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【ケムセラウト村】
ゴブリンたちへの“メッセージ”を残し、村へと戻った冒険者達。
村に来てから2度目の夜が訪れる。
夜闇の中、指定した場所にて、ゴブリン側の交渉人が現れるのを待ち……
…………
……
……そして、夜が明けた。
日が昇り、一行は再びゴブリンのねぐらを訪れた。
考えうる万全の準備をした上で、当初の予定通り坑道内へと慎重に歩を進める。
だが、予想していたゴブリンからのリアクションはない。
それどころか、坑道内は静まり返り、生き物の気配も感じられなかった。
しばらく闇の中を進むと、前方に灯りがともっていることに気づいた。
警戒しながらも進んでいくと、開けた場所へと出た。
その場所には、複数の生き物が生活していた跡が残されている。
光源は、木の皮に東方語で書かれた、ひとつの書簡であった。
野蛮なる人間どもへ
我が名はファーレーン。ゴブリンの一部族をまとめる、王なるもの。
まずは、我が同胞を手にかけずにいてくれたことについての礼を述べよう。
そしてこの地から手を引くことも約束しよう。
だが、我が部族の安全を確保するためにも、交渉の場に立つわけにはいかない。
また、我々のこの後の行き先を明かすことも出来ない。
なぜなら、どれだけ言葉を重ねられようと、我々はヒトを信用しない、信用できないからだ。
我らは人間がアノスと呼ぶ国の中、辺境山奥にて集落を形成し、人と関わらず暮らしていた。
生活は農耕を営み、山の幸を収穫しながらの平和なものだった。
争いを好まぬ我々異端の妖魔を、他の妖魔たちは侮蔑の目で見ていたが、気にはならなかった。
同胞が無事に生きていられるならば、妖魔としてのプライドに何の価値があろう?
畑を肥やすのに数年、作物が実をつけるまでさらに数年。
道のりは長かったが、ようやく安定した生活が出来るようになる。
そんな矢先だった。
ファリスの聖印を掲げた軍隊が、平和な村を焼き滅ぼした。
我らが一体何をしたというのか。
妖魔であるというだけで、血のにじむ想いで耕した畑を焼き払われねばならないのか。
妖魔であるというだけで、女子供関わらず虐殺されねばならないのか。
妖魔であるというだけで、生まれ育った村を追われねばならないのか。
集落を追われ、その数を半分以下にまで減らした我が部族だったが、私は部族をまとめるものとして、諦めるわけにはいかなかった。
再び、安住の地を探し出し、皆を守りながら導かねばならない。
だが日々の糧すらも得られぬ我々が、旅を続けることなど出来るだろうか?
ならば仕方あるまい。
同胞が生きていられるならば、我は妖魔としての自分に戻ろう。
部族を率い、略奪を行ってでも、旅を続けてみせる。
いつか我々が安心して暮らせる地が見つかる、その日まで。
だがその場所すらも、いずれは野蛮な人間どもに蹂躙されることになるのだろうか。
平和に暮らす者たちを蹂躙することがヒトの正義であるというならば、麦を作る弱き者たちはヒトにとっての悪なのか?
ゆえに問おう。
ヒトの掲げる正義とはいかなるものか?
ヒトの定める悪とはいかなるものか?
■ジン To:ALL |
・・・ふむ。直接会うことはできなかったが、この地を離れたのなら、まあ交渉は成功したと思っていいのかな。 どこに行ったのかは気になるが、オランに戻ったら周囲の村に注意を喚起してもらうよう願い出るか。 |
■リフィル To:ジン&ALL |
お互いの主張が折り合わなかったのが原因でしたか。 只でさえ、同種族間でも対立がある世界なのに、異種族間だと更に深刻ですね… ともあれ、ジンさんの作戦通り、無用な殺生をしなかったのが功を奏しましたね オランに戻ったら此処で起きた出来事を詳細に伝えた上で注意を喚起して貰いたいですが… 難しいですよね… 妖魔を保護する動きなんかマーファ神殿でもやってないでしょうし… まぁ、取り敢えず、村に戻って暫く滞在した後、やればいいですね |
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