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SW-PBM Scenario#150
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風は鼻先に


 温泉街・裏路地

ミリィは黒ずくめの腕を支えつつ、覆面を外させながら、素早く彼の耳元に囁く。
■ミリスレスカ To:黒ずくめ
貴方の名前と、雇い主は?
教えてくれれば『ギルド』の知人――“蛇使い”に、寛大な処置を願い出てあげます。

■黒ずくめ To:ミリスレスカ
……ライト……。
雇い主はいない。俺が独断でやったことだ……。
か、風織りは悪くない……俺よりも、風を罰しないでくれと、蛇に……

■ミリスレスカ To:黒ずくめ(=ライト?)
……わかりました。
あとから、質問に伺う者も来ると思いますが……願いを叶えたいなら、”蛇使い”の名を出されない限りは適当にはぐらかしなさい。
……たとえ、”風織り”の名前を出されたとしても。

ライトの答えに様々な考えが過ぎり、聞きたいことが渦巻いていったが、ミリィはそれらをぐっとこらえ、素早く囁きかけてから顔を離した。
■ライト To:ひとりごと?
……風は…鼻先に向かってる……

無意識に漏れたのか、ぼそりとつぶやくと、ライトはそれきり糸が切れたように黙り込んでしまった。
■ミリスレスカ To:ライト
可能なかぎり、生かして捕らえましょう。貴方のためにも……。

ミリィと黒ずくめが話している最中、アーシリーは衛視とおばさんに先ほどの状況を詳しく説明していた。
■ミリスレスカ To:黒ずくめ(=ライト?)
……大丈夫なようですね。
衛視さん、この人は片足を痛めています。歩けるようではありますけど……だいぶ、つらいみたいです。
それに、少し熱も出ているようですから、もしかしたら折れているかもしれません。
街中で毒を使うような卑劣な輩ですが……今日のところは、無理な尋問はしないで、少し休ませたほうがいいかもしれませんよ?

■若い衛視 To:ミリスレスカ
そ、そうですか。まぁ、ひとまずは牢に入れて、しゃべれないようなら明日から尋問することにします。

■ミリスレスカ To:若い衛視
あの……すみません。万一のこともあるので、宿まで付き添っていただける方を呼んでいただけませんか?

■若い衛視 To:ミリスレスカ>おばさん
あ、はい。ここに来る前に応援を呼んでいるので、もうすぐ何人か来ると思います。

あなたも、もういいですよ。ありがとうございました。

■おばさん To:おばさん
まったく、怖いわぁ。ちゃんとパトロールお願いしますよっ。

ぶつぶつ言いながらおばさんは戻って行った。
■ミリスレスカ To:若い衛視
あれ? ちょっといいですか? 首筋に、なにか液みたいなのが……触らないで!
もしかしたら、さっきのがまだ……?

ローブの裾をたぐり寄せて、若い衛視の首筋に、慎重な面持ちで近づけていくミリィ。
■若い衛視 To:ミリスレスカ
えっ、えっ!? 毒ですか!?

衛視は慌ててミリィの方に身をかがめた。
ミリィは若い衛視の髪を、そうっとかきあげ……その首筋にあの印がないかどうかを探る。
そこには……あのアザは無いようだった。
■ミリスレスカ To:若い衛視
あ……ごめんなさい、夜露を見間違えたみたいです。緊張が解けなくて……驚かせてしまって、すみませんでした。

衛視の首筋を優しくぬぐってから、ミリィは小さく舌を出し、悪戯っぽい少女そのものの笑みを浮かべてみせた。
■若い衛視 To:ミリスレスカ
あ、いえいえ。どうも。

しばらくして、応援の衛視が2人、小走りでやってきた。女性と中年男性の二人組だ。
若い衛視が事情を早口で説明する。
■若い衛視 To:衛視二人組
では、よろしくお願いします。

■女性衛視 To:若い衛視>アーシリー&ミリスレスカ
了解。では、宿までお送りしましょう。

■ミリスレスカ To:女性衛視
はい、お願いします……。
「まどろみ子ぎつねのしっぽ亭」って、こっちでいいんでしたっけ?

