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SW-PBM Scenario#144 白夜の島 |
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ザリィ村・ババ様の部屋 |
一行はリーアの部屋を出て、村人から“星読みババ様”と呼ばれているリーアの大祖母の部屋へ向かった。
と言っても、壁一枚隔てた隣である。
ヒュレスがドアをノックして、皆を促しながら中へ入った。
■ヒュレス To:ALL>ババ様 |
さ、どうぞどうぞ。 ババ様、ただいま帰りました〜。 |
ヒュレスが声を掛けた先には、部屋の一番奥の出窓のそばで揺り椅子に大きな体を埋め、ゆっくりと揺れているおばあさんの姿があった。
リーアとは対照的に、輝きを失っていない銀髪をひとつにまとめ、頭のてっぺんでおだんごにしている。
その隣には、豊かな口ひげを蓄えた初老の男性が腕組みをして立っている。
どうやら何か話し込んでいた様子だったが、ヒュレスの声で話を中断し、振り返った。
■ババ様 To:ALL |
来たかの…。ほっほっほ。 |
■初老の男性(ブラーボ) To:ババ様>ALL |
うーん…確かに。 お帰り、ヒュレス。 みなさん初めまして。私はブラーボと申します。 リーアの主治医ですよ。 |
ブラーボは人好きのする笑顔を浮かべつつ、一行を部屋へ招き入れた。
出窓には鉢植えがあり、小さな苗木が実をつけている。
赤くて小さな実だ。
■マーキュリー To:ババ様、ブラーボ |
初めまして、神官戦士のマーキュリーといいます。 ブラーボさんもお名前は伺っていました。 お二方どうぞよろしくお願いします♪ 大事なお話の途中ではありませんでしたか? |
■ババ様 To:マーキュリー |
ほっほ…。構わぬよ。 |
ババ様はゆっくりと揺り椅子に揺られながら、しわくちゃの顔に笑みを浮かべた。
■マーキュリー To:ババ様&ブラーボ |
ありがとうございます。 僕達はこの島に夜空を取り戻すために来たのですが、今は情報を集めているところなんです。 それで、お話を色々伺えたらと思いまして。 |
■ババ様 To:マーキュリー |
ヒュレスから聞いておるよ。ほっほ…。大儀なことじゃのう。 この婆にわかることなら、何でも話してやろう。 |
そう言って、冒険者たちを見定めるようにぐるりと見回す。
■セイルディア To:ババ様&ブラーボ |
古代語魔法を学んでおります、セイルディアと申します。 よろしくお願いいたしますわ。 |
■ケット To:ババ様&ブラーボ |
こんにちわー。僕は、ケット・シビスです。 歌を勉強しながら冒険しています。宜しく〜♪ |
■ブラーボ To:ALL |
よろしく。まぁ座ってください。 今お茶をいれましょう。 |
ブラーボが棚からティーセットを取り出し、テーブルに並べた。
一行に席をすすめながら、お茶の準備を始めた。
■ブラーボ To:ALL |
リーアが星を見たいと言い出したのが、すべての始まり…。 どうして空が明るいのか、誰にもわからない。 それなのにヒュレスが、きっとできると言い切ってオラン行きの船に乗ってしまった。…そんな雲を掴むような話に乗ってきてくれる冒険者など、いないと思っていたんだけどね。 いやはや…打ちひしがれたヒュレスをどうやって慰めようかと、そればかり考えていたよ。 |
苦笑しながらも、どこか嬉しそうに話すブラーボ。
ヒュレスは恐縮した様子で、肩を縮ませている。
お茶は少し渋みのある香りがした。
なんとなく体に良さそうである。
■マーキュリー To:ババ様&ブラーボ |
ヒュレスさんの熱意に応えたいと思いまして♪ それに、星が見えないという自然ならざる状況がどこかで歪みを生じさせていないかという危惧もあります。 わ♪このお茶はなんというお茶なんですか?(^^) |
■ババ様 To:マーキュリー |
ニエブラの葉からとったものじゃ。 体に良いぞ。たんと飲め。ほっほ。 |
ババ様はマーキュリーの言葉に、ますます顔をしわくちゃにして微笑んだ。
■マーキュリー To:ババ様 |
いただきま〜す♪ |
ちょっと苦めの味だが、体の調子が良くなっていくような不思議な感覚があった。
■マーキュリー To:ババ様 |
ん〜♪オトナの味って感じですね♪ それになんだか身体がシャキッとするような・・・不思議な感じがしますね♪(^^) |
■ケット To:ALL |
