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SW-PBM Scenario#150 Three? materials |
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トールクーベ中央公園 |
オルフェはトールクーベの中心に位置する公園へとやってきた。
さわやかに晴れ渡った空の下、芝生に寝転がって昼寝をする人や、のんびり散歩をする人々、お昼前だというのにベンチでお弁当を広げる人々などが見える。
いたって平和なひとときだ。
木々の間からは、焼き菓子を売る屋台なども見えた。
■オルフェ To:独り言 |
ふむふむ、のどかな光景だね。 仕事が終わったら、ここでのんびりして行くのもいいかも知れないな。 焼き菓子は……まあ、私が買っていくまでも無いか。 |
公園の中ほどまで歩くと、大きな池が見えてきた。
中央に木の橋が渡されている。
橋を散歩する人々が眺めているのは、池の中央に建てられた美しい裸体の女性像。
つぼを両手で掲げており、そこからひっきりなしに水が流れ出ていた。
なかなか涼しげで美しい眺めだ。
■オルフェ To:独り言 |
たしか、水に関係しそうな文章があったな。 水の流れ別れし場所、その底……だったか。 調べてみる価値はあるね。 |
オルフェが池の周辺の探索を開始しようとした時。
■野蛮な男性の声 To:? |
だーかーら。何度同じこと言わせんだい? ここは俺たちが先に来ていたの。わかる? |
池の近くの広場で、なにやら穏便ではない声。
銀色の横笛を握りしめた女性が、リュートや打楽器を抱えた大柄な男たち3人に囲まれていた。
女性はうつむいて何か言っているが、声が小さくてオルフェには届かない。
■野蛮な男性の声 To:女性 |
そんな理由じゃ譲れねぇなぁ。悪いけど、別の場所探してくれる? お嬢さん。 |
近くにはその様子を心配そうに見つめる人たちもちらほら。
■オルフェ To:ALL |
やあ、君たち。なにか揉め事かな? どんな事情が有るかは分からないが、大の男が何人も首を揃えて女性を取り囲むとは頂けない。 可哀想に、すっかり怯えて小さくなってしまっているじゃないか。 それにこの状況、周囲からどう見えているかは分かっているのかな? 男三人が、女性を虐めているようにしか見えないよ。 |
勿論それを黙って見ているオルフェではなく、そこにすかさず割って入る。
■女性 To:オルフェ |
……。 |
女性は怯えたままの目でオルフェを見た。
まっすぐ背中まで長い銀髪に、羽のついた髪飾りをつけている。
素朴な刺繍が施されたワンピースを着ていた。
銀髪から覗く耳はわずかに尖り、半妖精だとわかる。
■野蛮な男性 To:オルフェ |
何だぁ? てめぇは。この半妖精の知り合いか? |
最も大柄な男性が、ずいと前に歩み寄る。
背中のリュートから察するに一応弾き手ではあるようだが、公園に不釣り合いな派手な服装はどう見ても大道芸人にしか見えない。
男の視線は、オルフェのリラをじろじろとねめつけている。
■野蛮な男性 To:オルフェ>女性 |
ふん、だったら一緒にとっとと消えな。 ろくに人間の言葉も話せないくせに、俺たちの美しい公園で場所をとろうなんておこがましいんだよ。 他にいくらだって曲を披露する場所はあるんだぜ? お嬢ちゃん。 エルフの森の退屈な曲を、な。 |
もう一人の狡そうな顔つきの男が、女性をオルフェの方に突き飛ばした。
バランスを崩した女性の頭から、髪飾りが落ちる。
■女性 To:オルフェ |
……すみま……せん。 |
涙声で漏れる共通語は、ややたどたどしかった。
■オルフェ To:女性 |
大丈夫かい? まったく乱暴な連中だったね。 ああいった輩はどこにでもいるから、気をつけたほうがいい。 |
落ちた髪飾りを拾いあげると、ついた汚れを指でそっと払って女性に差し出す。
その時、羽根の台座部分に小さな石が埋め込まれているのが目に入った。
よく見ると、円の中にwに似た線が入った模様が刻まれている。
■オルフェ |
(おや、この石……) |
■女性 To:オルフェ |
(エルフ語) ありが……あっ。 (共通語) ……ありがと…う…ございました。 |
両手でそれを受け取る。
■レィジー To:オルフェ |
……名前、れぃじー、です。 あなた……は? 聞いても? |
安心した笑顔で尋ねてくる。
半妖精だけあって整った美しい顔立ちをしていた。
■オルフェ(エルフ語) To:レィジー |
レィジーか、きみにぴったりの美しい名前だ。 私はオルフェ、見てのとおり吟遊詩人さ。 エルフの言葉なら分かるから、その方が楽ならエルフ語で話しても構わないよ。 共通語の練習をしたいなら、私が練習台になってもいいけどね。 |
■レィジー To:オルフェ |
(エルフ語) まぁ、森の言葉! ……うれしい……何年ぶりかしら……。 |
感激に頬を染めて、オルフェのリラを見てにっこり。
■レィジー To:オルフェ |
