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SW-PBM Scenario#130 コマンド・メロディー |
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エシャ村・村長の家 |
アーチをくぐって村に入ると、あたりは緊張した空気に包まれていた。
見回りとおぼしき村人たちがたいまつを手に巡回し、不安そうな表情で警戒している。
シャオの姿を認めた村人たちが悲痛な表情で駆け寄ってきたが、彼は挨拶もそこそこに村長の家へと急いだ。
中にはいぶかしげに冒険者たちを見つめる者もいた。
村人たちには若者や子どもの姿は少なく、中年から老人が多いように見えるが、皆例外なくヴェーナーの印を首から下げているようだ。
■シャオ To:ALL |
妹は、僕が村を出てからは村長の家に引き取られていたんです。 もちろん、両親が残してくれた家はありますが…、独りでは辛いだろうと村長が取りはからってくれたんです。 |
■ユウル To:シャオ |
ふうん。じゃあ、村長さんは親代わりみたいなものなんだ。 …そうまでしてシャオさんが村の外に出た理由、ってのももしかしてゴーレムがらみ? |
■シャオ To:ユウル |
いいえ、僕は単純に外の世界で吟遊詩人としての腕を試したかったんです。 そう考える者は多くて、僕くらいの歳で村に残っている者はほとんどいないんですよ。 |
村の奥まった場所に村長の家はあった。
見張りに声をかけ、木の扉を押し開けて中に入る。
応接室には、粗末な絨毯に木のテーブルと丸椅子が数脚並んでおり、
壁にはリュートや竪琴、縦笛などたくさんの楽器が掛けられている。
■シャオ To:ALL |
村長にみなさんのことを話してきますので、少し待っていてください。 |
シャオはそう言うと奥の部屋に入っていった。
しばらく話し声が聞こえてきたが、やがて腰の曲がった老人と共に応接室に戻ってきた。
老人は丁寧に一礼する。
■ウーハ To:冒険者の方々 |
シャオを守ってくださったそうですな。村を代表してお礼を言わせてくだされ。 村長のウーハと申す、長旅でお疲れでしょう、座ってくだされ。 |
■シャイアン To:ウーハ |
かたじけないでござる・・・拙者はシャイアンと申すでござる。 |
■ユウル To:ウーハ |
ユウルです。失礼します。 |
■ウーハ To:ALL |
今までのことはシャオから聞きましたぞ。シャオを狙っていた輩と、ユーミルをさらっていった輩とは繋がりがあるようですな…。 これが井戸に残されていた手紙ですじゃ。 |
ウーハはテーブルの上に羊皮紙を広げた。
内容は──
『親愛なる吟遊詩人殿
ゴーレムを操るリュートと貴殿の妹の命、いずれかを選ぶ権利が貴殿にはある。
妹の命を取るならば、満月の夜が明けた朝、ヴェーナーの祭壇で待つ。
必ず彼のリュートと命令の変換式を持ち、ただ一人で来ることを願う。
それ以外の選択をとるならば妹は冷たい体で貴殿を迎えるだろう。』
かなり美しい字で書かれている。
■シャイアン To:ALL>シャオ |
満月の夜が明けた朝・・・明朝ということでござるか。 こちらから仕掛けるには、少々時間が少ないでござるな。 ・・・この「命令の変換式」というのは何のことでござるか? |
シャオはリュートを背中から降ろし、布袋から出して構えた。
■シャオ To:シャイアン |
ゴーレムへの命令をメロディーに変換するための法則式のことだと思います。 …こうやって出すんです。 (上位古代語) エシャ・ローグ、音の導きを |
リュートに向かってシャオが囁くと、その丸いボディ部分に細かい文字がびっしりと浮かび上がった。
シャイアンとタナトスには、文字列の所々に組み込まれた記号が音階を示しているらしいことがなんとなく分かる。
■シャイアン To:シャオ、ALL |
なんと・・・!合い言葉で魔法の力が開放されるのでござるか。どうやらシャオ殿のリュートは、紛れも無い本物のようでござるな・・・ |
■タナトス To:シャオ、ALL |
おぉぉ〜〜〜、すげぇ〜〜〜〜 |
■シャオ To:シャイアン&ALL |
ただ、僕も含めてこの言葉…上位古代語らしいのですが…を読める者はこの村にいないんです。 はるか昔には大勢いたようですが、今は魔術を学ぶ者が廃れてしまって… 現在伝わっているのは、先人が地方語で書き残した記録のみで、必要最低限の命令のためのメロディーだけが記されています。 「この場を守れ」「主人を守れ」「止まれ」…などですね。 |
■タナトス To:シャオ、ALL |
僕も上位古代語分からない。 でも、誘拐した連中は魔術師みたいだから読めるんだろうね どうしよぉ〜〜、やばいよ、危険だよぉ〜 |
■ユウル To:シャオ、ALL |
相手が命令の変換式うんぬん、って言ってるってことはこのリュートの仕掛けはわかってないってことかな。 リュートに全ての情報が集まってて、これさえあればゴーレムは動くんだよね。 |
■シャオ To:ユウル&ALL |
はい、あとはメロディーを正しく弾くことさえできれば…。 |
■メイプル To:シャオ |
村のひとの言葉にしかゴーレムは反応しない、なんてオチはないの? |
■シャオ To:メイプル |
いえ、言葉ではなくリュートの音に反応するので、誰が演奏しても変わりはないと思います。 |
■ユウル To:ALL、シャオ、ウーハ |
護衛として私たちが介入してることは、向うにもう知れてるかな。 このリュートで操れるゴーレムとやらは、人の命と天秤にかけても悩むくらいすごいものなんですか? |
