オランの街・商店街 |
ファラハと分かれた冒険者達は、それなりに良い服を見繕おうと
街に繰り出した。
ゾフィーが先程見繕ってきた商店街に到着すると、布やらを売買する店や、仕立屋などが多く軒を連ねていた。
■ゾフィー To:ALL |
せっかく良い服を用意されるのでしたら、本当は、大枚をかけてでもきっちり採寸して仕立ててもらうべきなんですけれども。 明日早朝に立つのでは、残念ながらそんな時間はないでしょう。 修正するだけの、出来合を売る店か……キャンセル品やリサイクル品を売る店にいくしかなさそうね。 |
■ウリディケ To:ゾフィー |
そうね、中古のお店で充分ですわ。……いつ破けるとも限りませんし。 |
■カロン To:ウリディケ |
たしかに、そう着る機会なさそうだし買うのなら中古のでいいかな。 |
ゾフィーのお貴族な言葉も、違和感なく聞き流してしまう。
■カラレナ To:ゾフィー |
さ……採寸……仕立て……(くらっ) ゾフィーさんて、もしかして、もしかしなくても、すっごく裕ふ……高貴な、名家のご出身なんですか? |
■ゾフィー To:カラレナ |
え?わたくしが?突然なにを言い出すかと思えば。 残念ながらわが家は王家の血筋ではございませんことよ。 資産に関しては、いろいろ浮き沈みもございましたからね。 「喰わねど高楊枝」を経験してしまいましたもので、ある時に良いものをあつらえるべきだという結論にも達しましたの。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
……王家なんて言ってませんけど……(^^; ある時に、ですか〜。そうですね。 私も前回がんばったし、自分のためにおこづかい使ってもいいかなぁ。 |
手作りのお財布をぎゅっと握りしめる。
■ゾフィー To:カラレナ |
それも考えると、流行の先端を追うのもちょっとね。 くだんの宿に行く途中で目を引きすぎてもいけませんし。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
う〜ん、難しいんですね。 じゃあ、少し前のデザインを修正して合わせられるようなのを探してみる、って感じでしょうか? |
ちょっと緊張した面持ちで、それっぽい店を探し、あたりをキョロキョロしてみる。
フーテもまねをして、それっぽい店を探し、あたりをキョロキョロしてみる。
■カラレナ To:フーテ |
わぁっ!? |
突然自分の動きとハモりながら現れたフーテにびっくり。
■フーテ To:ウリディケ |
あ、これなんてウリディケさんにぴったりですね。 |
バッチリ男物。
■ウリディケ To:フーテ |
まあ、素敵な燕尾服♪ って、フーテさんこういう趣味なんですか(汗)? |
シャツの袖を通すが、胸元が閉まらない(……って、ここは路上です)。
頭で描いて、そう思った。
■フーテ To:ウリディケ |
ぬぉっ。 |
きれいに、すっころぶフーテ。
起きあがりながらひとこと。
■フーテ To:ウリディケ |
そ、そうきましたか。 |
■カラレナ To:フーテ>のーむ |
ふ、フーテさんてば、なんてこと言うんですかっ。 女の子にそんなこと言うなんて、でりかしー無さ過ぎですよ〜っ!大地の精霊のーむっ! |
またも真っ正面から受け止めてしまったカラレナは、思わずノームを封じている右手のブレスレットを握りしめ、うっかりと「スネア」を唱えた!
