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SW-PBM Scenario#144
白夜の島

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白髪の少女


 ザリィ村・リーアの家

一行はほとんど小走り状態のヒュレスについていく。
村の中央には小さな川が流れ、川べりにはたくさんの花が咲いている。
木造の橋を越えていくと、他の家々と比べてもかなり立派な作りの家の前についた。
ヒュレスは顔を紅潮させてドアを開けた。
■ヒュレス To:ALL
ここです! みなさん、どうぞ。

■マーキュリー To:フレディ
ここでおとなしく待ってるんだよ♪

優しく撫でながらフレディの荷を解き玄関に繋ぐ。
家に入るとほんのりと木の香りがした。
壁には手作りのタペストリーが掛けられ、暖かみのある家具が置かれている。
廊下を歩き、一番奥の、日当たりの良さそうな部屋のドアを開けた。
■ヒュレス To:リーア
お嬢さま〜! 帰ってきましたよ!

ヒュレスはベッドの側に駆け寄った。
そこには、上半身だけ起こして手元の本を見つめる少女がいた。
突然の声に驚いたのか、目を丸くしてヒュレスのほうを見る。
しかし、その視線は定まっていない。
■リーア To:ヒュレス
え…。ヒュレス?

■ヒュレス To:リーア
はい、僕です。
それから、お嬢さまの願いを叶えてくれる冒険者の方たちですよ!

ヒュレスはリーアの手を握りながら語りかける。
リーアは人の気配を感じたのか、ドアの方──冒険者たちを見つめた。

18歳にしてはあどけなさを残す大きい瞳。うすい灰色をしている。
頼りなくさまようその視線は、まるで夢を見ているかのようだった。
背中まで長い髪は、細くて美しかったが、白髪のようだ。
ネグリジェから覗く首や腕は、折れそうなほど細い。
■リーア To:ALL
こんにちは…。リーアです。

微笑んで、ぺこりとおじぎをした。
■カーガッド To:リーア
私はカーガッドと言います。
一応、このメンバーの纏め役をやらせてもらってます。
宜しくお願いしますね。

■マーキュリー To:リーア
こんにちは、リーアさん♪こんばんはかな?
みんなと同じく冒険者で神官戦士のマーキュリーと言います♪よろしくお願いします♪

■セイルディア To:リーア
はじめまして。同じく冒険者のセイルディア、ですわ。
古代語魔法を修行中のエルフです。
どうぞよろしくお願いしますね。

■リーア To:ALL
よろしくお願いします…。
あの…

不安と期待が入り交じった様子で、手を胸元に置き、一呼吸置いてから。
■リーア To:ALL
私の願いって…
もしかして、星を…見せてくれるの?

■セイルディア To:リーア
『この島に星空を取り戻し、貴女に夜空に輝く星を見せること。』
…私達はヒュレスさんの依頼を受けて、その願いをかなえるためにここまでやってきたのですわ。

■マーキュリー To:リーア
はい、どうすれば良いのかはこれからですけどね。

■リーア To:ALL>ヒュレス
本当……本当に……?
ヒュレス、私……知らなかった……
そのために、オランへ……?

■ヒュレス To:リーア
はい。黙っててごめんなさい。
ちゃんと冒険者の方が見つかるかどうか、不安だったから…
でも、この方たちなら大丈夫です! きっと叶えてくれます。

手をしっかりと握ったまま、ベッドの傍らに跪いて語りかけるヒュレス。
■カーガッド To:リーア
そのために、色々とお話をお聞きしたいと思います。
お体の方は大丈夫ですか?

■リーア To:カーガッド&ALL
ええ……少しなら…大丈夫……。
星を見ることができるなら、何でもします……。

弱々しかった表情をわずかに輝かせて、祈るような声で言った。
■マーキュリー To:リーア
この村に伝わる歌や話や状況を統合すれば、何らかの糸口が見つかるんじゃないかと思っています♪
さっそくですが、ザリィ島の風景と星空が載っている本をお持ちだと伺っています。
その本を見せていただけますか?

■リーア To:マーキュリー&ALL
本…これですか?

リーアは手元にあった小さな本を、一行に差し出した。
■カーガッド To:リーア
ありがとうございます。
早速読ませてもらいますね。

そういって本を受け取ると、みんなに見えるように本を開いた。
手のひらに収まるくらいの大きさで、革紐で綴じられただけの簡素な本だ。
羊皮紙はかなりボロボロで、かなりの年月を感じさせる。
表紙と、最初のページには何やら文字らしきものが書かれている。

次のページからは文字はなく、絵だけが描かれていた。
森の絵、海の絵、川辺の絵、花の絵……自然の風景が丁寧に写し取られている。
最後のページには、泉に流れ落ちる滝の絵があり、バックの空は星空になっていた。
そのページの右隅に、まるで署名のように短い走り書きがあった。
それらの文字は、冒険者たちには読めなかった。
■マーキュリー To:リーア、ヒュレス
う〜〜ん、かなり古い物のようですね・・・この文字は何だろう?
なるほど、この最後の泉と滝の絵が『それらしい絵』ってことですか。

