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SW-PBM Scenario#130
コマンド・メロディー

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突然の襲撃者


 銀の網亭・個室

ここで時間を少し巻き戻し、再び銀の網亭。

メイプルとユウルを送り出した後、残されたメンバーは銀の網亭でシャオの護衛をしつつ待機することになった。
半開きの窓から涼しい秋の夜風が吹いてくる。
平和な夜だ。

シャイアンはおとりのリュートを作るためにおやじに材料をもらい、「形だけはリュートに似た」がらくたを作っている。数は3つ。
これを大きな布の袋に入れ、シャオのリュートと(外見上)区別のつかない“おとり”とするのだ。
ちなみに、布袋はおやじに使い古したものを安く売ってもらえたようだ。

シャオは自分の膝の中にリュートをしっかりと抱きかかえながら、深刻そうな顔で考え事をしている。
■ハティノス To:シャオ
シャオさん、これから妹さんを祝いに故郷へ帰る人がそんな顔をするもんじゃないですよ(^^
大丈夫、僕らがあなたを守って見せますから。

■シャオ To:ハティノス
…は、はい……。
そうですね、僕がしっかりしなくては……。ありがとうございます…。

■レジー To:シャオ
まぁ、あんまり気負わずにな。

■タナトス To:ノラ
かわいいなぁ〜、かわいいなぁ〜

タナトスが猫と遊んでいると…
突然、窓から聞こえてくる風の音に、ひゅうっと鋭い音が混じった。
窓の側にいたタナトスは、その殺気を感じることができなかった!

■タナトス To:
はぅ?!

が、動物的カンが働いたのか、とっさに体を反転させて「何か」を避ける。
板窓の隙間からするどく飛んできたそれは、木の矢だった。
矢は反対側の壁に当たると、折れて床に落ちた。
■シャイアン To:タナトス>シャオ
タナトス殿!!大丈夫でござるか!?
シャオ殿っ!家具の陰へ隠れるでござるっっ!!

■シャオ To:シャイアン
…は、はいっ…。

■タナトス To:シャイアン>ノラ
だ・だいじょうぶ、か・かんぜんにゆだんをしてたよ。
そこにいると危ないからこっちにおいで。

シャオはベッドの影に隠れた。ノラ(猫)はタナトスに飛び付く。

シャイアンは鋭く声を張り上げると、素早く床を蹴ってもうひとつの板窓に飛びつき、外へ・・・
■ハティノス
つけられていたのかな・・・
それにしても、護衛がついているにもかかわらず襲ってくるとは勝てる見込みがあるってことかな・・・

■レジー To:ハティノス
あるいはこちらの戦力を見るための陽動かもしれないな。

■ハティノス To:シャイアン
シャイアンさん、気をつけて!
こう暗くては、こちらからは相手を見つけるのは困難です

ハティノスはそういいながらシャオのそばへいく
■レジー To:シャイアン
深追いはするなよ、誘い込んで一人ずつ始末しようってことも考えられる。
ある程度ここから離れるようだったら戻ってきてくれ。

■シャイアン To:ハティノス、レジー>ALL
承知したでござる!
後はまかせたでござるよ!


 銀の網亭・外

窓から飛び出し街道に着地したシャイアンは、通行人に奇異な目で見られながらも鋭く周囲を警戒する。
すると、30mほど離れた民家のバルコニーからシャイアンとほぼ同時に降ってくる影が見えた。
その影はシャイアンが飛び出したのを認めると、きびすを返して逃げ出した。
■シャイアン To:影
曲者!
逃がさないでござるよ!

シャイアンは迷わず影を追って走り出した。影は通行人の間を器用にするすると通り抜け、相手をまこうと必死だ。
しかしシャイアンも負けてはいない。全く遅れることなくぴったりと相手に追いすがり、やがて影を袋小路に追いつめた。
■???(少年のような声)
わぁっ! 行き止まり!

影はうろたえた様子で壁をバンバン叩いた。
振り返ったその姿は、シャイアンと同じグラスランナーだ。
ショートボウを背中に背負い、どう見ても冒険者風だが、怯えた顔が「それらしさ」を消している。
■シャイアン To:???
同族・・・でござるか。
なぜ拙者達の部屋に矢を射掛けたでござるか?
危うく、拙者の友達が怪我をするところでござった。
・・・おぬしの狙いは何でござる?

■グラスランナーの少年 To:同族
ご、ごめんよ。仕方なかったんだよ!
「やらなきゃ殺す」って言われたんだ…、ほんとだよ!
もうしないから、許して!

壁に背中をつけたまま、泣きそうな顔で首を振っている。
完全に戦意喪失しているらしい。
■シャイアン To:???
ふむ、誰かに頼まれたのでござるか・・・。
どんな奴に頼まれたでござる?