フーテの足元にむっくりと現れたノームがだが──しかし、そのまま何もできずひっこんでしまった。
■カラレナ To:フーテ |
……………あ。 ご、ごめんなさいっ! わ、私、頭に血が上っちゃってつい…… |
フーテに駆け寄ってぺこぺこと頭を下げる。
■フーテ To:カラレナ |
いやー、全然、怒っていませんから。 というか、ほんっとうに全くなんにも、起こってはいないんですよね・・・。 血がのぼってというか、むしろ舞い上がったカラレナさんの一人コントが見れて楽しかったです。 |
かくんっ、と力が抜けて傾いたそぶりを見せながら笑っている。
■カラレナ To:フーテ |
あぅあぅ、穴があったら入りたいです。 |
赤い顔を両手で押さえて小さくなる。
■メイシアス To:フーテ |
んん〜フーテさんには…これなんかどうでしょうか? |
喧騒を横に一生懸命服を選んでいたメイシアスは、ようやく1着のイブニングドレスを手に取りフーテに差し出した。先ほどの燕尾服を見て、それに合いそうな服を自分なりに真剣に探してみたらしい。
■フーテ To:メイシアス>ウリディケ>カラレナ |
わ、わかりました、こうなったら私も男です! って、そうじゃ・・・、ぽっ。 いやいや、なんかちがう、なんかちがいますから。 それに、やっぱりドレスは、メイシアスさんにこそお似合いですよ。 ウリディケさんも、おめかししたメイシアスさんをエスコートするのは、きっと嬉しいでしょうしね。 カラレナさんも、大喜びです、ね? 白状なさいませ。 |
■カラレナ To:フーテ |
なっ、何言ってるんですか〜。 私、そんな偏った趣味ありませんっ。 |
■フーテ To:カラレナ |
ああ、これは大変失礼をいたしました。 カラレナさんの守備範囲はもっとずっとずっと広いんですよね。 |
きらーん、おもちゃ発見。
■カラレナ To:フーテ |
しゅびはんいって何ですか〜。 も〜、からかわないでください……。 |
■メイシアス To:独り言 |
一生懸命…選んだんですが…(しょぼ〜ん) |
■フーテ To:メイシアス |
ああっ、いや、その、あの。 素敵ですね!! うんうん、いやぁ、これはすばらしい。 こういうの前から欲しかったんですよ。 |
イブニングドレス一着お買い上げ。
■メイシアス To:フーテ |
ふぇ…ぁ、無理しなくて大丈夫ですよ! フーテさんの好きな服を探して下さい。 それに…サイズが合うか分からないですし… |
ドレスを抱きしめたまま、困ったように微笑みを浮かべる。
■フーテ To:ウリディケ&カラレナ&メイシアス |
いやー本当に愉快な反応をする子達ですね。 |
■ウリディケ To:フーテ |
いえ、それ程でも。 |
■フーテ To:ウリディケ |
ふっふっふ、ご謙遜めされまするな。 なかなかどうして、一筋縄ではいきませんね。 |
■ゾフィー To:ウリディケ |
ちょっと、ウリディケさん。 漫才はほうっておいて、こちらにおいでなさい。 あなたにあつらえたような衣装がございましてよ。 |
その店の片隅に下がっていたそれは、海を思わせる青い別珍の間から、襞ををたっぷりと縫い込んだ白のシャンタンが覗く、豪華なドレスであった。
襟と裾とにふんだんにあしらわれた袋縫いのギャザーは、ウリディケの豊かな金の巻き毛を、さぞかし引き立たせることだろう。
■ゾフィー To:ウリディケ |
本来この仕立てはシルク向けなんですけれどね、これは綿で出来ておりますから、見かけほど値は張らないのではないかと思いますよ。 で、こちらを合わせてみたらどうかしら。 |
深い毛羽を持つ布と同色の、ブルーサテンのリボンをとりあげたゾフィーは、軽く蝶結びにしたそれを、左の胸元と右の腿が当たる位置に重ねてみせた。
■ウリディケ To:ゾフィー |
生地をまじまじと見られなければ、立派なお貴族様ですわね。 鉱山の町では派手すぎないかしら? |
ウリディケはゾフィーの提案に感心しながら、自分が着たときの姿を想像してみた。
口ではいろいろ言ってるが、顔はにやけている。
■ゾフィー To:ウリディケ |
残念ながら、貴族の夜会には格式が及ばない場合もございましてよ。 くろがね男爵程度の連中なら、十分と答えるかもしれませんけれども。 目立つことが気になるようでしたら、マントをおつけになってはいかが? |
■カロン To:ALL |
