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SW-PBM Scenario#142
6ガメルのルーシア

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勇気の証


 剣の間

ルーシアは冷たい石の床に横たわったまま、動かない。
■カルロ To:ルーシア
…ルーシア…?

カルロは一歩ずつ、そばへ近づく。
魔法陣の輝きは灰色から、最初に見た時の紫に変わっている。激しい光ではなく、ルーシアを包むような淡い光。

天井の剣は、まだ光を放ちながら回転している。
その白い光と、魔法陣の光が宙で溶け合う。
■カルロ To:ルーシア
ルーシア…

再び、声が響いた。
■老人の声 To:ALL
(下位古代語)
純粋なる魂よ。そして、その守り人達よ。
武器は命を絶つ為にのみ有らず。
大いなる勇気を示し、他者を救うものなり。
守り人達の力、純粋なる魂に力を与えり。

カルロは冒険者たちの顔を見回す。
■セイルディア To:カルロ
…いってらっしゃいな。
今こそ、貴方の勇気を示す時ですわ。

カルロはこくっとうなずく。
何をするべきかはわかっていた。
カーガッドから貸してもらったダガーを抜き、ルーシアの側にしゃがみこんだ。
もう、その手は震えてはいない。
薄く開けられたルーシアの瞳は、黄色に戻っている。黒くて艶やかな毛を撫でた。
■カルロ To:ルーシア
ルーシア…
ぼく、君と一緒にいたこと忘れない…ルーシア、温かかった…
ごめんね…でも…「そこ」から、おじいちゃんを助けなきゃいけないの…
さよなら、ルーシア……おじいちゃんを……返してね…

カルロはダガーをルーシアの胸に当てると、そのまま抱きしめるように、自分の身体で押しつけるようにして突き刺した。
しかし──不思議なことに、何の感触も無かった。まるで水に刃を突き立てたように。
カルロが目をまるくしていると、ルーシアの身体が光り出し、みるみる小さくなっていく。
■ルーシア To:カルロ
ニャァ。

光の中で子猫のルーシアは一声鳴き、カルロの手をペロリと舐めた。
そのまま光の固まりとなって、天井に浮かぶ剣に吸い込まれていく。
■マーキュリー To:ルーシア
さよなら、ルーシア・・・

■リールォン To:カルロ
たとえ、魔法による幻のような存在だったとしても、ルーシアは常に君のことを見守っていました。
だから、君もルーシアのことを忘れないであげてくださいね。
僕は思うんですよ、死んでしまうこと、存在が無くなってしまうことも確かにつらくて悲しいですケド、それ以上に「忘れ去られてしまう」ことがいちばんつらくて悲しいことだって。

■カルロ To:リールォン
…うん。ぼく、ルーシアのこと忘れないよ。
また、きっと…

すべての光が空に溶け、消え去ったあと、カルロのそばには長い白髪を一つに結び、口元には立派な髭をたたえ、金属鎧に身を包んだ老戦士が横たわっていた。
■カルロ To:ルシオール
おじいちゃん!!

■マヨカカ To:ルシオール
わぁっ! ほ、本当に戻った…!
ジィジ!

■セイルディア To:ALL
お二人が言うのですから、間違いなくルシオールさんなのでしょうね。
……よかった…。
どこも怪我はしてらっしゃらないようですね。息も…あるようですわ。
……ルシオールさん、お分かりになりますか?声が、聞こえますか?

ルシオールのそばに寄って様子を確かめつつ、声をかける。
■ルシオール
…う、うぅ…
………む?

ルシオールの長いまつ毛がぴくりと動き、うっすらと目が開く。
ガチャ、ガチャと鎧を擦らせながら状態を起こし、目の前のカルロと、立ち尽くすマヨカカ、そして冒険者たちを見回す。
…しばしの間。
■ルシオール To:カルロ、ALL
おぉ…ニャんというリアルな夢だ! カルロが目の前にいようとは。
大事ニャ愛しいカルロよ。
わしはニャ、お前にプレゼントしたくて、とってもすばらしい剣を探していたのだよ。
今やっとそれを見つけたところニャのだ。早く夢から覚めて、お前の元に帰らないといけないニャ。

ルシオールは微笑んで、カルロの頭をなでなで。
■カルロ To:ルシオール
お、おじいちゃん…。しゃべり方が変…。ぐす…わぁ〜っ。

カルロはルシオールに抱きついてわぁわぁ泣き出した。
今までの緊張が一気に解けたようだった。
■ルシオール To:カルロ>ALL
はっはっは、感触までリアルだニャ。よしよし、泣くでニャいよ。
ふぅむ、しかし、知らぬ顔がたくさん出てくるとは変わった夢だニャ?
マヨカカ、おぬしの知り合いか?

