫君?
■ミァ To:リュネット
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・・・・・ッ・・・・・Σ( ̄□ ̄;!?
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隣の相方のギャップありすぎ口調に、横でぎょっとしている。
■絵画の少女 To:リュネット
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(未知なる言語)
何を言うか無礼者。わらわは最初からここにおる。
それに、ここはわらわがくつろぎ癒されるためのリビングじゃ。
招かれもせずに勝手に入って良い場所ではないっ。
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リュネットをきつい目つきで睨みつけたあと、頬を膨らませる絵の中の少女。
若干赤くなっているところを見ると、リュネットの美しさにちょっぴり嫉妬しているようにも見える。
■ミァ To:絵画?
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またさっぱりラララーな言葉…?
でも頭の中で翻訳こんにゃく……って、いや、じゃなくて、絵がしゃべってるでスーー!?Σ( ̄□ ̄;
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ががーんと驚いたあと、はっ…と気づいて扉に向かう。
そして開いている扉の向こうに回り、トントンと控えめにノック。
■ミァ To:絵画?
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|・) …えーと、これでよいでスカー?
秘儀!後付ノックでスー(^▽^)
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ノックの意味が無い。
■絵画の少女 To:ミァ
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(未知なる言語)
こ……この、愚か者がーーーーっ!!
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動いているのは口(と表情)だけなのだが、声だけは元気いっぱいだった。
■ミァ To:絵画乙女
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ええええっ!!!
ミーはこんなに、誠心せーい、心掛けを見せたですのニー!(>△<)
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■絵画の少女 To:ミァ>リュネット
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(未知なる言語)
それのどこが誠意かっ。
わらわはおぬしらの名を聞いておる。とっとと名乗るが良い。
館の主であるこのアストーカシャをなめるでないぞ? わらわに魔法を使わせたらこわいモノなしなのじゃ。さっさと名乗れ。吐け。
そこのすかした女もじゃ!
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相変わらずポーズや背景に変化は無いが、表情はかなり不機嫌そうにむくれていた。
そして、リュントの正体にはまったく気づいていないようだ。
■ミァ
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む、むう。怒らせる気は無かったんですケドー。
って、館の主? 絵の中から魔法ばびゅーんっ??
…意外と凄い部屋に入っちゃった感じですカネー、ミーたち。
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などと言いつつ、頭では(燃やしたり、破いたりしたらどうなるんですかネー)とか不穏なことを考えていたのは秘密だ。
■絵画の少女 To:ミァ&リュネット
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(未知なる言語)
何をぶつぶつ言っておる。わらわが館の主であることを知らんと言うのか。
おぬしらは一体何者じゃ?
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■リュネット To:アストーカシャ?
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あなたはアストーカシャと言うの?
わたくしはリュネットよ、覚えておきなさいね。
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声が低いのは忘れてください(笑)
今はおっとり貴婦人です(笑)
■ミァ To:絵画あすとー
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ミーはぐららんである。名前はまだ無い…なんてことはなく、ミァというのでスヨー(・▽・)ノ
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■絵画の少女 To:ミァ&リュネット
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(未知なる言語)
りゅねっとにみぁ……ふん。よくわからんが……アバランの新しい仲間ではないのか。
……まさか、わらわの魔法研究の成果である財宝を狙っていずこかから忍び込んできたというのではあるまいな。
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ぺらぺらと、よくしゃべる絵画。
■リュネット To:アストーカシャ
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魔法研究?
わたくしのようは上流階級に生まれた者にとって、その魔法研究とやらがどんなものかすら分からないのですが?
ましてや、わたくしたちを盗賊呼ばわりするなんて(微笑)
素敵なお嫁さんになれなくてよ?
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あくまで女性としての会話です。
■絵画のアストーカシャ To:リュネット
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(未知なる言語)
何が上流階級じゃ。薄汚れたマントを纏い、足元は硬そうなブーツじゃ。
おまけに長槍を背負っておる。おぬしらは蛮族の者に間違いあるまい。
び、びじんだからといって、服装に気を使わぬのは感心せんぞ。
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妙に悔しそうに。
■ミァ To:独り言
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なんだか微妙にかあいい気もしてきましター、あすとーっち(=▽=)
(しっかし不思議絵画の眼力でもリューちゃんのほんとの姿は暴けないんでスネー。
・・・・・・・おそるべし、女装リューちゃんっ)
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■リュネット To:アストーカシャ
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上流階級と言えど、未知なる場所の探索は貴族の嗜みですよ。
その経験を積んでいるからこそ、このような装備が必要となるもの。
あなたは全く嗜みの分からない方なのかしら?
