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SW-PBM Scenario#150 Three? materials |
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トンマーゾ薬舗 |
そのとき、オルフェとミァの足元から、突き抜けるような衝撃が襲ってきた。
目の前に開いていた穴から、羊皮紙や薬の瓶やらを巻き上げて小さな竜巻が起こり、あたりの街路樹を大きくしならせながら風がうなりをあげた。
■オルフェ To:ALL |
なんだ!? |
■ミァ To:ALL |
Σ ほよっ!? |
■レィジー To:ALL |
きゃあ! |
長い髪を押さえるレィジー。
冒険者たちのマントが、ばたばたと大きくはためく。
体重の軽いものは、体勢を崩してしまうほどの突風だ。
■??? To:ALL |
(精霊語) ……歌が消えてから季節が1つ、通り過ぎた…… |
澄んだ女性の声が響く。
一行の目の前で、竜巻はまるで生き物のように凝り固まり、徐々に裸の女性の姿をかたどっていく。
風に巻き上げられた木の枝が引き寄せられ、女性の下半身に巻きついた。
空中に浮いた半透明のその姿は、エルフにも似ていたが──ひとつ大きく異なるのは、それがおそろしく巨大だということだった。
■アリエラ To:ALL |
ま、また精霊語……。 通訳しますね。 |
またしても、同時通訳開始〜。
■ミァ To:アリエラ |
リエラっちさんくすーー(>x<) ・・・・・・てゆかミーたち、今回のお仕事で何回精霊語聞いたんでショーか…(フ) |
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) 猶予期間は過ぎ去った…… 古の約束は破られた。 お仕置きが必要だ……100年前と同じように…… |
女性が手をかざすと、地下室から何かが風に巻き上げられて浮上した。
それはガラスのように透明な短剣だったが、中には何も入っていない。
スイリンが数歩前に歩み出て、食い入るようにそれを見ていた。
■オルフェ To:ALL |
あれが、最後の宝。そして守護者という事か。 どうやらあまり好意的な雰囲気ではないね……。 |
トンマーゾの服の一部を掴み、じりじりと下がろうとする。
■キルリック To:オルフェ&ALL |
そうですね、かなりのお怒りっぷりです。 それに、宝を取られた、云々では無く、別の理由・・・石ころ達と同じ理由で怒っているみたいですね。 |
■アリエラ To:竜巻の女性 |
(精霊語) あの、ま、待ってください。 今、歌を復活させるために、4つの宝を集めているところなんです。 その宝剣で最後なんです。 もうしばらく待っていただくことはできませんか? |
■竜巻の女性 To:アリエラ&ALL |
(精霊語) 歌は約束の証明にすぎない…… 歌が途絶え、復活しないということは…… 人間たちが我々の存在を忘れ去ったことの証…… この町のために風をおこし火をおこし、大地を活性化させ、水を潤す存在を…… もう充分に理解した……人間は約束を忘れる生き物だ。 |
女性は渦巻く風の中から、宝剣をつかみ取った。
■ミリスレスカ To:竜巻の女性 |
ま、待って! 約束を忘れたわけじゃないんです、約束を果たしたくても、果たせない状態にされてしまったの! だからボクたちは、貴方たちが守っていた『宝』を集めて、再び約束を果たせるようにするために今、こうして活動しているんです! 猶予時間が過ぎてしまったことは、謝ります! だからお願い、今はその『宝』を貸して、約束を守り続けていた人を治させてください!! |
緊張に身を強張らせながら、アリエラに同時通訳を託す。
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) あの歌には「跳ね返り」がある…… 歌の魔力に歌い手が屈すれば、歌えなくなるのは必然…… 人間はそれを治す秘薬を作った。 我々は協力して秘薬の素材を宝にこめ……その力を開放する鍵をまた、人間が作った…… 歌の維持はお互いの協力が無ければできぬ…… この町に住む人間たちがそれを覚えていれば、すぐに治せたものを…… |
■スイリン |
……。 |
スイリンは下唇を噛んで、足元を見ていた。
■オルフェ To:竜巻の女性 |
それには返す言葉も無いね……忘れてしまった……か。 確かにそうかも知れないな。 だって、そうだろう? 覚えていたくても我々の寿命は短い。 約束をしたのは100年以上前の事のようだから、当時の人間は、ほとんど誰も生きていない筈だよ。 これは忘れてしまったというよりも、立ち消えてしまったというべきじゃないのかな? だから、ただ一人今まで約束を守っていた人が歌えなくなった事で、歌が途切れてしまったんだよ。 |
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) 我々とて世代交代はある……風に消え、風の中から新たな風が生まれるとき、知識と経験と記憶を譲り渡す…… 人間には言葉もある……文字もある…… なぜ伝えられない? なぜ、引き継げないのだ…… |
■オルフェ To:竜巻の女性 |
それは当事者では無い我々には分からない。その方策すらも失ってしまったのか、その努力を怠ったのか。 どうかな。もう一度、約束をしなおそうじゃないか。 そして今度はその歌を歌うのを、祭りにしてしまうというのはどうだろう? 人間はお祭りが大好きだからね、絶対に忘れない筈だ。 頼むよ、もう一度だけ人間を信じて欲しい。 私たちはもう、他の三つの宝を集めて持っている。 他の守護者達にも、歌を復活させると約束してしまったんだ。 このままでは彼らとの約束も破る事になってしまうし、今度こそ、本当に永遠に約束も歌も失われてしまう事になる。 |
