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SW-PBM Scenario#144 白夜の島 |
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ザリィ島・森の中 |
冒険者たちは、元来た道を馬を駆り、走り続けた。
マーキュリーとセイルが上手く皆を誘導し、限界までペースを保ちながら急がせる。地面を震わせる暗く深い音は絶え間なく響き、気を抜くと足元をすくわれそうになる。
頭上では“光”が冒険者たちを追い越して村へと走って行くが、次々と現れる黒い亀裂を押さえることができずに、飲み込まれ始めている。
空は次第に暗くなり始めた。辺りも薄暗くなり、視界が通らなくなってゆく。
しかし、ニエブラの実がぼんやりと光っているせいで、地上はいくらか明るいままだった。
川の流れがゆるやかになり、遠く森の木々の間から村の様子が見えてきた。
と同時に、空の亀裂が一気に大きく口を開け、船で──洞窟で見たのと同じ、黒い空気があふれ出し、地面に向かって降りて行った。
カーガッドは最後の気力をふりしぼって、皆を引っ張って村へと一気に向かう。
ザリィ村 |
村は騒然としていた。
異変に気付いて家から飛び出してきた村人たちが、空から降りてきた黒い空気に次々と包み込まれていくのが見えた。耳を覆いたくなるような絶望的な悲鳴が村中に響いていた。黒い空気はゆっくりと家々を取り囲み、地面を這い、広がって行く。村のあちこちに倒れた村人たちの姿が見える。
慌てて馬を下りた冒険者たちの目の前に、黒い空気に包まれた村人がひとり、ふらふらと歩いてくる。わずかに覗く青ざめた表情は、知った顔であった。
■ナーヴェ To:ALL |
……あ、あ、……あぁ…… |
命乞いをするかのような表情で手を差し伸べたあと、膝ががくんと折れ、地面に倒れた。
■マーキュリー To:ナーヴェ |
あ!ナーヴェさん大丈夫ですか!?何があったんですか!? |
■ナーヴェ To:マーキュリー |
…もう…ダメだ……おしまいだ… 空が、空が暗い…。シッフもバトーも、みんな…飲まれて…… |
威勢の良かった彼の声は、子どもの泣き声のように弱々しく響く。
■セイルディア To:ナーヴェ |
しっかりしてください!絶望に負けてはいけません! 気をしっかり持って! |
ナーヴェに駆け寄って、差し伸べられていた手をぎゅっと握る。
■ナーヴェ To:セイルディア |
……うぅ…苦しい…苦しいよぉぉ… て、抵抗…しなければ…? 闇に…従えば、楽…に……。 |
ナーヴェの手はセイルディアの手を一瞬握り返したが──そのまま力がふっと抜けた。
外傷はないように見えるが、ぐったりと気を失っている。
おそらく他の村人たちも同じ状態なのだろう。
■セイルディア To:ナーヴェ、ALL |
ナーヴェさん!……っ。 …このままでは、村人達全員が『絶望』のとりこになるのも、時間の問題ですわね。 |
村の中心部にあるリーアの家も、黒い空気に包まれていた。
リーアの部屋の窓と、入口のドアが開け放たれている。
■マーキュリー To:ALL |
急いでトリュボスを探さなくちゃ・・・ リーアさんは無事なのかな。 |
■セイルディア To:ALL |
考えたくはありませんが、リーアさんのところにトリュボスがいる可能性は、高いでしょう。 私達が一番闘いにくい状況にしているはずですもの。 …とにかく、リーアさんの家まで行ってみませんか? |
■カーガッド To:ALL |
急ぎましょう。 おそらく待ち構えているはずだと思います。 皆さん、戦う準備をしておいた方が良いでしょう。 ……準備が出来たら行きましょうか。 |
冒険者達はリーアの家へ走った。
開け放たれたドアから中を覗くと、家の中は先が見通せないほど闇に包まれ、内部の様子は一切うかがえなかった。
一行がドアの前で足を止めたそのとき、家の外から気配と話し声が聞こえた。
■マケリ To:ALL |
おいで。みんな。 安全なところへ行こう。 |
家から少し離れたところに、立ちすくむリーアと、彼女をかばうようにして足元にすがりついている子どもたち、そして…それを優しい笑顔で見つめる、マケリがいた。
■マケリ To:ALL |
…ここは見てのとおり、もう駄目だ。 残念だけど、みんな助からない。 せめて君たちだけでも…安全なところへ連れて行きたいんだ…。 |
■トルキ To:マケリ |
うっ…ぐすっ…。 それ、どこ…? |
