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SW-PBM Scenario#158
銀のしおり

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森の中の静寂

〜 1 〜


  ピクシー村

雪は、まだ降り続いている。
刃と魔法が打ち合う音が消え、次第に白く染まりつつある森に静寂が訪れた。
足跡ができるくらいに積もった雪が、動かなくなった蜘蛛たちを覆い尽くしていく。
■アバラン To:禿鷲くん&蜘蛛りん
(下位古代語)
ごくろーさん。家にお帰り。

アバランが胸元に手のひらを当て低くつぶやくと、生き残った禿鷲と蜘蛛たちは冒険者たちから距離をとった。
禿鷲は高く空へ舞い上がり、西の方角へと飛び去っていく。
蜘蛛たちは三々五々、散り散りになって森の中へと消えていった。

ピクシーたちは、それでもまだ不安げな様子で、倒れている赤毛ピクシーのそばに身を寄せ合うようにして集まっていた。
■アバラン To:ALL>リナリア=リシィア
ま〜そういうわけだから、とりあえずリラックスしなよ〜?

リナリア、早く俺様の傷を治せ。結構痛ぇ!!

■リナリア=リシィア To:アバラン
(神聖語)
……慈悲深き大地母神マーファよ、この者に癒しを……。

アバランがこっそりリナリアに耳打ちすると、彼女は頷きもせずに空に手をかざす。
リュントがアバランに負わせた傷が、みるみるうちに回復していった。
初めてはっきりと聞くリナリアの声は、アリスにとって忘れようも無い、聞き慣れた優しい姉の声だった。
■ミァ To:独り言
ちぇー。治っちゃったでスー。

■アバラン To:ALL
……さて。それじゃ静かになったところで、もうひとつの要求って奴を聞いてもらおうかな。
そこにいるクソ婆ぁをこっちに引き渡してもらおうか。

足元に落ちている銀の魔剣を拾い上げたあと、アバランはきょとんとしているユズリハを顎で示して言った。
■ヒノキ To:アバラン
引き渡す……たってなぁ。
それはこのばーさんの意思が決めることであって、私らがどうこう言えるものじゃねぇんだけど。

……理由と、もし従ったらばーさんがどうなるのかくらいは聞けるのか?
その方がばーさんがどうすっか判断する基準にもなるだろ。

■アバラン To:ヒノキ
要するに、俺様がそいつを連れ出すのを、指くわえて黙って見てろってことなんだけどね〜? 自分の無力さを噛みしめながら。
っていうか、今にも枯れちまいそうなクソ婆ぁのために、ずいぶん親切なんだね?

■ヒノキ To:アバラン
自分の無力さを噛み締めたくねぇから、出来る限りをしておきたいんだよ。
黙って連れてかせてヒデェ目にでも遭われたら寝覚めも悪いしな。

■アバラン To:ヒノキ
ああ、それは確かに悪くなるかもね〜?
思いっきり「ヒデェ目」に合わせるつもりだしね?

何が楽しいのか、アバランはにやにやしている。
■ヒノキ To:アバラン
……今度テメェに会ったら、そのニヤケ顔が出来なくなるくらいまでぶん殴ってやる。
覚悟しとけよ。

■アバラン To:ヒノキ
……その時は……気がすむまで殴らせてやろう。
…………
……
当たればね〜?

■リュント To:アバラン
もうひとつって事はこれで要求する事はおしまいか?
ぽろぽろ小出しにすんじゃねえぞ?

■アバラン To:リュント
そんな小悪党っぽい真似はしないよ〜ん。
俺様の要求はただひとつだからな。

魔剣を背中に担ぐように持ち直し、肩の筋肉を伸ばすような動きをしつつ、どうでもよさそうな口調で答える。
■リュント
どう見ても小悪党のする事じゃねえか………

■ミァ
てゆーか口調が既に小悪党っぽいですよネー……

■アバラン To:ALL
どこかから負け惜しみが聞こえたような気がするけど、まぁ話を続けようかな〜?

この山の山頂付近に、スノードラゴンって化け物がいてさ?
クソ婆ぁをそいつの餌にしてやるのさ。
奴は人間の肉が大好物! 昼のおやつにもぎたて頭、夜のメインはしたたる心臓!
まぁ雑食だから何でも食べるんだけど〜?
今のうちに餌付けしておけば、奴と仲良くなれそうなんだよ〜ん。
俺様としちゃ、クソ婆ぁにこれ以上ない残酷な死に方と耐え難い屈辱をセットでプレゼントできて、お手軽あーんどお得感いっぱいなわけだ!

