オラン衛視隊詰め所 |
冒険者達は一旦衛視隊の詰め所まで戻ってきた。
狼は一旦牢に入れられ、明日の朝を待つ事になった。
別室ではアンナの両親の事情聴取が行われている。
■ファラハ To:ALL |
とりあえず、一旦こちらでお待ち下さい。 ご希望があれば事情聴取への参加も出来ますが、どうしますか? |
■ノーブ To:ファラハ&ALL |
儂は両親の事情聴取は是非とも参加したいのじゃ! えぇと儂は事情聴取に参加しても宜しいのかのぅ? |
招待されてるのに、あえて「参加しても宜しいのか?」。
ウリディケはそんなノーブの台詞を聞いて、左手を口元に当てて含み笑いをする。
相手はファラハだから裏も何もないだろうが、私達を騙して『裏で事件を片付けるつもりの輩』が相手なら、良い感じの皮肉に聞こえたことだろう。
上目づかいのねこ目をきらきらさせて、ウリディケはノーブに語りかけた。
■ウリディケ To:ノーブ>ファラハ、ALL |
良いに決まってますわ♪ 遠慮するなんて、ノーブさんらしくありませんわね。 ファラハさん、御配慮ありがとうございます、是非参加させてください。 ところで、皆さんもご一緒しますか? |
■エルステッド To:ALL |
私も参加しよう。 万が一の時に、手伝いできるやもしれぬしな。 |
ここは衛視詰め所。万が一などありえない場所なのだが。
■アール To:ALL>ファラハ |
エルさんが参加するなら、私は休ませてもらおうかな。 室内の様子とか、カロさんも見てるしいいよね。 ファラハさん、逆に休んだら家の方を見に行きたいのだけど、その件に関してはどうなのかな?立ち入り禁止とか? |
■ファラハ To:アール |
一応、衛視隊で封鎖はしています。 見に行くのは構いませんが、一家全員こちらに居るのですから、証拠隠滅などの危険性は無いと思います。 行かれたいのであれば、明日の朝まで待った方が賢明と思いますよ。 |
■アール To:ファラハ |
はい。見に行くのは朝のつもりです。 休む前に、他の人と時間の調整をしようと思いまして。 |
■カロン To:ALL |
俺は参加しておこうかな。 |
■メイシアス To:ALL |
ん〜…ん、私も行きます。 |
■カロン To:ウリディケ&ノーブ |
そういえば、ウリディケさんとノーブさん魔法使ってるし休まなくて大丈夫? |
■ノーブ To:カロン |
心配は無用じゃよ。 事情聴取が終えたらすぐに休むのじゃ。 |
カロンの問いに対して、ウリディケもノーブと同意見だったので、うなずくのみで答えた。
特にアンナの母親とは、会わない訳にはいかないような気がしていた。
■ファラハ To:ALL |
一応、男性の方は衛視隊の仮眠室を使えるように言っています。 空いている所を使ってください。 あと、この後ここにも仮の寝台を2組用意しますので、女性陣はこちらで休まれてください。 詰め所内は自由に行動されて構いません。 必要であれば、牢に行かれても良いです。 |
そこまでファラハが言ったとき、ドアをノックする音が響いた。
ドアを開けて入ってきたのは一人の衛視で、ファラハに用件を告げると、部屋から出て行った。
■ファラハ To:ALL |
マーファ神殿のニアリース司祭が訪ねて来られた、とのことです。 何でも新たな発見があったとか……。 ともかく、こちらに連れてきます。 |
■ウリディケ To:ファラハ |
ニアリース司祭が? |
■カロン To:ALL |
なにがあったんだろう? |
ファラハは部屋を出て行き、暫くしてニアリース司祭を連れて戻ってきた。
ニアリースは懐から一冊の書物を取り出すと、栞を挟んだページを開いて冒険者達に告げた。
ちなみに、文書は下位古代語で書かれている。
■ニアリース To:ALL>ファラハ |
皆さん、ここの記述を見てください。 古代王国の魔術師の記録なのですが、人間を狼に変える薬品についての記述があります。 狼が捕まった話は先ほど聞きました。 もし、この記述が正しく、かつ変身がこの薬による物だとしたら、この薬は毒と同じように治療する事が出来ます。 ソーダック衛視。一度私に「毒消しの奇跡」を試させて貰えないでしょうか? |
ニアリース司祭の指す箇所を見たエルステッドは眉を顰める。
遅れて、アールも並んで覗き込む。
