#149 月夜に吠える

10-3a マーファ神殿

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マーファ神殿
エルステッドとノーブは、事件解決の報告のためにマーファ神殿を訪れた。
ニアリース司祭がにこにこしながら二人を出迎え、部屋に通してお茶を出してくれた。
■ニアリース To:ALL
今回はご苦労様でした。
丁度皆さんの傷も癒えたので午後にはお家に帰そうと思っていたところでした。
ネルドさん以外……ですけどね。
彼にはこの後、衛視隊から迎えが来ることになっています。

■ノーブ To:ニアリース
お忙しい所、すみませんじゃ。
今回はネルド殿以外の被害者の方々と事件の報告と被害者の方々見舞いの用向きで参ったですじゃ。
ところで他の被害者の方々の回復の度合いは如何ですかな?

■ニアリース To:ノーブ&ALL
さっきも言いましたが、もうすっかり治っていますわ。
事件解決、お疲れ様でした。

■エルステッド To:ニアリース
それは何より。
ネルド殿も…いろいろな意味で健全に癒えてくれれば、申し分ないでしょう。

ちょいと熱めのお灸をすえられるだろうが。
■ノーブ To:ニアリース
ところで、事情聴取の時マーク殿にチョット工房の事で伺う事があるのじゃが、マーク殿は今は外出されても宜しいですかのぅ?

■エルステッド To:ノーブ
……。

ノーブの行動に、ため息も出ないエルステッドは絶句してしまう。
■エルステッド(エルフ語)
……己が欲求の為ならば、その素早き行動・素早き思考。かくもドワーフというものは、貪欲なものなのか?

■エルステッド To:ノーブ
…ノーブ殿。マーク殿は確かに身体は回復されたかとは思うが、まだ休養が必要かと思うぞ。
その者に、尽力を願うのは…いささか早まってはおらぬか?
また、ノーブ殿の願う事を彼に頼める程……我々は働いてはおらぬと思うがいかがだろうか?

要約すれば「工房を借りて作りたいのはわかるが、とりあえず落ち着け。コネは焦ったら遠ざかる。もうちょっと落ち着いてコネを探すべきではないか。」
要約になってないぐらい長いって?それは気にしない方向で。
■エルステッド To:ノーブ
それとも…ドワーフ族というものは、僅かな貸しでも最大限に利用すべしという掟でもあるのか?

流石にそれはないだろうというような口調。さて、ノーブはどう答えるか?
■ノーブ To:エルステッド
ドワーフ族はそんな掟はないのじゃ。
儂はどうしても工房に繋がる「コネ」が欲しかったと思ってつい口に出た……儂の心の声じゃよ(苦笑)

そのやり取りを見かねたのだろうか、ニアリースが口を挟んできた。
■ニアリース To:ノーブ
マークさんって、只の鍛冶師見習いだったと思いますが……。
たぶん、見学という名目でお連れする位しか出来ないと思いますよ。
それに、家に帰すといっても、あと一週間くらいはお仕事を休むようにマークさんにも言っていますし、雇い主の親方にも話を通していますわ。

それに、貴方の下げている聖印から察すると、ブラキ神の神官ですよね?
素直に神殿に行って「鍛冶場を紹介してください」と頼めば紹介して貰えるのでは無いですか?

■ノーブ To:ニアリース
いかにも儂はブラキ神にお仕えする下っ端神官ですじゃ。
では単刀直入にマーク殿に言ってみようかのぅ?

■エルステッド To:ノーブ
…はて。共通語が難しかったのか?
ニアリース殿は「マーク殿に頼み込むよりも、己が信奉するブラキ神殿へ頼んだほうがまだマシだ」と仰っていると思うのだが……?
それとも簡単な事をより難しくする事をドワーフ族は好むのか?

と、またため息をつこうとした所にちょうどタイミングよくウリディケが現れた。
■ウリディケ To:ALL
あらニアリースさん、お取り込み中でしたか?

女性神官に案内されたウリディケが、神官衣をマントのようになびかせて、颯爽と部屋の扉をくぐって来た。
案内してくれた神官にお礼を言うと、早速本題を切り出した。
■ウリディケ To:ニアリース
ところで…ネルドさんは、まだあの部屋にいらっしゃいますか?
今すぐ、お会いしたいのですが。

■エルステッド To:ニアリース
私からもお願いしたい。
もちろん、可能ならばですが。

一同の雰囲気が悪くなっていることを察したニアリースは、頷くとネルドが養生している部屋へ案内してくれた。
ネルドは目に見えて憔悴しきっている感じが伺える。
■エルステッド To:ネルド
……大分お疲れの様子だが……甘い物でも召し上がりますか?