単独犯ではないと知って、少年を警戒しながら周囲に視線を巡らすシャイアン。
大通りが近くなので頻繁に人の足音や声が聞こえる。
が、とりあえず袋小路の近辺には怪しい人影はないようだ。
■グラスランナーの少年 To:同族
い、言ったら見逃してくれる?
人間の男だよ。すごく怖そうな奴だったよ。

■シャイアン To:???
うむ、約束するでござる。
その人間の男、どこの誰かは判らないでござるかな?
会った場所や服装、持ち物なんでもいいでござる。
覚えている事を話して欲しいでござるよ。

とりあえず警戒を解いて笑顔を見せてみる。両手を少年に見えるように懐から出して腕を組む。
■グラスランナーの少年 To:同族
全然知らない奴だよぅ。
ろ、ローブ着てたから魔法使いなんじゃないのかな…。
ああ、あんまりしゃべるとおいら殺されちゃうよ!
もういいだろ!?

■シャイアン To:???
あう、しかたがないでござるな・・・
ローブを着た人物でござるか、かなり危ない予感がするでござる。
おぬしもこの街からしばらく出た方がよいでござるよ。
さ、早く行くでござる!

■グラスランナーの少年 To:同族
い、言われなくたってそうするよぅ。

少年は慌ててシャイアンの横を走り抜け、大通りの方へと消えていった。

 銀の網亭・個室

一方、銀の網亭の個室では。
■レジー To:ALL
とりあえず皆警戒は怠らないでくれ。
いまのにしたって、こちらの戦力を分散させる罠ってことも考えられる。

■シャオ To:ALL
…これは?

シャオはハティノスの背中越しに折れた木の矢を指差した。
よく見るとその矢柄には、うすい布きれが結ばれている。
■ハティノス To:シャオ
あ、シャオさんは触らないで下さいね
僕が・・・

ハティノスは矢に結ばれた布を外して調べてみた。
広げてみると、内側ににじんだインクで何か書かれているようだ。
内容は──

  『エシャ・ローグの墓で待ってる』

かなり悪筆な共通語である。
■ハティノス
もう・・・汚い字だなぁ
読めなかったら矢文の意味なくなっちゃうよ・・・

■シャオ
……墓で…?

シャオはハティノスの肩越しにそれを見ると、倒れんばかりに真っ青になった。
■タナトス To:シャオ
あれ、物凄く顔色が悪いけど、エシャ・ローグの墓って重要なお墓なの?

■ハティノス To:シャオ
シャオさん、大丈夫ですか?

■シャオ To:タナトス&ハティノス&ALL
…は、はい、…大丈夫です。

「エシャ・ローグ」というのは…エシャ村を興した人の名だと教わりました。
墓…はありませんが、創始者が眠っている場所と考えれば…
もしや村のことを指しているのでは…。

■ハティノス To:シャオ
村の創始者のお墓がないんですかぁ・・・なんか釈然としませんが・・・
まぁ、それはさておき
お墓がどこかに実在するとすれば、そこを指すわけですが、わざわざシャオさんがこのメッセージをみてそこに行く道理がありません
『待つ』というからにはそこにシャオさんが来ることが想定されているわけですので・・・
シャオさんの仰る通り、村のことを指す可能性は高いですね

ハティノスは言葉を飲み込んでいた
シャオが墓に出向く道理は無いが作られている可能性はある
そう、例えば妹さんが誘拐されているとすれば・・・
しかし、それは今は言うまいと思うハティノスだった
■シャオ To:ハティノス
創始者の話は、半ば言い伝えになっていて…
墓があるというのは、僕は聞いたことがないです…。

胸に手をあてて気持ちを落ち着かせようとしているが、嫌でも悪い想像が頭をよぎるらしく、悲痛な表情のまま黙りこくる。
■タナトス To:シャオ
墓は無いんですね、じゃ〜、墓らしきものは?
例えば創立者を祭ったものとか、創立者の像とか

そうそう、この布に見覚えはある?

背中をボリボリボリボリ……
■シャオ To:タナトス
え? …いえ、そういったものは…。
村の近くにヴェーナーの祭壇があるだけで…。

…布にも見覚えはないです。

■タナトス To:シャオ&ALL
祭壇だけかぁ〜、それなら何でわざわざ村で待つなんて言っているんだろう……
リュートを奪うだけならここでも道中でも良いのに……
村に何かあるのかな……
う〜ん、う〜〜〜ん、う〜〜〜〜ん
わからな〜〜い

でも、1つ確かな事は村に付くまでは安全って事だよね?

■シャオ To:タナトス
…そう…なんでしょうか…。

■ハティノス To:タナトス
何らかの暗示っぽいですが、村までの安全を保証するような感じではありませんね
むしろ、目的地を示唆することでそこへの道中になんらかの仕掛けがあると考えた方が良いかと思いますよ(^^;

やがて、賊を追って飛び出したシャイアンが無事に戻ってきた。
シャイアンは何があったかを皆に伝え、残っていた者は矢文のことを話した。
深夜になって、ユウルとメイプルも「湖竜亭」から帰還。
ふたりは聞き込みした情報を皆に話し、先ほどここで何があったのかを聞いた。
一行は情報交換を終えると、警戒を怠ることなく、出発前夜のオランの夜を過ごした。
その夜は、平穏に過ぎていったようだ……。

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