オラン衛視隊牢屋 |
ファラハとニアリースに先導されて、冒険者達は牢屋までやって来た。
暴れないように未だ縄で縛られたままの狼は、疲れ切ったのかおとなしくしているようだ。
■ニアリース To:ファラハ |
ソーダック衛視。牢の鍵を開けて貰えますか。 接触しないと奇跡は力を発揮しませんので。 |
ニアリースがファラハにそう告げると、ファラハは牢の鍵を開けた。
ニアリースは牢の中に入っていき、狼に手を当てると、神へと祈った。
■ニアリース To: |
慈愛なるマーファよ、この者に恵みを。身体を浄化せしめよ。悪しき物を外へ! |
その祈りが効果を発揮したのか、狼の体がみるみるうちに人間の体へと戻っていく。
やがて、身長160cmくらいの女性――アンナの姿が現れる。
当然ながらアンナは全裸であったため、ニアリースは自分が羽織っていた上着を彼女に掛けた。
「ほう」
「おぉ」
PTの一同は、狼から人間へと変わる様を見て、それぞれ感じいった声をあげる。
■ニアリース To:ファラハ&ALL |
どうやら上手くいった様です。 彼女は暫くこのままにしておいた方が良いでしょう。 出来れば、まともな寝台に寝かせさせて頂きたいですが。 |
■ウリディケ To:ニアリース |
見事です、 私は必要なかったようですね。 |
■ノーブ To:ニアリース |
お見事!流石司祭じゃな。 どうやら儂は必要ないみたいじゃな。 |
■アール To:ニアリース |
成功してなによりです。 彼女を寝台に寝かせるのは良いと思います。 しかし…牢から出しても良いのでしょうか? 薬が精神的に何か影響を及ぼしていることは考えられませんか? |
■カロン To:アール>ALL>ウリディケ>メイシアス |
う〜ん、俺は外に出してもいいと思うよ。 魔法は成功したみたいだし、あとアンナさんが目を覚ました時に牢屋の中だったら落ち着かないと思うからさ。 誰か見張ってた方がいいならウリディケさんとメイシアスさんに見ててもらえないかな? |
■ウリディケ To:カロン>ファラハ |
そうね、 解毒されたことで、犯人が『始末』に来るかも知れませんからね。 護衛の為にも、ファラハさんが私達の為に用意してくださった会議室の寝台に寝かせようと思いますが、宜しかったでしょうか? |
■ファラハ To:ウリディケ |
構いませんよ。こちらからもお願いします。 |
■ウリディケ To:ファラハ>ニアリース |
分かりました、ありがとうございます。 ……ところでニアリースさん、どう言った経緯で、アンナさん……このワーウルフは魔法薬によるものと判明したのですか? 特に、学院に所蔵されていた…のでしょうか?…『古代王国の魔術師の記録』が、どのような手掛かりに基づいて今回の事件との関連していると推理されたのか、もしよろしければ教えて頂きたいのですが。 |
■アール To:ニアリース |
確かに、神官の人が持ってくるようなシロモノではないね。 |
■ニアリース To:ウリディケ>ALL |
わたしは賢者の学院出身でしてね。 昼間、あなた達が神殿に来た後、念のために学院の書庫で「ワーウルフ」について記述した文献が無いかを調査していました。 基本的には皆さんもご存じの様な”ライカンスロープ”としての症状しか記述されていない文献が殆どで、夜になって諦め掛けた所に、先ほどお見せした書物の記述を発見しまして。 それで、発見を報告するべく詰め所を訪れたのです。 可能性は低いと思いましたが、万が一と言うこともあったので……。 でも、お役に立てた様で何よりですわ。 |
■ウリディケ To:ニアリース |
なるほど、 そのような研究がなされた以上、その可能性も否定できないという訳でしたか。 ……すごい賭けでしたね。 |
説明に内容にうなずきながら、アールはニアリースにつめよっていく。
■アール To:ニアリース>ファラハ |