■マヨカカ To:ルシオール>ALL
ジィジ、あ、あたしはねぇ…。
みんな、説明してやってよっ。

マヨカカはぷいっと後ろを向いてしまった。
どうやら泣いているのを悟られたくないようだ。
■カーガッド To:ルシオール
いえ、これは夢ではないのですよ。ルシオールさん。
実は、貴方が探していた剣……チャイルド・ソードでしたか、あれは子供以外の者が手に取ると呪われる魔法が掛かっていたのです。
そして貴方は、剣の呪いで1年くらい猫になっていたのです。
いま、カルロ君の力でようやく呪いが解けて、元の姿に戻ったのですよ。

■ルシオール To:カーガッド>カルロ
ニャ、ニャんと…呪いですと?
カルロ…お前が?

■カルロ To:ルシオール
…ひっく… うん。
おじいちゃん、怪物みたいになっちゃったんだよ…
みんなが悪い尻尾を、斬ってくれたの。ぼくが、最後に剣で刺したら…

ルシオールは驚きを隠せない様子だ。
■マーキュリー To:マヨカカ
ふふ♪マヨカカ良かったね♪(^^)

■マヨカカ To:マーキュリー
…………ん。

ごしごしと目元を拭う。
■マーキュリー To:ルシオール
初めましてルシオールさん、僕はマーキュリーといいます。
僕達はあなたを捜すためにカルロ君に雇われた冒険者です。

マヨカカは1年間もずっと一人であなたを捜していたんですよ。

■ルシオール To:マーキュリー>マヨカカ
カルロがあなた方を…そうでしたか…。
マヨカカ、私のせいで面倒をかけてしまったのだな…すまニャかった。

■マヨカカ To:ルシオール
…別にっ。

■ルシオール To:ALL
私は、確かに剣を握ったところまでは覚えておるのです。
しかしそこから先は…ニャんだか夢の中にいたようで。
夢の中で、家で待っているカルロを連れて、遺跡へ連れて来ることだけを願っていた気がしますが…
今も、まるで夢の続きのようですニャ…まさか猫になっておったとは…。

しゃべりにくそうに、こほこほ、と咳払いして首を傾げる。泣き止んだカルロが、くすくす笑っている。
■ルシオール To:ALL
みなさんにも多大なご迷惑をかけてしまったようですニャ。
申し訳ない。そしてありがとう。
…期せずしてカルロの最初の冒険になったのですニャ…。オランに戻ったら、ぜひお礼をさせてください。

■リールォン To:ルシオール
お初にお目に掛ります。
僕はチャ・ザさまの神官戦士リールォンといいます。
あなたのいうとおり、カルロくんにとって今回が初めての冒険となりましたケド、決して長くはないこの期間にカルロくんは大きく成長しました。
なによりも、あなたがこうして、元の姿に戻ることができたのはカルロくんの行動力と勇気があったからこそなんですから。
立派なお孫さんですよ、カルロくんは(^-^)

■ルシオール To:リールォン
いやはや…。我が最愛の孫を、そこまで言っていただけると恐縮します。はっはっは。

親(爺)ばかモード(笑)
■ルシオール To:リールォン、ALL
きっと、みなさんと一緒にいたおかげでしょう。
私はカルロにナイフ一本、握らせたことはニャかった。
冒険者に育てたい──そう思っていても心のどこかに甘えがあったのですニャ。
それが「チャイルド・ソード」というきっかけを欲したのかもしれぬ。
…私もカルロの成長を見たかった。これからは側を離れずこの目で確かめていくことにしましょう。

■マーキュリー To:ルシオール、カルロ
迷惑だなんてとんでもありません♪ホント、カルロ君は立派でしたよ♪
それにルシオールさんの中にルーシアがいるみたいでなんだか嬉しいですし♪(^^)

・・・ぁ、帰る前に、あの浮いてる剣、どうします?

