銀の網亭・個室 |
武器貸与の手続きが終わった事を見届け、帰ろうと扉のノブをネイサンが触ったとき、ゼファルディートとリフィルが天井を見上げ叫んだ!
しかし僅かに遅く、天井を石柱が突き破る!
■レイス |
ぐあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!! |
部屋中に瓦礫が飛び散り、視界は砂埃で真っ白だ。
■ゼファルディート To:ALL |
……けほっ! みなさん、だいじょーぶですか? |
しかし素早くマントで衝撃と粉塵を避けたゼファルディートとリフィルには、更に空から羽根より少し早めに落ちてくる片翼の人影が、石柱に被さるように落ちてきたのを見た。
■ゼファルディート To:ALL |
……なんか、石柱に人影が見えた気がするっ! |
■リフィル To:ゼファルディート&ネイサン |
こっちは問題ない 依頼人無事か?! |
■ネイサン To:リフィル |
ええっ、なんとか無事です! この砂煙凄まじいですね。 |
言うが早いか、ゼファルディートは人影を見た石柱の方へ駆けてゆく。
程なく砂埃も収まり、視界も開けてくると、石柱の上に倒れているのは背中から翼を一枚生やした少年であることが確認できた。
もう一枚は、どうやら怪我で折れてるようである。
薄絹の服から透けて見える身体の怪我が痛ましく、放置すれば確実に死を迎えるだろう。
それを見たネイサンは、反射的に負傷した少年に素早く駆け寄った。
■ネイサン To:少年 |
おいきみ、どうしたんだ! |
しかし、既に気を失っていることが確認できたにすぎない。
■ゼファルディート To:ネイサン |
……どうやら人間ではないみたいですね。 それに、ひどいケガ、このまま放っておく訳にはいかないですね。 なにか治療できる道具でもあればいいんだケド……。 |
ゼファルディートは瓦礫の中から添え木になりそうなものなど、応急処置に使えそうなものがないか物色し始めた。
しかし、ネイサンの声に何事かと反応しつつも、被害を被った組は未だ瓦礫の下から這い出してくるのがやっとだった。
■アール To:ネイサン>ALL |
ネイサンさん、どうしたん…(ゴホゴホ) いや、その前にいったい何があったんだ? |
負傷しているのが少年らしいことは見て分かったが、前後の展開に頭がついていけないようだ。
■レイス To:ALL |
うう…みんな大丈夫か。いたた… |
■ジン To:レイス、ALL |
・・・ああ、なんとかな。 くそっ、さっそくネイサンを狙っての襲撃じゃないだろうな!? |
■お供のアラン To:ネイサン |
ネイサン様……ごほっ、大丈夫でしたか…ごほっ、ごほっ。 |
お供の初老の男も無事だったようだ、埃を吸って咳込んでいる。
■ネイサン To:お供のアラン |
私は大丈夫だ、それより怪我人だ、道具を取ってくれ!。 |
お供のアランは瓦礫の中からカバンの一つを引きずり出すと、カバンをネイサンに手渡した。
そのカバンの中身は医療道具だった。
「商人」ネイサンは、それを使って手際良く治療を施し始めた。流石にレイスほどの腕前ではなさそうだか、どうやら「医師」でもあるらしい。
■レイス To:ネイサン>少年 |
む…これはいけませんね。 失礼します。 |
レイスはそういうとネイサンをやんわり押しのけ両手を少年の傷口近くに添える。
■レイス |
我等が父たる至高神よ… |
レイスはファリスの奇跡を試みた。治療の効果はわずかではあるものの傷口は浅くなった。
■レイス To:ネイサン>ALL |
(主よ感謝します) …とりあえず止血は出来たはずです。できれば清潔な場所に移したいところですが。 |
■ゼファルディート To:ALL |
良かった…… あのままではホントに死ぬかもしれなかったから。 |
ゼファルディートはすこし埃にまみれた顔に安堵の笑みを浮かべた。
ゆとりが出来たので、瓦礫の中から物色した治療に使えそうな道具を使って、残った傷も4人がかりで治療を進めていった。
生命を救うための苦労ならば、無駄など無いはずだから。
■ジン To:ALL>レイス |
その少年・・・フェザーフォルクだな。 山岳の民がなんだってオランみたいな都市にいるんだ? レイス、気をつけろよ。 フェザーフォルクは風の精霊の優秀な使い手でもあるんだ。 ・・・とはいっても、その傷では何もできんか。 |
