SW-PBMトップへ Scenario Indexへ |
SW-PBM Scenario#150 Three? materials |
---|
このシナリオのトップへ | ←前のページ 次のページ→ |
---|
温泉街・裏路地 |
■ミリスレスカ To:アーシリー |
まだ、仲間がいるかもしれません……周囲の警戒を、お願いします。 |
こくりと頷き、辺りに視線を走らせるアーシリー。
ミリィはそこに、静かに近づいていった。
フェロニエールから手を離すと同時に、ヘビー・メイスを抜き放つと両手でしっかり握りしめ、黒ずくめの男の頭めがけて素早く振り下ろす!
■黒ずくめ |
ぐゃっ!? |
つぶれたような悲鳴。
メイスはど真ん中とはいかずに、かすかに黒いフードをかすめた程度だったが、男を魔法の眠りから覚ますのには充分な刺激だった。
■黒ずくめ To: |
な、なんだ……あ、ああぁ。 |
急に視界が明るいことに戸惑っているのか、首だけ動かして辺りを見回す。
■ミリスレスカ To:黒ずくめの男 |
これ以上痛い目に遭いたくなければ、うつ伏せになって、両手を頭の上で組みなさい! |
■黒ずくめ To:ミリスレスカ |
くっ……くそっ……。 |
瞬時に自らの置かれた状況を把握したようだ。
観念したように唇を噛むと、素直に言われた通りの体勢をとった。
■アーシリー To:ミリスレスカ |
……何とか、殺めずにすみそうですね……ミリスレスカ。 |
ミリィの手が汚れることの方を心配していた、といった様子で、安堵のため息をついた。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
ええ、運が良かったですね……彼の。 |
■アーシリー To:ミリスレスカ |
……。 |
ほとんど感情の籠もっていない冷淡さでつぶやくように答えながら、ミリィはしゃがみ込んでヘビー・メイスを脇に置き、男の右腕を腰の後ろまで捻りあげると、そこを片膝で押さえた。
容赦なく左腕も同じ位置まで持っていき、ウィップを取り出して手首を縛りはじめる。
■黒ずくめ To:ミリスレスカ |
う、うう…… |
■ミリスレスカ To:黒ずくめ |
色々と、聞きたいことはありますが……ここで自ら命を断たれるわけには、いきませんし。 |
さらに、履いているズボンを足首まで引きずり下ろして、さらに自由を奪おうと試みる。
男は抵抗する気力も無いようだ。ひたすら奥歯を噛んでいる。
■ミリスレスカ To:黒ずくめ>アーシリー |
おとなしくしていてくださいね? 下手に避けようとすると、つらいですから。 すみません、少し離れていてください……お洋服が、汚れますから。 |
そして返答も待たずに、身動きが取れなくなった男を、再び両手で構え直したヘビー・メイスで無表情にどつき始める。
■アーシリー To:ミリスレスカ |
み…… |
アーシリーが何かを言いかけた時、すでにヘビー・メイスは黒ずくめの背中に深々とめり込んでいた。男は言葉にならないうめき声を漏らす。
唇はだらしなく開かれている。すでに失神寸前だ。
■ミリスレスカ To:黒ずくめ&アーシリー |
浅かった、です。もう一度…… |
■アーシリー To:ミリスレスカ>大地母神 |
おやめなさい、ミリスレスカ。 慈悲深き母なるマーファよ、我が視界から敵意を奪い給え。 |
アーシリーは静かにマーファへと祈りを捧げた。「ピース」の祈りだ。
手を組み合わせたアーシリーを包む空気が、まるで日だまりのようにあたたかく平穏なものに変わっていくようだった。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
ど、どうして……? 意識を奪っておかないと、安心して連行できない……です……。 アーシリーを守れるのは、今は……わたし、だけ……なのに……。 |
自らの心に及ぶ祈りの力に戸惑いを感じて、メイスを持つミリィの手がわずかに緩む。
■アーシリー To:ミリスレスカ |
