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SW-PBM Scenario#130
コマンド・メロディー

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対峙


 村長の家・早朝

不安と緊張を孕んだ夜が明けた。
朝日が森を、エシャ村の家々の屋根をゆるやかに照らし始める。
すでに準備を終えたパーティは、ゆっくりと村長の家の扉を開けた。

メイプルは村の娘から借りた質素な衣服を身につけ、ヴェーナーの印を首からさげている。その懐には昨夜作られた“嘘の命令一覧”がある。
背中にはエシャのリュートを背負っている。
他のメンバーの装備はいつもと変わらない。
シャオは右手に添え木を当て包帯を巻きつけている。
■シャオ To:ALL
…行きましょう。

朝靄がわずかに立ちこめる中、パーティは村長に送り出され、ヴェーナーの祭壇に向けて歩き出した。
 ヴェーナーの祭壇・早朝

道なりに20分ほど歩くと、木々の隙間から祭壇の石屋根がちらちらと見え始めた。
太い樹木に身を隠しながら慎重に進むと、わずかに人の話し声が聞こえてきた。
■男の声 To:女
…ら…、…そ……だ。

声の方向には3つの人影があった。一人はローブを着た男、一人は鎧を身にまとった女、そしてその女に後ろ手に捕まえられた格好で、金色の長い髪を前に垂らし俯いている少女がいた。
男と女が何か会話をしている。こちらに気づいた様子はまったくない。
■メイプル To:シャオ
・・あちらね・・行きましょう。

■シャオ To:メイプル
…はい。

メイプルとシャオは、広場の真ん中・・ゴーレムや犯人たちから10mちょっと離れたあたりに入っていく。
怪我を装い、メイプルに支えられて歩く格好だ。
他のメンバーもより近い位置で身を隠しながら様子を伺おうと移動を開始。
敵を取り囲むように方々へ散った。

広場に入ってきた気配に気づいた男女は、すぐにメイプルたちの方を見た。
と同時に、ゴーレムの首もこちらを向いた。
ぐったりと頭を垂れていた少女は力無く顔を上げ、シャオの姿を認めると悲痛な表情を浮かべた。
■少女 To:シャオ
お兄ちゃん…!

■男 To:シャオ
どうした? その体たらくは。
ひとりで満足に歩けないとはひどい怪我を負ったものだな。

男は長い前髪の奥から冷ややかな笑みを向けた。
ローブをまとった背中にはどこにでもあるような普通のリュートが背負われており、手にはメイジスタッフを持っている。
女の方はリングメイルを身につけ、腰には曲刀を携えている。
情熱的な赤毛をしているが表情は変わらず、じっとシャオとメイプルを見つめている。
■シャオ To:男
…ユーミルを返してほしい。要求通り、リュートを持ってきた。

■男 To:シャオ
ご苦労。もちろんそのつもりだ。お前たちが俺を欺かなければな。
変換式のことも忘れてはいないだろうな?
合い言葉で文字が浮かび上がるはずだ。出せ。

シャオは驚いた表情を浮かべ、言葉を詰まらせてしまう。
■メイプル To:男
あなた達は・・ゴーレムを手に入れて、何をしようとしているの?
それに・・私たちですらゴーレムのことはよくわからないのに・・・変換式って?

■男 To:村人らしき女(メイプル)
俺が知っていることを村人が知らないとはな。面白い冗談だ。
隣の同胞にでも聞いてみろ。

何をするか…可能性は無限にある。興味があるならそれを見届け、詩にでもしてみろ。お前も吟遊詩人の端くれだろう。

口元だけで笑い、冷めた目でメイプルを見ている。
そのころ…、他のメンバーは近くの木、あるいは岩陰に身を潜めていた。
■男 To:シャオ
さあ、早く合い言葉を言うんだな。
躊躇するなら妹の首を斬る。

男がそう言うと同時に、女がベルトに差していた小さなナイフを取り出し、ユーミルの首元に突きつけた。
■ユーミル
あっ…!

■シャオ To:男女
やめろ!

シャオは浮き足立ち、思わず前に出かかった。
■メイプル To:男
ちょっとまってよ! 少なくとも私は知らないわ。
だから、村に伝わってる命令を持ってきたんだから・・!
お願いだからユーミルに手をださないで!

そういって、懐から(嘘入り)命令集を取り出して掲げる。
■男 To:村人らしき女(メイプル)
なんだと?

■シャオ To:男
…ほんとうだ。合い言葉はすでに失われていて、今の村人は誰も知らないんだ。
ここに書かれているものが…全てなんだ。
…。

ユーミルは自分の名を呼んだメイプルを驚いた表情で見たが、素早くシャオが目配せをし、大丈夫だと頷いた。
■男 To:シャオ&村人らしき女(メイプル)
そうか。嘘偽り無いと信じよう。
今のところはな。

ではリュートとその羊皮紙をそこに置け。
置いたら元の位置まで下がれ。
リュートが本物であることを確認したら妹を放してやろう。
余計な動作をすれば命の保証はない。

■村人の振りをしたメイプル To:男
わかったわ・・でも、ユーミルを放してもらえるの?
せめてユーミルの身を自由にしてもらってから、リュートやこれ(羊皮紙)を渡したいわ。
はじめにリュートだけ渡す・・のじゃいけませんか?

受け渡し場所までゆっくり歩きながら、交渉を続ける。
シャオは(演技で)元の場所でしゃがみこんで待つ。
■男 To:村人らしき女(メイプル)
だめだな。その羊皮紙の真偽を確かめてからだ。
俺は騙されるのが大嫌いなのさ。これ以上同じことを言わせるなよ。

薄い笑みを浮かべながら、ユーミルの髪を弄んでいる。
■女 To:村人らしき女(メイプル)
……約束する。

ユーミルを後ろ手に捕まえている女が小声で言った。
■メイプル
・・・。
(まぁ・・しゃーないわね。
彼女が信用できるっていう理屈はないけれど・・クラジュっていう男よりはましなようね)

■メイプル To:男
これでいい? お願いだから、ユーミルには手をださないで。

リュートと羊皮紙を置いて1歩さがる。
ハティノス、シャイアンの位置からはメイプルの動作が見えた。
■男 To:村人らしき女(メイプル)
俺が言ったことを忘れたか? 元の位置まで下がれ。

男は不愉快そうな表情を浮かべ、ゆっくりとリュートの元へと歩き出す。
後ろでは、女がナイフをユーミルの喉元に突きつけたまま鋭い表情でメイプルを見ている。
■メイプル To:男
(・・魔術師ってこーゆー男が多いのかしら?)
・・わ、わかったわ・・下がるから。
(隙のない動きもかわいげがないわね。。)

幾分おどおどした動きをみせながら、シャオの手前まで下がる。
それを認めると男はリュートのそばまで行き、羊皮紙と共に持ち上げた。
■男
これが……
……。
ちっ、これだけか……。

羊皮紙に目を通すと、忌々しそうに舌打ちをした。
メイプルとシャオから目を離さず、静かに女の方へと下がる。
背中に背負っていた自分のリュートを女に渡し、女はそれを担いだ。
そして男は、エシャのリュートを構えた。
■男
まずは……、これだな。


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GM:ともまり