高級宿・ロビー |
ファラハに言われるままに高級宿のロビーで待っていると、
2時間程経った頃にファラハが戻ってきた。その後ろをメイド姿のメイシアスがちょこちょことついてくる。
■ファラハ To:ALL |
皆さん、今回はお疲れ様でした。 取り敢えず、今後の方針が決まりました。 まず、ドーリィ男爵はオランへ護送されて査問会にかけられます。 おそらく貴族位を剥奪されるでしょう。 そして、アダマス氏は財産没収の上、蟄居となります。 しかし残された鉱山運営の為に、アダマス氏に変わってドマリ氏を 商会長代理とし、バーレイン&チェイス氏の後援の元で運営を行っていく事になりました。 |
ファラハの説明を受けて、宿に合わせてドレスを着飾ったウリディケが埒も無い不安を洩らした。
■ウリディケ To:ファラハ、ALL |
貴族位剥奪ですか……。 当然の量刑とは言え、世を逆恨んで、世界を滅ぼす魔法装置などを探しに行かねば良いのですが。 |
待機している間になにやらしきりに書き付けていた羊皮紙と、孔雀の羽ペンとを手早く片づけていたゾフィーの右眉がぴくりと動いた。
■ゾフィー To:ウリディケ&ALL |
この程度の連中なら、なにを企もうがが恐るるに足らなくてよ。 むしろ、そのくらいの行動をおこしてくれたほうが、どこぞの冒険者が潤うんじゃないかしら。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
ぞ、ゾフィーさんてば、不穏当な事言わないでください〜っ。 |
冷や汗を垂らしながら。
ちなみに白いドレスを着てはいるが、着こなしているというより「着せられている」感が拭えない(笑)
■カロン To:ALL |
俺は前半には同意だね。 まあ、心配ってのわかるけど、ずっと監視出来るわけでもないから。 |
■ウリディケ To:ゾフィー、カロン |
確かに、その通りですね。埒の無い心配でした。 |
■ゾフィー To:ウリディケ |
そこまで卑下されなくてもよろしいのではなくて。 慎重であることは美徳ですから。 |
■ウリディケ To:ゾフィー |
なるほど……。 |
ウリディケは、気恥ずかしそうに頬を紅らめた。
■ゾフィー To:ALL |
しかしまあ、ドーリィは本当にオランの……というより貴族社会全体の恥さらしでしたわね。 派遣地で甘い汁を吸おうとしたということもそうですけれど、こんなずさんな計画を実行した上、暴かれたことがですよ。 陰謀にも、格というものがございますでしょう? アダマス商会長とやらもね、そもそもあんな採掘方法では石が泣くわ……まったく。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
え、えっと、でも、そのおかげで誰も怪我も無く解決できたんですから……。 手に負えない陰謀じゃなかったことを喜びましょう、ね? |
■ウリディケ To:ALL |
手に負えないかどうかはともかく、解決できた事は喜ぶべき事です。 |
■ゾフィー To:ファラハ |
解決といえば、宝石の件ですが、各商会長とも把握しているということですの? 今後の採掘権などはどうなるんでしょうか。 |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
正式にマイレイの産出品として扱うようです。 ちゃんとした研磨士を雇い、ちゃんとした商品として取引する事になります。 売り上げは三つの商会が共同で管理し、それぞれの取り分を取った上で、街の為に使うという事ですね。 おそらく……この街が今より少しだけ潤う事になるでしょう。 |
■カロン To:ファラハ |
それにしても三つの商会で管理なんですか? アダマスの鉱山内で採掘されたからてっきりアダマスの管轄かと。 |
■ファラハ To:カロン&ALL |
アダマス商会が取り潰しになった為、一旦彼の鉱山は街の管轄に戻ったんですよ。 で、元ドマリの管轄だったところをドマリ氏に返還して、残りはバーレイン・チェイス・ドマリの三商会で分割経営となりました。 これが一番どこからも不満の出ない解決方法でしょう。 その代わり、運営に掛かる経費も三等分ですからね。 |
■ゾフィー To:ファラハ&ALL |
研磨士は当然として、腕のいい採掘士も探してくれるとよろしいのですけれども。 くろがねと違って融解させるわけではございませんから、質のいい部分をできるだけ大きく切り出すには、それなりの目が必要でしょうからね。 ま、商会の方々もそれぐらいはご承知と思いましょう。 ドマリのボ……おぼっちゃまも、狸2人によって磨かれることでしょうし。 ……それにしても、鉄景気に沸く鉱山に貴石の鉱脈とはね。 いつまでたっても、世の中平等にはならないものですわね。 |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
悲しいけれど、世の中というのはそう言うものですよ。 少なくとも……この街の人々は少しだけ幸せになれます。 それでよしとしようじゃありませんか。 |