■ヒノキ
……スノードラゴン、ねぇ。

アバランには気付かれないように、そっとマントの内側にあるバッグに手を添える。
■毛玉 To:ひのき
〜…。

バッグの中で力なく丸くなりながら、綿をはむはむしているのが伝わってくる。
どうやら鳴く元気も無いくらいに腹が減っているようだ。
■ユズリハ To:ALL
はて、わらわにはこんなに歳を食った孫がおったかのぅ。

ユズリハは、変身したことでのびてしまったよれよれのローブをたぐり寄せながら、小首をかしげている。
■リュント To:アバラン
それは別にこのばーさんじゃなくてもいいんじゃねえのか?
人間なら誰でもいいんだろう?
なぜ、このばーさんに拘る?

■ヒノキ To:リュント&アバラン
だよなぁ。私もそれが気になる。
まぁ、好物が人間だっていう物騒な話は置いておいて。
こんな筋張って脂の少ない、肉も硬そうな年寄りで喜ぶもんなのか? そのドラゴン様は。
こっちのオッサンの方が肉もあるし、身が締まってて良いんじゃねぇ?

さり気なくリュントを身代わりに差し出してみる。
■アバラン To:ヒノキ&リュント
はははは! リュント!……とか言ったか? 筋肉野郎。
ずいぶん仲間から信頼されてるみたいじゃないか? 良かったな!

体をのけぞらせて大笑いしている。
■アバラン To:リュント&ALL
そりゃあもちろん、そいつでなきゃいけない理由があるからさ。
俺様はかつて、そのクソ婆ぁに、耐え難い屈辱を味合わせられた。
もっとも、クソ婆ぁは今となっちゃ、何も覚えちゃいないだろうが……
ま、この際そんなことはどうだっていい。
俺様はただ、クソ婆ぁが苦しんで死んでいく様をこの目で見届けたいだけだ……
もちろん、さんざん精神的に苦しめたあとでな。

■ミァ To:アバラン
こんなばーちゃんが、あんたさんみたいな強力尊大精霊使いに屈辱なんて味合わさせられるものなんでスー?
そりとも覚えてないってことは、ばーちゃんがもっと若いころの話だったんですかネー?
……あり? そーするとあんたさんもしかしてめっちゃ若作り☆って話にもなるんですけドーーゥ(ー△ー)

■アバラン To:ミァ
あ〜確かに実際より若く見られるね〜?
誰かさんもそんな感じだったと思うが……まぁどうでもいいか。

■リュント To:アバラン
誰かさんって俺か?
俺はそんなに見た目が若く見えるか?

■アバラン To:リュント
若いって言うか〜、子供だろ? お前。

■リュント To:アバラン
ま〜な!
精神年齢は乳幼児並みってよく言われるよ(笑)

■アバラン To:リュント
認めやがった……

■ミァ To:リュント
リューちゃん、それ認めていーんでスカー?(・▽・;)

■リュント To:ミァ
なんかまずかったか?
どう考えても間違ってないだろう?

■ヒノキ To:リュント
自覚してるなら、改善する努力をしろよ……。

ぼそっと。
■ユズリハ To:アバラン
それにしても物騒なことを言うの〜。こんなか弱いキュートなおばあちゃん☆を捕まえてボコる宣言とは。そんなやんちゃっ子にはおしりペンペンじゃぞう。

アバランにお尻を向けて、おしりペンペンのポーズをとってみせる。
しかしアバランは見向きもしなかった――意図的に無視しているようにも見えたが。
■ヒノキ To:ユズリハ
ばーさん……余裕たっぷりじゃねぇか……(-_-#)

庇うのが馬鹿らしくなったらしぃ。
■ユズリハ To:ヒノキ
おおぅ。そんな額に青筋など立てておっては、きれいな顔が台無しじゃ。
嫁のもらい手が無くなってしまうぞよ。

ふいにヒノキの頭に手を伸ばし、なだめるように頭を撫でた。
■ヒノキ To:ユズリハ
……ふん。
ばーさん。簡単に諦めんじゃねぇぞ。
神様のくれる機会ってのは、最後まで足掻く奴にしか掴めねぇんだからな。

■ユズリハ To:ヒノキ
わらわに祈る神があるならば、おのれの生きてきた人生の記憶を失った老婆よりも、未来ある若者に手を差し伸べるように祈るであろうよ。

ヒノキにだけ聞こえる声でささやくその顔は、子どものように無垢にも見え、また同時に──蛇のように老獪にも見えた。
■ユズリハ To:ALL
……まぁ、わらわとて死ぬのは怖い。まだまだやりたいこともあるしの。老いらくの恋とか。
しかしこの萎びた体一つでこの状況が収まるのであれば、老い先短い人生の集結としては本望じゃよ。
屈辱的な目に遭わせた……そんな記憶は全く無いがの、アバランという名になんとな〜く聞き覚えはある。じゃから、無関係でも無いのじゃろう。

そこでリュントのほうをちらりと見た……ような気がした。
■リュント To:ユズリハ
な・なんだ!?
ばーさんは俺と恋をしたいのか!?