もう充分でしょう。両手を縛られ、両足も拘束されている今、この者に反撃を行う余力はありません。 衛視の方に引き渡し、取り調べを受けてもらいましょう。 ……。 |
ミリィの前で膝を折り、メイスの柄を握るミリィの手を、両手でそっと包んだ。
その指はわずかに震え、冷たい。
■アーシリー To:ミリスレスカ |
力のみで相手を屈服させようとしては、いつかその力に自分が飲まれます。 強い光で照らされれば濃い影ができるように、強すぎる力は自らに深い影を落とします……。 わたくしを守ろうとしてくれたのですか……。ありがとう。 |
傷ついた表情でそう言った後、疲労を振り払うように首を振った。
ミリィはそんなアーシリーの手に、彼女よりも更に冷たい両手を重ねながら、不思議そうに小首をかしげる。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
『力のみで相手を屈服させようとしては、いつかその力に自分が飲まれる』……? 『強すぎる力は自らに深い影を落とす』……? ……。 ――ああ、それは……? |
無感情な昏い瞳でアーシリーを見つめかえし、淡々とつぶやいていたミリィの表情に、唐突に鋭さが戻った。
近づいてくる足音と声に、意識が集中していったためだ。
■若い男性の声 To:? |
割れた音……ですか? ふむ…… で、屋根を走る音がしたと? |
■おばさんの声 To:若い男性の声 |
そうですよ! 最初はネズミかと思ったけど、声もしたから。 泥棒じゃないのかしら。早く調べてよ、衛視さん。 |
裏路地の入口あたりから声が聞こえる。
どうやらこちらに向かって歩いて来ているようだ。
■ミリスレスカ To:アーシリー&黒ずくめ |
夜とはいえ、街中で毒ガスを使うような輩と、その依頼人が相手です。 この人にも知らせずに、偽の衛視を待機させている可能性があります……。 さっき塔で出会った衛視に直接手渡したほうが、粛正を回避できる可能性が高いぶん、この人にとっても安全だと思いますよ? |
■アーシリー To:ミリスレスカ |
さきほどの……ですか。 しかし、あの塔までけが人を連れ歩くのは…… |
■ミリスレスカ To:アーシリー |
いいえ。この近くに、仲間が向かった宿屋があります。 ラーダの神官もいますから治療もできますし、彼らもさっきの衛視とは面識があります。 |
■アーシリー To:ミリスレスカ |
そうでしたか…。 |
黒ずくめは応えない。もはや唇を動かす気力すらないらしい。
わずかに躊躇したあと、ミリィはアーシリーの掌からそっと手を離すと、フェロニエールを拾いあげた。
そして素早く立ち上がると、ミリィは呪文の詠唱に備えて右手を高くかざし、精神を研ぎ澄ませていく。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
でも、彼を引き渡すのか否かは……アーシリー、貴女の判断にお任せします。 貴女にミリィを嫌いにさせたくて、今、こうしているわけではないですから。 |
そしてミリィは、古代語魔法を発動させた。
■若い衛視 |
う、うわわっ!? |
■おばさんの声 |
わひゃっ!? |
素っ頓狂な叫び声が聞こえてくる。
突然現れた巨大な黒い塊に、度肝を抜かれているようだ。足踏みする音が聞こえて来る。
■アーシリー To:ミリスレスカ |
……わたくしはここで衛視の方に事情を説明します。 目撃者がここを離れるわけにはいきません。それに…… わたくしは……疑うところから始められないのですよ……ミリスレスカ、それに承服できないのなら、今のうちに立ち去るのが良いでしょう。 |
毅然とした声で、しかし瞳にはわずかに哀しみをたたえながら、言った。
■ミリスレスカ To:アーシリー>黒ずくめ |
いいえ、言ったでしょう? 貴女の判断にお任せします、と……。 腕の拘束は、まだ外しません。もし逃げようとすれば……わかりますね? |
黒ずくめは震えるように、弱々しく頷いた。
ミリィはしゃがみこむと、「黒ずくめ」のズボンを上げ、彼を立たせるのを手伝ってやった。