マントを着ておくって手もあるけど、あまり派手なのは逆に目立つような気もするしそこそこのにしといたら? |
■カラレナ To:カロン&ウリディケ |
マントで隠しちゃうのがもったいないくらいですね〜。 とっても素敵です〜。 |
■ウリディケ To:ALL |
マントで隠すのは一見勿体無いようで、これが神官衣となれば敬虔な貴族娘を演出できそう……かも9? それもいいかも……心が揺れますわ。 |
■店員 To:女性陣ALL |
お客様、お気に入りの品は見つかりましたでしょうか? 宜しければ少々お手伝いをさせて頂きますが? |
店の奥からこの店の店員らしき中年女性(針子の様な印象を受ける)が現れ、服を選んでいる冒険者達に声を掛けてきた。
■ゾフィー To:店員 |
あら、ごめんなさいね、勝手に触ってしまって。 このドレスとリボンとで、だいたいおいくらくらいになるのかしら。 あと、こちらでは試着はできますの? |
■店員 To:ゾフィー |
いえ、それは結構でございます。 そうでございますね……手直しがなければ70ガメル。 こちらのお嬢様(ウリディケ)に合わせるのですと、若干直しが必要だとお見受けします。 切りよく100ガメルで、如何でしょうかお客様? 無論、奥に試着室をご用意しておりますよ。 必要であれば一声かけてくださいませ。 |
■ゾフィー To:店員 |
まだ、決めてはおりませんので参考までにね。 手直しをお願いするとしたら、どのくらいの時間がかかりますの? |
■店員 To:ゾフィー |
丁度針子の手も空いておりますし、夕方までには出来ますわ。 場所を指定下さればお届けも致しますが? |
■ゾフィー To:店員 |
よかった、サービスがよろしいわね、それは助かるわ。 |
つま先だって青のドレスを外したゾフィーは、それを押しつけるかのようにウリディケに手渡した。
■ゾフィー To:ウリディケ |
とりあえず、試着させて戴いたらいかが? ためしてみるのは自由ですから。 |
■カラレナ To:ウリディケ |
着てみてください〜、きっと似合いますよっ。 |
自分のことのようにうきうき(笑)
■ゾフィー To:店員 |
ちなみに、まとめて買ったらすこしはお勉強していただけまして? |
■店員 To:ゾフィー |
もちろんでございますお客様。 手直しの量や時間にもよりますが、出来るだけ勉強させて頂きます。 |
■ゾフィー To:店員 |
ありがとう、それでは少し見繕わさせていただくわ。 試着室もお借りいたしますわよ。 |
■店員 To:ゾフィー&ALL |
どうぞどうぞ、是非こちらに。 済みませんが、男性の方は試着と採寸の間ここでお待ち頂けますか? |
■ゾフィー To:男性陣 |
殿方は、結果を楽しみにしていてくださいませね。 |
リディケを試着室に送り込むと、ゾフィーはくるりと向きをかえた。
■カロン To:ゾフィー |
俺達はそこら辺を見てるからごゆっくり〜。 |
姉妹に付き合わされた経験があるせいかあっさり了解し、店内を散策しにいく。
その頃、店の奥では。
■ゾフィー To:メイシアス |
メイシアスさん、あなたにこちらの色はいかがかしら。 |
人間の子ども向けと思われる服がいろいろ投げ込まれている篭を、いくつか覗きこんでいたゾフィーは、淡い藤色のワンピースを選び出した。
細い毛糸と編み棒で根気よく編み上げたらしい詰んだ目の上衣が、切り返しを見せることなく、細かい襞を連ねたプリーツスカートに繋がっている。
■ゾフィー To:メイシアス |
ニットは本来はカジュアルな服に用いられるはずなんですけれどね、しかもこれはタートルネックですし。 でもね、ちょっとこれとこれを重ねてみて頂戴。 |
同色の、やや長いペチコートとボレロを探し出してきたゾフィーは、それらをあわせてみせる。
裾から覗くレースと、ボレロに編まれた透かし模様が、メイシアスの太陽の光を帯びた肌の色を引き立てつつも、上品な雰囲気を醸し出していた。
■メイシアス To:ゾフィー |
おぉ〜何だか大人な感じですね///どきどきです。 |
■ゾフィー To:メイシアス |
草原妖精さんの感覚としては、ちょっと落ち着き過ぎかしら。 でも、あなたにはシックな雰囲気の服を着せてみたくなりましたの。 せっかくですから、いちど着てみてごらんなさいな。 |
■メイシアス To:ゾフィー |
はいです。ではでは、ちょっと着替えてきますね♪ |
