#155 雲の上の話

英雄の帰還…即、出発!

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オラン東門
結局徹夜で『魔法の絨毯』を操り、一行はオランに到着した。
日の出はとうに過ぎ、誰もが働き始める時間となっていた。

ネイサンとの約束の東門に到着すると、馬車2台を野次馬で集まった人々が取り巻いていた。
宣伝もばっちりのようだ。

野次馬達は、一行を確認すると一斉に歓声を上げた。
■野次馬男A To:ALL
おおっ!、オランを救った英雄のご帰還だ!!

■野次馬男B To:ALL
アルバーの再来だ!
何でも、『銀の網』亭を拠点にしてる冒険者だってよ!

■野次馬女C To:ALL
あぁん、美形ばっかりだわ♪ フリーかしら?

■野次馬おばさんD To:ALL
わたしも、あと10年若ければね…………。

■ゼファルディート To:野次馬ズ
……ああ、どもども、ありがとー。
……そっちのヒトも、こっちのヒトもありがとー。

と、民衆にちょっと遠慮気味に愛嬌を振りまくゼファルディート。生来の気質のためか、群がってくる人たちを無視することもできないのだが、(今回はただ、パーティのみんなにくっついていっただけだからなあ……。次はもっとみんなの助けになれるようにしないと)と、心の中でひとり、決意を強くするのだった。
■ネイサン To:ALL
よくぞ、ご無事で!

早速で申し訳ありませんが、既に予定の時刻を過ぎています、無理やりですが出発します。皆さんは、馬車で寝てください。何かあったら起します。

それから、約束の武具も揃っています。
馬車の中で身につけてください。

■アール To:ネイサン
しかし、この短時間によくここまで宣伝したもんだ。
道中はともかく、出発の喧騒の合間が一番危険だから注意は怠らないでくれよ。
“元”冒険者さん。

■ゼファルディート To:ネイサン
それがもともとの契約だからね。
気合い入れて、改めてカンバらせてもらうよ。

■ネイサン To:ALL
実は、皆さんと別れた後、ギルドに話を付けてきました。
少なくとも、オランを出発するまでは大丈夫です。

■レイス To:ネイサン
それはありがたい。では早速休ませてもらおうかな。

一行が馬車に乗り込むと、ワンピースを着た花売りの女が、アールに呼び掛けながら馬車に近づいてきた。
■花売り女 To:アール
アール様、お待ちしておりました。
ギルドからの連絡です、お受け取りください。

花と一緒に手渡された「それ」は、1枚の羊皮紙だった。
内容も簡素で、「ネイサンへの通告を取り消す」と書かれていた。
……サインは盗賊ギルドの幹部達の連名で、ピロンの名も一番最後に記されていた。しかも、最後に小さな字で
「先行組は止められなかったよ、ごめんね。 ピロン」 と追記してあった。
花売り女に礼をいいながら、1枚1枚はなびらを毟りはじめる。
■アール To:ALL
ピロンが約束を守ってくれたよ。
ただし、一部を除いて…だけどね。
まぁ、返事がきただけでも良しってくらいに思っててくれよ。

■ジン To:アール、ALL
敵に塩を送られた気分ではあるがな。
まあ、道中警戒して進むのは変わらん。
俺はまず睡眠を取らせてもらいたいがね。

■ゼファルディート To:ジン、ALL
しょうじき、あんまり敵にしたくない人物だよねえ(苦笑)
ともかく、筋はきちんと通すヒトのようだから、先行隊さえ排除できればってところかあ……
まあ、その先行隊とやらがどんな隊なのかは気がかりだケド。

■花売り女 To:ゼファルディート、ALL
先行しているのは、「影刃」ダークと部下3名です。

■レイス To:花売り女>ALL
二つ名がついてるということは、相応の腕利きってことかな?

■花売り女 To:レイス、ALL
あれだけの腕があって、こんな仕事をするのは、冒険者くらいなものです。

■ネイサン To:ALL
それでは、出発しますよ!

いよいよ、群集に見守られる中「ニジイロワカメ」輸送イベントが開始した。
馬車が動き出すと同時に、花売り女も後づさるように人混みに進み、群集に溶け込んでいった。

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GM:支倉真琴