■レイス To:ジン>ALL |
フェザーフォルク!…彼がそうなんですか…。 とりあえず注意して運びますか。ここは埃もありますし。 |
■アール To:ジン>ALL |
部屋の中でも風の精霊の力が借りれるのか? (天井の抜けた部屋を見回し) っと、とりあえずおやじを呼びにいくよ。 別室をあてがってもらわないとな。 |
■リフィル To:ALL |
なぁ?…怪我人の治療は感心なんだが… コイツは味方もしくは、ネイサンの関係者なのか? 運が悪ければ此処にいるメンバー全員、コイツ(石柱)の餌食だったんだぞ? |
■ネイサン To:リフィル |
この少年が何者かなんて知りません。しかし、2撃目は危険過ぎますね。 この『銀の網』亭の防御を突き破る攻撃なんて……。 |
■ジン To:ネイサン、ALL |
(空を見上げて)2撃目は、多分ないだろう。 この街の真ん中で、この石柱の投石ができるような投石器なんて設置したら目立って仕方ない。 仮に、街の外から巨大な投石器で投石できたとしても、俺たちの部屋へ精密に射撃できるとも思えん。 とすれば、空飛ぶ何者かが、こいつを投下してくるほかないだろう。 今見渡す限り、そういった危険なものは見当たらないな。 |
ぽっかり空いた屋根を見上げると、大きな雲は過ぎ去り青空が広がっていた。
変な妖魔や魔獣、魔術師の姿も見えない。
辛うじて残った部屋の窓の下では、突然の珍事に人だかりが出来ていた。
人だかりの中には街娘や行商人に混じって、ピエロの格好をした者や着飾った吟遊詩人、露出の高い踊り子の娘や、腰に短剣を差した革鎧の男の姿も確認できた。
向かいの建物の出窓には体重2kgほど(要は普通サイズ)に見える黒猫が、微動たりせずこちらを覗きこんでいる。
■ジン To:心の声 |
(あの黒猫・・・さっそくお出ましかな?) |
ジンは使い魔の黒猫タークスを放すと、気付かれない様に迂回させながら、向かいの建物の出窓にいる黒猫のところまで行かせた。
そうこうしているうちに、衝撃を不審に思ったおやじが下から駆け登ってきた。
■おやじ To:ALL |
なんだ? どうなってるんた? |
部屋の惨状にアングリしながらも、アール達の話を聞いて、慌てて隣りの部屋を準備した。
こう見えても『銀の網』亭は、衛視隊詰所なみの頑丈さを誇る。
特に上方からの攻撃は、何百年もの妖魔や魔術師との戦いの歴史の中で、特別に強く作られるようになっているという一般的習慣も手伝って、そう簡単には破ることのできない作りになっている……はずである。
■おやじ To:ALL |
取り敢えず、この部屋使ってくれ。 ……あの石柱、もう落ちてこないだろうな? |
そう言いながら、被害を受けた部屋を覗きにいった。
新しい部屋には、衝撃の被害はほとんど無いようだ。
ベッドにフェザーフォルクの少年を寝かせると、程なく少年は目を覚ました。
■フェザーフォルクの少年 To:ALL |
痛っ……。 おじいさん?……無事?。(東方語です) |
アールは聞いたことのない「訛り」に首をかしげながらジンに顔を向ける。
■ジン To:アール、ALL |
多分東方語だ。すまん、読解はできるが会話は勉強中でね。 |
■レイス To:フェザーフォルクの少年 |
おじいさん?(ネイサンさんの事か?) とりあえず落ちてきたのはきみだけのようだよ。 |
レイスはそういうと、仲間の為に通訳を買って出た。
■フェザーフォルクの少年 To:レイス |
落ちたのは僕だけ……?、痛っ……、生きてる。 ここは何処? ……やつは? おじいさんは!? |
■ジン To:レイス>フェザーフォルクの少年 |
レイス、何と言っているかわかるか? (精霊語で)・・・フェザーフォルクならこの言葉どうかな? 君は何者でどこから来たんだ。 俺たちの部屋に落ちてきたのは偶然なのかな? |
■フェザーフォルクの少年 To:ALL |
僕は「やつ」に突き落とされた、何処に落ちたか分からない。 「やつ」が一緒に落ちてないなら、長老が心配だ。 僕は、くもふね村のキューレ。 ……ところで、ここは何処ですか? |
■レイス To: |
ここは『ニンゲン』達のとても大きな村で「オラン」というところだよ。 まずは落ち着いて、順番に何があったのか話してくれないか? |