SW-PBM #128 おやじたちの挽歌 第五章 三幕 なんぱ師敗れる |
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■ 【ロックの武器屋】 |
オルフェとアリエは家出した3人が装備を整えるために立ち寄っただろうという推測の元に、一軒の武器屋を訪れていた。
その名は「武器屋ロック=エーテンの店」。
いまやオラン名物とも言える、人間の背丈をはるかに越えるサイズの巨大な剣と盾を看板に据えている店だ。
その剣……もとい看板は常に手入れされているのか、陽光を照り返して不気味なまでに輝いていた。
盾に至っては、顔が映りそうなほど磨き上げられている。
■オルフェ To:呟き |
あの剣、本物だよな……なんて気合の入った店なんだ……。 |
■アリエ To: 呟き |
あの盾、ぴかぴか・・・あんな所まで登って磨いてるんだ・・・。 |
看板を見てしばし呆然。たっぷり数十秒は固まった後、気を取り直して店内へ向かう。
■オルフェ To:ロック |
ちょっとお邪魔するよ。 |
■ロック To:オルフェ |
おや、いらっしゃいませ。 何かお探しですか? 当店ならきっとご満足いただける武具が見つかりますよ。 気になる物がありましたらどうぞお手に取って、ごゆっくりとご覧ください。 |
名物店長ロックは、今日も嬉しそうに剣を磨いていた。
■アリエ To: ロック |
こんにちは〜。今日はちょっとお聞きしたい事があって来たんですが・・・すごい品揃えですね! ああ、あの鎧のセットなんてカッコいい〜♪ |
ビシッと指差した先にあるのは、銀の鎧と剣のセット。剣の柄と鎧の胸の部分に、角も立派な鹿の意匠が施されている。
■アリエ To: ロック |
高いんでしょうね〜。綺麗だな〜。着てみたいな〜。 |
ちょっぴり目的を忘れて、鎧の細工をつんつんと触っていたりする。
■ロック To:アリエ |
ふふふ、それを選ぶとはお目が高い。 わざわざ職人の街エレミアから取り寄せた、この世に2つとない特注品なんですよ! どうですこの意匠! 雄々しくも荘厳な牡鹿の姿! やはり武具というものは機能だけではなく、如何に洗練されたデザインであるかも重要な点だという事を証明するに相応しい一品ですよ。 もう可愛くて可愛くて、毎日抱き締めたり頬擦りしたりしてしまうんです。 さあ、どうぞお手に取って見て下さい、是非! |
早くもトリップ気味。
■オルフェ |
(こ、この店長、大丈夫なんだろうか……) |
その危惧は恐らくは正しい。
■アリエ To: ロック |
きゃ〜っ!!!本当にいいんですか〜? ふふふふ、こんなすごい装備を買うお金は無いんですが・・・えい♪ ガション。 |
ロックの声に負けずに叫び返し、勧められるままに剣を手に取る。
鎧の方はさすがに遠慮したようだが……。
■アリエ To: 剣 |
はー、綺麗だね〜。 いつかエレミアに帰ったら、キミに似合うお揃いの髪飾りと腕輪、できたら鞘も作ってあげるね★ |
違う方向でこちらもトリップ気味……。
■オルフェ |
(……剣に髪飾りと腕輪って……) |
そう思いはするが、わざわざ口には出さないあたりは優しさ……か?