両手に衣装を抱えて試着室へ消えるメイシアス。時々「ほぁ」とか「んに」などという声が聞こえてくる。暫くして、元々着ていた服と外したゴーグルを手に戻ってきた。
■メイシアス To:ゾフィー |
えと…どうでしょうか? |
■ゾフィー To:メイシアス |
そうね……あとはやっぱり髪かしら? |
一歩下がって首を傾げたゾフィーは、もう一度店内を見回し、濃い紫色をした大輪な薔薇の造花と、ややくすんだ金のリボンを手に取った。
輪にしたリボンを背後に絡ませた薔薇を、さっと頭に差し込む。
ふわふわとした癖のある金色の髪を、毛束ごとに軽くよじりながらリボンの間をくぐらせるようにして押さえていく。後ろに残ったやや長めの部分は2本の三つ編みにし、先端をあえて結ばずに前に流して見せた。
■メイシアス To:ゾフィー |
ほぁぁ…ゾフィーさん、器用ですね〜 お姫様気分です〜/// |
ゾフィーに髪をいじられながら、くすぐったそうに目を細めている。
■カラレナ To:メイシアス |
メイちゃん、すっごく可愛いですよ〜。 お花畑の中にいるみたい〜。 |
■ゾフィー To:メイシアス |
ほら、その鏡を覗いてごらんなさい。 |
■メイシアス To:ゾフィー |
あ、ありがとうございます。ふぁ…なんだか自分じゃないみたいです/// 動くと崩してしまいそうで…んにゅ、緊張しちゃいます。 |
■ゾフィー To:メイシアス>ウリディケ |
そんな頭を固定しなくても大丈夫よ。 ゴーグルをなさっている時と同じ感覚で、ね。 さて、ウリディケさん、そちらの具合はいかが? |
■ゾフィー To:カラレナ |
お待たせしました、カラレナさんには、こちらね。 実のところ、これはなかなかの掘り出し物よ。 |
ゾフィーの腕の中には、ほのかにシャンパンゴールドの光沢を帯びた、白地のドレスがあった。
しなやかに揺れる裾に重ねられたチュールレースが、足元にやわらかな印象を投げかけている。
袖はなく、替わりに左肩から胸元まで流れる様に飾られているのは、服と同色の生地で作られた薔薇のコサージュであった。
幾重にも重なり合った花弁と、その周りに華を添えるリボンは、カラレナの顔だちを引き立てつつ、全体に明るく華やかな彩りをもたらすであろう。
■カラレナ To:ゾフィー |
……わ、きらきら…… こんな手触りのいい布、初めて触ります…… |
ドレスの布にそっと触れながら、夢見るような表情になる。
■ゾフィー To:カラレナ |
薔薇とリボンは取り外しがききそうですからね。 レースをあしらってみたり、ガラスのビーズを縫いつけてみたり、裁縫がおできになるなら、雰囲気を変えて着倒…おっと、着こなすこともできますわ。 ベースになっているドレスの形がシンプルだから、流行に左右されませんし。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
で、でも私に似合うのかなぁ…… こんなに素敵なドレス、一度も着たこと無いですし、髪も寝癖が直ってないし……あぅ。 |
急に恥ずかしくなったのか、赤みがかった金髪の毛先を指先で弄ぶ。
■ゾフィー To:カラレナ |
あなたの髪は金褐色ね……。 いえ、ちょっとかがんでいただけます? |
きょとんとしながらも、素直にかがむカラレナ。
小袋の中から、一見ランタン用のオイルにみえる油壺を取り出したゾフィーは、その中身をほんの僅かだけ手のひらに振りだした。
軽くこすりあわせ油をなじませた両手で、カラレナの髪を寝癖の付いた部分をゆっくりとのばしていく。
髪の間から、ほのかな蘭の香りが漂ってきた。
■カラレナ To:ゾフィー |
(……あ、この香り……) |
ふと遠くを思うような、懐かしいような表情になる。
■ゾフィー To:カラレナ |
最近は焼き鏝で疑似の巻き毛を作るひともいるとか聞きますけれどね。 あなたの髪は元々癖がない分、きちんと伸ばせば、それだけで十分殿方を魅了する武器になりましてよ。 さて、騙されたとおもってこの服をお召しになって御覧なさいな。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
ゾフィーさん……わ…私……嬉しい。 |
いつの間にか涙目になっていたカラレナは、いきなりゾフィーの首に抱きつく。 一瞬、驚いたように硬直したゾフィーは、あわててその顔をカラレナから背けた。
