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SW-PBM Scenario#144 白夜の島 |
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ミレスの家・内部 |
コッコロットは、鏡面を磨き終わると布をきれいに折り畳んで台座からぴょんと離れた。
■コッコロット To:ヒュレス |
さ、ヒュレス様、台座に触れテ、ミレス様に呼びかけてクダサイ。 ザリィの民の言葉デ。 |
■ヒュレス To:コッコロット |
ザリィの…? ことば… |
ヒュレスは不安げに冒険者たちの顔を見回した。
そして、おずおずと手を差し出して冷たい台座に触れた。
■ヒュレス To: |
……母さん。 かあさん……ええと… …… …ΜΠ………ΜΠΨΧΗ. |
口をついて出てきた言葉に、ヒュレスは自分自身で驚いたようだった。
やがて台座が淡く光り始め、台座の上で回る球体に重なるようにして一人の女性の姿が映し出された。
流れるような美しい銀髪。透き通った蒼い瞳に、やさしい笑みを浮かべたその表情は、今にも消え入りそうにはかなくもあり、病床のリーアとどこか似ていた。
そして、その銀髪の分け目からは小さなツノがのぞいていた。
■ミレス To:ALL |
ΗΝΞΕΠΗ. ΨΧΔ ΟΠΗΘΣΡΦ……… |
映像が語りかける。ヒュレスは理解できている様子で、息をのんで母の姿を見つめた。
コッコロットは冒険者たちのために、静かに同時通訳をする。
■コッコロット(ミレス) To:冒険者たち |
『……ヒュレス。コッコロットからすべてを聞いたと思います。 お父さんは、魔法装置を作るための無理がたたって早くに亡くなりました。 今、ザリィ島は、お父さんが残してくれた魔法装置のおかげで、悪魔に襲われることもなく、平和で、とても穏やかな日々の中にあります。…… お父さんは、魔法装置を作る前にザリィの民に聞きました。 これを使えば永遠の平和が手に入る。 しかし、星とはさよならだと… 星読みをすることは、ザリィの民にとって悪魔と戦うための手段でした。 だから、もう必要ないと私たちは考えたのです。 母さんは、魔法装置を発動する前の晩、お別れの前に最後の星読みをしました。 そうしたら、遠い未来、ザリィの民は使わなくなった力を忘れて、特殊な能力もツノも次第に失われていくだろうということ、そして、トリュボスは異界で強い光の力に呼応するように、ますます強い力を蓄えてしまうこと──そんな未来が垣間見えたのです。 けれど、目の前の戦いから逃れたい一心で、心の奥にしまい込んでしまったの。…… ヒュレス、母さんは、父さんのしてくれたことが間違いだとは思わない…… きっと私たちの時代には、それが最善の策だったのです。 ヒュレス、よくお聞きなさい。 “護りの光”が悪魔の力を封じるもの、闇に対抗する力だったことは本当のこと。 遠い未来、トリュボスが“護りの光”を突破しようとすることがあっても、 そのことはトリュボスにとって大きな力を消費する、大変な行為となるでしょう。 ザリィの民は祈ることで、光を消すこともできます。しかし、何があっても消してはいけません。 異界で蓄えた力のままのトリュボスが現れたなら、終わりのない絶望が繰り返され、もはや誰にも封じることは叶わないでしょう。 しかし、力を消費させたトリュボスなら…… そこから先は……ヒュレス、あなたの時代なら、私たちとは別の解決方法があると信じています。 そういえば…目が見えなくなる直前に、空から赤い実が降ってくるのが見えました。 あれは天からの贈りものかしら? 初めて見る実でした。 母さんは、もう何も見えない…… 見えないけれど、心が覚えている風景を描いて、あなたに託します。 元気で。』……… |
そこで映像はふっと途切れた。
あとには宙に浮かぶ巨大な球体が、相変わらず不安定な音を立てて回っていた。
ヒュレスはうつむいて固く手を握っていたが、やがてその手を帽子にかけて、静かに外した。
■ヒュレス To:ALL |
あは……母さん…も、父さんも、勝手ですよね。 文句も言わせてもらえない……。 でも……そのおかげで、僕はお嬢さまや、村の人たちや、みなさんに会えたんですね……。 |
