オラン地下水道 |
ソロンは暗い下水道の中を迷わずに進んでいる。
所々に魔法の明かりが灯っていて、辛うじて周囲が判別出来るくらいの明るさである。
場所によっては、真っ暗な所もある。
また、下水の支流から流れ込んでくる水の音などで、辺りは非常にうるさい。
大声を出さないとアールからソロンへは声が通らないだろう。
これなら、金属鎧を着て歩いていても気付かれることはなさそうだ。
アールにとっては、地下に潜ったコトでPTが着いてきているか、不安ではあったが、尾行に気付かれにくい状況に安心してもいた。
その頃、後方では・・・
■カロン To:メイシアス |
降りてみてわかったけど、ここなら気付かれることもなさそうだから、後ろのみんなを呼んできてもらえる? |
■メイシアス To:カロン |
分りました〜。では、行ってきますね。 |
■カロン To:メイシアス |
足元に気をつけてくれよ〜。 |
メイシアスが皆を呼びに後方へ消えていった。
その姿を確認した後カロンはセンスオーラとインフラビジョンを併用しつつ辺りを見渡しながらソロン達を追っていった。
■メイシアス To:ALL |
んと、水音などが大きく相手に気付かれにくいだろうって事で… もっと前に出ても大丈夫そうでした! |
メイシアスは後続と合流すると、もっと前進するよう指示し、4人はそれに従った。
■エルステッド |
しかし…臭いな…… |
場所が場所だけに。エルステッドは顔をしかめた。
それから暫くソロンは歩き続けた。
10分ほど歩いただろうか、狭い支流に入り、扉の付いた部屋らしき所の前に経って、アールへ向けていった。
■ソロン To:アール |
ここだ。俺たちのアジトはここなんだよ。 さあ、お前が先に入りな。 |
■アール To:ソロン |
ああ。ただ、入る前にどんなメンバーがいるかだけ聞かせてくれよ。 さっきから気になってたけど、どうにもうるさくてね。 あんたの他に何人くらいのメンバーがいるんだ?心の準備ってやつが必要なんでね。 |
■ソロン To:アール |
ボスと、仲間が俺も含めて4人ってところさ。 今はみんな起きてる筈。 さあ、入んなよ、な。 |
アールはそれだけ聞くと扉の中に入った。
扉の中は15m×15mの広い部屋だった。
中にはテーブルなどが置かれ、奥にもまだ部屋があるようだ。
ソロンが行ったように、3人のソロンと同じような連中が、カード賭博なぞに興じている。
彼らは最初に入ってきたアールを胡散臭そうに見たが、続いてソロンが入ってくると、少し警戒を解いたようだ。
■男A To:ソロン |
ソロンの兄貴、こいつは誰だい? |
■ソロン To:男A |
”若旦那”の使いだよ。 例の薬がまだ欲しいんだとさ。 |
■アール To:男A>ソロン |
急ぎなんで、お邪魔するよ。 ところで、その薬ってのはここで作ってるのか? あんたらのボスが作ってるのかい? |
もの珍しそうに部屋の中を見渡しても、それらしいものは見当たらない。
視線を合わさないように、仲間の様子も観察してみる。
仲間もソロンと同じような感じで、チンピラのような印象を受ける。
戦いは出来るかもしれないが、かなり腕は悪いだろう。
■ソロン To:アール |
そんな訳ないだろ。 俺らがそんな学があるように見えるかい? あの薬は、ここをアジトにしたときに偶然見つけたものさ。 |
■アール To:ソロン |
ふーん。で、結局あの薬はどんな効果なんだ? |
■ソロン To:アール |
ああ、一緒に見つけた書き付けによれば、「服用した者をワーウルフに変える」とあったな。 今、オランでワーウルフ騒ぎが起こってるんだろ。 なら、効果は正しかったって事じゃないか? |
■アール To:ソロン |
なるほど。そいつはやばい話に首を突っ込んじまったようだな。 この部屋もいわくつきみたいだし…。 |
話の内容とは裏腹に、のんびりとした返事を返す。
扉とソロンから距離をおくため、実際に薬のあったというこの部屋自体への興味を抑えながら、壁に手を添え、壁面を調べるふうに壁沿いに移動してテーブルとソロンから離れた位置まで移動する。
後続メンバーには、アールがソロンに連れられて扉の中に入っていった事が判った。
水音のおかげで自分たちの足音も聞こえないが、扉の近くまで来ても中の音は聞こえない。
■カロン To:ALL |
こう水の音がすると気付かれることはないけど、中の様子が分からないか。 一応、聞き耳してみるよ。 |
そう皆に告げ、二人の消えていった扉に近寄り中の会話を聞き取り始めた。
扉に耳を当てれば、もしや聞こえるかも?ということで、メイシアス、エルステッド、そしてカロンと部屋の中の声を拾おうとする。
後ろでは、ウリディケが扉を蹴破る準備をしていた。
しかし、準備は勇み足だった。
カロンが、何とか部屋の中の声を拾うことに成功した。
カロンから、『あの薬は、ここをアジトにしたときに偶然見つけたものさ。』という内容を聞かされる。
■カロン To:ALL |
あとは奴らの中にセージはいないな、たぶん(笑 |
■ウリディケ To:カロン>ALL |
う〜ん、そんなはずは無いと思いますが……取り敢えず戦闘には影響少なそうね。 もう、突入しましょう? |
ウリディケは、扉に手をかけると、音を立てないようにゆっくり開けようとした時・・・。
■カロン To:ウリディケ |
ちょっと待った、なんだったら先に支援の魔法でもかけておかない?ここなら音も聞こえないだろうしさ。 俺は今のうちに扉の方調べてみるよ、先にアールさん入れさせてるところ見ると危険はないと思うけど。 |
■ウリディケ To:カロン>ALL |
それもそうね。 では、エルステッドさんはカウンターマジックを全員に、メイシアスさんはエンチャントウェポンを私以外の全員に、ノーブさんはエルステッドさんにトランスファー(12点賦与)。 これでどうかしら? |
■カロン To:ウリディケ>エルステッド |
うん、そんなところかな。 他に意見なければエルスさん、メイシアスさん頼めますか。 |
そういうとカロンは扉を調べ始めたが、特に鍵や罠などかかっている様子はないと思われた。
そしてエルステッドはカウンターマジックの呪文を、メイシアスはエンチャントウェポンの呪文を、ノーブは精神賦与の祝詞を、それぞれ唱えると全員に魔法の効果が現れた。
それを見計らって、ウリディケは再び扉の鍵の有無を確認する。
鍵がかかってないことを確認して、アジトに突入した。