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SW-PBM Scenario#150
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突然の襲撃者


 温泉街

トゥルエノから教えてもらった道順通りに、夜のトールクーベの町を歩くミリィとアーシリー。
地図と照らし合わせてみると、目指す宿は「猛る熊の鼻先亭」とかなり近いようだ。
まだまだ喧噪の続く市場を離れ、温泉街へと入ると、通りを歩く人影も減って、しっとりと落ち着いた町並みが続いた。
とは言え、そこかしこの宿からは酒に酔った旅人の笑い声や、吟遊詩人の歌声が聞こえてきたりするので、寂しくはない。
ふしぎなにおいが、夜風に紛れて漂ってくる。
市場と違って明かりが少ないため、アーシリーは手持ちのランタンに火を灯した。
■アーシリー To:ミリスレスカ
あなたのような年頃の子が、もう冒険者として活躍しているのですね。
わたくしにも同じような年頃の弟子がいますが、まだまだ本当の力の使い方を理解してはおりません。
さきほどの一件での対応、熟練の冒険者と見まごうものがありましたよ。

ランタンの炎を見つめながら、ミリィを褒める。
■ミリスレスカ To:アーシリー
え? そ、そんなコトないですよぉ(照)
ボクは実家の都合で、お師匠さまを押し切るようなカタチで冒険者になっちゃったから、本当はまだ修行中みたいなものですし……。
それに、さっきのは……さっきのは、ええと……またいつもみたいに、『切り替わっちゃってた』だけ、っていうか……。

人通りの少ない周囲を警戒するように、ランタンの照らすほうに目をそらしつつ、ぽそぽそと呟くミリィ。
真っ向から褒められることがあまりないので、照れている。そのせいで普段よりもさらに幼く、女の子っぽく見えた。
■アーシリー To:ミリスレスカ
『切り替わっちゃった』ですか? 何事も切り替えは大事ですよ(にこ)
それに、常に修行中という気持ちを持っていれば、どんな困難にも立ち向かう勇気が湧いてくるというものです。

照れたミリィにやさしく微笑みかける。
■ミリスレスカ To:アーシリー(>心の声?)
は、はい……♪
(なんだか、すっごくおちつく……アーシリーおねぇさま、優しくて素敵……♪)

──と、そのとき。

パンッ!!
上空からいきなり足元に何かが叩き付けられ、ガラスが弾ける音がした。
同時に、足元からふわっといい匂いが漂ってくる。
■アーシリー To:ミリスレスカ
……これは……

記憶の何処かに残っていた異臭の正体に眉をしかめつつ、背負っていた盾を取り出しながら、ミリィはアーシリーに向けて叫んだ。
■ミリスレスカ To:アーシリー
――『バッド・ジョーク』っ!?
吸わないでっ、毒薬です!!

厳しい表情で頷き、すばやく口元を袖で押さえるアーシリー。
どうやら彼女にもその正体がわかっているらしい。
ランタンに照らされた足元には、ガラスの小瓶が割れて粉々になっていた。
ふたりとも、何とかその匂いの影響を受けずに済んだようだ。
■ミリスレスカ To:?
いったい、誰っ!? どっちを狙ってるのっ!?

小瓶が飛んで来た方向に視線を走らせると、1階建ての民家の屋根の上に黒ずくめの人影が潜んでいるのが見えた。
すっぽりとかぶったフードの中の顔はよく見えない。
■黒ずくめ To:ミリスレスカ
……。

先制攻撃が効かないことを見ても動揺した様子はない。
もういちど黒マントの中に手を入れた。
■ミリスレスカ To:黒ずくめ
問答無用、ですか。だったら――覚悟はしてきていますよね、下朗め!

可愛らしい声はそのままに、ミリィは怒りに満ちた言葉と視線を黒ずくめに叩きつけた。
同時に一瞬だけアーシリーの様子を確認したあと、黒ずくめに向けて力強く踏み出す。
■ミリスレスカ To:黒ずくめ
どうせ、尋問しても無駄なんでしょ?
だから、容赦なんてしてあげません!

アーシリーとの心暖まるひとときを阻害されて、完全に『切り替わっちゃった』状態に入ったミリィは、黒ずくめの鎮圧に取り掛かりはじめた。
■黒ずくめ To:ミリスレスカ
(ヒュッ)

短く息を吐く音が聞こえて、再びミリィの足元に小瓶が投げられた。
パン! と地面に当たって砕け、またも強いガスの匂いがふたりを包む。
■アーシリー To:ミリスレスカ
花の……香り?

ミリィは発動体のフェロニエールを左手の中に滑り込ませると、アーシリーをかばうように一歩踏み出し、黒ずくめを中心に『ダークネス』を唱えた!
■黒ずくめ
……!!