父親ゆずりであろう黒髪の奥に、ちいさなツノが見えた。
涙に濡れた蒼い瞳には、まだ希望の光は失われていなかった。
■セイルディア To:ヒュレス |
…あなたのご両親は、未来のためにできる精一杯の選択をされたのでしょう。 未来をあなたに託す、その行為がきっと永遠の平和に繋がると信じて。 それは身勝手な押し付けかもしれませんけど…期待には、答えて差し上げたいですわね。 今日までこの島を守ってくださった、ご両親の功績に報いるためにも。 |
■ヒュレス To:セイルディア |
はい……。 きっと……母さんも、セイルさんが言ったように、いつか星に会いたかった……そう思います。 それが、母さんが好きだったこの島の、あるべき風景だから……。 僕は……あきらめたくないです。 |
涙を手で拭って、決意を秘めたまなざしを向けた。
■マーキュリー To:ヒュレス |
ヒューレィさんとミレスさんが頑張ってくれたから今があるんですね。 それに今までとは違う解決方法も示してくれていますね… ねぇ、ヒュレスもひょっとして、やれば星読みできるんじゃないかな? 護りの光やザリィの言葉を使えたみたいに。 |
■ヒュレス To:マーキュリー |
そ…そうなんでしょうか。 星が見れたら、思い出せるでしょうか……。 |
■マーキュリー To:ヒュレス |
うん、ババ様が言ってたみたいにニエブラの実を見つめてみれば、ザリィの民の血が目覚めてイメージが湧いてくるかもしれませんよ(^^) |
■ヒュレス To:マーキュリー |
…はい。そうかも…しれないですよね。 |
そう言って自らの手をじっと見つめた。
■ケット To:ALL、マケリ |
ミレスさんのおかげで、僕らのやれること、やらなければならないことが何となくだけど解ってきたんじゃない? |
■セイルディア To:ALL、マケリ |
今のメッセージで、おぼろげながら道が見えてきましたわね。 “護りの光”を最大限に利用して、トリュボスの力を削る。 そして力の衰えたトリュボスを、私達が最大限の力で倒す。 ……マケリさんは、どう思われます? 成功すれば、きっと貴方の心も晴れると思うのですけど。 |
■マケリ To:セイルディア&ALL |
“護りの光”がトリュボスを弱めるというのは、間違いないと思う。 …俺の心に侵入しているのがトリュボスという悪魔なら、確かにそれを倒しさえすれば…。 ……。 |
そう言うと大儀そうに手を額に当てて、壁にもたれかかった。
■ケット To:マケリ |
??? マケリさん? |
■マーキュリー To:マケリ |
…また声が強くなってきているんですか?大丈夫ですか? |
■マケリ To:マーキュリー |
ああ……。大丈夫…。 |
マケリは目を閉じて、口をつぐんだ。
右手は強く握りしめられている。
■マーキュリー To:コッコロット&ALL |
この魔法装置に残されたメッセージはもうありませんか? もしないなら、あとは家の外で話しませんか? この家の中で話し合うよりも表の綺麗な景色の方が気分良いし♪(^^) |
■コッコロット To:マーキュリー |
映像、これで終わりデス。 もうないと思いマス。 |
■セイルディア To:マーキュリー、ALL |
でも、外も色々と危険ですわ。 裂け目がいつできるか予測がつかないでしょうし… この護りの光を生み出す装置を、少し安定させたほうが良いのではないかしら。 どうやるかは解らないけれど…少なくとも、すぐにトリュボスが出て来れないようにすべきではない? |
■マーキュリー To:セイルディア、ヒュレス |
うん、確かにこの装置を安定させることも必要ですね。 ヒュレス、光をちょっとだけ強めたり弱めたりってできそうですか? |
■カーガッド To:ヒュレス&ALL |
そうですね。 ヒュレスさんがこの装置を操作できるか、それを確かめておいた方が良いと思います。 試しに、もう一度触ってもらえますか? |
■コッコロット To:ヒュレス |
装置、祈るダケで良いデス。 いつでもどこからでも操作できるデス! |
■ヒュレス To:コッコロット>ALL |
あ、はい…。祈る…んですね? やってみます…。 |
ヒュレスはひとつ息を吐いて、右手を胸に当てて目を閉じた。