■ミニョン To:ALL |
パパ…。ママぁ〜。 |
■エウリス To:ALL |
森は危ないって…先生、言ったじゃない。 |
マケリは微笑んで、子ども達に手を差し伸べる。
■マケリ To:ALL>リーア |
森へ行くんじゃないよ、エウリス。 もっと安全で、静かな場所だよ。何にも惑わされない、優しい場所…。 ね? リーア。 |
リーアは聞こえていないのか、ただじっと遠くを──あらぬ方向を見つめていた。
その姿は、何かを待ち続けて耳を澄ませているようにも見えた。
マケリは微笑みながら、リーアのほうへゆっくりと近づいていく。
■セイルディア To:ALL |
…様子を見ている余裕などないようですわね。 備えは万全ではないかもしれませんが、参りましょう。 万物の根源たるマナよ、悪しき魔に抗う力をもたらさん… |
セイルディアはカーガッド・マーキュリー・ケットにカウンターマジックを唱えた。
カーガッドはマケリとリーアたちの間に割って入るように武器を構えながら移動した。
■カーガッド To:マケリ>ALL |
待ちなさい! ……何とか間に合いましたよ。彼らには近づけさせません。 子供達……先生は今悪魔に操られてしまってるんだ。 何とか私たちで元の先生を取り戻してあげるからね。 さあ、ここは危ないから逃げなさい。 リーアさんも、早く! |
■トルキ To:カーガッド |
ぼーけんしゃの兄ちゃん!! |
■リーア To:カーガッド |
……その声……カーガッドさん… |
リーアの虚ろだった灰色の瞳が生気を取り戻し、声のした方を一生懸命見ようと、視線をさまよわせた。
子どもたちは泣きはらした顔のまま、カーガッドを見つめている。
恐らく、混乱のあまり警告の意味をきちんと理解できていないのだろう。
■ヒュレス To:リーア&子どもたち |
お嬢さまっ! みんな! |
ヒュレスも思わず叫びながら、リーアのそばへと駆け寄った。
視界のおぼつかないリーアの手を握りながら、子どもたちと共に逃げるべき方向を探そうと、あたりを見回した。
マーキュリーもモールを構えカーガッドに続く。
■マーキュリー To:子供達、マケリ |
みんなよく頑張ったね♪(^^) トリュボス!これ以上はゆるさないぞ。 |
マケリは口元を歪めて微笑むと、悠然とした表情で冒険者達を見た。
■マケリ To:ALL |
トリュボス? 僕は「マケリ・レードル」だよ。 君たちのことも待っていたのに……最高の舞台を用意して、歓迎するつもりだったのに。 思ったより早かった……残念だよ。 でも、そんなことは些細なことだ。いずれ君たちも一緒に行くことになるんだから。 闇の中で……すべて……ひとつに…ね。 |
■ミニョン |
きゃーっ!! |
ヒュレスがリーアと子どもたちの手を引き、逃げようとしたそのとき、一行のまわりを黒い空気が取り囲んだ。
子どもたちは怯えてその場に座り込み、リーアとヒュレスにしがみついて震えている。
■マケリ(トリュボス) To:ALL |
さぁ……。僕をどうするの? 子ども達の目の前で、殺すのかい? それとも…、僕の手で殺されたいか? |
マケリの右手が、エストックの柄を握る。
■マーキュリー To:マケリ(トリュボス) |
マケリさんから出てこい、トリュボス。 出てこないなら打ち砕くまでさ。もう遊びの時間は終わりだよ。 |
スタスタと歩み寄りマケリの正面に対峙するマーキュリー。
■マケリ(トリュボス) To:マーキュリー |
フフ…なるほど、迷いは無いわけだね。 嬉しいな…。本気でおいで、マーキュリー。 それが、僕の望みなんだから…ね。 |
いつでも剣を抜ける体制を保ったまま、目を細めた。
■セイルディア To:マケリ(トリュボス) |
器にしている人間の名前を、勝手に語らないで下さいな。 言ったはずですわ、悪魔の望む未来など永遠にない、と。 よりしろの肉体を前に私達が臆する、などと甘い考えでいるのではないでしょうね? …無駄なことはせず、さっさと出ていらっしゃいな。 |
■マケリ(トリュボス) To:セイルディア |
アハハ…。引きずり出してごらん? 君たちの手で。 君たちのその武器で、力で、「希望」という名のもとに、僕を物言わぬ肉塊へと変貌させた時こそ、望みどおり姿を現してあげる…。 |
マケリはエストックを抜き放ち、漆黒の瞳で冒険者達を見据えた。
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GM:ともまり |