自由人の街道、ガソ山の麓近く |
オランを出発してから、何事も無く3日目が過ぎようとしていた。
ネイサン商会の準備は万端で、12時間ごとの替え馬と御者の交代、円滑な食料の補給、どれを取っても問題は無く、それなりに快適な輸送任務と言えた。
2台の馬車の先頭に一行の全員が乗り込み、後から付いてくる馬車は、(出来るだけ助けてほしいが)いざとなったら切り捨てて良いことになっていた。
月も昇り、夜も深まりつつある。
回りは、月明りとランタンの光だけが頼りだ。
雲もなく星が瞬き、湿度も快適で、前方からそよ風が吹く程度だ。
回りは山側(左側)は森だが街道まで10mほどは開けていて、木々が生えているところから登り斜面になっている。もう片方(右側)は海まで草原が続いているように見え、遠くに村の灯かりも見える。
不意に前方から『血の臭い』が漂ってきたと思ったのと、街道に5本の柱が立っているのを確認したのが、ちょうど同じ頃だ!
5本の柱には、何やら人らしきものが括り付けられている。
■ネイサン To:ALL |
何ですか、あれは? 馬車を“止めて”確認しましょうか? |
その時、睡眠中のゼファルディートが飛び起きた!
■ジン To:ALL>ネイサン |
なんとも嫌な気が漂っているな。 ネイサン、まずは一旦停止して様子をみよう。 |
それを受けてリフィルも目を覚ます。
■リフィル To:ALL |
漸く来たか! 敵は何処だ、数と編成は? (クロスボウモード) |
■アール To:リフィル |
あわてなさんなって。 見えない敵に撃とうってのかい(笑) |
■レイス To:アール |
(一応弓を用意しつつ) …どこにいるかわかるかい? |
5本の柱から60mのところで馬車を止め、ゼファルディートの指す場所を見たが暗くて良く分からない。
ここから茂みまでは30m程しか離れていないが、斜面は東側にある為、月明りの影になっている。
念の為、馬車の荷台を茂み側に向け、撃たれても馬に被害が無いようにする。
後ろの馬車も、それに倣う。
■アール To:ジン |
足止めが目的だろうけど、あれ自体が罠かもしれないし。 ここからじゃ、距離もあるし暗くて…ねぇ ジンとゼファの“目”ではなにか見えない?できたら、回りに潜んでないかみつけられると助かるんだけど…。 |
■ジン To:ALL |
まずは相手の姿かたちを拝もうじゃないか。 矢を一本貸してくれ。「ライト」をかけて射掛けてみるってのはどうだ? |
■アール To:ジン |
矢ならもうリフィルの弓に収まってるよ。 そのまま呪文をかければ? |
■レイス To:アール |
それはいいアイデアだね。ただ射掛けるなら素早く頼むよ。 |
■リフィル To:ALL |
OK、威嚇の意味も兼ねて景気良く行こうか。 で、何処に向けて撃てばいい? 柱の方か?それとも、別の場所か? たちまち、一発撃つと、柱の位置までに再装填出来るか微妙だがな (借り物のヘビークレイクィンクロスボウは有効射程距離…250m) |
茂みの「だいたい」の位置に、ライトのかかったクォレルを打ち込むと、流石にいくばくかは隠れているが、こちらを狙う大型のクロスボウの一部が照らし出される。
しかし、射手はその場から離れたようだ。人の姿は、未だに確認できない。
しかし、敵との距離が既に詰まっている事は解かる。
■ネイサン To:ALL |
相手は、「話して分かる」手合でしょうか? 獣でなければ良いのですが。 |
■ジン Toネイサン、:ALL |
獣は弩を射ったりはしないさ。 しかもあの大きさ・・・ こいつは他にも罠を仕掛けて待ち伏せてると見て間違いないだろう。 まずは斥候を放つ。 タークスなら夜陰に乗じて探りを入れられるかもしれんしな。 |
猫のタークスを降ろし、増光された目で周囲に探りを入れる。
相手の姿は見えない……しかし、何かが近づいてくるのが分かる!
今、敵とタークスが接触する事態になるのは危険な気がしたので、即座に馬車に戻した。
■ジン To:ALL |
まずいな。姿を消す能力を持ったやつかもしれん。 みんな、背後を取られないようにしながらネイサンを護衛するぞ! |
■アール To:ジン |
タークスではキツイだろう。ヘタすると野生の獣より危険だぞ。 もし可能ならストーンサーバントを囮に差し向けたらどうだ? うまくすれば敵を発見してくれるし、相手が攻撃してくる方向から見極めることもできるかもしれない。(もっとも、呪いの悪影響がなにもなければ…だけど) |
■ジン To:ALL |
相手が山賊の類ならいい考えだが・・・いや、ダメだ。 例の襲撃者なら、目的はネイサンだろう。 戦力は分散させない方がいい。 |
幸い、姿は見えなくとも適が近づいていることは察知できている。
一行は、馬車を守るように敵を迎え撃つ作戦を取ることにした。