あるいは視界を覆いかけた、「赤みがかった金色の髪」から逃れようとでもするかのように。
ゾフィーの表情を注意深く見る者がいたら、瞳の奥に、再び燃え上がった昏い熾火に気がついたかもしれない。
■ゾフィー To:カラレナ |
……もう気が済んだかしら。 わたくしはあなたのお…人形ではございません。 人前で安易な感情をぶつけられては困りますの。 |
■カラレナ To:ゾフィー |
あ、ごめんなさい…… でも私、嬉しくて。母が好きだった香り…… それに、ゾフィーさんの手が、優しかったから。 |
とても幸せそうな笑みを浮かべながら、ぞっとゾフィーから手を離す。
■ゾフィー To:カラレナ |
あなたが嬉しいのは結構ですけれど、おなじ振る舞いに傷つく人がいるかもしれないということは、忘れては駄目よ。 家族やそれにに類する言葉が、人によっては必ずしも幸せな記憶と結びつくは限らないということも……。 |
懐中で、いつの間にか固く握りしめていた短剣の柄から、気づかれないように手を離したゾフィーは、目を閉じてゆっくりと3つ数えた。
そのまま微かに頷き、いつもの瞳をカラレナに向ける。
■カラレナ To:ゾフィー |
…………。 |
何となく、懐かしいひとの仕草を思い出したような表情でゾフィーを見ている。
■ゾフィー To:カラレナ |
ごめんなさいね。 せっかくの雰囲気を台無しにしてしまうところでしたわ。 さあ、皆様をお待たせしておりますよ、この服を試すのか、他の服を選ぶのか、さっさと決めて頂戴。 |
■カラレナ To:ゾフィー>店員 |
あ……はい、これにします。 すみません、その……試着を手伝ってもらってもいいですか? |
■店員 To:カラレナ |
畏まりました。 それではお手伝いさせて頂きます。どうぞこちらへ。 |
店員はカラレナを試着室に案内し、着替えを手伝った。
慣れないドレスのせいか、試着に異様に時間がかかってしまったカラレナは、恥ずかしそうに胸元を押さえながら、ようやく試着室から出てくる。
■カラレナ To:ALL |
……へ、変じゃないですか? …… |
■メイシアス To:カラレナ |
すっごく素敵ですよ、カラレナさん! |
■カラレナ To:メイシアス |
えへへ……ありがとう、メイちゃん。 なんだかおとぎ話のなかにいるみたい……。 |
照れ照れ。
■ゾフィー To:男性陣 |
さて、皆様お待たせいたしましたわね。 銀の網に咲き誇る大輪の花々をとくとご鑑賞くださいませな。 |
■ゾフィー To:店員 |
さて、小物とか、手直しとか、すべて含めて3着でいかほどかしら。 さきほどお勉強していただけるとおっしゃっておりましたものね。期待させていただきますよ。 |
■店員 To:ゾフィー |
纏めて300ガメル……と申し上げたいところですが、ここは特別。 二割引ということで、締めて240ガメルで如何ですかお客様? |
■ゾフィー To:店員 |
そうね、わかったわ。 もう一声、わたくしの説明賃として、こちらをおまけしていただけませんこと? |
ゾフィーはそう言いながら、傍らにかかっていた赤味がかかった紫の長いショールを取り上げた。僅かに光沢を持つそれは、彼女の長衣とまったく同じ色をしている。
■カラレナ To:ゾフィー |
あ、その色……ゾフィーさんにぴったりですね。 紫は高貴な色だって言いますし、素敵です〜。 |
■ゾフィー To:カラレナ |
いわゆる「高貴」を意味する紫は、厳密にはこの色ではなくてよ。 とはいえ、お世辞はありがたく受け取っておきましょう。 |
ショールを素早くターバンのように頭に巻き付けると、一歩下がってその具合を鏡で確認するゾフィー。
そのまま、再度尋ねるような視線を店員に投げかける。
■店員 To:ゾフィー |
ようございます、お客様。 私共としても、一度に三着お買いあげ頂いたのですから、有り難いことでございます。 では、手直しが終わりましたらご指定の場所にお持ち致しますが、どちらまでお持ちすれば宜しいですか? |
■ゾフィー To:店員 |
ありがとう。 仕上げがしっかりできているようでしたら、また贔屓にさせていただくわ。 これこれにある『銀の網』という冒険者の宿にゾフィー宛てでお願い。 3着ございますけれど、夜までに間に合うかしら。 |
■店員 To:ゾフィー |
お任せ下さいませ、ゾフィー様。 針子一同、張り切って仕上げさせて頂きますわ。 |