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【ケムセラウト村】
ゴブリン達を追い払い中央区へと戻ったジンたちは、気絶したホブゴブリンを縛って家畜小屋へと閉じ込めた。
いったん休息をとろうとしたまさにそのとき、山のふもとの方角から、囮の見張りをしていたはずのハンター達の悲鳴が響き渡った。
| ■ジン To:ALL |
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やつらを追跡していたハンター達は見つかってしまったようだな・・・ 今から助けに行こうなどとはやまってくれるなよ。 夜は奴らに有利の上、魔法使いもいる。 万全を期して、夜明けを待って捜索を開始しよう。 もっとも、今までの村への人的被害は皆無だから、ハンター達も命だけは無事かもしれん。 捕らえたホブゴブリンを助けようとして、捕虜交換を要求してくる可能性もあるな。 |
| ■村人 To:ジン |
| そんな…… |
| ■リフィル To:ジン &ALL |
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悔しいですが、それが賢明ですね… 皆さんも判って下さい…今闇雲に動いても相手の思うつぼです…仲間は成る可く無事に助ける方向で行きますから、理解して下さい 使い魔を助けるとは思いにくいですが、一応、自分達との交渉材料には成りますよね 最悪、村人と交換に自分達の撤退を要求されたらどうしましょう? |
| ■ハンターB To:ジン&リフィル |
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ふざけるな! そんな理屈に従えるか! 「命だけは無事かもしれん」だと! それじゃあ殺される可能性のほうが高いじゃないか! いや、高い低いの問題じゃない! 今現在村の仲間が、家族がゴブリンどもの手にかかってるかもしれないんだぞ! 見過ごせるわけないだろ! ――ッ! もういい、俺は行く! あんたらはせいぜいそこで頭のいい作戦でも練ってるんだな! |
言い捨て、悲鳴の上がった方角に走り出そうと背を向ける。
そして何人もの村人が、オレも私もと立ち上がり、その後に続いた。
| ■ジン To: 村人 |
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なぁんだ、ちゃんと気概があるじゃないか。 敵に魔術師がいると聞いて、怖じ気付くのかと思ったよ。 フィル、芝居はやめだ。こいつらなら大丈夫そうだ。 |
| ■ハンターB To:ジン |
| ああ? |
| ■リフィル To:ジン & ALL |
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あっ?もぅお終いですか? 正直、此方の動きが読まれ過ぎなんで、別行動取るのかと思ってましたよ。 |
| ■ラムダス To:リフィル |
| 一体どういうことです? |
| ■ジン To: 村人 |
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悪いがあんたらをあそこに行かせるわけにはいかない。 人質が増えるだけだからな。あそこには俺たちが行く。 ただし、俺たち5人全員でだ。 敵に魔術師がいるとわかった以上、全力で当たる必要がある。 だが、おそらく敵は、山側の本隊を陽動に使うはずだ。 我々を山側に引き付けているうちに、敵の別動隊が中央区の倉庫を狙うつもりだろう。 その襲撃は、おまえ達で撃退するんだ。 自分達の家族と食料を守るんだ。できるな? |
| ■リフィル To:村人 |
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ジンさんの言う様に、自分達は依頼は達成しに行きます。 ですから、此方からのお願いは、自分達のコレからの行動を成る可く此処にいる人以外に知らせないで下さいね。 逃げたとか、役立たずとか言われても構いませんから、自分達が魔術師達を追って山に入った事は内緒の方向でお願いしますね |
| ■ハンターB To:ジン&リフィル |
| なんだなんだ? 何言ってんのかさっぱりわかんねえぞ? |
| ■ラムダス To:ジン&リフィル |
| ……! まさか、身内に内通者がいるとでも! |
ラムダスの一言に、たちまちあたりは騒然となった。
| ■シジリカ To:ラムダス |
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まぁまぁ、そうときまったわけじゃないよ、落ち着いて 念には念を・・・ってこと 今回の襲撃が二手に分かれていたことや、ゴブリンを遠くから援護する者がいたことなんかはあっちがこっちの情報を持っていたと考えられるんだけど、それが内通者によるものなのか、魔術師の使い魔の存在に僕らが気が付かなかっただけなのか・・・そのへんは良く分からないからね |
| ■リフィル To:ラムダス&ハンターB |
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内定者が居るとは言いませんよ。 確証もないですし ですが、此方の手の内が向こうに知られてる様な行動を取られてる以上、情報の漏洩の可能性の否定も出来ません 兎も角、今は結果を示すのが重要で、此処で貴方達と議論してる時間も惜しいので、続はまた後ほど… |
| ■ジン To:ALL>ラムダス |
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急ごう。できれば山のふもとで対峙したい。 ラムダス、中央区防衛の指揮を頼む。 あんたなら村の若い衆をまとめられるだろう。 村長にはあんたから状況を説明してくれ。 |
ジンの話しを聞いて山の麓に走り始める。リフィル
| ■ラムダス To:ジン |
| ……わかりました。 |
| ■ハンターB To:ラムダス |
| おい! |
| ■ラムダス To:ハンターB |
