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SW-PBM Scenario#144
白夜の島

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PANDORA 〜Part1


 ラウンド1

マケリが戦闘態勢に入ったと見るや、すかさず後方にいたケットが愛用のギターを構え、歌い出す。
■マケリ(トリュボス) To:ケット
…何だ? 耳障りな…

呪歌「マーチ」の旋律が村の絶望の叫びをかき消すように響き渡る。
上位古代語の調べは、仲間たちの行動力にすばらしい加速を与えた──しかし、同時にマケリにも効果が及んでしまったようだ。
■マケリ(トリュボス) To:ケット
なるほど…旋律に乗せて効果を…しかし、しょせんは古代語魔法の猿真似だな。対象も望み通りに選べぬとは…

マケリはケットを見下すように嘲笑を浮かべると、エストックを持つ右手を引いた。
と同時に、冒険者たちも動く。
セイルディアは「エンチャント・ウェポン」をマーキュリーのモール、カーガッドの戦斧に施した。
レヴィンは大地の精霊・ノームに語りかけ、「ホールド」を発動。マケリの下半身を拘束した。
■マーキュリー To:マケリ(トリュボス)
すべての元凶を打ち砕く!

お前を全力で止めるって、マケリさんと約束したんだっ!

動きが鈍ったその刹那、マーキュリー、カーガッドのそれぞれの武器がマケリの身体をマントの上から引き裂く。
そして彼のエストックもまた、マーキュリーの脇腹をわずかにかすめていた。
■エウリス To:マケリ
先生っ! やだーっ!

■トルキ
うっ…わ〜ん。

泣き出す子どもたちを、リーアとヒュレスが視界を覆うように腕の中にきつく抱きしめた。
■ヒュレス To:子どもたち
大丈夫、大丈夫だよ…
カーガッドさんが言ったじゃないか。みんなは悪魔と戦ってるんだよ…信じるんだよ!

ヒュレスは目を逸らさずに戦いを見守るつもりだ。済んだ蒼い目をしっかりと冒険者たちの背中に向けている。
彼らのまわりを黒い空気がじわじわと忍び寄ってきた。
すでに村全体が覆われ、無事に残されているのは──おそらくここにいる者だけなのだろう。
■マケリ(トリュボス) To:マーキュリー&カーガッド
…フ…さすがだな。かすり傷とはいえ、人間の身体は脆く、儚い…。
さあ、もっと仕掛けてくるがいい。船で垣間見たお前たちの力…、まだまだ…こんな程度ではないのだろう?

■マーキュリー To:マケリ(トリュボス)
そう慌てなくてもすぐに見せてやるさ。

■カーガッド To:マケリ(トリュボス)
今に見ているが良いさ。
あまり人間を馬鹿にしない方が良いと思うがね。

■マケリ(トリュボス) To:マーキュリー&カーガッド
フフフ……馬鹿にするどころか……お前たちの方が“容れ物”として相応しいように思えてきたよ……

さも楽しげにそう言い、ふたりを舐めるような目つきで見た。
 ラウンド2

遙か上空で雷のような轟音が響く。地面が揺れた。
空は黒々とした気配に覆い尽くされている。もはや白い空の面影はない。
どこまでも続く、深く黒い闇。
レヴィンの「コンフュージョン」をはねのけたマケリが悠然と身を翻す。
その隙を逃すまいとセイルディアの放った「エネルギー・ボルト」が、轟音に重なるようにして派手な音を立てた。
マケリは苦痛とも恍惚ともとれる表情のまま、暗黒魔法を紡ぎ出す。
■マケリ(トリュボス) To:カーガッド&マーキュリー
culter…

しかし、勇気ある戦士ふたりの前にそれは意味をなさなかった。
今度こそ苦渋の表情を浮かべたマケリ──トリュボスに、重く、鋭い打撃が入った。
■マケリ(トリュボス)
グ……!! …う……

深い傷口からあふれ出た鮮血が彼の旅装を染め上げ、地面にしたたり落ちた。
1歩、2歩、傷口を押さえながらすがるようにふたりに歩み寄ると、自らが作った血の海に、崩れるように倒れ込む。
赤毛は血に濡れてさらに赤く染まり……その髪を頬に貼り付かせたまま、動かなくなった。
■マーキュリー To:マケリ(トリュボス)
さぁ出てこい、トリュボス。

■カーガッド To:マケリ(トリュボス)
死んだ振りをしても無駄だ。
さあ、正体を現して素直に滅ぼされろ!

冒険者たちの声に呼応したのだろうか。
ぐったりと動かないマケリの身体から、滲み出すように黒い空気が現れてきた。
身体の内部から「ほどける」ようにして黒い空気の束がひとつ、またひとつと絡み合い、持ち上がり、空に向かってある「形」をつくり出していく。
それはやがて……美しい全裸の女性の姿となった。
長い髪は自らの身体を隠すように巻きつき、その末端は蜘蛛の糸のように地面やあたりの木々に取り付いていた。
足元は地面から離れ、重さを感じさせない様子で宙に浮いている。
■トリュボス To:ALL
アハハハハ……その強さ……迷い無き精神力……気に入った……

ふわりと身をよじって妖艶な笑みを浮かべ、空中から冒険者たちと──足元に倒れたままのマケリを見下ろす。
■トリュボス To:マケリ
ごらん……父を殺し、苦悩にまみれた哀れな男を。お前たちが殺した……

トリュボスの嘲りの言葉はそこで途切れた。
地面に倒れたマケリの首元で、何かがパキンと割れる音がした。
と同時に……蒼いかけらが光を帯びて漂い、マケリの身体をやさしく包み込む。
彼の身体はぐったりとしたまま動かないが、青白かった頬には赤みが差し、傷口がみるみる塞がっていくのが見えた。
セイルディアとレヴィンは、その光景から強烈な生命の精霊の力を感じた。
■トリュボス To:ALL
何! ……エルフの盾!?

■カーガッド To:トリュボス
そうだよ。”保険”は掛けてあったのさ。
でなければ、ここまで躊躇することなく戦うことは出来なかった。
今度こそ、お前に滅びを与えてやるよ!

■トリュボス To:ALL
く……! …フ……そうだったか……なるほど…最後まで、小賢しい……

トリュボスの眉間に醜く皺が刻まれる。
全身で嫌悪感を示しながら、両手を空を切るような動作をすると、その背後に黒い亀裂が走り、中から邪悪な気配が──2体、飛び出してきた。
■トリュボス To:ALL
どうやら……これ以上遊んでいると、面倒なことになりそうだ……。
私の知っている下等なイキモノとは、もはや違う……。
全力で滅ぼしてあげる……肉片すらも残らぬほど、貴様たちの存在すべてを!


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GM:ともまり