にがぁぁ(;_;) 僕にはちょっと口にあわないなぁ・・・ |
■ブラーボ To:ALL |
ははは、まぁゆっくり飲んでください。 さて…ババ様は5つの希望が来ると、さっきおっしゃられてね。 果たして…といった感じかな。 どうすればいいのか、見当はついているのかい? |
■カーガッド To:ブラーボ&ババ様 |
いえ、それが全く手がかりがないといったところです。 何かご存知なことがあれば教えて頂きたいのですが……。 申し遅れました、私はカーガッドと申します。 一応このメンバーのとりまとめをさせてもらってます。 |
■ブラーボ To:カーガッド |
どうぞよろしく。 それにしても、手がかりなしかい? ふーむ。 私たちも、どうすればいいのかは、さっぱりなんだよ。 |
ブラーボは困ったように頭を掻く。
■マーキュリー To:ババ様&ブラーボ |
この村で伝承とか童話とか、星空が出てくるような話は思い当たりませんか? あと、『ミレス』という名前に心当たりはありませんか? |
ブラーボは首を傾げている。まったく心当たりが無い様子だ。
■ババ様 To:マーキュリー>ヒュレス |
ほっほっほ…。 『ミレス』…あの本にそう書いてあったと言っておったのう、ヒュレスや。 |
■ヒュレス To:ババ様 |
は、はい。 |
ババ様は苗木から赤い実を一粒とると、光にかざして眺める。
■ババ様 To:ALL |
その『ミレス』に会いに行く時が来たようじゃの。 滝の奥でヒュレスと、「運命を変える者たち」を待っておる…。 |
■マーキュリー To:ババ様 |
今のはニエブラでの占いですよね? ミレスの残した何かに会いに行くということでしょうか? その中にマケリさんも見えましたか? それに運命を変える者たち・・・この島の人達全員の暮らしを僕達が変えてしまうということでしょうか? |
ババ様はほほえんで、ニエブラの実をさらに高くかざした。
■ババ様 To:マーキュリー&ALL |
『ミレス』は、何かを語りたがっておる…ヒュレスへの想いがそこに残っておる。 しかし、ヒュレスはひとりでそこへ行ってはならぬ…おぬしたちが必要じゃ。 マケリの姿は闇の中…、星にも映し出せぬ。あるいは、婆が読めんだけかの…。 おぬしたちがこの島に来たことで、すでに運命は変わりつつあるのじゃ。 マケリやリーア、ヒュレス…そして島の未来… すべてはおぬしたちの旅のあと…じゃ。 |
ヒュレスの持つティーカップが、音を立てて皿に置かれる。
■ヒュレス To:ALL |
……か、語るって…何のことでしょうか? その滝の場所に行くことが、星を見ることと関係があるんですか…? 僕は、「ミレス」を知らないし…関係がなければ、行く必要はないですよね? |
ヒュレスは何かに怯えたような表情で、冒険者たちに語りかけた。
■マーキュリー To:ヒュレス |
ヒュレス、星を取り戻すには君の勇気と行動が必要なようですね。 もし危険な事になったとしても僕達が全力で護りますよ(^^) |
■ヒュレス To:マーキュリー |
……は、はい…。 |
自信の無さそうな様子でつぶやく。
ブラーボが見かねて、ヒュレスの肩を叩いた。
■ブラーボ To:ヒュレス&ALL |
……まぁ、そんな顔をするな。 言おうかどうか迷ったが……良いニュースがひとつだけあるんだよ。 あの光が消えれば、リーアの目も治るかもしれない。 |
ヒュレスは驚いて、身を乗り出した。どうやら初耳らしい。
ブラーボは皆に向かって語りかける。
■ブラーボ To:ALL |
リーアは小さい頃から空を見上げる癖があったんだ。 他の人より長い間あの光を見続けた結果、体内の光の精霊のバランスが崩れてしまった。 …今は私が禁止しているから、空を凝視することはなくなったが、それでも光は空気中に漂っているから、どうしても影響を受けてしまう。 つまり…病気の原因である「光」を完全に消すことができれば、リーアの目も治る可能性がある、ということだな。 …君たちがやろうとしていることは、希望に繋がっているんだよ。きっとね。 |
■カーガッド To:ブラーボ>ヒュレス |
分かりました。全力を尽くしましょう。 では、ヒュレスさんも一緒に来てもらえますね? |
■ヒュレス To:カーガッド |
…は、はい! お嬢さまの目が良くなるなら……何でもします! |
■マーキュリー To:ヒュレス |
ヒュレス良かったですね♪ 目が治るかもしれないなら、ぜひともやってみなくちゃね♪ |
■ヒュレス To:マーキュリー |
