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SW-PBM Scenario#144 白夜の島 |
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船内・厨房 |
甲板での騒ぎが起こる少し前……。
船内にある厨房では、カーガッドとヒュレスは、昼食の準備をしていた。
厨房は甲板の下り階段を下りた第二甲板の、一番奥にある。手狭で多少痛んではいるが、使いやすいようにきれいに整頓されている。ヒュレスの性格だろうか?
旅の経験が豊富なカーガッドは、野営料理には慣れているらしく、なかなか手際が良い。
もちろん、いつものスプリント・アーマー…ではなく、しっかりとエプロンを装備中である。
■ヒュレス To:カーガッド |
いや〜、びっくりしちゃいました。 カーガッドさんがこんなに、料理に慣れてるなんて。 野菜の切り方なんて、達人の域ですよね〜。 |
ヒュレスが目の前の巨大ななべにおたまを突っ込んで、ゆっくりと動かしながら、嬉しそうに話しかけてくる。
コトコトとシチューのいい香りが厨房を満たしている。
■カーガッド To:ヒュレス |
生まれたときからあちこちを回っていましたからね。 野外では手早く準備できることも重要でしたから、その辺はずいぶんと仕込まれたものです……。 |
そういって、昔を思い出し遠い目をした。
■ヒュレス To:カーガッド |
生まれた時からですか〜! すごいなぁ…。 僕なんて、ザリィ島から出たのが初めてでしたから…、そういう生活も、ちょっと憧れちゃいます。 …仕込んでくれたのは、やっぱり…お母さんとかなんですか? |
ちょっぴり寂しそうに聞くヒュレス。
■カーガッド To:ヒュレス |
それがですね……私が物心付いたときには両親はすでに居なくて、 旅芸人の一座で育ててもらっていたのですよ。 両親もそこに居たとは聞いているのですが、顔は覚えてませんね。 料理はその一座のまあ、座長みたいな人の奥さんに教えてもらいました。 ……おっと、湿っぽくなっちゃいましたね。 まあ、もう昔の話ですから、気にしないでください。 |
■ヒュレス To:カーガッド |
そうだったんですか…。 すいません、変なこと聞いちゃって。 …でも、失礼かもしれないですけど、ちょっとだけ…嬉しいです。 僕と同じような境遇の人がいたんだなぁって… |
そう言うと少し笑って、指で頬を掻いた。
そしてすぐに話を打ち切るように、あわてて口を開く。
■ヒュレス To:カーガッド |
そうだ、僕、マケリさんに食べられるかどうか聞いてきますね。 たしか、このところパンとお水くらいしか口にしてないはずなんです…。 |
ヒュレスは心配そうにそう言うと、厨房の扉に手をかけた。
しかしその瞬間、扉が勝手に外側に開いた──
■ヒュレス To:マケリ |
わっ!? あ、マケリさん。 |
バランスを崩したヒュレスの目の前に、マケリが立っていた。
厨房の扉を入ってすぐの壁に寄りかかり、コトコト音を立てるなべを見つめる。
顔色はまだ多少青白いが、出港時よりは気分がいいようだ。
■マケリ To:ALL |
いい匂いだね。 |
そう言って優しく笑った。
■カーガッド To:マケリ |
おや、マケリさん。 すこし、顔色が宜しいようですね。 食事はどうされます? |
■マケリ To:カーガッド |
ああ…今なら吐き出さずに食べられそうだよ。 そんなことより… |
そう言って、腰から下げた剣──エストックのようだ──を抜き放ち、カーガッドの銀のハンドアックスにぴたりと切っ先を向けた。
■ヒュレス To:マケリ |
わっ! こ、こんなところで何するんですか!? |
■マケリ To:ヒュレス |
あわてるなよ。何もしやしないさ。 |
マケリは苦笑しながらカーガッドに向き直った。
その伏し目がちな瞳の奥に、少年のような好奇心を宿しているように見える。
■マケリ To:カーガッド |
君の得物は、そいつなんだな。 剣じゃなくて残念だが、よかったら手合わせしてもらえないかな? もちろん、寸止めでね。 |
■カーガッド To:マケリ |
おやおや……剣以外の武器でも十分に戦えますよ。 私はこれが得物ですからねぇ。 しかし、こんな狭い場所では何ですし、せめて島についてからでは駄目ですか? 最近の「賢者の学院」は剣術も教えておられるので? それとも、剣術は独自に鍛錬されたのですか? |
そう皮肉たっぷりに言いつつ、いつ襲い掛かられても良いようにそっと得物へ手をやる。
■マケリ To:カーガッド |
戦いの技術は、最初の一太刀でわかる。 場所が狭くても問題ない。それとも──、自信がないのかな? 僕が怖い? …ふふ…。 冒険者が、素人の剣使いに負けたくはないよね? |
マケリはさも可笑しげに微笑みながらエストックの切っ先をスッと持ち上げ、カーガッドの目先にそれを向ける。
■ヒュレス To:マケリ |
マケリさん! やめてください! いったいどうしちゃったんですか!? |
ヒュレスが叫ぶのと同時に、船がぐらりと揺れた。甲板の方が騒がしい。
誰かが大声を上げたような気がする。
■マケリ To:ヒュレス |
お前も…、僕が怖いか? くっくっく… |
その時、カーガッドにはマケリの声が二重に聞こえた。
まるでふたりの人間が同時に言葉を重ねたかのように──しかし、重なった声は明らかに聞き覚えの無い「女性」の声だった。
■カーガッド To:マケリ>ヒュレス |
ふふ……。いいでしょう。 そこまで挑発されたのであれば、応えないのも野暮というです。 ……後悔させてあげますよ。 ヒュレスさん、少し下がっていてください。 |
腰のハンドアックスを利き手に構え、マケリに対峙する。
狙いはマケリの手に持つ武器。
■ヒュレス To:カーガッド |
…は、はい…。 |
ヒュレスは困惑の表情で、なべを火からおろしたあと、壁際に下がる。
■マケリ To:カーガッド |
やる気になってくれたかい? 嬉しいよ。 さあ、おいで…カーガッド。 |
マケリはエストックを両手で構えた。
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SW-PBM Scenario#144 白夜の島 |
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GM:ともまり |