耳の痛くなるような静寂があたりを包む。
やがて、宙に浮いた球体が放つ光が徐々に強くなり、不安定な音を打ち消し始める。
■ケット To:ALL |
わぁ、どんどん強くなってる。 うまくいったね! |
■マケリ To:? |
……ち、違う………俺は……! そんなことは望んでいない! |
突然、マケリが頭を掻きむしって叫んだ。
抗えない力から逃れるように岩壁にすがりつき、今にも崩れ落ちそうな体を支えながら、ヒュレスを見つめる。
■マケリ To:ヒュレス |
………ヒュレス。 今すぐ光を消すんだ。 お前が望んでいた星空が、すぐ手に届くところにあるんだよ…。 |
■ヒュレス To:マケリ |
えっ? |
ヒュレスは驚いて、思わず目を見開いてたじろいだ。
彼の感情に呼応するように、一度は安定したかに見えた魔法装置は急激に光を弱めていく。
■マーキュリー To:ヒュレス |
ヒュレス、光を弱めちゃダメだ! あれはトリュボスの言葉だよ! |
■ヒュレス To:マーキュリー |
…ト、トリュボスの…… ……え……この声…誰……? |
ヒュレスはマーキュリーの方を見るが、そのまま視線はあらぬ方向へさまよい、両手で頭を押さえてつぶやく。
■コッコロット To:ヒュレス |
ヒュレス様! ヒュレス様! |
コッコロットがヒュレスの足元にすがりつく。
しかし彼は頭を押さえたまま、反応しない。
■マーキュリー To:マケリ |
マケリ先生!子供達のためにもっとがんばって! |
■カーガッド To:マケリ |
そうです、マケリさん。 あなたの帰りを待っている人は沢山居るし、あなたはみんなから必要とされているのです! 昨日も、子供達と約束したじゃないですか。 ちゃんと帰ってくるって。 自分を確りと持ってください! |
■マケリ To:マーキュリー&カーガッド |
…待っている人? …自分をしっかりと…だって……? ……くっ……アハハハ。 |
苦痛に顔を歪め、体を折り曲げていたマケリが急に絞り出すように笑った。
悲鳴とも聞こえるようなその声が止んだ後、マケリはゆっくりと一同を見回す…冷ややかな笑みを口元に浮かべて。
■マケリ To:ALL |
何を言ってるんだい…? 僕はしっかりしているよ。 自分のことも、自分の心の奥底の気持ちもよくわかっている…。 わかっていないのは、ヒュレスの方じゃないのかい? |
マケリはヒュレスに向き直る。
■マケリ To:ヒュレス |
お前が救いたいのはリーアだけのはずだ。 思い出せ…ヒュレス。村人達がお前に向けていた視線を。 ザリィの民の血を忘れ、ミレスのことも忘れ、生まれた時から当たり前のように与えられていた平和の上に、のうのうと暮らしてきた村人達を。 お前は…心の奥底では憎んでいるはずだ。 奴らは…裏切り者じゃないのか? 奴らの平和を守るために、星空を願ったリーアだけが“光の業(ごう)”を一生背負うのか? …お前の大切なリーア…今すぐ救わなければ死んでしまうよ……。 |
■ヒュレス To:? |
ぼ、僕は…僕はそんな……! う……あぁっ! |
ヒュレスが頭を抱えたまま膝をついた。
その様子は、“声”の侵入に耐えていた先刻までのマケリにそっくりだった。
魔法装置の光は球体の中心に向かって急速に縮んでいく。
その弱々しい光を取り囲むように、黒い亀裂がバチッ、バチッと音を立てながら球体の周りを走り始めた。
■ケット To:ヒュレス |
あわわわっ。 光がちいさくなっちゃうぅ。ヒュレスさんしっかりしてっ! |
■マケリ? To:ヒュレス |
ハハハ…。そうだよ…。 それでいいのさ、ヒュレス。 お前は何も悪くない……! |
マケリの声に、船で聞いた声と同じ──女の声が重なる。
■セイルディア To:マケリ? |
そんな浅はかな考えで、やりたいように行動したところで人は満たされることなどありませんわ。 どんなに他人が罪を許そうとも、自らの心を、罪の意識をごまかすことなど絶対にできないのですから。 罪を認め、行いが悪であったと自覚した時から、既に絶望ではなくなっています。 マケリさんは這い上がる『望み』を、もっているのですわ。 偽りの心の平穏など、受け入れる価値はありませんわ! |
■マケリ? To:ヒュレス |