■ウーハ To:ユウル |
…どんな代物でも、人の命と等価には語れぬ…。 しかし、あのゴーレムは特別じゃ。村の創始者が残した遺産であり、ヴェーナーの祭壇の守り手でもあるのじゃ。 これを客人にお話しするのは初めてのことじゃ…、どうか他言無用に願いますぞ。 |
テーブルの上で手を組み合わせ、ゆっくりと語り出す。
■ウーハ To:ALL |
わしの曾じいさんの、そのまた曾じいさんよりも昔に遡るお話じゃ。 吟遊詩人であり有能な魔術師でもあったエシャ・ローグは、自らの魔法と呪歌の研究の集大成をこの森の一角に封じ込め、それが荒らされぬように番人を置いたのじゃ。それがかのゴーレムじゃった。 しかし、それはただのゴーレムではなくての。 エシャはゴーレムと同時にリュートも創作した…、それだけがゴーレムに命令を与えうるように魔力を込め、ゴーレムには「我が宝を守れ」と命令した。 そして、その場所で力尽きて死んだのじゃ。 その伝説に引き寄せられるように吟遊詩人が集まりできた村が、ここじゃ。 彼の死に場所はヴェーナーの祭壇として祀られ、以来、ゴーレムは何百年もその場所を守り続けておる。 |
■レジー To:ALL |
なるほど、今もその命令が生きてるわけか・・。 |
■ウーハ To:レジー>ALL |
そうじゃ。 もしもリュートを奪われ、ゴーレムに新たな命令を与えられれば、恐ろしい力を持った巨人が我々の敵になるじゃろう…。 それどころかエシャが封じ込めた遺産も暴かれかねん。どんな代物が秘められているのか誰も知らぬが、ゴーレムまで創造した魔術師の残した宝じゃ…、人質を取るような卑怯な輩の手に渡ってしまったら、どんな惨状を招くのか見当も付かぬ…。 |
■シャイアン To:ウーハ |
ふむ。ゴーレムだけでも危険な代物でござるが・・・。 ウーハ殿も、エシャ・ローグの遺産が何かはご存知ないのでござるか? |
■ウーハ To:シャイアン&ALL |
うむ。何も記録は残ってはおらんのじゃ。今となっては誰も知らぬじゃろう。 もしかしたら、初めからエシャ以外に知る者は居なかったのかも知れぬ。 ヴェーナーの祭壇の真下に埋まっていると伝えられているのみじゃ。 もちろん、暴こうとした者など今までおらんでな。 |
■メイプル To:ウーハ |
犯人は・・・クラジュって名乗っているようなの。あとはベティカっていう女戦士。 心当たり、ありませんか? |
■ウーハ To:メイプル&ALL |
いや、知らぬ。 あなたがたは犯人の目星をつけておるのですかな? いったい何者なんじゃ? 門外不出のはずのエシャのリュートやゴーレムのことまで知っておるとは…。 |
■シャイアン To:ウーハ |
リュートの事はオランの学院で調べられるでござるが、エシャと関連付けるのは無理があるでござる。 エシャ村の出身者か、以前滞在したことがある者と考えた方が自然ではござらんかな? ・・・ノールという名の小人族のこともご存知ないでござるか? |
■ウーハ To:シャイアン&ALL |
いや、知らぬな。 あなたがたはオランの学院で知りなさったのか? 一体何故… |
■レジー To:ウーハ、ALL |
まぁ、その名前だって偽名の可能性は十分あるしな。 名前で特定はできないだろう。 いや、犯人の一味であるグラスランナーにこの村に来る途中遭遇しましてね。 そいつから聞き出したのが、クラジュ、ベティカという名前と、 それぞれが魔術師、女戦士だということなんです。 名前なんて、もともと偽名かもしれないし、本名だったとしても偽名を使ってることもある。 あてにはできないわけです。 |
■ウーハ To:レジー |
そうか…。 |
■シャオ To:ウーハ&ALL |
オランの学院に文献があったというのは僕も驚きましたが、長い歴史の中で村から多数の人間が外へ出ている以上、他言無用の禁を犯した者が一人もいなかったとは言えないと思います…。 シャイアンさんはエシャのリュートを歌った歌もご存じでした。 旅の途中ずっと考えていたのですが、僕らは吟遊詩人です。 伝説を伝えるのが仕事です…いつまでも秘密を守ることなど最初から無理だったのかもしれません。 |
■レジー To:シャオ、ALL |
それに、本人がどんなに硬く口を閉ざしたとしても、聞き出す手段はいろいろある。 特に酒の席になると口が軽くなるタイプの人間ならいちころだな。 しかし疑問なんだが、そんな大事なリュートをなぜシャオさんが持ってるんでしょうか? 魔法の中には、その物の持つ魔力を見破る魔法もあるって聞く。 大事なリュートならゴーレムともども村で守っておくべきだったんじゃないか? 実際、我々は当初シャオさんの演奏を見た連中がこのリュートを見て物取りに走ったんだと考えていました。 リュートの本当の価値はわからなくても、金になりそうだというだけでそういう考えを持つ連中が世の中には数多くいるんですよ。 特にオランみたいな大きな街では・・・残念ながらね。 |
■ウーハ To:レジー |
エシャのリュートは「成人の儀」で認められた者に引き継がれる習わしじゃ。 シャオが15歳の時にゴーレムを操るメロディーを弾きこなしたことで、資格があると皆に認められ、彼が父親から受け継いだのじゃ。 …確かにあなたの言われるとおり、村で守っておくべきだったのかも知れぬ。 わしらも長い月日の中、さしたる外敵もなくひっそりと暮らしてきた結果、ゴーレムさえ居れば安全だという過信があったんじゃな…。 |
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GM:ともまり |