■ミァ To:リュント
リューちゃん……(=▽=)b゛

ナイスボケっぷりに思わず、ぐっじょぶ! と親指を立てる。
親指を立て返す(笑)
■ユズリハ To:リュント
おおぅ。わらわがせめてもう20年若ければ、たっぷりと相手をしてやるんじゃがの〜。
まぁ今からでも構わんがの?

本気か冗談かわからない表情で。
■リュント To:ユズリハ
俺としての気持ちを言わせて頂けるなら、御免被る。
俺にはちゃんと想い人がいるんだ!

ユズリハは小声の部分が聞こえたのかスルーしているのか、ただにこにこしているだけだった。
■ヒノキ To:アバラン
んで? ばーさんを引き渡したとして、私らはどうなる?
それから、ピクシーたちとこの村だ。
二度と手を出さないってぇ約束でもしてくれんのか?

■アバラン To:ヒノキ&ALL
お前たちは約束通り見逃してあげるよ〜?
っていうか戦力的に問題にならないし、むしろ放置プレイ? みたいな?

どうでも良さそうに言いながら、大げさに肩をすくめる。
■アバラン To:ALL>ぴくしーず
羽虫どもはなぁ……俺様はこの村自体が嫌いなんだよ。特に桃の木がな。
だからわざわざ刈り取りに来てやってるだけなのに、この子たち反抗的だからさ〜?
言うなれば俺様の「氷の嵐」にピクシーたちが勝手に巻き込まれてる? みたいな?
どっか別の場所に引っ越しちゃえば良いと思うんだけどね〜?
(精霊語)
いいかげん桃を育てるのをやめて、どっか行っちゃえば?

■コラレット To:アバラン
(精霊語)
桃の実がなるの、ここだけだもん……あたしたち、食べ物なくて死んじゃう……。

コラレットは悔しさと悲しさで泣き出しそうになりながら言った。
■アバラン To:コラレット
あっそ。じゃあまた、おぞましい桃の実がなるころに刈り取りに来るしかないかな〜?

■ヒノキ To:アバラン
随分と桃の木に拘るんだな。
……ひょっとしてお前、好き嫌いの激しいお子様みたいな奴か?

■アバラン To:ヒノキ
……生理的に受け付けないんだよ。
ああ嫌いさ。甘いものは嫌いなんだよ。文句あるか。

急に苛々したかのように、低い声になって言い放つ。
■ミァ To:アバラン
ある!!あんなにおいしーものを嫌い!!?
なんて罰当たりなでスヨー!(びしっ)
他人様の好き嫌いでおいしいおいしい桃のなる木が刈られてはたまらないのでスー!!

相手の不機嫌なんのその、仁王立ちで言い切った。
■アバラン To:ミァ
はっはっは。そんなに背伸びしてもちぴっちゃいのは変わんないぜ〜?
そんなに腹が減ってるなら、桃の葉っぱでも囓ってれば〜?

■ミァ To:アバラン
桃の葉っぱは桃の味がしないんでスヨー!(もがー)

■リュント To:アバラン
甘いもんが嫌い〜?
お前の人生も半分楽しめる事が消えたな。

■アバラン To:リュント
うるせぇ!!
そんなおぞましい物体を喜んで喰う奴の気が知れねぇ!

■リュント To:アバラン
おおかた、虫歯にでもなって痛い思いをしたんだろう?(笑)

■アバラン To:ALL
(無視)……さて、それじゃあ文句のある奴はいないんだね?
疑問反論がなければクソ婆ぁをいただいて退散するとしようか。

アバランがユズリハに向かってちょいちょいと指で手招いた。
ユズリハは平常心を宿したような穏やかな顔つきで、一歩ずつアバランに近づいていく。
■ジン To:アバラン
ちょっと待ってくれないか?