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■ミァ To:リュント
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りゅ、リューちゃんがいろんな意味で怖い…!(T△T)
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■リュネット To:ミァ
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ミァさん?
どうかなさいまして?
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アストーカシャには見えないように目で黙って俺について来いのサイン
ミァはがくがく震えている!
■絵画のアストーカシャ To:リュネット
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(未知なる言語)
な、何を申すかっ。おぬしのような無礼者に、嗜みがどうのと言われとうないっ。
それに……本当に上流階級の……権力を持つような者であれば、わらわの敵じゃ。
むやみにこの森を探索し、荒らすのならなおさら……
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何かを思い出すような表情で、悔しげに唇を噛んでいる。
■ミァ To:絵画あすとー
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んに? あすとーっちは、森が大事さん?
別にミーたちは荒らしてなんていないですヨー。
むしろ森とるんたったお友達ー?(・▽<)
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■絵画のアストーカシャ To:ミァ&リュネット
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(未知なる言語)
……お友達?……本当か?
……。
しかし……魔法装置の正体を知らぬと言うことは、おぬしらはアバランの仲間ではないな。
ならばあの老婆の仲間か? わらわたちに仇為し、魔法装置を止めようと企む邪悪な魔法使いじゃ。
間抜けなことに氷漬けになっておるがの。
おぬしらのその武装……彼奴を取り戻すために来た、と考えれば説明がつくな。
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じろり、とふたりを睨みつける──相変わらず動いているのは、表情だけだったが。
■リュネット To:アストーカシャ
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確かにアバランとか申すものの仲間ではありませんね(微笑)
その老婆とやらは何をやらかそうとしていらっしゃるの?
あなたがどうしてもと言うのなら、協力して上げてもよくってよ?
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット
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(未知なる言語)
アバランは、わらわの夢を叶えてくれると約束してくれた。
この森を、マナの力に溺れ思い上がった魔術師どもから守るため……
動物たちと虫たち、そして自然のままのこの森を守るためにわらわが作った、大事な魔法装置を引き継いでくれると言ってくれたのじゃ。
わらわは、もうとうの昔に死んで、「意識」だけの存在……
思いだけが「ここ」に残っておる。
アバランは、そんな哀れなわらわの夢を叶えてくれると言った……
森に住むピクシー達や、スノードラゴンとも協力し、権力を振りかざす人間たちの手の届かない、永遠の国を作ってくれると……
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「アバラン」の名を出す時のアストーカシャは、こころなしかほんのりと頬が桜色に染まっているようにも見えた──おそらくピンク色の顔料がもりもりと動いているのだろうが。
■ミァ To:絵画あすとー
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ほっほう。
あすとーっち、アバランにらぶらぶきゅーん?
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ほんのりピンクは逃さない。
■絵画のアストーカシャ To:ミァ
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(未知なる言語)
な、何を申すかっ。わらわをからかうでない、無礼者っ。
わらわが生きておったら、「らいとにんぐ・ばいんど」の刑に処すところじゃぞっ。
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顔がどんどん真っ赤に……つまりピンク色の顔料がどんどん盛り盛りになっていく。
■リュネット To:アストーカシャ
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そんなに興奮すると肯定しているようなものですよ?
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あくまで口調はおっとり貴婦人
■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
うるさいっ。
……は、話を続けるぞ。それで……そう言っていた矢先に……
氷漬けの老婆を持ち帰ったアバランは言った。
「この老婆は俺の邪魔を企んでいる」と。
わらわは良く知らぬが、アバランがそう言うなら、わらわの敵なのじゃ。
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■リュネット To:アストーカシャ
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そのアバランさんの敵だからと言って疑いなく敵と思い込むのは浅はかと言うものではないですか?
そもそも、アバランさんの言葉だけで信用なさったの?
その考えなら、ピクシー達やスノードラゴン達の味方だったら、貴方の仲間と考えるべきなのよね?
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
そうじゃ。アバランがそう言ったからわらわは信用したのじゃ。(きっぱり)
か、彼……が間違ったことを言うはずがなかろう?
当然、ピクシーたちやスノードラゴンも、仲間じゃ。アバランも定期的にピクシーの村を訪問して、交流を深めていると言っておった。
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■リュネット To:アストーカシャ
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交流を深めている?
そのアバランさんがおっしゃっていたの?
誰と交流を深めたのかしら〜?
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深刻に悩む素振り
■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
当然、ピクシーたちとじゃろう?