■ルシオール To:マーキュリー、ALL
む? おぉ、どこへ行ったかと思ったらあんニャところに。

ルシオールは自らの手で握ったはずの剣のことを思い出し、天井を見上げる。
チャイルド・ソードは淡い光を放ちながら、まだ回転している。
声が響く。
■イェヴォ To:ALL
(下位古代語)
イェヴォの意志を継ぎし、純粋なる魂よ。
剣を呼べ。
汝の望む名で呼ぶが良い。

■カルロ To:イェヴォ
…え、名前、つけるの?
えっと、えっと………

急に言われて慌てるカルロ。
冒険者達の顔を見回す。
■カーガッド To:カルロ
私は、名前は1つしか無いと思う。”ルーシア”では駄目かな?

■カルロ To:ALL
ルーシア…

■ルシオール To:カルロ
その名は?

■カルロ To:ルシオール
えっと…内緒(^^

いたずらっぽく笑う。
■マーキュリー To:カルロ
そうだね、ルーシアが良いんじゃない?
子猫のルーシアに出会ったのがそもそもの始まりだったんですよね?(^^)

■リールォン To:カルロ&ALL
僕もそれがいちばん、いいとおもいます。
これで、カルロくんとルーシアは常に一緒にいられるわけですから(^-^)

■ウォルフ To:ALL
‥‥私もその名が宜しいかと思います。
そうなれば「ルーシア」はカルロ君と生涯を共にできるでしょうから。

■セイルディア To:ALL
そうですね、私も賛成ですわ。
…勇気の証、ですものね。

■シジリカ To:ALL
カーガットさん、ナイスアイデアだね♪

■カーガッド To:ALL>カルロ
では異存無しと言うことで。
さあ、カルロ君。剣に向かって呼びかけて見なさい。

■カルロ To:カーガッド&ALL
うん!

カルロは嬉しそうに頷くと、天井を見上げ、くるくる回り続ける剣に向かって両手を差し伸べて叫んだ。
■カルロ To:チャイルド・ソード
ルーシア、ここへおいで!

剣は光るのをやめ、回転を止めて、すーっと下へ降りてきた。
カルロの目の前で、ふわりと空中にとどまる。
自分の身の丈ほどもあるそれに手を伸ばし、カルロは柄を握りしめた。
すると、みるみるうちに刀身が細く、短くなっていき、終いにはカーガッドから借りたダガーと同じくらいの大きさになってしまった。
■カルロ To:ALL
小さくなっちゃった…でも…

カルロの手のひらにぴったりな握りやすい柄、ちょうどよい軽さ。
彼の体格に合わせて剣が変化したのだった。
刀身はきらりと光り、切れ味もそこそこ良さそうだが、普通の剣に見える。
ただ、柄が真っ黒で、小さな黄色い石がふたつ、かわいらしく埋め込まれていることを除けば……
ルシオールは剣を手にした孫の姿を見て、感動のあまり目を潤ませる。
■ルシオール To:カルロ
…これは本当に、夢ではないのだニャ。
私は嬉しい。嬉しいぞ〜〜〜っ。

がばっとカルロを抱きしめた。その中で「痛い、痛いよ〜」ともがくカルロ。
またも声が響いた。
■イェヴォ To:ALL
(下位古代語)
剣はもはや、汝のもの。成長は汝の魂と共に。
我もしばしの休息に…

石の扉がふっと消え去ると、壁が、床が、一斉に光り出した。
大急ぎで遺跡から脱出する一行。
光の中から飛び出し、後ろを振り返ると、そこにはあの大木が何事もなかったかのように──きらきらと陽の光を浴びて佇んでいた。
遺跡はその役目を終え、もはや誰も辿り着けない領域で眠りについたのだ。

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SW-PBM Scenario#142
6ガメルのルーシア

GM:ともまり