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SW-PBM Scenario#158
銀のしおり

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失われた記憶



  大樹の下

翌朝。
オランの街に日が昇り、銀の網亭の鎧戸の隙間から朝日が差し込んでくる。
冒険者たちは「七風」に会うために、夜明けと同時に目を覚まし、
呼び出されている「七風亭」にさっそうと向かう……はずだった。
■女の子の声 To:ALL
(フェアリー語)
……ria,vmoiub,aih nmxb……?
pq,buxm,buxm,buxm.
(ねぇ、ちょっと、もしも〜し? 生きてる?
 えい、つんつんつん。)

■ヒノキ
……ん……んぅ……?
……痛て、て……突付くな、こら、毛玉……。

寝惚けてる。
くちばしでつんつんされてるものだと思ったらしぃ。
■アリス
んん……あと5分〜……。
……あれぇ、ここ……ドコ?

■リュント
俺は酔いつぶれてなんかいないぞ〜(ゴニョゴニョ)
んあ〜〜?
どこだ?ここは??

■ミァ
んにに〜。目覚めのこぉるだったら、おいしー朝ごはんの匂いの方がばっちり目がさめ…(/x=)……(=x=)……Σ(=△=)?

冒険者たちは、鼻先を針のようなものでちくちくされる感覚で目を覚ました。
目の前には、背中に昆虫類を思わせる羽根を持った女の子の姿がふわふわと宙を飛んでいた。
体の大きさはわずか30センチほどで、エルフに似た姿形をしている。
■ジン
ピクシーか。めずらしいな・・・ん!?

■女の子の声 To:ALL
(フェアリー語)
ljz〜! vmlv,vmlv. iaral knjlbf ani!
(お〜! 生きてる生きてる! 死体じゃなかったんだ!)

小さな女の子は、目を覚ました冒険者たちを見て歓声を上げた。
■アリス To:ピクシーの人(フェアリー語)
生きてるよぉ。
でも、あれ〜? これって……夢……?

反射的に、最近勉強していたフェアリー語で言葉を返す。
■ピクシー To:アリス
(フェアリー語)
あ。話せる! 変わった子!
夢じゃないわよぉ。ほらほら、痛いでしょ?
夢の中って、痛くないって知ってる?
えいえい。

言葉が通じるのが嬉しかったのか、調子に乗ってアリスの首筋を針のようなダガーでつんつんしてくる。
痛いというより、くすぐったい。
■アリス To:ピクシーの人(フェアリー語)
うん、夢じゃないみたいだね。
痛くないけどくすぐったい……。

■リュント To:アリス
こいつは何を言ってんだ?

■ミァ To:アリス
ほええー? アリスっちはピクシーとしゃべれるでスカー?
てゆーか…何がどーなってるんでスー?!(@△@)

■アリス To:リュント&ミァ
えーとね、みんな生きてて良かったって。
それと、これは夢じゃないよって言ってるみたい。

物凄く意訳だった。
■ミァ To:アリス
生きて? そりに、夢ゆめドリーム??
てゆーかここは……

あたりを見回すと、そこは銀の網亭の個室とはほど遠い風景が広がっていた。

広い広い草原。
彼らが倒れていたすぐそばには、みごとな枝振りの巨大な樹が一本、冒険者たちを見下ろしており、木漏れ日がきらきらと降り注いでいる。
気持ちの良いそよ風が頬を撫で、辺りに咲き乱れている花々を揺らしている。

抜けるような青空と、ゆっくりと風下に流れて行く白い雲。
そして、どこまでも続いている花のじゅうたんの遥か向こうには、白い帽子を被った雪山が連なっているのが見えた。
しかし、不思議とこの場所は寒くはないのだった。
■毛玉 To:ひのき
ぴっ。

毛玉が不安げにバッグの中から鳴き声を上げている。
タークスは、いつも通りジンのそばにしっかりと寄り添っている。
仲間たちも全員揃っている。体調にも装備にも異常はない。
ただひとつ異常なのは、銀の網亭で眠りについてから、この場所──見知らぬ美しい風景の中で──目覚めるまでの記憶が、まったくないことだった。
■ヒノキ To:毛玉
ん〜……あぁ、だいじょぶだ。
お前は? ちゃんと寝られたか?

バッグに手を突っ込んで、柔らかな体毛を軽く撫でてやる。
■毛玉 To:ひのき
きゅ〜。

安心したのか、目を細めてすりすりとすり寄ってくる。
……なんだか一回り大きく丈夫になったような感覚があった。
そしてふわふわもこもこっぷりはさらに強化されていた。
■ヒノキ To:毛玉
……なんかでかくなってるよーな。
一晩でこんな成長するもんなのか?