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言いたい事はわかる。 だが我々が行っても、魔法使い相手に役に立たないことは確かだ。 敵はゴブリン達であって、この人たちじゃない。 ……落ち着け。 |
| ■ハンターB To:ラムダス |
| ぐ…… |
冷静なラムダスの言に、押し黙る。
ラムダスは冒険者達に向き直り、まっすぐに見据えて応えた。
| ■ラムダス To:ALL |
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中央区の防衛はお任せください。 捕まえたホブゴブリンのことも、こちらで見張っておきましょう。 ですから、仲間のことをどうかよろしくお願いします。 |
| ■リールォン To:ラムダス&ハンターB |
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あなた方を欺くような言動はお詫びいたします。 ただ、わかって頂きたいのはあなた方が村人や村を命がけで守ろうとしているのと同じように、僕たちも命がけでこの依頼を受けています。 大切な命を守るために、僕たちも大切な命をかけているんです。 たとえ、僅かな可能性でもあらゆる状況を想定することこそ、冒険者が依頼を成功させるための近道になるんです。 納得してくださいとはいいません、ただ、理解だけはしてほしいんです。 人々の幸運を司るチャ・ザの神官として、村人の誰一人たりとも不幸にさせません。 ご協力よろしくお願いします。 |
そういって、深々と頭を下げるリールォン。
| ■リールォン To:仲間たち |
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……だめですよ、あんな風に村人さんたちを煽っちゃ。 あの人たちにとっては死活問題なんですから、へんにトゲのある言い方じゃ、あんな風に激高しちゃいますよ。 依頼が成功したとしても、村人さんたちとの関係がぎくしゃくしたら、後味が悪くなっちゃいます。 |
と、村人たちに聞こえないように仲間たちにささやくリールォン。
| ■ジン To:リールォン、ALL |
| ふむ。戦意の鼓舞のつもりが逆効果だったようだな。 |
| ■リフィル To:リールォン |
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こっちも、必死なんですよ 確かに死活問題で同情出来る部分もありますが、まだ、敵は愚かこの事件の全貌も判ってない以上、自分達はあくまで中立で居ないと って、持論ですけどね |
同じく、村人には聞こえない程度に話す。
悲鳴が聞こえた場所、山の麓まで一気に走り来た一行。
既に悲鳴が途絶えているそこには、夜なお暗い闇の塊と、その周りで右往左往している数人のハンター達の姿があった。
| ■ハンターA To:ALL |
| あっ! 皆さん! こちらです! |
パーティの姿に気づいたハンターが手を振りながら、一行を招き寄せる。
| ■ジン To:ハンターA |
| あんたは無事か?他の奴はどうした? |
| ■ハンターA To:ALL |
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まだ中に仲間が一人取り残されているんです。 呼びかければ返事は返ってくるんですが、そいつが動くとこの闇も動くみたいで…… ……どうにかなりませんか? |
| ■ジン To:ハンターA |
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わかった。やってみよう。 ところで敵の魔術師を見なかったか? どうやってこんな状況になったんだ? |
| ■ハンターA To:ジン |
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いえ、私もよくはわからないのですが…… ゴブリンたちを追って森に入ったまでは良かったのですが、突然あたりが暗闇に包まれまして。 お恥ずかしい話、全員が全員恐慌状態に陥ってしまったようで、冷静さを取り戻すまでしばらくかかりました。 最初に落ち着いた私が、全員に動かないように指令を出して何とか闇の中から抜け出し、一人ずつ闇の外に誘導して……今に至るというわけです。 |
| ■ジン To:ハンターA、ALL |
| なるほど。ふむ、逃走するための時間稼ぎに闇の術法を使われたようだな・・・ |
| ■リフィル To:ジン & ハンター達 |
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ジンさん、魔法使うのは助かりますが、連戦ですから精神力持ちますか? 取り敢えず、いたちごっこになると、コッチが不利なので、只、暗いだけなら、落ち着けば問題ないので、無駄に精神力を消費せずに済みますよ 暗くなった人はロープを持って、もう片方を引っ張って牽引して貰えば村までは帰れますし。 |
取り敢えず、ダークネスの範囲外から、ハンターとしての夜目(ハンター技能には夜目はありません)を使って周囲の違和感の感知に努める
| ■ジン To:リフィル、ALL |
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状況からして罠を仕掛ける時間はなさそうだし、敵も逃走してしまっているようだからな。 とりあえず、ロープを使う方法を試してみるか。 |
| ■シジリカ To:ALL |
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ねぇねぇ、中の人が動くと闇が動いちゃうなら、持ってる物や服なんかに魔法をかけられてるのかもしれないよ。 ロープで引っ張る前に、上着脱ぐとか武器なんかを手放して動いてみてもらったらどうかな? |
闇の中のハンターは、シジリカの言に従い、身に着けているものを手放しながらそろそろと歩みを進める。
弓を手放し動き、矢筒を手放し動き、レザーを脱ぎ捨て動き、チュニックを脱ぎ捨て動いたところで、闇はその動きを止めた。
闇の中から出てきたハンターは、憔悴こそしているものの、目立った外傷もなく、仲間と共に無事を喜んだ。
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