一行は、先程の衣装部屋の前と思しきところまで案内された。

　というわけで、技能がないながらもはいつくばるようにして地面を調べ始める。
　マーキュリーも一緒になって探したものの、見つけたのはザンセールの足跡ばかり……

　と言っても野外は専門外なので、外側から衣装部屋の窓の部分や壁などを調べてみる。
　窓には高価なガラスがはめてあり、ぴかぴかに磨かれている。
　窓枠も壁も綺麗なもので、汚れている形跡は一切ない。

　だったら犯人即検挙？

　即答。

　冒険者が衣装部屋前を丹念に調べていると、一人の初老の男性が現れた。

　多分先程リックが言っていた、アレクという人物だろう。

　じいさん。首ひねりまくり。

　木陰より。ヴィック登場。

　と、同じ質問を繰り返す。
　当のヴィック。ふるふるふるっと首を振るのみ。

　ヴィック。しばらく考えてから、今度はこくこく、と頭を縦に振るう。

　どうやらこのじーさん。ある意味職人気質（？）らしい。
　仕事に入ったら一直線。

　人事は。家政婦が握っているらしい。

　言うが早いかさっさと中に向かって行くザンセール。

　アレクとヴィック。一礼して、仕事へと戻っていった。