私は、その本を拝見させていただきたいのですが。 古代語の読めない者もいますし、公表しても差し障りの無い程度に内容をまとめてみたいですね。 それに、「毒」ということは解毒できるかということも含め、「各方面」へ協力を求めるための報告も必要だと思うのですが。 その件も含めて本をお貸しいただけませんでしょうか。 学院の蔵書ですから、簡単に扱ってはいけないのでしょうが…。 |
■ニアリース To:アール |
元々学院の書物ですので、公開できないものではありませんわ。 読まれるのは構いませんが、わたしが貸し出しの手続きを取ったので、出来ればわたしがここにいるうちにお願いします。 |
答えに軽くうなずいて、エルステッドの方に目くばせをする。
当然彼の協力無しには、さすがにそんな短時間でまとめることなど考えられない。
次の行動は分かって貰っているだろうが―という合図だろう。
その目配せに、軽くエルステッドもうなずき返す。
■ウリディケ To:ALL |
しかし、これで魔法の毒が使用されたことが確定した訳ですので、いよいよ入手経路の調査ですね。 早速、アンナさんの御両親とお話ししたいのですが、皆さんはどうしますか? |
■カロン To:ウリディケ>ALL |
俺もご両親に話しを聞いておきたいね。 ただ、その間アンナさんはどうする、誰か残しておいた方がいいかな? |
■ウリディケ To:カロン>ALL |
そうですね、誰も残らないようでしたら私が残ります。 |
■ファラハ To:ALL |
私が見ておきましょう。 結果は皆さんがお聞かせ下さるでしょうから。 皆さんは、ご両親のお話を伺ってきて下さい。 |
■カロン To:ファラハ |
それじゃあ、お願いしますね。 |
■ノーブ To:ALL |
儂はカロン殿とウリディケ殿に同意見じゃな薬を飲ませた何者かの襲撃に備えて万が一の神官戦士も必要じゃろ? |
■カロン To:ノーブ |
たしかに、神官の人にいてもらうといいかもね。 |
■エルステッド To:ニアリース&ALL |
神官戦士が二名もいるのならば、私は原因追及の方にまわらせていただくよ。 よろしいだろうか? |
■ウリディケ To:エルステッド>ALL |
はい、是非お願いします。 …… ……ただ、アンナさんを休ませる予定の会議室の護衛として、ノーブさんをどの様に配置すべきか困ってるところです。 エルフ族としては、ドワーフ族の男性が人間族の裸体の女性…もちろんアンナさんの事ですが…と同じ部屋にいても問題にならないのでしょうか? もちろん、ファラハさんが「やれ」と言えば、依頼主の意向ですから善処しますし、御両親の承諾を得られれば問題ではないのかも知れませんが。 |
■ファラハ To:ウリディケ&ALL |
ドワーフ族の方ならば、人間にはそう言った興味を抱かないとは伺っていますけど……。 服の方は、ご両親の事情聴取が終わったら持ってきて貰うように手配しますよ。 |
■ウリディケ To:ファラハ、ALL |
すみません、お手数かけます。 そういうことでしたら、私からは異論ありません。 |
■ノーブ To:ウリディケ&ファラハ |
人と鉱精は本来、結ばれえぬ世の理じゃ。 人間族の女性の肉体に興味は全然ないと言えるのじゃが、やっぱり相手から見ると異種族とはいえ、やはり女性から見れば男をみたら嫌なんじゃろうか? まあ儂は一歩下がって牢に出て入り口の外を張ってみるのかのぅ? |
言いながら、人間の女性であるウリディケとファラハ達に問いかけつつ、ノーブは牢を出ていき、牢の出入り口の外に向かって行くと、そこの壁にもたれかかって眠ってしまった。
■ウリディケ To:ノーブ |
ちょっとノーブさん、護衛はここではありませんよ。 持論は分かりましたが、アンナさんを会議室まで運ぶのを手伝ってくださらないのですか? |
ウリディケは、共通語の意味を取り違え、壁に眠りこけてしまったノーブを、ゆさゆさ揺すって起こそうとする。
ノーブが傷つくのは予想した上での質問であったが、ノーブが話を聞いてないのはウリディケも予想してなかった。たしかに、ニアリースは「暫くこのままにしておいた方が良いでしょう。」と言ったがそれは「牢屋に入れておいた方が良い」という意味ではない。カロンはウリディケの内心を言葉にしたあと疑問を投げかけた。