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) 絶対に……もう一度…… 100年前と同じ事を言う…… いくつもの約束……古い方から忘れられていく…… 新しい約束のために、古い約束を破ったことを水に流せと言うのか…… 2度裏切られた我々に、再度怒りを収めよと言うか! |
つかみ取った宝剣を横に薙いだ。
まるで風の刃のような突風が起こり、冒険者たちの頭の上を過ぎ去っていった。
■ミァ To:竜巻の女性 |
んに? 100年以上前に約束をして。 100年前に一度破られてお仕置きだぞ☆をして。 今度は忘れるなと言って100年経った現在、しっこ・・・ゆ、ゆーよがどのくらいかはわからないですけど、とにかくそれが過ぎたから、再度お仕置きしちゃうぞーっていうワケ、で合ってまスカー? そのお仕置きがどんなのだったかも、ちょっぴり気になりつつー。 |
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) 歌が消えれば、いずれ我々は人間と約束を交わす前の存在に戻る…… 「心穏やかならざる存在」に……それも約束のうちだ…… 力つきるまで……そして風の中に消える…… |
■キルリック To:竜巻の女性 |
人が約束を違えたのに、あなたが力を使いきって消滅してしまうのは、道理と違いますね。 |
■ミァ To:竜巻の女性 |
あんたさんって、何がしたいんでスー? 人間に、あんたさんたちがやってることを感謝してもらって、すごーい!さぁっすがぁ☆って崇めれれば良いんでスー? 忘れちゃ駄目。忘れたからツミ? ミー、よくわかんないでスヨー。 確かにあんたさんたちが水とか炎とか土とか風とか、いろいろ手助けマンしてるから、この街の人間たちは助かってるのかもしれない。 けどでスヨー。そりはあんたさんたちだって、「そうしたい」と思ったからしてる部分だってあるでショー? 約束って、お互い同じ立場だからするんじゃないんでスカー? でもなんかあんたさん見てると、上うえな立場から下したの立場を見下ろしてるっぽーい、ようナー。 |
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) この土地は元々我々が住んでいた土地…… そこへ人間たちがやってきて、我々に語りかけてきた…… 人間たちは心穏やかになる歌をくれた。 我々は人間たちに力貸すことを誓った。 我々と人間たちは友人になった。助け合って生きていくことを誓った…… |
悲しげに身をよじる。
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) その恩恵だけをのうのうと受け取り、我々の存在を忘れると言うか! ならばもはや友愛の絆も、この町も要らぬ…… |
鈴なりのような声が、しだいに低く怒りを帯びてくる。
■アリエラ To:レィジー |
あの、レィジーさんは奥方さまの歌の伴奏していたんですよね? その歌、今歌うことはできませんか? |
■レィジー To:アリエラ |
……難しすぎて、私には…… ごめんなさい……。 |
竜巻の存在に怯えながら、小声で答える。
■アリエラ To:レィジー |
そうですか、いいえ、こちらこそごめんなさい。 そんなに難しい歌とは知らなかったので…。 |
■オルフェ To:竜巻の女性 |
二度も裏切られた君たちの気持ちは、完全にとまでは言わないけど分かるつもりだ。 古い約束を忘れた事を、水に流せというつもりもない。 でもだからこそ、その怒りを収める為の贖罪の機会を与えて欲しい。 神ならぬ人間の身は、過ちを犯す事もある。でも、人間は成長し、間違いを正していく事が出来る筈なんだ。 一度目の原因が、約束を伝えなかった事だとするならば、二度目の原因は伝えてゆく役目を一人の人間が背負ってしまった事だろう。 ならばその贖罪は、歌を復活させる事と、この町に住む全ての人々に君達の存在を知らせ、忘れさせない為の方策を練る事で行おうじゃないか。 それに加えて『三度目は無い』。 古い約束に加え、それを新たな約束とする事で、あとわずかだけの猶予を与えて欲しい。 |
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) 忘れさせないための……方策…… 三度目は……無い…… 人間たちよ。本当にそう約束できるのだな…… |
オルフェの目を──そして冒険者たちの目をひとりずつ見つめ、再び鈴が鳴るような声で問う。
その声の響きには、かすかな驚きと、喜びにも似た高揚感があった。
■アリエラ To:竜巻の女性 |
(精霊語) もちろんです、お約束します。 |
■オルフェ To:竜巻の女性 |
ああ、今度こそ約束は永遠の物になる筈だ……いや、してみせるよ。 |
力強く頷く。
一方その頃、足元に転がっているトンマーゾはすっかり忘れられていた。
■竜巻の女性 To:ALL |
(精霊語) 信用しよう……人間たちよ…… 古の手順に基づき歌を復活させる猶予を、次に太陽が昇るまで待とう…… この宝剣が、最後の作業…… さぁ……「鍵」を差し出すが良い…… |
宝剣の切っ先を地面に向けて持ち直し、一行の前に掲げた。
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GM:ともまり |