リーアさん、ヒュレスさん、この本の文字は読めますか?
それと、以前誰かに見せたことはありますか?
例えば・・・ババ様とかマケリさんに。

■リーア To:マーキュリー&ALL
この本は、もともとババ様が持っていたの。
子どもたちには見せたけど、マケリには見せてない……。
文字は…私は、読めないわ。
ヒュレスに読んでもらったの。

■ヒュレス To:ALL
…ええと、何でかわからないですけど、何となく読めるんです。

困ったように頭をかく。
■セイルディア To:ヒュレス
古代王国時代にかかれた書物のようですけど…私にもさっぱりわかりませんわ。
タイトルから順に、文字らしきところを読んでみて下さいませんか?

■ヒュレス To:セイルディア&ALL
あ、はい。
えーと……表紙の文字は、『思い出』。
1枚目のは……

ヒュレスはこほん、とひとつ咳払いしてから読み上げる。
■ヒュレス To:ALL
『彼方のひかり 強すぎて
 お星さま 見えない
 伸ばした手の先 白い夜空

 彼方のひかり 強すぎて
 お星さま 隠した
 見上げるその先 白い夜空

 護りの白の夜 お星さまに さよなら言って
 わたしたちは 生き続けます

 いつかまた会えますように』

……。

ヒュレスは語尾を詰まらせた。ちょっと涙ぐんでいるらしい。
■ヒュレス To:ALL
あ……ええと、それで……最後のページには、『ミレス』……と書いてあります。

■マーキュリー To:ALL
思いでですか・・・ミレスさんが『思い出』を本として残したってことでしょうかね。
そう考えるとミレスさんは『護りの白の夜』のあと、森や海や花を見れない状況になってしまったのかな?…

■セイルディア To:ヒュレス、リーア
この、泉と星空のかかれた場所ですけれど、この島のどこかにこのような場所があるのでしょうか?
思い当たるところはありますか?

■リーア To:セイルディア&ALL
私たちは知らないけれど、ババ様はあると言っていたわ……。
島全体に広がる、深い森の中……。

■カーガッド To:ヒュレス、リーア
そうしたら、島の地理に詳しい人を紹介してもらえないでしょうか。
島の地図があればそれでも構いませんが。

リーアは指を口元に当てて少し考える仕草をしてから、
■リーア To:カーガッド&ALL
…村のみんなは、狩猟に出かける範囲しか詳しくないと思います。
そんな泉の話は、みんなから聞いたことがないから…きっともっと遠く……
たぶん、ババ様は場所を知っていると思うわ……。

■マーキュリー To:リーア
ちょっと本の話とは離れますが、リーアさんにお聞きしたいことがありました。
マケリさんが海難事故で島に流れ着いたときのことをお聞かせ願えませんか?

■リーア To:マーキュリー&ALL
…え? ええ……。
あれは、2年前…あの頃は、私の目も今よりは見えていました…。
気をつければひとりで歩けたので、海岸に散歩しに行ったんです。
そうしたら、船らしき残骸にまぎれて……、あの人が波打ち際に倒れていたの。
びっくりしたわ……でもまだ息があったので、私は何とか背中に抱えて、村まで連れて帰ったの……。
私は必死に看病しました。ひどくうなされて、何日も高熱が続いて……
ブラーボ先生も半ば諦めかけていたわ……。

リーアは辛そうに、胸に手のひらを置いた。
■リーア To:ALL
幸い、1週間ほどで意識を取り戻しました。でも……。
マケリは…ずっと何かと戦ってる。
今でも……。

■ヒュレス To:リーア
お嬢さま、もう横になった方が…。

ヒュレスが心配そうに背中を支えると、それに寄りかかるようにしてベッドに横になり、深いため息をついた。
■マーキュリー To:リーア
ありがとうございました、ゆっくり休んでください。
あとひとつ、夜に何度か空を眺めていたことがあるそうですね?
どういった気持ちで眺めていたのかなって思って(^^)

■リーア To:マーキュリー&ALL
えっ…誰から聞いたの?
…マケリね?

きょとんとしているヒュレスを尻目に、リーアは恥ずかしそうに毛布の中に半分顔を埋める。
困ったように逡巡してから、囁くように言った。
■リーア To:ALL
…じっと見ていれば、光の向こうに、星が見えると思ったの…。
光さえなければ…きっと見えるのに…。

■カーガッド To:リーア
きっと、私たちが何とかしてみますよ。
長々とすみませんでした。

■リーア To:ALL
…ありがとう……。待ってる……。

リーアは心から嬉しそうに、にっこりと笑った。
灰色の瞳の奥に、希望の光を宿して。

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