はい…。僕、嬉しいです…。あは…。 |
早くも目を潤ませて、泣き笑いを浮かべた。
■マーキュリー To:ブラーボ |
ブラーボさん、光をどうにかしないと根本的な解決にはならないけど僕やセイルの魔法で一時的にでもリーアさんの症状を治したり緩和させたりできるかもって思ったんですけどどう思いますか? 僕はまだ未熟ですけど神の奇跡を行えます。 その中には病気や怪我で失われた視力を治す技もあるんです。 セイルやレヴィンは精霊と話せるから光の精霊ともきっとうまく話せるんじゃないかと思うんですよ。 |
■ブラーボ To:マーキュリー&ALL |
おお、君は神の奇跡を行えるのか。この村には神の声を聞ける者はいないから、よくわからないけれど、可能性があるならぜひやってみておくれ。 …私も多少精霊と話すことができるが、森の住人であるエルフのおふたりのほうがより深い話ができるかもしれないね。 |
■マーキュリー To:ブラーボ |
ではあとでもう一度リーアさんの所に行ってみますね♪ 先程の、リーアさんの目が空気中の光をなくすことで治るかもしれないという話は、リーアさんにはしてありますか? リーアさんの目を治すことも大切ですけど、健康を取り戻すことも大切ですからね。 |
■ブラーボ To:マーキュリー&ALL |
いや、していないよ。期待させて、やっぱり駄目ということになったら、かわいそうだからね……。 今はヒュレスと……君たちが、星を取り戻してくれるということだけが、唯一彼女の生き甲斐になっているんだ。だから……よろしく頼むよ。 |
■カーガッド To:ブラーボ |
分かりました。なんとしても成功させて見せますよ。 |
■ケット To:ブラーボ&ALL |
大丈夫。きっと良くなりますよ! |
■ブラーボ To:カーガッド、ケット&ALL |
……うむ。ありがとう。 |
■マーキュリー To:ババ様 |
ババ様、泉の場所を教えていただけますか? |
■ババ様 To:マーキュリー&ALL |
村を流れる川を上って行くのじゃ。 川岸に沿って、森の奥深く…どのくらい先かはわからぬがの。 ヒュレスがあの日、本と共に流れてきた川じゃ。ほっほ…。 |
■マーキュリー To:ババ様 |
そうだったんですか。ヒュレスさんには不思議な力があるように思っていました。 川を遡ってミレスに会うことで、そのことも解りそうですね。 泉までは歩いてどれくらいの時間を見ておけばいいんでしょうか? |
■ババ様 To:マーキュリー&ALL |
わからぬよ。森の奥深くということだけじゃ……。 恐らく、村人も入ったことのないほど奥深く……じゃ。 |
■ブラーボ To:ALL |
よかったら、後で村の者に言って馬を用意してあげようか? 村人が狩りに使う、普通の乗用馬だけどね。先がわからないんじゃ、徒歩は不安だろう? |
■ケット To:ALL |
馬があった方が移動は楽そうだね。お言葉に甘えて用意して貰ったらどうだろ? |
■マーキュリー To:ケット&ALL |
そうですね♪貸して戴けるのでしたらその方が良さそうですね♪ |
■カーガッド To:ブラーボ |
それじゃあ、お言葉に甘えて馬を用意してもらえないでしょうか。 私たち5人とヒュレスさん、あと頼んでみないと分からないですが、マケリさん。 合計7頭なのですが、大丈夫でしょうか? |
ブラーボはあごに手を当てて、ケットをまじまじと見る。
■ブラーボ To:カーガッド&ALL |
ううむ……ケット君は、言いにくいけど足が届かないんじゃないかな? 小型の馬がいないから……申し訳ないけど、誰かと一緒に乗ってもらえるかな。 そうすると、6頭だね。明日の朝までに準備しておけばいいかい? |
■ケット To:ブラーボ&ALL |
解りました〜。じゃあ、僕は誰かと2人乗りしますね。 僕はちっちゃいから、お馬さんもそんなに負担にはならないと思うし。 よろしくお願いします。 |
■セイルディア To:ババ様&ブラーボ |
ニエブラの実を見ると、星を見ずとも占星術ができると聞きましたわ。 それで渦潮の時期もかなり正確にわかるとか。 その占いは10年ほど前からと聞きましたけれど、どうやって発見されましたの? ニエブラの実がこの島の特産であることと、島の特性と、なにか関連があるのでしょうか。 その占星術は、誰にでもできるようになるものなのでしょうか? |
■ババ様 To:セイルディア&ALL |