ミリィはわざと、反対の方向を指差して見せた。
■女性衛視 To:ミリスレスカ
いえ。こちらですよ。

反対方向を指し示し、ふたりを促す。
その反応を見てからはじめて、ミリィは女性衛視のほうに歩みだしていった。
 まどろみ子ぎつねのしっぽ亭

しばらく歩くと、すぐにその看板は見えて来た。
ふさふさのしっぽをこちらに向けて丸くなった、かわいらしい子ぎつねのレリーフが彫られている。
アーシリーが受付で手続きを済ませる。最後の一部屋が運良く空いていたようだ。
■ミリスレスカ To:衛視たち
とりあえずはもう、大丈夫だと思いますけど……もしよければ、この辺りの巡回は念入りにお願いします。
じゃあわたしはこのあと、キープしてある宿に行きますから……本当に、ありがとうございました。

■女性衛視 To:ミリスレスカ
いいえ。こちらこそご協力感謝します。
巡回は今夜から強化することにしましょう。では、これで失礼いたします。

敬礼して去ってゆく衛視たち。
アーシリーと一緒に宿の出口まで衛視を見送り、深々と頭を下げるミリィ。
そして、衛視が振り返るのとタイミングを合わせたように、膝からぺたりとへたり込み……そのままの姿勢で、上半身が仰向けに倒れこんだ。
■アーシリー To:ミリスレスカ
ミリスレスカ?

あわててミリィのそばで膝を折り、顔を覗き込むようにしながら頬に触れる。
■ミリスレスカ To:アーシリー
あ……あれ……?

きょとんとした顔で、何度かまばたきして……起き上がろうとじたじたと動いたものの、またすぐにぐったりしてしまう。
■ミリスレスカ To:アーシリー
いま、ボク……え? あ、あのすみません、その……ホッとしたらちから、ぬけちゃって……?
う……うごけ……な、い……???

今更ながらに緊張の反動が来たのか、顔面は蒼白で、妙な汗までかきはじめている。
■アーシリー To:ミリスレスカ
まぁ……
無理していたのですね、かわいそうに……
大丈夫ですか? 立てますか…?

ミリィの頭の後ろにそっと自分の左手を入れ、上半身だけ抱き起こしてあげる。
腕の中にやさしく包み込むようにしながら、ミリィの顔を心配そうに見つめた。
■ミリスレスカ To:アーシリー
あ、ありがとう……ございますぅ……。
『切り替わっちゃった』直後って、いっつも……疲れるんですけど……今回は、なんだか……いつもより、ひどい……かな……?

歯を食いしばって立ち上がり……ふらふらして倒れそうになる。
■アーシリー To:ミリスレスカ
辛そうですね……無理せず、わたくしの部屋で休んで……

ミリィの腕を支えてあげながら、言いかけるアーシリー。
■ミリスレスカ To:アーシリー
だ、だいじょうぶじゃないですけど、でも……みんなに、伝えないといけない……こ・と・がっっっ!

懸命な努力で踏みとどまると、ミリィはふらふらと、外に向けて歩き出した。
■アーシリー To:ミリスレスカ
み、ミリスレスカ。

腕を離れたミリィを、心配そうに立ち尽くして見つめる。
■ミリスレスカ To:アーシリー
みんなの所に着くころには、回復する……と思います……たぶん?
だから、アーシリーさんは……ゆっくり、休んでください……お礼とか、巻き込んじゃったお詫びとかは……また、明日……ゆっくりと、させて……くださいね……?

力無い足を無理矢理動かさせ、生き返ったばかりの死人のようにおぼつかない足取りで歩みを進める。
■アーシリー To:ミリスレスカ
わかりました……わたくしのほうこそ、お礼をさせてくださいね。
気をつけて、ミリスレスカ……。

アーシリーはミリィの姿が見えなくなるまで、宿の入口で見送っていた。
その時、唐突にチャイロンとのリンクが復活した。
地面を歩くチャイロン、目の前にはリュントとアリエラの足が見える。
場所は温泉街の入口だ。
会話の内容から、ふたりは「天の絹糸亭」を目指しているらしい。
■ミリスレスカ
行き先は「天の絹糸亭」みたい……? よかった、まだ間に合いそう……!

わずかずつではあるが薄まりつつある睡眠への誘惑と戦いながら、ミリィは「天の絹糸亭」を目指した。

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GM:ともまり