バッグから毛玉を引っ張り出して、両の目でしっかりと確認。
毛玉は小首を傾げつつ、あたりをきょろきょろしている。
その体は間違いなく、ほんの少しだけ育っているようだ。
■ヒノキ To:毛玉
確かにでかくなってる……けど……。
理由も分からんし、考えてても仕方ねぇから、とりあえず後回し。
……それより……。

毛玉を再びバッグに戻し。
ようやく自分の置かれた状況に違和感を感じて、ふと視線を辺りに巡らせた。
■ヒノキ
………………。
どこだ? ここ。

■アリス To:ALL
えっと……昨日の夜は、今日の夜明けに七風亭へ行くって事を確認してから寝ただけ……だよね?
どうして、こんな所に寝てるんだろ(a_a)?
あっちの山は、ヤスガルン山脈かなぁ〜?

■ミァ To:アリス
そうなんでスカー? じゃあいちおーどっかの場所?
でもミーも、おふとんでぐっすり寝た記憶しかないでスヨー。
なんでこーーんな、長旅したっぽく疲れて今此処にいるんでショー(ーxー)?

■ピクシー(コラレット) To:ALL
(フェアリー語)
ねねね、やっぱりキミたちも、何も覚えてないの?
名前くらいは覚えてる? どこから来たの? ねねね?
あ、あたしね、コラレット。よろしくね!

何やら期待感いっぱいな笑顔で、空中をせわしなく飛び回りながらそう名乗った。
■アリス To:コラレット(フェアリー語)
ボクはアリスだよっ☆
ん〜と、何も覚えてないって事は無いけど、こんなとこまでいつのまに来たのかはわかんない。
みんなにも、通訳するね〜?

同時通訳を開始する。そのまま意図が伝わるように、直訳する事にしたようだ。
■ミァ To:通訳アリス
んにに! さんきぅアリスっちー♪

■ヒノキ To:羽虫(ピクシー)
名前……は、覚えてる。ヒノキ。
こいつは……まだ名付けてもなかったな。とりあえず毛玉って呼んでた。
オランの銀の網亭で眠って、朝一で仕事の話をするために出かけるはず……だった。

尋ねられたからという訳でもないだうが、まず状況を把握するために一つ一つ自分の記憶を確かめていく。
……その作業の途中で、ピクシーの口から出た言葉に引っ掛かるものを覚えた。
■ヒノキ To:羽虫(ピクシー)
おい、羽虫。ちょっと待て。
お前、今ナンて言った? キミたち……【も】

■コラレット To:ヒノキ
(フェアリー語)
ちょっと! 何よ羽虫って! コラレットさんだって名乗ったでしょ!?
レディに対して、失礼しちゃう! もう、助けてなんてあげないんだから!

コラレットはぷうっと頬を膨らませて、真っ赤になって怒ると、次の瞬間風に紛れるようにしてふわっと姿を消してしまった。
■ヒノキ To:コラレットさん
うわわわわ!?
スンマセン、悪かった謝りますコラレットさん
いや、コラレットの姐御

さすがに現状唯一の情報提供者を怒らせたのはマズイと悟ったか、慌てて謝罪。
■リュント To:コンレット
そこで姿を消してないで早く出てこいよ。
俺はお前がピクシーだって分かったぞ(笑)

■コラレット(透明化) To:ヒノキ&リュント
………。

精霊使いには、「スプライト」の精霊力が働いていることがわかるだろう。
確かにそこにいるはずだが、黙殺している。というより、しゃべってしまうと姿が現れてしまうので、我慢しているらしい。
■ジン To:コンレット
まあ、機嫌を直して出てきてくれないか。
察しの通り、俺達は記憶を失っているようだ。
願わくば、君に助けを乞いたい。
俺達は大陸東方の大都市、オランから来た。
まずは、ここがどこで、君のほかに誰かいないか。
「キミたちも、何も覚えてない」ということは、ここではよくあることなのか?

■コラレット(透明化) To:ジン
………(うずうず)…。

■ミァ To:リュント&ジン
取り成す気なら、ちゃんと名前呼んであげなきゃ駄目ですヨー、男性陣ってば(=▽=)
コンレットじゃなくてコラレっちーでスヨー♪

指摘しつつも、自分は既にアレンジ済みだった。
■ジン To:ミァ
ん?なんか変だったか?

すっとぼけて涼しい顔w
■リュント To:コラレっちー
コラレっちー!
ちゃんと名前で呼んでんだから出てきやがれ(笑)

アレンジを分かっていない(笑)
■コラレット To:ミァ&リュント
(フェアリー語)
ちょっと! 何なのよコラレっちーって!
どうせ呼ぶならもっと可愛い……あ。

諸手を挙げて抗議するピクシーの姿が、ふたたび現れた。
■リュント
あ………
出てきた(笑)

■ヒノキ To:コラレット
お、見えた見えた。隠れてただけか。
可愛い名前ねぇ。んじゃ、コラレットだからコリーとかどうだ?

羽虫とか呼んだのはさすがに悪かったかと反省したらしく、愛称を考えてみた。
■コラレット To:ヒノキ
(フェアリー語)
何よ〜! その犬みたいな名前!!
……わ、悪くないけど。
今度羽虫とか呼んだら、もう許さないんだからねっ!

何やら頬を赤らめている。ちょっと嬉しかったらしい。
■ヒノキ To:コラレット
犬は知ってんのか。

どこで見たんだろう、とか思ったり。


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