ドーリィ男爵邸 |
裏帳簿の存在と、鉱夫達の証言をファラハに伝えると、ファラハは翌朝早々に男爵達を糾弾しに行くと告げた。
但し、少々ゆっくりと出るために、それぞれやることがあればそれを済ませてからで構わない、と言うことだ。
そして翌朝、ゾフィーは製鉄所に向かい、親方に休む事を告げた。
親方は、
「お前さんが来たときから、こうなるとは思っていたよ」
と告げ、
「俺たちのことは気にするな。お前さんの成すべき事をなして来るんだ」
と、快く別れを告げてくれた。
それから一行は集合し、改めてドーリィ男爵邸に向かう。
ファラハが来たことに慌てた門番を無視しながら、一行は男爵の私室へ向かう。
男爵の私室の前まで来たとき、中から話し声が聞こえてきた。
■アダマス To:ドーリィ |
男爵、これが今月の上がりになります。 どうぞお納め下さい。 |
■ドーリィ To:アダマス |
おお、いつも済まんな。 私がもっと権力を握った暁には、お前がこの街の実権を握れる様にオランの貴族達に掛け合ってやろう。 ……ところで、衛視殿はどうしている。 |
■アダマス To:ドーリィ |
今のところは、宿に居るだけの様です。 余り色々嗅ぎ廻っている様子はみられません。 |
■ドーリィ To:アダマス |
よしよし、ならば後は監査が終わるのを待つだけだな。衛視殿も甘い物だな。 |
■アダマス To:ドーリィ |
全くですな。はっはっは。 |
■ゾフィー To:ファラハ&ALL |
さて、オラン式のやり方ですと、これからどうなりますの。 さらなる情報がでないか、もう二言三言しゃべらせておきますか。 それとも、威勢良くこの扉を開きましょうか。 |
■カラレナ To:ファラハ&ALL |
さっき門番のひとたちにも見られちゃってますし、早めに現場を押さえたほうがいいかも……。 |
そっとドアに手をかけながら、ファラハの顔を見る。
■カロン To:ALL |
俺もカラレナの意見に賛成、証拠なら見つけてあるしね……。 |
ファラハは意を決したかの様な表情になり、その後扉を勢いよく開けた。
■ファラハ To:ドーリィ&アダマス |
話は全部聞かせて貰いました! ドーリィ男爵及びアダマス氏、あなた方二人を宝石密輸の容疑で拘束します! |
■ドーリィ To:ファラハ |
おやおや、ソーダック衛視殿。 ……どこにそのような証拠があるのかな? |
■アダマス To:ファラハ |
左様。幾ら衛視様とはいえ、証拠も無しに我々を犯罪者扱いとは。 やれやれ、困った物ですな。 |
■ゾフィー To:ドーリィ&アダマス |
残業が増えますと、夜間の採掘音を耳にする機会も増えるようですわね。 過剰労働をさせられている作業員達のぼやきもね。 おぼっちゃま方、まさかこの程度の計画でしたとは、おっしゃらないでくださいませね。 わざわざこの街まで出向いてきたのですから、もう2転3転くらいは、期待させていただいてもよろしいかしら。 |
ゾフィーはあえて、心底あきれたとでもいうような声を出しながら、ファラハの持つ帳簿を指し示してみせた。
ファラハから帳簿を受け取ったウリディケが、2人に見えるように掲示する。
■ウリディケ To:ドーリィ&アダマス |
……と、言う訳です。 私の大剣で斬り付けては、貴方がたの命の補償が出来ません。抵抗せずに捕まって頂けることを要望します。 |
■ドーリィ To:ALL>手下 |
く……、それを見られたとあっては最早言い逃れは出来ん。 だが、ここでお前達を黙らせれば問題はない。 物共! 出会え、出会え! |
ドーリィ男爵のその言葉に応じて、部屋の奥から5人の男達が現れた。
彼らは手に手に武器を持っている。
4人は金属鎧を身につけていて、その中に一人だけ革鎧の男が居ることに気付いた。
ドーリィ男爵とアダマスは彼らの後ろに下がり、一応攻撃を受けない場所へと移動した。
■ウリディケ To:敵全員 |
出会え、出会え!って……まだ、私達より1人足りないではないですか(涙)。 ……まだ降伏は受けつけますが、戦うなら死を覚悟してください、この大剣は急所を狙ってえぐります。 では、『かかってきなさい!』 |
■カラレナ To:ドーリィたち |
あ、あの、魔法は手加減できないので……できれば降伏してくださいね。 |
ウリディケの勇ましさに焦りを覚えつつも、一応提案。
■敵リーダー? To:ウリディケ |
こっちも、ギャラは貰ってるんでね。 ギャラ分の仕事はしないと傭兵の仁義にもとるってもんさ。 では……参る! |
威勢の良いリーダーの声に従って、部下達も武器を構えた。
しかし、先手を取ったのは冒険者達だ。
■エルステッド To: |
「万能なるマナよ。眠りの雲となれ!」 |
エルステッドのスリープ・クラウドが広間に発動する。
すると、傭兵達……加えて男爵とアダマスもあっという間に眠りこけてしまった。
どうやら、魔法に対する備えは全く無かったらしい。
■カロン To:ALL |
……前と同じくエルさんが決めてくれたか。 |
■カラレナ To:ALL |
よかった、争いになる前に終わって……。 |
■ゾフィー To:ALL |
……………。 依頼内容は密輸の証拠の発見と、首謀者の身柄の確保でしたわね。 ということは、これで完了、ですの? |
■ファラハ To:ゾフィー |
ええ、取り敢えず全員拘束してください。 武装も解除して。 その後は私の方で処理します。 皆さんそれが終わったら、一旦私の泊まっている宿のロビーで待っていて貰えますか? |
■ゾフィー To:ファラハ>ALL |
……オランの潤沢な予算がうらやましくなりましたわ。 あ、いえ、なんでもございません、了解しました。 わたくしは、連中が目がさめた時にそなえて牽制しておきますから、拘束はロープを扱い慣れている方々にお願いしますわ。 念のため身体検査も……と申しあげたいところですが、この計画の程度からするとそこまで心配しなくてもいいかしらね。 |
■ウリディケ To:ALL |
では捕縛してしまいましょう、皆で一斉に取りかかれば起きる暇も無いでしょうから。 |
■メイシアス To:ウリディケ |
了解です。 |
■カロン To:ALL |
じゃあ、俺は取り押さえておくから捕縛はメイシアスに任せるよ。 |
眠っている相手は難なく捕縛することが出来た。
その後、ファラハはバーレイン商会とチェイス商会に使いを出し、
緊急に会合を持つことにした。
冒険者達は、一旦高級宿にて待機する様に言われた。