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SW-PBM Scenario#144
白夜の島

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闇の侵攻


 ザリィ島・滝のある泉

冒険者たちはミレスの家──洞窟を出た。
滝の裏側から抜けて泉の前に立つと、景色が一変していた。

白い空にはところどころ黒い亀裂が走り、黒い空気がひっきりなしに滲み出していた。
周りの光とぶつかりあい、弾け合う様子は、昨夜の見た空とそっくりだったが、徐々に“闇”の勢力に押されて“光”が侵蝕されていっているのがわかる。
まだ外は明るいままだが、この状態が長く続けばやがて島全体が「闇夜」に包まれてしまうだろう。
雷を思わせる轟音が低く鳴り響き、地面を揺らしている。

洞窟のほうを振り向くと、ミレスの家の中──魔法装置が設置されていたあたりから真上に向かって巨大な光の柱が天に突き刺さっていた。
その柱から光が流れ出し、ザリィ村の方向へと走っていく。
村のある方角の空も、同じようにおびただしい数の亀裂に侵蝕され始めていたが、一気に広がるような様子は無い。
■コッコロット To:ALL
トリュボス、“光”突破するのにまだ時間かかるようデス。
ヒュレス様コンシンの“力”でしたカラ。

コッコロットがヒュレスの手の中で言った。
冷たい風が森の木々を揺らしていく。ザワザワと恐ろしげに響くその音に、鳥達があても無く飛び交う羽音が混じる。
泉の側に繋がれていた馬たちは、島の異変を感じて興奮し、鼻を鳴らしたり足を踏み鳴らしたりして落ち着かない。
フレディの荷物は無事のようだが、舞い落ちた木の葉が積もっていた。
森に目を移すと、深い緑の中に、粒のように真っ赤な色が混じっているのが見えた。
それは一部だけではなく、周りを見回す限り森全体に、まるで小さなランプが灯されたかのように広がっているように思えた。
■マーキュリー To:ALL
あとどれくらい保つのかな・・・
急ぎましょう。
大きい荷物と・・・フレディは置いていこうと思ってます・・

■カーガッド To:マーキュリー>ALL
そうですね……脚の速さが違うから仕方ないですね……。
大丈夫とは思いますが……あとから迎えに来るしかないでしょう。
重い荷物は一旦こちらにまとめて出来るだけ軽くして、急いで村に戻りましょう。

あと……もしマケリさんの姿のままでトリュボスが現れたら……。
そのまま戦うしか手はないのでしょうね……。

■コッコロット To:カーガッド&ALL
……ザリィの民は、長い歴史の中、そうしてきたデス。
トリュボス、「本体」のほうがずっとずっと強いノデ、弱い人間のカラダに、固執する必要は無いのデス……
カラダが「使いモノ」にならナイとトリュボスがハンダンすれば、捨てて「出てくる」のデス。

■ヒュレス To:ALL
……マ、マケリさん…は……。

ヒュレスは恐ろしい想像をしたのか、思わず言葉を飲み込んで、冒険者たちを見回す。
■カーガッド To:ヒュレス
実は、マケリさんのペンダントには秘密がありましてね。
身に付けている人の精神力が尽きていない限り、死の淵からも蘇ることができると言うものなのです。
良い気はしませんが……最悪の事態には備えることが出来る……ということです。

■ヒュレス To:カーガッド
そ、そうなんですか……。
そんなペンダントが…。

■マーキュリー To:ALL
マケリさんのペンダントがうまく働いて、トリュボスと引き離せるように祈るしかないですね。

どころであのランプのような真っ赤なものはなんでしょうね?
化け物の目だったらやだなぁ・・

泉を取り囲む木々の葉の間からも、赤い色が混じって見えた。
泉に着いた時には、見られなかった色だ。
マーキュリーは木に近づいてみる。
■マーキュリー
これは・・・

それはババ様の部屋で見た実──ニエブラの実だった。
赤く熟した色がぼんやりと光っている。
ヒュレスも木の上を見上げた。
■ヒュレス To:マーキュリー&ALL
これ……ニエブラの実…ですね。なんでこんなにいっぺんに……?
僕らが洞窟内に入っている間に、いっせいに実をつけたってことなんでしょうか…?

■コッコロット To:ALL
「にえぶら」? ザリィの言葉デスネ。
ΝΙΠΨΒΔΥ……「星の涙」。

コッコロットも実を見つめながらきゅるきゅると頭を回転させた。
■マーキュリー
…ちょっと食べてみましょうか。

そういうと赤いニエブラを一粒もぎ取る。
口に入れてゆっくり噛みしめると、甘酸っぱい味がいっぱいに広がった。
ニエブラのお茶を飲んだときと同じような──いや、もっと強い力で、体の調子が整っていく感覚があった。余計な緊張感がとれて、偏っていた力が平均化されていく……そんな感覚だ。
■カーガッド To:ALL
もしかして……この実に星が封じられているとか?
それか、空で光れない星がこういった形で現れているのかもしれませんね。

さて、置いていく荷物はまとめて洞窟の中に置いておきましょう。
その方が安全でしょうし。
……村を救って、必ず戻ってきましょう。皆さん!

■マーキュリー To:ALL
光が強まれば強まるほど、星は見えなくなってしまいますからね。
大地や空がバランスを取ろうとしているような気がします。

■マーキュリー To:フレディ
ここまで一緒にきたけど、今度は連れていけないんだよ。
あとで必ず迎えにくるから、それまでなんとか無事に切り抜けるんだよ・・・

フレディを撫でながらそう言うと馬具を全て外し洞窟へ連れて行く。
おそらく理解できていないのだろう、フレディは大人しく引かれていく。

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白夜の島

GM:ともまり