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■リュネット To:アストーカシャ
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当然そうよね〜〜?
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またまた深刻に悩みこむ素振りだけ
■ミァ To:絵画あすとー
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ん〜〜〜に〜〜〜〜(ーxー)考
…なりほど、この地には権力かざす輩がいるんでスカー?
ミーはあいにくまだお目にかかったことが無いんですけドーゥ。
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
奴らは、今は祖国に撤退しておる。
あの忌々しい「ローダリオンの樹」とかいう魔法装置を勝手に設置して、の……。
立派な大樹に見せかける「幻覚」で誤摩化しておるが、あれは精霊の力をねじ曲げ、気候をコントロールするために魔術師どもが作った「魔法の塔」じゃ。
永遠の冬に守られ、スノードラゴンをはじめとする冬の森の動物たちの営みを破壊するものじゃ……そうまでして、人間の国を広げたいと奴らは思っているのじゃ。
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「森の友だち」と言ったミァに心を許したのだろうか?
まるで誰かに聞いて欲しかったとでもいうように、早口でまくしたてるアストーカシャ。
■ミァ To:絵画あすとー
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なるなる。あのローダリオン樹にはそんなひ・み・つが隠されていたんでスネー。
その「幻覚」って、対抗する手段は無いんですカー?
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
「幻覚」は、「塔」を「樹」に見せるためのものじゃ。
幻覚を見破っても、「実は塔である」ことがわかるだけじゃ。
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■ミァ To:絵画あすとー
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ほうほう、成る程なりほど。
あと魔法装置ってゆーのは、どんなものなんでスー?
森を守るそんなすっごいもの作っちゃうなんて、あんたさんは腕スゴ魔術師?だったんでスネー。
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
わらわの作った魔法装置のことか?
……いずれ攻めてくるであろう奴らに対抗するため、動物たちと結託して戦うためのものじゃ。
自然の営みに没頭する野生生物は、知略に勝る人間たちの侵略には耐えられぬ。
じゃから、一時的にでもわらわがコントロールして「軍」として戦えるように、知力の低い動物や虫たちを操れる装置を作ったのじゃ。
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むっと不機嫌になるが黙っている。
そんなミァの心情には気付いていない様子で、アストーカシャの目は、ちらりと音楽を奏で続ける小箱を示した。
■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
あれはプロトタイプ……完成品は地下に置いてある。
今は、アバランにコントロールデバイスを渡してあるがの。
さぁ、これでわかったであろう。わらわたちと共に森で暮らし、戦うなら歓迎するぞ?
そなたたちも「森の守り人」たる心優しいアバランの部下となるがよいぞ。
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■ミァ To:絵画あすとー
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…だからこの音楽、呪歌的な感じがしたんでスネー。
そのコントロールデバイスってどんなカタチなんでスカー?
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
ペンダントの形をしている。アバランがいつも身につけているはずじゃ。
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■ミァ To:絵画あすとー
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あー、あれがでスカー。
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■リュネット To:アストーカシャ
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そもそもの疑問を口にしてもいいかしら?
自然を愛すると言っている者が、一時的にコントロールするって言う事もやはり不自然な事だとは思わない?
自然と言うのは何者にも束縛されないと言う意味もあるとは思うのだけれども?
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■ミァ To:絵画あすとー
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ミーもそう思いますヨー。
彼らが自ら望んだなのならともかく、そーじゃなかったら、操るのはやっぱ微妙でスー。
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット&ミァ
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(未知なる言語)
……その疑問は、もう何年も前から抱いてきたことじゃ……
しかし、目の前で森が滅ぼされて行くのをわかっていて、何もせず、流れに身を任せるなど、わらわにはできなかった。
それが思い上がりだと言われてしまえば、それまでじゃ。
わらわは、力と物量にものを言わせて森をつぶし、支配しようとする奴らに対抗したかった……弱い者でも結束すれば未来を変えられることを見せたかったんじゃ。
死んでしまった今となっては、それもまた、夢……じゃがの。
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■リュネット To:アストーカシャ
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力と物量に対して同じように対抗していったら、同じことの繰り返しになるって事は………(タメ)
ご存知よね?魔法を使えるんだったら知識も兼ね備えている方だと思いますけど?
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■絵画のアストーカシャ To:リュネット
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(未知なる言語)
それは正論……じゃな。ならば……おぬしは黙って見ているが良い。
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すうっと絵画の動きが鈍る。アストーカシャの気配が今にも消えそうになっていた。
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