#155 雲の上の話

開放、くもふね村

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ノーヴァテリウス、船底倉庫
一行は、生贄にされそうになっていたラーダ神官の少女とグリュネおじさんを連れて、船底部の現在倉庫として利用されている部屋に向かった。
階段を降りると、倉庫の扉が船首側に1枚、船尾側に1枚あり、船首側はかんぬき以外に小麦粉の入った袋が20個ほど山積みにされていた。
キューレとエクレールで小麦粉袋を退かして扉を開けると、中には11人のフェザーフォルク達が閉じ込められていた。
■キューレ To:村人
みんな、無事だった?!

その声に、フェザーフォルク達から歓声が上がる。
その中から一人の老人の男が、キューレに歩み寄り話しかけた。
■老人の男 To:キューレ
キュ、キューレよ、無事であったか!
人間の村に落ちたから、もう駄目だと諦めておったところじゃった。
……無事で良かった。

■キューレ To:老人の男(おじいさん)
おじいさん、親切な人達に助けてもらったんだ。
しかも、村にいたワルイ奴らも、みんな退治してくれたんだ。

■老人の男(おじいさん) To:キューレ>ALL
そうか、色々と苦労をかけさせたようじゃ。

皆様、我々「くもふね村」の窮地の数々を救って頂き、誠にありがとうございます。

そして、老人の男は横たわるグリュネを一瞥すると、恐縮して言葉を続けた。
■老人の男(おじいさん) To:ALL
しかも、人間やエルフ族の方々に、我が村が多大な迷惑をかけました。
村の長として深くお詫びします、申し訳ありませんでした。

しかし、村にも面目があります、……この男の審判は我々に任せて頂きたい。

■アール  To:老人の男(おじいさん)
それは構わないが、こいつは暗黒神に心を委ねた身だ。
くれぐれも言葉に惑わされたり、“呪い”の言葉には気をつけてくれ。

■老人の男(おじいさん) To:アール、ALL
暗黒神に……、分かりました気を付けます。

■ゼファルディート To:老人の男(おじいさん)
どうも、人間に対して、恨みを持っていたみたい。
いちおう、この人はこの人なりに一族のことを思っての行動だったみたいだケド、過去の恨みを今の世代の人たちにぶつけても不幸になるだけだから……。

■老人の男(おじいさん) To:ゼファルディート、ALL
……なるほど、その様な事を。

我等フェザーフォルクは、度々人間や妖魔に誘拐されたり殺されたりしています。
ですから、我等フェザーフォルクが人間や妖魔に危機感を持っていないといえば嘘になります。
しかしそれは、獣に襲われる危機感と同じものと考えていただいたほうが、心情に沿っているといえます。

しかし、グリュネ……あの男は、人間に妻を殺され、娘をさらわれました。
特別に恨みは深かったのでしょう、そのころから気が狂れてしまいましたから。

■アール  To:老人の男(おじいさん)
妻と娘…か。
しかし、キューレをやけに気にしていたが、キューレの存在が彼が復讐から解放されるきっかけになると良いですね。

■老人の男(おじいさん) To:アール>ALL
キューレは、若いとは言え『くもふね村の戦士(人間社会では「貴族」に相当)』ですからな。
重きを置く事は、さほど不思議でもありません。
逆に言えばくもふね村も、キューレの落下事件がなければ、これほど簡単には制圧されなかったでしょう。

お詫びと言っては何ですが、村としても今回の皆様の働きに敬意を払い、贈り物を差し上げたい。是非、受けとって欲しい。

そう言って、老人の男は懐から水晶石を1つ取り出した。
どうやら「魔晶石」のようだ。
■老人の男(おじいさん) To:ALL
今回の働きには、とても見合う物ではありませんが、生憎、今この村には酒と食べ物と反物しかないのです。
もし宜しければ、お休みの後、ささやかではありますが宴を準備したいと思います。

後ろの方では、薄絹を纏ったフェザーフォルクの女性2人が、頬を紅く染めて一行に手を振っている。
■ジン To:老人の男(おじいさん)。ALL
お気持ちは有難いが我々にはあまり時間が残されていないのでな。これから戦闘が発生する可能性は大いにあるので、「魔晶石」の方は遠慮なく頂いておこう。この船の航行能力は失われているので、あなたたちも早くここから退避した方がよいのではないか?

