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SW-PBM Scenario#150 Three? materials |
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見張りの塔・地上 |
一方。
リュントから荷物を受け取ったミリィは、彼が塔に走りこんでいくのを見届けた直後に、すぐ近くにいた衛視に緊迫した声をかけていた。
■ミリスレスカ To:衛視 |
あの塔に出入りできる場所は、正面と裏口以外に無いんですか? 今は使われていなくても、前にはあった地下通路とか、搬入口とかは? |
■若い衛視 To:ミリスレスカ |
あ、ああ。地下室に直接通じてる出入口がある。 か、鍵がかかってるけど。 |
そう話す衛視の腰には、鍵束がぶら下がっていた。
その答えを聞いたミリィは、いちど塔の上部に目を戻したあと、今度は周囲で様子を見守る人々へと観察の目を向けていった。
簡素なローブや巡礼の服、聖印といったものを探して、不安げな眼差しが動いていく。
■ミリスレスカ |
このくらいの大きさの街でも……何人かはいたって、おかしくないはず……おねがい、みつかって……! |
肩に乗せたチャイロンの視覚も総動員して、目当ての特徴を持つ人間を探して素早く周囲を観察する。
だが、目当てにしていた者――神聖魔法を使えそうな人物は、この場にいないようだった。
そして、意を決したように小さく頷くと、普段からは想像できないような凛々しさの籠もった瞳を衛視に目を向ける(ただし、それでもなお凛々しい少女という感じではあるのだけれども)。
■ミリスレスカ To:衛視 |
地下室に通じる出入口は、どれくらい離れていますか? |
■若い衛視 To:ミリスレスカ |
す、すぐそこだよ。 門のそばに…… |
ミリィたちが最初にくぐってきた南の門。その方向を指差した。
30メートルほどしか離れていない。
■ミリスレスカ To:若い衛視 |
あの塔に火をつけた下手人が、そこから出てくるかもしれません。 何人か連れて、すぐに様子を見に行ってください! |
強い口調で言い放つと、ミリィはチャイロンにちらりと視線を向けた。
ファミリアー故の以心伝心からか、チャイロンはミリィが声をかけるより早くミリィの体からすべり降りると、音も無く地に降り立つ。
■若い衛視 To:ミリスレスカ |
えっ…下手人!? そ、そうか、そういう可能性も… わかった、見に行ってくる!! |
衛視は近くの仲間に声をかけると、同じように若い衛視を2人連れて、門のほうへ走って行った。
その後を、チャイロンが追っていく。
■チャイロン |
きゅきゅ〜っ♪ (なんだか、たよりにならなさそーな衛視さんだフェレ〜?) |
空が一瞬明るく光り、地鳴りのような音と落雷の音が耳をつんざいた。
雨を避け、軒先に避難している野次馬たちから悲鳴があがる。
■ミリスレスカ |
きゃ?! す、すごい音……上のほうは、大丈夫かなぁ? |
雨に濡れた地面をパシャパシャと走るチャイロン。その視界を共有中のミリィ。
すぐに出入口は見えた。門のそばの地面が階段状に掘られていて、その突き当たりに扉があった。
■若い衛視 To:仲間 |
い、一応、中もチェックしてみるか? |
チャイロンごしに、焦る衛視の声が聞こえる。
ドアの前で慌てふためく3人の衛視。
しかし、腰の鍵束を取り出して扉に触れた衛視が、息をのんで叫んだ。
■若い衛視 To:仲間 |
あ、あれ? …鍵が開いているぞ!? |
■ミリスレスカ |
……やっぱり。 |
■ミリスレスカ(心の声) To:チャイロン |
(チャイロンお願い、しばらくそこを見張って、誰かが出てこようとしたら教えてね?) |
裏口の監視をチャイロンに任せ、ミリィは自身の感覚へと、意識の割り振りを強めていった。塔の上部に目をやりながらも、周囲をきょろきょろと見回すことも忘れない。
ミリィが今、最も警戒しているのは、塔周辺の人の動き――塔から出てくる者に、必要以上に注意を向けている者の有無だった。
救助に向かった衛視が戻るなり、中から救助された犠牲者が出てくるなりしたところで、普通は衛視が傍にいれば、再び注目を燃え続けている塔の上部に移すはず。
けれど、相手が救助された者に対して何らかの邪悪な意図――事故を装って殺し損ねた相手に止めを刺そうとしたり、強奪しそこねたアイテムを奪い取ろうとしたり――を持っているのであれば、装っているのが衛視であれ野次馬であれ、不自然な行動に出るかもしれない。
リュントから筒を預かっているのは自分だということも含めて、警戒に向ける意識を強くせざるを得ない緊張感から、ミリィは腕に巻いたままにしていたフェロニエールを、無意識のうちに指先で弄んでいた。
■若い衛視 To:仲間 |
と、とにかく中に入って、調べてみよう。 |
いかにも緊急事態に慣れていない様子で、転がるように地下室に入っていく3人の衛視。
扉は鉄のきしむ音を立てて閉められた。
■女性の声 To:チャイロン |
あら……。かわいい。迷子かしら? |
裏口を見つめるチャイロンの頭の上から、ふいに投げかけられる声。
気がつくと、女性の白く繊細な手が、チャイロンを抱き上げようとしていた。
■チャイロン To:おねーさん? |
きゅきゅぅうっ?! き、きしゃー!!! |
なんとかギリギリで女性の手をかわしたチャイロンは、威嚇の叫びをあげながら、そのままそそくさと走り出した。
