オランの街、ネイサン商会 |
一行は、その後も護衛を続け、カゾフの街で「ニジイロワカメ」を積むと、オランに4日で戻った。
あるときは森を抜け、あるときは彼方まで広がる麦畑を抜けたが、あれから“山賊や妖魔”から襲撃される程度で平穏そのものと言えた。
オランの街につくと、公言通りに「10日以内」に「ニジイロワカメ」を到着させた一行に、多くの人々が歓声をもって出迎えてくれた。
ちょっとした凱旋パレードっぽくなりながら、一行はネイサンの店にたどり着いた。
輸送した「ニジイロワカメ」は、早速公衆の面前で、晩餐会の幹事たるコルネリア侯爵家の護送団に引き渡された。
引渡しも滞リ無く終了し、6時間ほど休憩した後、一行は店の応接間に呼ばれた。
■ネイサン To:ALL |
大変お疲れ様でした、それでは報酬の話を致しましょう。 今回の輸送が安全だったのも、ジンさんの仰られていた「手筈」が上手く行ったものと確信しております。 報酬として、1人1300ガメル準備させて頂きました、どうぞお受け取りください。 それから、お貸しした武器・防具のことですが、回収した後、売りに出そうと考えています。そこで、折角皆様に合わせて作らせた物ですので、もし“ご希望”であれば『定価の6割』でお譲りしても構いません。どうでしょう? |
■ジン To:ネイサン、ALL |
そう言ってもらえると助かる。 こちらの事情でかなり勝手なまねばかりしてしまったからな。 あまりに深読みが過ぎた。悪い癖だな・・・ まあ、運も実力のうちだ。ありがたく報酬を頂いておこう。 |
■アール To:ネイサン |
俺はせっかくオーダーした武器だから譲ってもらおうかな。 支払い云々は後でもいいかい? |
■レイス To:ネイサン |
俺も買いたいけど…ちょっと待ってください。お金足りないかもしれないので、足りる分だけなんとか考えますので… |
■ネイサン To:ALL |
では、「ごたごた」しない為にも一度、お渡しする武具は質の扱いにしましょう。 30日間お預かりしますので、それまでにお支払いをお願いします。 |
■ゼファルディート To:ネイサン |
じゃー、僕はせっかくだからこの銀製リングメイルは購入させてもらおうかな。 初めての冒険の記念にもなるしね(笑) |
■リフィル To:ALL |
全く、只の護衛が偉い遠回りしたな(笑) 空から降ってきたり、貴族の世界を垣間見たり… ただ、死にそうになったが楽しかったぜ 報酬だが、俺は現金だけで充分だ、コレから先の冒険は今まで通り身軽が良いんでね |
■レイス To:リフィル |
コレから先の冒険?…オランからどこかに旅立つんですか? |
■アール To:レイス>ALL |
まあまあ、そーいうことは酒でも交えながらやるもんだ。 さて、では銀の網亭の親父に報告しがてら、報酬の相談といこうか。 |
銀の網亭、個室 |
『銀の網』亭に戻った一行は、おやじから借りていた地下の個室が、まだ借りっぱなしだと告げられた。……代金は別口で貰っていると、後から付け加えられたが。
どうやら、ガトーショコラ男爵家が払っていたらしい。
『代金を払う代わりに、一行が戻ってきたら、おやじの口から「使い」が訪ねることを伝えて欲しい』と頼まれたという事だった。
しばらくすると、女中にして吟遊詩人のエクレールが姿を現した。
■エクレール To:ALL |
「ニジイロワカメ」の輸送イベント、成功おめでとうございます。 「ニジイロワカメ」は昨日の晩餐会に供され、好評であったと聞いています。 また、ノーヴァテリウスの調査もここ一週間でかなり進み、取り敢えず構造上落下はしないとの結論に達しました。「くもふね村」の人々も、本来の生活を取り戻しつつあります。 それから、ガトーショコラ男爵より伝言です。 『皆様にもお礼を考えましたが、今回はガトーショコラ男爵家の持ち出しも多額で、結局皆様には「貸し」にして頂こうと思います。 またお館にいらした時は、ささやかな食事を準備致します。遠慮無くいらしてください、可能であれば「借り」を返します。』 とのことです。 それでは失礼します、今回の件はありがとうございました。 |
エクレールが帰ると、いよいよリフィルが話を切り出した。
■リフィル To:ALL |
さっき行った通り、俺はコレだけで充分だ。 今回の冒険で、少し気になる事が出来たんで、今から直ぐ此処を発つんでね 今回の冒険は今まで一番、楽しかったぜ、じゃぁな |
■レイス To:リフィル |
もう発つんですね… お疲れ様でした。 またどこかでお会いしたらその時は宜しくお願いします。 |
■アール To:リフィル |
せっかくだから、これも持っていきなよ。 (剣を放る)何があるかわからないからな。 |
■ゼファルディート To:リフィル |
せっかく、お仲間になれたのに残念です…… でも、きっといつかまたいっしょに冒険できますよね。 |
■おやじ To:リフィル |
また、オランに立ち寄ったら、『銀の網』亭にも顔を出してくれよ。 |
一通り挨拶を済ますと、リフィルはオランを旅立った。生き別れの姉の手掛かりを求めて。
こうして……、
冒険者達の活躍により、オランの危機がまた1つ消え去った。
しかし、これで陰謀が廃れた訳では無い。
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オランの街、どこか |
窓は厚いカーテンに覆われ、部屋は僅かな明るさしかなかった。
そんな部屋にクラスランナーと人間3人が、ある者はソファーに、ある者は壁に寄りかかっていた。
■鎧の男 To:ピロン |
今回は失敗したようだな。 |
鎧の男は声を凄ませピロンを威嚇したが、ピロンは何事も無かったように言い返す。
■ピロン To:鎧の男 |
まさか、今回は大成功だよ。 遂に僕達が探していた「候補」が見つかったんだから。 |
■鎧の男 To:ピロン |
奴等がそうだと? 『銀の網』……面白い。俺の計画に手を出すようなら、楽しませてもらうことにしよう。 阻止されるような事があれば、お前の言葉、信じねばならなそうだな。 はっーはっはっはっ! |
オランの闇は深い。
ともあれ、これにて「雲の上の話」は終わりである。
しかし……次の事件も、そう遠い話ではないようだ。