…フ……罪と感じるから苦しむ。 叶わない想いだから絶望する…。 マケリ・レードルの闇はもっと深い。愚かな希望と光の子らよ…お前達には解らないだろう。 彼にとっての平穏こそ“闇”……欲望を持ち続け、それを否定し足掻く限り、深い苦しみから逃れることはできない… ならば、闇とひとつになれば良い。…すべて闇に溶けて…私の中で、ひとつに、ね…。 ククク……もう何にも惑わされない、永遠の静寂が彼を癒すだろう。 心配せずとも大丈夫…、すぐにお前達も、忌々しい“光”もろとも優しく食い尽くしてあげる……。 |
マケリの声が遠くかすれていく。 妖艶な女の声が次第に大きくなっていき、うつろなさざ波の音のように洞窟内を震わす。
■カーガッド To:マケリ?>ヒュレス |
お前がトリュボスなんだろうが……とうとう焦って出て来たのかな? ヒュレスさん、あなたはリーアさんの目が見えるようになることを望んでいるのでしょう? オランの街で私たちに語ったあなたの想い、あれは嘘偽りのないあなたの本心のはず。 悪魔は焦っています。こうして甘言を弄してくるのがその証拠です。 悪魔の甘言に惑わされず、自分のなすべきことをやってください! それはあなたにしか出来ないことですから。 奴が姿を現せば、我々の手で必ず倒します! 我々を信じてください。 |
■マケリ(トリュボス) To:カーガッド |
……焦っているだと……? …フフ……確かに、こんな機会は二度とないかもしれない……。 |
マケリは口元だけを歪めて笑うと、漆黒の瞳でヒュレスを凝視する。
■ヒュレス To:? |
ぼ、僕の望み…? たお…す……誰……? 僕が……信じている人たちは……う…っ…… |
ヒュレスは自分にまとわりつく視線から逃れようと、カーガッドの声を探した。
しかしその度に、苦痛に顔を歪め、声は弱々しくかすれていく。
■マーキュリー To:ヒュレス |
ヒュレスのやるべきことは今光を消してしまうことじゃないよ。 今消したら村も子供達もリーアさんもみんなトリュボスに破壊されて殺されちゃうよ! トリュボスと戦うんだよ。今頑張らなくていつ頑張るっていうの!? それにリーアさんはヒュレスを信じて待っていてくれてるんでしょ? |
■ヒュレス To:? |
待ってる…うっ……誰…が……? たたか…う……何と……? ……マーキュリー…さん……どこ…? あぁ……。 |
ヒュレスの身体は、今にも倒れそうなほど頼りなく震えた。
■セイルディア |
……っ! |
膝をついているヒュレスの傍に駆け寄ると、両腕でぎゅっとその身体を抱きしめた。
■ヒュレス To:? |
…え……? |
ヒュレスは呆然と、セイルディアの肩越しに空中を見つめる。
■セイルディア To:ヒュレス |
……聞こえる?ヒュレス。 皆が貴方のことを、応援しているわ。 星空を取り返すためには、あなたの「光」が必要なの。 …今「光」を消してしまったら、ひと時命は救えても、リーアの笑顔は永遠に見られない。 |
■ヒュレス To:セイルディア |
セイル……さん…? |
ぎゅっと抱きしめたまま、耳元で優しく語り掛ける。先ほど見たミレスの笑顔を思い出しながら。
■セイルディア To:ヒュレス |
思い出して。リーアの、皆の笑顔を。貴方に向けられたたくさんの愛情を。 貴方のご両親の思いを。貴方に託された希望を。 貴方の望みはリーアの命をただ救うことだけ?違うでしょう? 彼女が再び視力を取り戻し、笑顔で星空を見上げることでしょう? この島に真の平和と、星空を取り戻すことでしょう?どうか戯言に惑わされないで。そして、信じて。 大丈夫…一人じゃない。みんな、いるから… |
■ヒュレス To:セイルディア&ALL |
…あ…。 |
拭ったばかりのヒュレスの瞳から、また涙が一筋、頬をつたい落ちた。
それは無意識の涙だったのか、ヒュレスはまだ静かに空中を見つめていた。
そして……その表情が再び苦痛に歪むことはなかった。
■ヒュレス To:ALL |
……お嬢さま。…僕の本当の望みは……。 僕…思い出しました……。僕は…あてのない希望だけでオランヘ行って…そして。 みなさんが、その小さな希望を拾ってくれたんです…。 セイルさん…の声…。 それに、みなさんの…声も…… 聞こえました。ちゃんと……。だから…もう一度……。 ……僕に力を貸してください……。 |