ノーブはニアリースが持ってきた本の内容に知識欲がうずくのか、目がキラキラと輝いていたが、下位古代語で書かれた事実に直面し物凄く残念そうな顔をしてブツブツ独り言を言っていた。
■ノーブ To:(独り言) |
う〜ん本の内容はよく判らんじゃけど聞いた限りではこの本の記述どおり薬であるとすれば、一体誰がこんな事をして一体誰が何を得をするのじゃろうか? |
■エルステッド(下位古代語) |
古代王国の魔術師……。人がそれ以上の能力を得ようとし、誤った方向へと進んだ結果か……? |
■アール(エルフ語) To:エルステッド |
研究した本人たちにとっては、誤っていないかもしれないけどね。彼らからは人間なんて不完全な存在…同じ野生のモノなら獣の方が純粋な存在だと思ったのかも…ね。 |
古代王国の魔術師…他の書物を読みといても、彼らが魔力を持たない人間を冷遇していたのはわかる。
アールはエルの言う「人」そのものが、その力を求めたのではなく、人より高位にある者(古代王国の魔術師)の驕りの結果であると伝えたかった。
■エルステッド(エルフ語) To:アール |
生命体として優れていたとしても、僕として使えるニンゲンの方が研究した方々の役には立つと思うがな。 偉大なる古の魔法使いの考えている事は、まだ知識が未熟な私にはわからぬものだ。 |
驕りによって滅びた古代の魔法使い達。彼らの二の舞は真っ平ごめんと言わんばかりの口調で答えた。
■ウリディケ To:ノーブ>ALL |
何を得をするのか……ですか。結果はともかく、そもそも狼化が目的ではなく別の目的があったかも知れませんね。 …… 魔法薬が使用されたのが事実なら…、まだまだ大変な事件になりそうね。 |
■カロン To:ALL |
たしかに、他にも魔法薬を使われてる人がいるかもしれないし・・・ |
■ファラハ To:ニアリース |
私は構いません。それで治るというのであれば試して頂く価値はあると思います。 こちらからもお願いします。 |
■ニアリース To:ファラハ |
わかりました。それでは早速。 |
そう言って、牢へ案内して貰えるようにファラハを促した。
■ウリディケ To:ファラハ、ニアリース |
それでしたら、私もお役に立てるかも知れません、ご一緒します。 |
ウリディケも、慌ててニアリースに続いた。
■カロン To:アール |
アールさん、古代王国の書物みたいだし休むのは後にしてもらえないかな?下位古代語読めそうなのはアールさんとエルスさんぐらいだし。 |
■アール To:カロン>ALL |
確かに。 こう、いろいろ出てくるなら、全員なにかしら行動した方がいいみたいだね。 ニアリースさんが、どう当たりをつけてあの本を持ち出してきたのか…ってコトも気になるしね。 |
ウリディケの方を目で追い、動き出そうとして…思い出したように振り返り、ノーブに声をかける。
■アール To:ノーブ |
ノーブさん、神官ってのはいっしょに祈ると「強い奇跡」が起こせるって聞いたことあるけど、こっちじゃなくていいのかい? |
■ノーブ To:アール |
儂みたいな神官の毛が生えた風情が司祭クラスの前にいても、どうせ邪魔になるだけなのじゃよ。 それに、精神はもうさっきの捕り物で使い果たしたのじゃよ。まあ儀式自体に興味はあるのじゃが、後学の為に参加しようかのぅ? ところで件の書物が儂には読めぬ言語で書いてあるのじゃが、宜しければ共通語の写本を書いていただけないのじゃろうか? |
ノーブはアールに問いかけに、ブラキの神官らしからぬ卑屈めいた返答し、同時にウリディケとファラハとニアリースが向かった牢の方向へとことこ歩いて向かう。
カロンはその後姿を眺めながら溜息をついた。
■カロン To:アール&エルステッド |
はぁ、写本を書いてってどれだけ時間と費用かかるか分かってて頼んでるのかなノーブさんは? それにまず書き写して良いかどうかニアリースさんに確認しないと・・・ |
アールはエルステッドとカロンの方に「やれやれ」という表情を向けて、後についていった。
今はアンナがどうなるかの方が気になる。
カロンもついでファラハ達のあとを追っていった。
■エルステッド(エルフ語) To:アール |
……好奇心が旺盛なのはグラスランナーと聞いているのだが。 なにはともあれ書物については、司祭殿の奇跡の後だな。 |
今は己が出来ることをやるのみ。
「万が一」な事がない事を祈りつつ、エルステッドも牢の方へと向かった。