■カラレナ To:ファラハ&ALL |
ドマリさんも……よかったですね。 これから、みんなで頑張っていい商会になっていくといいなぁ……。 |
■ゾフィー To:カラレナ&ALL |
いい商会ね。 いい人が生き残れるとは限らないのは、どの世界でも一緒でしょうけれども。 新しい為政者がどうなるかにもよるでしょうし。 がんばってほしいと言う点に関しては、否定いたしませんけれども。 |
■ウリディケ To:ゾフィー、ALL |
確かにそうかも知れませんが、……今回は生き残って欲しい状況ですね。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
きっと……大丈夫ですよ。 そうだ、何かあったらまた相談してくださいって、伝えておかなくちゃ。 |
どこまでもお人好し(笑)
■ゾフィー To:カラレナ |
確かに、羽振りのよくなりそうなところに宣伝しておくというのは大事な事ね。 わたくしも見習わせていただくことにいたしましょう。 |
勝手に納得したのか一人でうなずくと、ゾフィーは再び羊皮紙を取り出した。
宛名がバーレイン製鉄所、ガリソン親方になっているのが見える。
素早く余白にペンを走らせながら、ゾフィーはファラハに目を向けた。
■ゾフィー To:ファラハ |
ところで、ドーリィ……いまはまだ男爵ね……の護送ですが、どのように行われることになっておりますの。 オランからそれなりの人員が来ることになるのでしょうか。 |
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
いえ、マイレイの自警団から人員を割いて貰います。 それにあなた方もいらっしゃることですし、護送に問題はないでしょう? 帰りの宿代はこちらで持ちますので、ついでと言っては何ですが、 同行をお願い出来ませんか? |
■カラレナ To:ファラハ&ALL |
はい、喜んで。 無事に家に……銀の網亭に帰るまでが「冒険」ですから(^^ |
■ウリディケ To:カラレナ |
銀の網亭に帰るまでが「冒険」……良い言葉ですね。 含蓄を感じます。 |
■カロン To:ALL |
帰りの道も一緒だしね、最後までちゃんと護送の確認もしたいし。 |
■ゾフィー To:ファラハ&ALL |
ちょっと待って、帰路の宿代は当然経費に含まれると思っておりましたけれども。 護送の護衛に関しては、それ以外に少し色を付けてほしい所ね。 |
女性陣のドレスにちらりと目をやりながら、声をあげるゾフィー。
■ファラハ To:ゾフィー&ALL |
そう言われるだろうと思いまして、三商会から打ち上げの予算を取ってきました。 あと、この宿に入る為に用意した服などは経費で精算して構いません。 ……という事で、今晩はこの宿でちょっとした打ち上げをやりましょう。 皆さん、それには異存は有りませんか? |
■カラレナ To:ファラハ&ALL |
わ〜、ありがとうございます。 最近は寒いですから、あったかいものが食べたいですね〜。 |
■ファラハ To:メイシアス |
あと……メイシアスさん、もうメイドの仕事は結構ですよ。 宴の準備は宿の方々にやって貰いますので、着替えてゆっくりしてくださいな。 |
■メイシアス To:ファラハ |
はい、分かりました。 |
■カラレナ To:メイシアス |
でも、とっても似合ってますよね、メイちゃんのメイド姿。 私も今度やってみたいです(^^ |
■ウリディケ To:メイシアス |
似合ってて良いわね。 私が着ては、別のものになってしまいますからね。 |
■カラレナ To:こころのなか |
(……べつのもの???) |
わからなかったらしぃ。
■メイシアス To:カラレナ&ウリディケ |
ほえ、本当ですか!? わ〜い、ありがとうございます。 きっとお二人にも似合いますよ〜/// |
盛り上がっている三人娘の隣で、不本意そうに鼻を鳴らす音が聞こえた。
■ゾフィー To:カラレナ、ウリディケ、メイシアス |
仕事柄、変装などが必要なのは仕方がないとして……。 必要の無い時まで纏うには、あなた方に相応しい服とは言い難いわ。 品格というものは、落とすことはたやすくても、上げることは難しいものよ。 似合わせるなら、より格の高い衣装になさったほうがよろしいのではございませんこと。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
えーっ……それって、メイドさんに対して失礼ですよ〜。 それに、いろんなお仕事を経験することって、楽しいです。 今回の帳簿のお仕事だって、新鮮で楽しかったですよ。 |
■ゾフィー To:カラレナ |
わたくしは衣装の格の話をしていたのであって、仕事の貴賤についてはなにも申しあげておりませんことよ。 それだけ聞いて、失礼な話ととらえるあなたの考え方のほうが、働き手にとっては失礼とは言えませんか。 それから…楽しまれるのも結構ですが、器用貧乏で終わるのだけはおよしなさいね。 ああ、あとその服、着たときは、単に背筋をまっすぐ伸ばして座るのではなく、いちど力を抜いて身体を傾いでから姿勢を直したほうが自然に見えますわよ。 なんなら変装とでも思って、しっかり他の人のふるまいを観察なさいな。 |