魔法装置の光が中央から爆発するように一気に吹き出し、洞窟内を照らし出した。
黒い亀裂を消し去り、ふくれあがった光はやがて収縮し一本の光の柱となって洞窟の天井に向かって突き刺さった。光と魔法装置の共鳴が耳をつんざくような高音となって響く。地面が揺れ、天井からぱらぱらと石の粒がこぼれ落ちる。
■ケット To:ヒュレス&ALL |
わーー、やった、凄い光だっ! ヒュレスさん、やったよ! |
■マケリ(トリュボス) To:ヒュレス |
グ……! グゥッ……!! ……ち…! 愚かな光の子よ……。 お前ひとりだけなら、どうにでもなったものを……! |
マケリは忌々しそうに口元を歪め、冒険者たちを悪意の形相で睨みつけた。
もはや表情にマケリの面影すらない。強烈で純粋な“敵意”のみがはりついていた。
■マケリ(トリュボス) To:ALL |
……小賢しい人間ども……。 この世界に再び現れるのに、余計な力を使わざるを得なくなったが…… それでもお前達を葬り去るには充分だ。やがて光は裂け、我が僕(しもべ)とともに数百年ぶりに島へと降りよう……その時こそ、本当の絶望の始まりだ。 それまで、この身体は借りていく……まだまだ彼の心の闇は利用できる。 止められるものなら、止めてごらん……。お前達が良く知る場所で全てを闇に染め、待っていてあげる……。ククク……。 |
マケリの背後、岩壁との間の空中に黒い亀裂が走った。光の威力に押されながらもじわじわと──恐らくトリュボス渾身の力で──開かれたその“扉”に、マケリの身体が静かに取り込まれていく。
■マーキュリー To:マケリ(トリュボス) |
待てトリュボス! 今ここで決着をつけてやる! |
■マケリ(トリュボス) To:マーキュリー |
アハハハ……。ここは“光”の領域。こんな不利な場所で戦うつもりは無い。 追いかけておいで、光と希望の子ら。お前達が最も絶望するやり方で、お前達の大切なモノを破壊していってあげる……。希望が大きければ大きいほど、その後に堕ちる絶望は深い……。それを……止められる? …フフ……。 |
亀裂から黒い空気が滲み出してくる。意志を持った生き物のようにマケリの身体を包みこむ。
闇の隙間から、きつく握りしめられたままの右手だけが見えた。
■セイルディア To:マケリ(トリュボス) |
くっ…どこまでもマケリさんを利用しようというのね。 でも、絶対に諦めない。彼は『光』を無くしてなんていない。 人は絶望から這い上がれる力を持っている。一人の力は弱くとも、支える人々が、必ずいる。あなたの思い通りのシナリオになんてなりませんわ。 どれほど待とうとも、どれほど力を蓄えていようとも、永遠に! |
■マケリ(トリュボス) To:セイルディア |
……そう、それでこそ「人間」……。 そのしぶとさこそが、お前達を縛る愚かな「希望」……。クククク…… |
トリュボスの嘲笑が風の音のように擦れて消えていく。
マケリの身体を飲み込んだ黒い亀裂は徐々に縮まっていき……やがて球体から発せられる光に弾かれるようにして消えていった。
■ケット To:ALL |
あー、あいつ逃げた! 追いかけてこいって、いったい何処に?? |
■ヒュレス To:ALL |
あ……。 マ、マケリさん……。 良く知る場所って……まさか……。 |
ヒュレスは冒険者達を見回す。
■マーキュリー To:ALL |
まずいな。 トリュボスの狙いはザリィ村しかないですよね・・ 一番心配なのはリーアさん・・・急いで戻りましょう。 |
■カーガッド To:ALL |
そうですね。 馬を借りてきて良かったですよ。 急いで戻って、村の人たちに警告しましょう。 |
■コッコロット To:ALL |
コッコロットも行くデス! ヒューレィ様のかわりに見届けるデス。 |
コッコロットはぴょんとヒュレスの手の中に飛び込んだ。
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SW-PBM Scenario#144 白夜の島 |
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GM:ともまり |