今まで黙って事の成り行きを見ていたジンが、一歩踏み出して口をひらく。
ここで鎧像の事を聞くのは容易い。
しかしこの状況では、アバランが有力情報を持っていても簡単には渡してくれまい。
「手持ちのカードなしでは商談はできんさ」
誰にも聞こえない声でジンはそうつぶやいた。
■アバラン To:ジン
ん〜? 何だい? 優しい俺様は少しだけこのまま待っていてあげようか。

ユズリハに向かってかざそうとしていた右手を、宙で止めた。
■ジン To:アバラン
1つ提案があるのだがよいかな?
俺たちは敵対する必要などないのではないか?
成り行き上、君たちを攻撃したことになってしまったが、今回の戦いの勝敗は、我々の目的とは全く関係が無い。
寧ろ、君たちに協力した方が、本来の目的を果たせそうな気がするね。
どうだろう、君たちの旅に同行させてもらえないだろうか?

■リナリア=リシィア To:ジン
……。

■アバラン To:ジン
おおっと。これは意外な提案だ。でもリナリアは、怒ってるみたいだけど〜?
魔法の闇がよっぽど嫌だったんじゃないかな?

協力してくれるんなら、俺様のかわりにそのクソ婆ぁ、今すぐここで惨殺してくれるかい?
まぁでも、お前たちの実力じゃ十中八九敵わないと思うけどね。

さも愉快そうな表情で、リナリアの頭を撫でている。
■ジン To:リナリア
それはすまなかった、美しいお嬢さん。
しかし仕方のないことだったのだ。
仲間が君に集中砲火を浴びせる気配を感じたのでね。
君を傷付けずに守るには、ああして闇で隠すしかなかったのだよ。

背筋の凍るような優しい笑顔を浮かべた後、恭しく頭を垂れるジン
■リナリア=リシィア To:ジン
……。

■アバラン To:ジン
うおっ。俺様いま、歯が浮いちゃったよ。
それにしても女心のひだってヤツをわかってないね〜?
ほら、彼女、さらに不機嫌になっちゃったみたいだよ?

■ジン To:リナリア
いや、本気と取られても困る。
ふむ。「冗談」とは難しいものだな・・・

さして困った風でもなく「困った」というジン。
■ジン To:アバラン
ばーさんが、我々の実力じゃ敵わないのか。
ならば惨殺することは無理じゃないかね?
それにしても復讐相手を殺してしまうなどとは・・・人間とは不思議な生き物だな。
生き続ける方が苦痛に満ちているというのに。

■アバラン To:ジン
お前、なかなか面白い奴だね?
でもさ〜放っておいたってそのうち老衰でぽっくり逝っちゃうだろう〜?
そんな安らかな死に方はさせてやらないんだよ〜ん。
っていうかそんなに生きるのが辛いなら、今すぐお前だけ逝かせてあげよっか? ん?

■ジン To:アバラン
君は相当育ちがいいようだな。
ただ生き続けるのが苦痛だと本気で思っているのか?
なんなら教えてやってもいいぜ。
やれば「頼むから殺してくれ」と懇願される、その方法を。

■アバラン To:ジン
お前の胸の中だけにしまっとけば〜? 育ちの悪いエルフ君。

■ミァ To:アバラン
んに? そーですヨー。疑問でスヨー。
そんなにばーちゃん強いんでスー??
今はよぼよぼのくまくまなのに。

■アバラン To:ミァ
今はね? そのうち思い出されても困るしな。
まぁ適わないながらもお前たちが殺し合うのを見るのも一興かと思ったんだけどね〜?
時間の無駄だから却下したんだよ〜ん。

■ヒノキ
(私らが……【殺し合う】?)

アバランに殺される、のではないその言い回しに疑問が芽生える……。
が、今は顔には出さずにおく。
■ミァ To:アバラン
ふーん?
そりならもしかすると、そのうちばーちゃんが「マジカルゆずりは覚・醒☆」とかってすっごくなっちゃうかもしれないんでスネー。
見てみたかったのでスーゥ。

■リュント To:アバラン
このばーざんが御伽噺に出てくるスノードラゴンだったら話は別だけどな(笑)

■アバラン To:リュント
それは無い。

■リュント To:アバラン
ふつーに答えんな!
わかんね〜だろ!!
これから、ばーさんがギャースとか言って変身しても知らないぞ!

■アバラン To:リュント
……発想が…………子供(ガキ)だ…………。

めまいを覚えたらしく、額に手を当てて首を振る。
■リュント To:アバラン
発想が奇抜だと言ってくれ(笑)

■アール To:リュント
ばーさんが「ドラゴン」ねぇ。
それならいっそ「想い人」とやらにでもなってもらえばいいじゃないか。

リュントのつっこみに飽きてきたようだ。
■ユズリハ To:リュント&アール
わらわはそれでも構わんがの。

■リュント To:アール&ユズリハ
それもご免蒙る。



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