(エルフ語) 私も吟遊詩人なんです。オルフェさん。 歌は……まだエルフの歌しか歌えないから、人間の町では笛を。 (共通語) でも、ちゃんと、話せるよう、なりたくて。 そうすれば、さっきみたいに……怒られない……です。 |
寂しそうに笑って、手元の髪飾りを弄んだ。
■レィジー To:オルフェ |
共通語のれんしゅうも、したい。 その前に、あなたに、お礼が、したいわ。 |
ふたりの後ろでは、さきほどの3人組が騒音・爆音としか言えないような演奏を披露していた。
■オルフェ To:レィジー |
気持ちだけもらっておく、と言いたいところだけど、それならお昼ご飯にでも付き合ってもらっていいかな? 少し聞きたいことが有るんだ。 しかし……大口を叩いていた割には酷い演奏だね。 |
ちらりと3人組に目を向ける。
とても得意げに演奏をしている3人組。
遠巻きに見ている町の人々は、とても迷惑そうである。
■レィジー To:オルフェ |
? はい、わかりました。 |
「聞きたいこと」に不思議そうな表情をしたが、こくりと頷く。
右耳の後ろの髪をゆるくかきあげ、髪飾りでとめた。
■オルフェ To:レィジー |
じゃあ行こうか。 私はこの街に来たばかりでね、おすすめのお店でもあれば案内してもらえないかな。 |
■レィジー To:オルフェ |
そう…だったんですね。 じゃあ、私が良く行く、カフェに。 |
にっこり。
■オルフェ To:レィジー |
どんな店なのか、楽しみだね。 ……そうだ、お昼にする前に少しだけ歌っていくとしよう。 少しだけ待っていて。 |
■レィジー To:オルフェ |
? はい。 |
3人組から離れた場所まで来ると、オルフェはリラを手に呪歌キュアリオスティを歌いはじめた。
■レィジー To:オルフェ |
この歌…… |
レィジーは知っているらしい。
美しい旋律が風に乗ってあたりを包み込む。
たちまち、散歩中の人、木陰で寝ころんでいた人、ベンチに腰掛けていた人々が、オルフェの姿に釘付けになり、彼のそばへと歩み寄ってきた。
その数はざっと30人以上。その一角だけが賑やかな人だかりに。
遠くの方では3人組が、いきなり人気がなくなったことに首を傾げていた。
■レィジー To:オルフェ |
(くすくす)オルフェさん、いじわるですね。 |
レィジーは楽しそうに笑みを漏らした。
■オルフェ To:レィジー |
彼らにも、これくらいの報いは受けてもらわないと不公平だからね。 さて、せっかくお客さんにも集まってもらった事だし、きみも一曲どうだい? |
■レィジー To:オルフェ |
えっ……。 はい、じゃあ……少し、だけ。 |
戸惑いながらも銀の笛を持ち直し、静かな曲を演奏し始める。
風をくすぐるような、優しい音色。
集まった人々はそれぞれ目を閉じたり、胸に手を当てたりしながらその旋律に酔いしれていた。
■オルフェ To:独り言 |
彼らは退屈な曲と言っていたけど、悪くないね。 この公園みたいなのんびりした場所にはぴったりだよ。 |
最後の旋律を紡ぎ終わると、人々から一斉に拍手が贈られた。
■レィジー To:オルフェ |
こんなたくさんの、人前で……演奏、したことないです。 緊張、しました……。 |
顔を赤らめてうつむいている。
■オルフェ To:レィジー |
そうかい? 堂々としたものだったよ。 みんな喜んでくれてるみたいだし。 それじゃ私も、もう一曲。今度は普通の曲をね。 |
続けてオルフェがリラをゆっくりと奏ではじめる。
レィジーの曲の余韻を消さない、水の流れを思わせるような静かな曲を。
観客から2、3ため息が漏れたかと思うと、すぐに水を打ったように静まりかえった。
息をするのも忘れるくらいに引き込まれて、木の葉ですら音を立てるのを遠慮しているかのよう。
レィジーも目を閉じて、その旋律に聴き入っていた。
演奏を終えると、わぁっという歓声と拍手と共に、何人かの観客がレィジーに走り寄った。修行中の付き人かなにかと思われたのか、どうやら銀貨を手渡されているらしい。
■レィジー To:観客 |
あ、あの、えっと。 |
その金額に動揺している(笑)
ふと人垣越しに見えたのは、さきほどの3人組。
何がおもしろくないのか、顔を真っ赤にしてずんずんこちらへ近づいてくる。
■レィジー To:オルフェ |
あっ…、オルフェさん、大変です。 早く、行きましょう。 |
レィジーがオルフェの腕をつかんで促す。
■オルフェ To:観客 |
皆さんのご清聴に感謝します。 しかしながら、私たちの演奏を快く思わなかった方々もいるようなので、本日はこれにて失礼。 |
喋りながら大きな動作で三人組の方を指し示すと、レィジーの手を引き反対側の人垣の隙間を抜けて走り出した。
■レィジー To:オルフェ>観客 |
あっ、それじゃ、みなさん、また。 |
振り返れば、人垣の向こう側できょろきょろしている3人組が見えるだろう。
名残惜しそうな歓声をバックに、ふたりは町並みに消えていった。
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GM:ともまり |