■ゼファルディート To:老人の男(おじいさん)
そうそ、食事は落ち着いたら、改めてごちそうしてもらえればそれでいいよ(笑)

■老人の男(おじいさん) To:ALL
なんと、村が落ちると申されますか!
分かりました、そのような事情でしたら、宴どころではありません。お言葉に甘えて、早速、落下に巻き込まれないよう避難の準備に取りかかります。

いつか落ち着きましたら、埋め合わせをしたいと思います。

■キューレ To:老人の男(おじいさん)
おじいさん、僕達は“この人達”に村の危機を助けてもらったけど、“この人達”も今、困ってることがあるから手伝わないといけないんだ。
村が大変なときだけど、僕は“この人達”に付いていこうと思うんだ。

■老人の男 To:キューレ
今、この村での現役の戦士は、キューレ……お前だけじゃ。

しかし、そういう事情であれば、止める訳にもゆくまい。

■アール To:キューレ
いや、キューレ。君は残って村を守ったほうがいい。
村の危機を乗り越えたのは君の力でもある。だからあとの事は気にしないで。
それに、ここからは“私たちの受けた依頼”だ。
村が落ち着くまでの“戦士”の仕事を放り出してまでくるのは筋違いだよ。

■キューレ To:アール、ALL
でも…………………

……たしかに、村が大変なのは事実だ。
手伝ってもらいながら、手伝う事ができなくてごめん。

■ミルフィーユ To:ジン、ALL
この船が落ちるのであれば、わたくし達も避難を手助けする必要があるのではないのですか?
わたくし達は、もうオランに帰還するだけなのですから、余裕は充分にあるはずです。

■アール  To:ミルフィーユ
実は、我々にはこの事件の他に、もうひとつ仕事がありまして。
もっとも、そちらこそが本当の依頼なんですが。
噂は聞かれておられるでしょうが、お父上と商人ネイサンの一件で、「ネイサンを護衛しつつ、ニジイロワカメを無事に送り届ける」という依頼を受けたのです。
夜明けまでに帰ってそちらの支度をしなければならない、という次第です。
ですから、絨毯はもうしばらくお借りすることになりますので、私どもが責任をもって返しに伺います。
で、ミルフィーユ様は、こちらを手伝われますか?それとも先にお戻りいただいても構いませんが。
見たところ、いきなり落下するふうでもないようなので避難には十分間に合うと思いますし、キューレもいますからね。

■ミルフィーユ To:アール、ALL
あの件にも関わっていらっしゃるのですか?
また綱渡りのようなスケジュールですが、事情は掴めました。

では、わたくしは一旦皆さんと同行してオランに帰り、賢者の学院に赴きノーヴァテリウスに調査員を派遣してもらいます。
すぐにノーヴァテリウスが落ちるのであれば不要ですが、「いつ落ちるか分からない」まま何日も過ぎるようであれば、「いつ落ちる」か調べる必要が生じるでしょうから。
エクレールにはノーヴァテリウスに残ってもらい、「手鏡の部屋」を用いて村人全員を避難させ、わたくし達が戻るまでの間、くもふね村のお世話をしていただきます。
すぐに落ちる事態になっても、「手鏡の部屋」は壊れないだけの強度をもっていますから、生活基盤のある村から離れず避難するには最適でしょう。

生贄にされそうになっていた少女については、運ぶ手段が無いので一旦エクレールに任せるつもりですが、それでよろしかったでしょうか?

■エクレール To:ミルフィーユ、ALL
恐れながら、ミルフィーユ様。
それでは、「魔法の絨毯」の管理が出来なくなってしまいます。
ここは、オランで別れる時点で「絨毯」を返却していただかなければ問題が生じます。

■ミルフィーユ To:ALL
確かに……。
それでは、オランに到着しましたら「魔法の絨毯」を返して頂きます。

しかし、「魔法の絨毯」が強力な魔法の品である事は認めます。
問題を円く収める対案があれば、聞く事もやぶさかではありません。

折角の申し出であったが、そこまでしてコルネリア侯爵家に「借り」を作る理由も見つからず、一行は特に声を出すことなく頭を振った。
それを見たミルフィーユも納得して、申し出を取り下げた。
オランが救援団を輸送するにしても、「魔法の絨毯」は如何無く威力を見せつける事だろう。
■キューレ To:ALL
じゃあ、村の事はがんばるよ。
あと、この武具をネイサンのおじさんに返してほしい……いいかな?

そう言って、グランド・レイピアと革服を渡した。
一行はそれを受け取ると、夜の闇空を「魔法の絨毯」に乗ってオランに急行した。

ネイサンとの約束には多少遅れる事になるが、この際仕方ない。

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GM:支倉真琴