そして「黒ずくめ」の脇の下から腕を入れ、痛めているほうの足を気遣うように身体を支えると、ゆっくりと闇の向こう――衛視の声がしている方へと、連れだって歩き始めた。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
『力のみで相手を屈服させようとしては、いつかその力に自分が飲まれる』……。 『強すぎる力は自らに深い影を落とす』……。 ――ああ、それは……。 |
闇の向こうから、ミリィの囁きが聞こえる。
重く引きずる足音と一緒に、囁きも遠ざかっていく。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
それは……力ある者にしか、言えない言葉です……。 優越感で裏打ちされた、強者にとって都合のいい警句です……。 それがマーファ神の教えだというのなら……わたしは……ボクは……マーファ様からは、愛される資格がないんでしょうね……。 |
■アーシリー To:ミリスレスカ |
……マーファの戦いは、自衛のための戦い。 体の自由を奪った相手を一方的に殴りつけるような戦い方は、無用な血を流すもの……マーファの御心に背くものです。 ミリスレスカ、あなたは強いのですから……それだけ命の重みが両腕に宿っていることを忘れないでください……。 けれど、さきほどの行動がわたくしを守ろうとしてくれた結果だということは、ちゃんとわかっています。……そして、誰かを守ろうとして行動する者を、母なるマーファは見捨てたりしません。 マーファも……わたくしもですよ。 |
何かを願うような、やさしく静かな祈りの声が、ミリスレスカの背中から聞こえた。
■ミリスレスカ To:アーシリー |
ありがとう。それと……………。 ごめんなさい。 |
闇を抜けたミリスレスカは、疲れきった体から引き剥がすようにして「黒ずくめ」を前に押しやり、毅然とした表情と声で若い衛視に声をかけた。
■ミリスレスカ To:若い衛視 |
この近くで、毒薬を使う暴漢に襲われました。この人が、その犯人です。 それと、後ろの闇を発生させたのは、わたしです……すみません、この人の仲間が来たのかと思って、魔法を使ってしまいました。 襲われたのはわたしの他に、あとから来るアーシリーさんと言うマーファの司祭様です。二人で宿に向かっているところを襲われて……彼女の判断を聞く前に、わたしが独断で取り押さえました。 |
■若い衛視 To:ミリスレスカ |
ど、毒薬!? そ、そうでしたか…あの、お怪我は…なさそうですね…。 |
■おばさんの声 To:ミリスレスカ |
ど、泥棒じゃないんだね!? こいつが屋根にいたんだね!? |
■アーシリー To:おばさん |
そうです。狙われたのはわたくしたちのみのようです。 ご安心ください。 |
闇から抜け出てきたアーシリーが、興奮ぎみのおばさんの質問を引き取った。
■アーシリー To:若い衛視 |
ですが、襲われた理由に心当たりはありません。 まずはこの者を確保していただけませんか。 その後何かあれば、連絡先をお伝えしておきますので、お呼びだていただければいつでも応じます。 彼、ミリスレスカは勇気を持って暴漢を取り押さえました。 そのためにかなり疲労しています。 どうか、無理な事情聴取はご容赦くださいませんか。 |
■若い衛視 To:アーシリー>ミリスレスカ |
か、彼? …わ、わかりました。 ご協力感謝します。 |
妙なところがひっかかったようだが、慌ててミリィに対し頭を下げた。
■ミリスレスカ To:若い衛視>黒ずくめ |
いえ、お気になさらず……それではあとは、よろしくお願いいたします。 一人で、歩けますか? |
■黒ずくめ To:ミリスレスカ |
あ、ああ…… |
弱々しく頷く黒ずくめ。
片足を痛めている相手を気遣って、歩きだすのを支えてやるように、ミリィは彼の腕を取った。
このシナリオのトップへ | ←前のページ 次のページ→ |
---|
SW-PBMトップへ Scenario Indexへ |
SW-PBM Scenario#150 Three? materials |
---|---|
GM:ともまり |