逃げるついでに階段状に掘り込まれた地面を駆け下りて、鉄扉のすぐ近くまで向かっていく。
雨が降ってぬかるんだ階段状の場所までは、わざわざ降りて追ってはこないだろうと考えたミリィの、咄嗟の指示に従っての行動だ。
■ミリスレスカ |
ほ、ほんとに危なかった……はっ! まだ合図は? |
チャイロンからの映像に、薄い胸をなでおろしていたミリィは慌てて塔の上部に意識を集中しなおした。
未だ煙はおさまらず、窓からも炎がちらちらと見えているが、目立った変化は見られない。
■女性の声 To:チャイロン |
まぁ、逃げられてしまったわ。 怖がらなくとも良いのに……雨に濡れてしまいますよ。 おいでおいで。 |
鉄扉に貼り付くチャイロンを追って、わざわざぬかるんだ階段を下りていく女性(笑)
階段を下りきったところでしゃがみこみ、おいでおいでをしている。
フードの中に見える顔は、栗色の長い前髪と優しそうな表情。
旅装をしており、首からはマーファの聖印が下げられていた。
■ミリスレスカ |
うわーん、普通にいい人だよぉ! どうしよう…あれ? マーファの聖印…そうだっ! |
ミリィの指示を受けて、チャイロンは鉄の扉をカリカリとこすったり、ドアノブに飛びつこうとしたりしはじめた。
ときおり動きを止めて女性を振りあおいでは、切なげな泣き声を浴びせてみせる。
■チャイロン To:旅装の女性 |
きゅ〜っ、きゅっきゅきゅ〜う……。 |
そうしてチャイロンに、あたかも「この中に入りたいの〜」的な行動をとらせて、裏口から塔に登っていってもらおうと考えていたミリィだったが、そのとき。
雷とは違う、すさまじい崩壊の音が聞こえた。
塔の最上階の屋根が、土煙をあげて崩れ落ちたのだ。
ミリィには、何か黒い塊が空に向かって飛び出していったように見えたが、それが何なのかはわからなかった。
■ミリスレスカ |
あああっ!? こ、こうなったら……!! |
チャイロンが身を翻して、旅装の女性の足元にまとわりつくように飛びかかる。
そして塔の方へ……その下にいるミリィの方へと向かわせようとして、女性の裾に爪をかけたり、噛み付いてひっぱろうとしたりしはじめた。
■旅装の女性 To:チャイロン |
今の音は……? あらあら…… |
塔の上部の様子を心配そうに仰ぎ見ながら、まとわりつくチャイロンを見つめる。
女性は不思議そうな顔をしながらも、ひっぱられるがままに歩き出す。
そして、塔の下のミリィとばったり。
■旅装の女性 To:ミリィ |
こんばんは、ひどい雨ですね。 何かあったのですか? すごい音がしましたが……。 |
■ミリスレスカ To:旅装の女性 |
ボクの仲間が、あの塔に取り残された衛視のひとを助けに向かっているんですけど、塔の屋根が……崩れて……! でも、もしかしたら仲間が飛び下りてくるかもしれないんです。そのときはボクが『降下制御』の魔法をかける手筈になっているから、ボクはここを動けなくて……ああ、どうしよう……! |
■旅装の女性 To:ミリィ |
まぁ…それは大変な……。 |
旅装の女性の意識が自分に向いたのを確認しつつ、ミリィは言葉にも素振りにも出さずに、魔法のリンクを介してチャイロンに指示を出す。
チャイロンは女性に気付かれないように気を配りながら、ゆっくりと女性の視界の外へと移動しはじめていく。
女性はとても心配そうに、ミリィと、塔の上部を見比べている。
チャイロンの動きに気づいた様子はないように見えた。
■ミリスレスカ To:旅装の女性 |
おねがいします! もし良ければ、貴女の力を貸してください! |
■旅装の女性 To:ミリィ |
わかりました。 雨と雷に難儀してこの町へ立ち寄ったのですが、これもマーファ様のお導き。 わたくしにできることなら何でもいたしましょう。 わたくしはオランの司祭、アーシリーと申します。 あなたは? |
フードを外し、マーファ像を思わせる慈悲深いほほえみを浮かべながら挨拶。
■ミリスレスカ To:アーシリー>チャイロン |
申し遅れました。ボクはレーヴァテイン家の、ミリスレスカです……。 あっ!? |
こちらもフードを外しつつ、育ちの良さが滲み出る丁寧なしぐさで、深々と頭を垂れるミリィ。
そのとき、チャイロンが身震いをしてせいいっぱい雨粒をはじき飛ばしてから、アーシリーの背中めがけて「ぽすっ!」と飛びついた。
■アーシリー To:チャイロン |
あ、あらあら……。 |
びっくりした様子で、頬に手を当てるアーシリー。
チャイロンはそのままするするとよじのぼっていき、肩口まで辿りつくと、甘えた声で鳴きながらアーシリーの頬に細長い身体をすりよせる。
■チャイロン To:アーシリー |
きゅ〜、きゅ、きゅ〜♪ |
■アーシリー To:チャイロン |
まあ。うふふ、どうしたの。あなたのご主人はこの方ではないのですか? よしよし。雨で冷たくなってはかわいそうですね。 |
微笑ましげに目を細めながら、片手でチャイロンの体をそっと撫でた。
栗色の長い髪に潜り込むようにして、チャイロンの目がとらえた彼女の首筋には……
シーフ組から伝え聞いたあのアザはないようだった。
その時、周囲の店やテントで雨を避けていた野次馬たちが、空を指差してあっと声を上げた。
雨の中、ふわふわと降りて来る人影がひとつ──。
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GM:ともまり |