■カロン To:ALL>ウリディケ |
ノーブさんちゃんと聞いてなかったのかな(汗 ウリディケさんドワーフの方が運ぶと引きずっちゃうんじゃないかな? |
■ウリディケ To:カロン |
そうかも。でも炭坑労働できるドワーフ族なら、そんな失敗もしない気が……。 |
■エルステッド To:ウリディケ |
何を心配しているのかはさておき。ドワーフの御仁と意見が合うのは珍しいな。 私はニアリース殿が学院より借りてきた書物のほうをあたらせていただくよ。 まだ夜明けまで時間があるとはいえ、のんびりとはしていられぬだろう? |
心なしかエルステッドは、精霊使いのものより知識を探求する者の顔つきとなっていた。
■ウリディケ To:エルステッド |
別にエルステッドが覗くなんて話は、始めからしてないわよ。 こちらも、持論は分かりましたから、エルステッドも意見が同じとか言ってないで、書物の解読に行く前にノーブさんを起こすの手伝っ………。 |
■アール To:ウリディケ |
いくらウリディケさんでも考えすぎだよ。 っと、これは男の意見だから、アテにならないか。 アンナが目覚めたとき落ち着かないってことね。 |
■ウリディケ To:アール |
そうね。 |
なんだか誰も話を聞いてない雰囲気の中、起こすのも、だんだん面倒くさくなってきたところにアールの冷静な解説が入る。
「時折、心を見透かされてるのではないか?」とウリディケが恐々としているところに、すみっこの方で1人ぼ〜っとしてたメイシアスが今更ながら手を挙げる。
■メイシアス To:ALL |
あの、私もアンナさんと残ります。 目が覚めた時、同性の人がいた方が…少しは安心かもしれませんし…お友達なりたいですし/// |
■ウリディケ To:メイシアス |
そういってくれるのを、実は期待してたわ。 では、戻ってくるまでよろしくお願いします。 |
■カロン To:ALL |
メイシアスさんが見ててくれるなら安心だね。 あとは、ノーブさんを起こさないと・・・ |
と寝入っているノーブのほうを見ながら呟いた。
ノーブはウリディケにゆすってもらったのが功を奏し、どうにか起きてくると寝ぼけた頭でウリディケに言った。
■ノーブ To:ウリディケ |
んあ、おはようウリディケ殿! もう朝になった?…御両親の事情聴取の時間なのじゃろうか? |
■ウリディケ To:ノーブ |
も〜う、寝ぼけないで。御両親の事情聴取は今からよ、朝からするのはアンナさんよ。 |
■アール To:ノーブ |
目覚めたばかりですまないが、先にいって本の解読してもいいかな? アンナを運ぶ仕事が残ってるんだけど、力仕事ならノーブさんの出番かと思って。 それに、ノーブさんに早く内容を読ませてあげたいし、ね。 |
■アール To:アール>ウリディケ |
んあ?物を運ぶのは確かに得意なんじゃが人は初めての経験じゃ。 これもブラキ様が与えたもうた修練じゃろうか? |
やる気たっぷりにノーブがアンナを運ぶのに取り掛かろうとする。
それを見てからアールたちは会議室の方にむかった。
しかし、幾ら力仕事が得意でも”眠っている人間を慎重に運ぶ”のは、さすがに訳が違うと思ったのか、どうにも危なっかしい様子だ。
しばらく奮闘していたが(かろうじて大事には扱っていたのだが)、そのうち「一人じゃ無理!手伝って下さい」とウリディケに助けを求める視線を送った…。
が、その視線の先では、ウリディケがファラハに何か話しかけていた。
■ウリディケ To:ファラハ |
すみません、担架を貸してもらえませんか? |
■カロン To:ALL>ファラハ |
そのほうがよさそうだね。 ファラハさんお願いできますか? |
■ファラハ To:ALL |
分かりました。用意しますね。 |
ファラハはそう言うと、近くに居た衛視に担架を持ってくるように命じた。