まだ漆黒とは言えない夕闇の中では、その完全なる黒い空間ははっきりと浮かび上がって見えた。
屋根の上にぽっかりとできた小さな魔法の闇の中に、黒ずくめの姿は飲まれたのだ。
■アーシリー To:ミリスレスカ
何者なのでしょう……。
不意打ちとは卑怯な……。

アーシリーには心当たりが無い様子だ。
■ミリスレスカ To:アーシリー
何者であろうと……か弱い相手に毒まで使うような卑劣漢は、悔恨をこの目にするまで赦しません!!

■アーシリー To:ミリスレスカ
ミリスレスカ……しかし、命までは取ってはいけませんよ。

勇ましいミリィに一瞬不安を覚えたのか、諭すように言う。
厳しい表情のまま再び屋根の上に視線を戻した。
■ミリスレスカ To:アーシリー
それは……相手の出方しだい、です。
さあ……どう動く?

■黒ずくめ
(チッ)

小さく舌打ちの音が聞こえた気がした。
黒ずくめがいる(と思われる)黒い空間は、ミリィたちとは反対側の方向へといきなり走り(?)始めた。
そして、屋根のふちに差し掛かったところで、落ちた。
地面で倒れたのか、着地できたのかはわからないが、「バシャッ」という水たまりの音が聞こえた。
■ミリスレスカ
退いた? 闇視……それとも?

■アーシリー To:ミリスレスカ
落ちましたね……。闇の中とあれば当然でしょうか。
とにかく、衛視の方を捜してきましょう。

■ミリスレスカ To:アーシリー
――いえ、奴を確保しましょう。

言うが早いか、アーシリーのほうに手を伸ばし、目線でランタンを渡すように訴える。
■アーシリー To:ミリスレスカ
……わかりました。

ミリィの意図を汲んで、ランタンを渡す。
受け取ったランタンを手に、ミリィは落下音がした地点めざして走り出した。
■ミリスレスカ To:アーシリー
アーシリーさん、ついてきてください!

アーシリーは頷き、濡れてまとわりつくスカートに難儀しながら、ミリィに遅れまいと走り出す。
 温泉街・裏路地

民家の裏手に走り込むと、そこは家々から漏れる明かりがほとんど届かない、暗く細い裏路地だった。
ミリィの持つランタンが無ければ、闇夜のカラスで『ダークネス』の塊も発見できなかったかもしれない。
ともかくもそれは、裏路地の地面、水たまりのところにあった。
■ミリスレスカ To:アーシリー
見つけた……アーシリーさん、ランタンを持っていてください

アーシリーは小さく頷くと、ランタンを受け取った。

照らされた光に浮かび上がる闇の塊は、下部をわずかに地面にめりこませた状態で、うろうろと動いている。
闇の中から、パシャパシャと水の音が聞こえた。
■アーシリー To:ミリスレスカ
見えませんね……。
どうしましょう? 捕縛するにも相手が見えないことには……。

■ミリスレスカ To:アーシリー
いえ、見えなくても「居る」ことさえわかれば……とりあえず、こうしてみます。

アーシリーが言葉を終えるより早く、ミリィは既にフェロニエールを持った左手を突き出し、詠唱為の集中へと入りはじめていた。
闇から10メートルほど距離を置いたところで、音と動きを頼りにだいたいの「中心点」を割り出しつつ、魔法の闇の球体を包み込むように『スリープ・クラウド』を詠唱する。
■黒ずくめ
…!? …う…。

男のくぐもった声が聞こえた。
ばしゃん、と大きく水面を打つ音がして、闇の球体の下部が大きく地面にめりこむ。
それっきり動かなくなった。音もしない。
■アーシリー To:ミリスレスカ
眠りの雲…ですね。お見事です。

ほぅ、とひとつため息をつく。
■ミリスレスカ To:アーシリー
まだです……あと一押しを行きます。上手くいけば、殺めずに済むのですけど……。

今度は『ライト』を詠唱し、アーシリーのランタンに付与する。
『ライト』の発動を確認したミリィは、アーシリーと魔法の「闇」を交互に見守りつつ、得物の柄へと手を伸ばしていった。
■ミリスレスカ To:アーシリー
アーシリーさん。あの「闇」が消えて奴の姿が見えるまででいいので、ゆっくりと近づいてください……できるかぎり、静かな足取りで。

■アーシリー To:ミリスレスカ
わかりました。

アーシリーは慎重に、ぬかるんだ地面を歩く。
はるか遠くから酔っぱらいの声が聞こえている以外は、しんと静まりかえっている路地。
ランタンに施された『ライト』の光が、『ダークネス』の闇に触れた瞬間、双方が音もなく消えた。
■黒ずくめ
………

黒いマントのローブをすっぽりと被った黒ずくめの男は、水たまりの上に体を丸め、横向きに倒れていた。
左手が足に添えられているところを見ると、着地の時に捻ったか折ったかしたらしい。
かすかに肩が上下していて、間の抜けた寝息が聞こえていた。

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GM:ともまり