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SW-PBM Scenario#144
白夜の島

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コキリアの願い


 図書館・カウンター横

一方、久しぶりに再会したセイルとコキリアは、フォルリーから距離をとり、カウンターの横で声をひそめておしゃべりを開始。
セイルにとってはなつかしい、エルフの言葉だ。
■コキリア To:セイルディア
(こそこそ)ね、久しぶりね。 …その格好…冒険者になったって、本当だったのね。
魔法、上手くなった?

コキリアは人差し指をくるくると動かして、魔法の動作のまねをしてみせた。
魔法がからきしダメだった彼女は、セイルの才能を尊敬していたようだ。

コキリアはにこやかに話しかけてはいるが、どことなく元気がないようにも見える。
■セイルディア To:コキリア
(相手に習って小声で)本当、久しぶりですわね。
まだまだ駆け出しですけど、冒険者としてなんとか格好がついてきたところですわ。
今も、冒険者として依頼を受けて調査の途中ですの。
魔法は…ふふ。もうすぐ、使い魔の姿を見せてあげられますわよ。

■コキリア To:セイルディア
わぁ、本当? 楽しみだわ。…ね、きっと見せに来てね。

セイルはほんの少し得意げに微笑んだが、相手のどことなく元気のない様子が気にかかる。
■セイルディア To:コキリア
コキリア、どうかしましたの?
なんだか、元気がないように見えますけど…

■コキリア To:セイルディア
あ…うん。
あは…やっぱり顔に出ちゃうのかな、私。

…あのね、この間マケリさんが帰ってきたんだって。あ、セイルは知らないかな…私、何度かいっしょの講義に出たことがあるんだけど。
まるで炎みたいな赤毛と、琥珀色の瞳で………素敵な人なのよ。

「マケリ」という言葉を、とても大切に発音したように感じる。
ほんのりと頬が赤く染まっているが、同時に切なげでもある。
■コキリア To:セイルディア
2年前にね、旅に出るって聞いて…私、思い切って、その…気持ちを伝えたの。
でも、すごく申し訳なさそうに、「ごめんね」って…
優しいの、マケリさん…だからもう、忘れようと思ったの。
それなのに、帰ってきたって聞いて、気持ちをかき乱されちゃって…結局、会えなかったけど…その方が良かったのかな。
エルフが人間に恋するなんて、不幸の始まり…なのかしらね、やっぱり…。

寂しそうにそう言って笑うと、みるみるうちに涙ぐんだ。
■セイルディア To:コキリア
…「エルフが人間に恋をしたら不幸になる」…そんなこと、誰が決めましたの?
幸せの形など、決めるのは本人の心。寿命や習慣に惑わされてはいけませんわ。

セイルはそっとハンカチを差し出し、コキリアの肩に手を置くとまっすぐに瞳を見つめた。
■コキリア To:セイルディア
うっ…。

セイルの言葉に感情が溢れだしたのか、ハンカチを目に押さえつけてうつむいた。閉じたまぶたから、涙がこぼれ落ちる。
■セイルディア To:コキリア
…どうか泣かないで下さいな、コキリア。そして、よく聞いてくださいね。
実は、私はマケリさんとは直接面識はありませんけど、
今回の依頼人とかなり係わり合いのある人物ですの。
マケリさんのお父様はとある島について調べておられて、おそらく彼の言う「旅」とは親子で現地調査に行く旅だったと思うのですが…
…彼とお父様の乗った船は難破して、お父様は行方不明になられたそうですわ…。

■コキリア To:セイルディア
! ……。

コキリアは思わず顔を上げた。
セイルは少し悲しげな表情をした後、すぐに笑みを浮かべて言葉を続ける。
■セイルディア To:コキリア
彼は二年間、ザリィ島という島で生活をしていたそうです。
久々に学院に顔を出されたようですけど、この後船でまた島へ戻られるようですわね。
私たちもこの後、一緒の船でザリィ島に行くことになっていますの。
…貴女がもう一度会いたいと思うなら絶対に会いに行くべきです。
強制はいたしませんし、もしかしたらもう一度傷つくことになるかもしれません。
けれど…ここで諦めてしまっていいのですか?もう二度と、会えないかもしれませんのよ?
たとえどんな結果になろうとも、会えるのに会わないまま…悔やんだまま一生過ごすよりはずっと幸せになれる…私はそう思いますわ。
私がこれから会う方と、あなたの思う方が同じ…この偶然を、少し信じてみませんこと?

やさしい笑顔を浮かべ、肩をぽんぽんと叩いて手を離した。
■セイルディア To:コキリア
…私たちと一緒にくれば、おそらく船着場で彼に会えると思いますの。
会うか会わないか…決めるのは、貴女ですわ。

■コキリア To:セイルディア
…セイル…
まさかあなたの仕事に、関わりのあることだったなんて…
すごい偶然、ね…。私、うれしい。ほんとにうれしい。

ハンカチで目をぬぐうと、セイルをまっすぐに見て微笑んだ。
その笑顔は、決意の現れでもあった。
■コキリア To:セイルディア
あなたの言うとおり…このまま気持ちを押し殺しても、きっと私、後悔する…
私、行くわ。船着き場まで、いっしょに連れて行って。
一目会って、…せめて、旅の無事を祈ってること、伝えたい…。

コキリアの様子に、セイルもにっこりとうれしそうに微笑んで頷く。
■セイルディア To:コキリア
…決心が、つきましたのね。
もちろん、連れて行って差し上げますわ。きっと、仲間たちも了承してくださると思いますの。
今、ザリィ島に関することをみんなで調べている最中ですのよ。
それが終わりましたら、一緒に船着場へ参りましょう。

■コキリア To:セイルディア
ええ。ありがとう、セイル…。

 図書館・カウンター

調査を終えたカーガッドたちは、セイルたちのいるカウンターに戻ってきた。
ヒュレスは窓の外を見る。空は墨を塗ったように暗く、あちこちでランプの灯火が揺れている。
■ヒュレス To:ALL
もうそろそろ、時間ですね…。港に向かわないと…。

■マーキュリー To:ヒュレス&ALL
そうですね、出発しましょう♪
ケットもそろそろ来るころでしょうし(^^)

■セイルディア To:ヒュレス&ALL
そうですか、もうそんな時間なのですね。
すみませんが、彼女…コキリアも一緒に船着場まで行ってもよろしいかしら?
彼女はマケリさんの知り合いで、学院では会えなかったので彼がここを離れる前にどうしても会っておきたいのですって。

■カーガッド To:セイルディア&ALL
私たちは全く構いませんが、ヒュレスさんは問題ないですか?

■ヒュレス To:カーガッド&ALL
あ、はい。僕は大丈夫ですよ。

■マーキュリー To:ALL
そうですか♪マケリさんのお知り合いなんですか♪
じゃぁ船着場までみんなで行きましょう♪

■コキリア To:ALL
すみません…ありがとうございます。みなさんのお仕事の邪魔はしませんので…。

ぺこりとお辞儀をした。

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