ほっほ…うまく言えんがの。婆の魂の奥に潜む何かが、星を見ることを思い出したんじゃ。森に実をつけるニエブラを眺めていたとき、ふと星のイメージが心の中に浮き上がってきての……。星なぞ、見たことがなかったこの目に、どこか懐かしい思いとともに見えたのじゃ……。 ニエブラの実は、大昔は存在しなかった植物じゃと、婆は思うとる…。 あの本には、あらゆる自然の絵が記録されておるが……ニエブラの実が描かれていないんじゃな。 はるかな昔、星を隠した光……歪められた自然は、どこかでそれを正そうと、救いの種を蒔く。 何かが強くなれば、何かが消え…別の何かが生まれる。 この島には、そういう力が働いておる……“バランス”を保とうとする力じゃ。ほっほ……。 占星術は……さて、のう。婆も偶然じゃった……皆の魂が思い出しさえすれば、恐らくの。 |
■カーガッド To:ババ様 |
”バランス”を保とうとする力ですか。 それが何なのかまでは分からないですよね……。 |
■ババ様 To:カーガッド&ALL |
残念ながらの。 強いて言うなら…自然そのものの力とでも言おうかの。ほっほ。 |
■ケット To:ババ様 |
リーアさんには無理なんですか? もしババ様みたいに占星術ができれば、星を見る事ができるようになるわけですよね? |
■ババ様 To:ケット&ALL |
ほっほ…リーアはよく婆の占星術をうらやましがって、真似しようとしておったの。 しかし、何も見えんかったようじゃ。 できるようになるかどうかは、婆にもわからぬの。 |
■ケット To:ババ様&ALL |
そうかぁ。やっぱり簡単じゃないんだね。 でも、ババ様も10年前から見えるようになったって事は、リーアさんもこの先見えるようになる可能性はあるかもしれないね。 |
■マーキュリー To:ババ様&ブラーボ |
あと一つ。 オランでの調査ではおおよそのことしか解らなかったんですが・・・ 僕達がやろうとしていることは、もしかしたら今までこの村を守ってきた封印を解き、ふたたび異界の者達との争いを呼び寄せてしまう事なのかもしれません。 図書館にあった古い書物に、異界の者達との永い戦いの末、星を捨てて平和を手にした島があったという話が伝えられていました。 ただ、上陸直前に船上で襲いかかってきた者達の事も考えると、封印の力が弱くなっていて、僕達が何もしなくてもいずれは封印が破られることになるのかもしれません。結果はどうなるかわかりませんが、そういう可能性もあるってことを承知しておいていただけないでしょうか。 |
■ブラーボ To:マーキュリー&ALL |
……封印? 異界の者……? |
ブラーボは眉をひそめ、首を傾げている。何のことかわからないようだ。
一方、ババ様は深く頷き、にっこりと微笑んだ。
■ババ様 To:マーキュリー&ALL |
いい子じゃ、マーキュリーや。 わかっておるよ……。婆には“敵”の正体はわからぬが、闇がもうすぐそこまで迫ってきておることは、星がずいぶん前から知らせてくれよった。 婆には、おぬしたちを待つことしかできなかったがの。 そして、見届けることしかできぬ……。どんな結果であろうと、それはヒュレスと…おぬしたちが選んだ道じゃ。 ザリィ島はすべてを受け入れるであろう……。 |
そう言うと、ニエブラの実を出窓のそばに置いた。
そして窓の外へ視線を向けた……まるですぐ目の前にある未来へ思いを馳せるように。
■カーガッド To:ババ様 |
なにやら、責任重大な気がしますね……。 もし良ければ、我々の未来を占ってもらうことはできますか? これからの行動の手がかりになれば、と思いますので。 |
■ババ様 To:カーガッド&ALL |
ほっほ……。それはもう、何度もやっておっての。 その結果が、泉のそばに立つおぬしらの姿だったのじゃ。 「ミレス」の導きで滝の奥へ入り……、それから先は……。 |
ババ様は新しくニエブラの実をひとつ摘んで、光にかざした。
しばらくそのまま動かなかったが、やがて歌うような声で朗々と言った。
■ババ様 To:ALL |
……マケリと同じ、闇の中……。 まだ、未来は定まっておらぬ……。 |
ザリィ村・リーアの部屋 |
ババ様との会話を終えた後、マーキュリーは再びリーアの部屋を訪れ、彼女に神の奇跡──「キュアー・ブラインドネス」を施した。
しかし、神の声は確かに届いたものの、リーアの瞳に変化を与えることはできなかった。
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GM:ともまり |