その声は、少し冷たい。
■エルステッド To:ネルド
協力していただいたおかげで、無事「菓子」の元は突き止められましたよ。
誰も倒れる事なく、平穏に。

部屋の温度が更に下がったような気がした。
しかし、そんな雰囲気もお構いなく、ウリディケは話しかけた。
■ウリディケ To:ネルド
良かったわ、まだ無茶してないみたいね。

で、アンナさんの事は結局どうするの?
よもや、謝罪やお金だけでは済まされるとは思ってないですよね?

そう問いかけるウリディケの表情は、なぜか非難するものではなかった。
■??? To:ALL
うんうん、そこのところは俺も聞いておきたいね。

と外から声がかかりカロンが窓から部屋へと入ってきた。
■カロン To:ALL
よいしょっと・・・(窓から部屋へ)
ふぅ、なんとか間に合ったか。

カロンは騎乗のウリディケに追いつく為、ヤマカシ・スタイルで屋根から屋根を飛び移り塀の上を渡り、一直線に神殿へ向かってきたのだった。
窓の位置は昨夜ネルドの様子を見に行った時にチェックしてあったようだ。
■ネルド To:ALL
結局……俺が真っ当な生き方をし続けることでしか、反省している事を証明することは出来ないと思っている。
当然、金銭的な保証はする……とはいえ親父の金からになってしまうが。

俺に出来るのは、これから悪い仲間との付き合いも止めて、質素な生活をし、額に汗して真面目に親父の店を手伝う事位しかない。

……これで許して貰えるとは思ってはいない。
これからの俺の態度を見て下さい、としか今の俺には言えない……。

■ウリディケ To:ネルド
流石に、良く分かっているようですね。
そこで、『反省している事を証明する』手助けを提案しに来ました。

幸い、ここに豊穣と婚姻の女神マーファ様の声を聞ける司祭様と、記録ごとに強い知識の神ラーダさまとお話できる司祭がいます。

今言った事を含め
『今後自分からは女性には手を出さない、生涯ネルドさんのことを愛してくれる「運命の人」以外の人に浮気しない』
と、私達を通してマーファ様とラーダさまに《誓約》しましょう。
誓いを破れば当然神罰が下るでしょうし、その神罰を私達が代行することになるやも知れませんが、《誓約》したことが街中に広まれば、周囲の見方も変わるかも知れません。

■カロン
(まあ街中に噂を広めることはないだろうけど、どこから事件の詳細がもれるかわからないしな〜。)

■ウリディケ To:ネルド、ニアリース
もちろん、オラン中の女性たちの耳に噂が広まるよう、ラーダ神殿とマーファ神殿で私達が全力を尽くす所存です。
それでも、なお誓えますか?

■ネルド To:ウリディケ
それで償えるのなら、誓わせて貰うよ……。

「私、ネルドは今後自分からは女性には手を出さない、生涯自分を愛してくれる伴侶以外の人に浮気はしない。
マーファ神とラーダ神の名において誓う」

ネルドは、真剣な目つきで神に誓った。
ウリディケもそれに合わせて、ラーダ神に誓いの祝詞を奉げた。
もともと清潔な部屋であったが、一瞬…聖堂のごとき神聖な雰囲気に満たされた。

こんなことをしても、ネルドが信者でなければ何の魔法の力も働かないだろう。しかし、ウリディケには何故か効果があるような気がした。
■ネルド To:ウリディケ
……これで良いのかな。
後は、本当に俺の行動を見てくれ、としか言いようがない。
これからは、真人間になるつもりだ……。

■カロン To:ネルド
その言葉が聞けて良かったよ。
あと、アンナさん以外の被害にあった人達にも怪我が治るまで生活の保障をしてあげてくださいね。
衛視隊や神殿からといった形になるとは思いますが。

■ネルド To:カロン
ああ、出来るだけのことをさせて貰うよ。

そう言うネルドの目は、決意に満ちたものだ。
これなら信用できるかもしれない、とその場にいた人間は思える目つきだった。
■ニアリース To:ALL
さあ、これで一安心ですね。
他の皆さんの怪我も治りましたし、一件落着ですわ。

……そうだ、皆さん今日は打ち上げをなさるんでしょう?
良かったら、後でファラハさんと一緒に伺っても良いかしら?

■カロン To:ニアリース>ALL
聞く必要なんてないですよ、みんなで歓迎しますよ。

それじゃあ、一足先に店の方に行って料理でも注文してくるかな。

そういうとカロンは窓から外へと姿を消した(笑

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GM:teshima