ここぞとばかりにまくしたてるゾフィー。
不機嫌というよりも、どこか面白がっているような気配が言葉の端々にまとわりついていた。
■カラレナ To:ゾフィー |
だって、メイドさんの服の格が低いなんて、失礼な言い方じゃないですか〜。 メイドさんが聞いたら傷つくと思いますっ。 私、そんなこと絶対言いませんっ。 |
いつものように真正面から受け止めたカラレナは、口をとがらせてそっぽを向いた。
■カラレナ To:ゾフィー |
いいもん。どうせ綺麗な服なんて似合わないんだから……。 |
ウリディケは「こんな人も必要だ」と思いつつも、話が横道に逸れて行くのもどうかと思い、修正がてら“ギリギリ無難の領域に踏み止まるよう気を付けて”ゾフィーを叱責した。
■ウリディケ To:ゾフィー |
もう充分に分かったわ。 言の葉の端々をいちいち揚足取って、そこにある意図を掴めないのは、ある意味未熟よ。 事実や真実に即していないと含蓄ある話も戯言に過ぎなくなるのよ。 文句があれば話は聞くけど、そもそも、それをすることが貴女の目的を達成する近道になるの? |
■ゾフィー To:ウリディケ&カラレナ |
あなた方、そう簡単に煽られては駄目よ、もっと冷静にならなくては。 労働着と正装とが同格ということはありえないでしょう? わたくしが申しあげているのはそういう話、それ以上でも以下でもないわ。 実力が上がってきたらいやでも「高級な」場に出る機会が出てくるのですから、今から慣れておいたほうがよろしいということですわよ。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
(……あ、なんだ、そういうことかぁ……) |
いちど言葉を切ったゾフィーは、鋼色の瞳のまま、あえてにっこり微笑んだ。
■ゾフィー To:カラレナ>ウリディケ |
カラレナさん、あなた、自信をお持ちになっていいのよ。 その可能性がないと思われる方には、わたくしはなにも申しあげませんから。 そしてウリディケさん、この年になりますとね、近道が常に最善の道とは限らないということが散々身にしみておりますの。 わたくしはね、確実に達成させる為なら、いくらでも回り道ができますのよ。 |
“売り言葉に買い言葉”なら困るが、ゾフィーの台詞はその奥に一つの真実を据えたものだ。
ウリディケも、素直に感心して肯いた。
■カラレナ To:ゾフィー |
自信……自信ですか? うーん……じしん…… |
自分に言い聞かせるようにつぶやきつつ、手元のブレスレットを見つめている。
そんなカラレナの様子に目をやったゾフィーのおもてを、一瞬影がかすめ……。
わずかに身を引いたゾフィーは、ファラハ、ウリディケ、そして他の皆に対してそっと頭を下げた。
■ファラハ To:ALL |
料理のリクエストが有ればどうぞ。 この街で手に入りにくい材料でなければ、作って貰えると思います。 |
■カラレナ To:ファラハ |
えと、じゃあ、お言葉に甘えて…… あんこう鍋が食べたいです〜。 |
■ゾフィー To:カラレナ>ファラハ&ALL |
また、面白いものをお頼みになるのね……。 となるとこの宿では、会席料理ということになるのかしら? 大きな魚と聞きますから、さばくとなると鍋だけでなく先付から順にすべてあんこうづくしになりかねませんわよ。 トマトと違って流石にデザートまで、ということにはならないでしょうけれども。 それならば焼き物あたりに、肉料理も入れていただけるとありがたいですわ。 |
ファラハが給仕長を呼び、冒険者達の希望を伝えた。
残念ながら、マイレイは内陸の街で有る為、鮟鱇(あんこう)は手に入らないと言われてしまった。
変わりに、今朝仕入れたばかりの牛肉・豚肉などの肉料理のコースなら出せるという事を伝えられた。
それならば、と言う事で、ファラハは立食形式のパーティメニューを注文した。
勿論素材・酒共に一流の物が並ぶ事になるだろう。
それからお茶を飲みながら談笑していると、2時間程経過して宴の支度が出来た事を告げられた。
そこには高級宿の名に恥じない、素晴らしい料理と酒の数々が並んでいた。
■カラレナ To:ファラハ |
す、すごい〜。 |
■ファラハ To:ALL |
さあ、どうぞ好きなだけ召し上がってください。 無事に任務が遂行出来た事を改めてお祝いしましょう。 |
■カラレナ To:ファラハ>シルフ |
ファラハさんも、お疲れさまでした。 また困ったことがあったら、いつでも相談してくださいね。 (精霊語) シルフ、もうお外に行ってていいよ |
カラレナはブレスレットの革紐を口元に当て小さく囁くと、精霊使いにしか見えない風の乙女が解放されて消えて行った。
■ファラハ To:カラレナ&ALL |
私はほら、「仕事」ですから。その辺りはお気になさらず。 それに、”信頼できる”冒険者の方々というのは貴重ですから、 またこちらからお願いに来ることがあると思います。 その際はどうぞ宜しく。 |