■アリエ To:ロック |
ん〜。ギルドマスターの作品かなぁ、まずは作者を探して、デザインを持ち込んで・・・ ふふふふ・・・ん?あっと、汚す前にお返ししますね>< なでなで、きゅっきゅっ。 |
危うく別の世界へと旅立つ手前で、指紋を拭いてロックに剣を返す。
万が一傷をつけるとパーティで大借金の予感だが……一体幾らするのだろう。
つーか「パーティで」って。一蓮托生にするおつもりですか。
■オルフェ To:ロック |
たしかに良い品物が揃ってるみたいだね。 でも、悪いけど今日は買物に来たのとは違うんだ。買物はまた今度、ゆっくり寄らせてもらうよ。 で、ちょっと聞きたいことがあってね。ここ数日の間に、三人分の装備を買って行った客は居なかったかな? |
おやじの特徴を説明する。
■ロック To:オルフェ |
そうですね……そういうのでしたら妹の方が良く覚えていると思いますから。 おーい、ピティさ〜ん。 |
■ピティ To:ロック |
なあに、お兄ちゃん。 |
店の奥で伝票を付けていたピティが出てくる。
■ロック To:ピティ |
3日ほど前にこういう人たちが来ませんでしたかね? |
オルフェに聞いた特徴を伝える。
■ピティ To:ロック |
お兄ちゃん……(^^;) その人たちだったらお兄ちゃんが嬉々としていろいろ教えてあげてた人たちじゃない。 もう忘れちゃったの? |
■オルフェ To:ピティ |
(……色々大変だろうけど、挫けず頑張ってね……) |
これも口には出さないが、視線でそう語りかけている。
■アリエ To:ピティ&ロック |
あらら^^;。でもピティさんが覚えてくれて良かったです! 3日前の夜に来たんだと思うんですが・・・「いろいろ教えた」と言いますと? |
■ピティ To:アリエ |
んー、来たのは2日前の朝一番でしたけど。 自分たちに使えそうな手頃な武具を見立ててくれって頼まれました。 あと、初めて冒険に出るんだけど勝手が分からないし、そういうのを教えてくれる所はないかって。 だから「銀の網亭」を教えてあげたんですけど。 |
■アリエ To:ピティ&ALL |
え”。 銀 の 網 亭 ですか (´・ω・`) 私達、そこの依頼で来たんです・・・。 |
すごろくにある「振り出しに戻る」を踏んだ時に似ている。
■オルフェ To:アリエ |
まあ、それなら話が早いね。 詳しい事は、戻って話を聞くとしよう。 |
■アリエ To:オルフェ&ピティ |
うぅ、そうですねー・・・^^; ・・・っとその前に。とりあえず買った物を全て、教えて頂けるでしょうか? |
■オルフェ |
(この店長なら、売った武器の事は種類どころか、製作者の名前や細かい特徴まで覚えてそうだな……) |
そりゃ、もちろん(笑)
■ロック To:アリエ |
くふふふふ、聞きたいですか? よろしい、お教えしましょう。まずは剣ですが、わたしはあれを勧めたんですがちょっと持てなかったようですのでもう少し小振りの物をと言われまして、そして……。 |
事細かにその時の状況や心情まで交えて、まるでその場にいるかのような錯覚を感じさせるほどの詳細な説明をしてもらったとさ。
その時間はロックにとっては至福の時間であり、聞かされる方にとっては無限に続く拷問にも似たものであった。
ちなみにその時のアリエは、延々と「はい」「そうですよね」「なるほど」を繰り返していた。
思考するという行為を放棄したらしい。
一方のオルフェはというと……途中までは熱心に聴いていたものの(それだけでも賞賛に値する)途中から目が虚ろになっていたりした。
……え? ピティですか?
そりゃいい加減慣れてますから、タイミングを見計らって逃げ出し引っ込んでしまいましたよ。
店の奥で一人ゆうゆうと、伝票付けの続きをしてました。
そしてたっぷりと武器講座を聞かされた後で、まだしゃべり足りなそうなロックを追いやってピティがお茶を出してくれた。
■アリエ To:ピティ |
(く、くらくらする・・・いや、でもまだ終わってないし・・・)あと、どんな冒険がしたいとか、何処に行きたいとかいう話はされたでしょうか? |
■ピティ To:アリエ |
いえ、それは聞いてないです。 銀の網亭のマスターと相談するって言ってましたけど。 |
■アリエ To:ピティ |
そうですかー。 じゃあその事についてはオヤジさんに相談しますね。 |
ふと、外を見る。
来た時はお昼だったのに、すっかり夕焼け色に染まっている。
ロックの話を長々と聞いてしまったせいだろうか。
■アリエ To:ピティ&ロック |
(いつの間に・・・!みんな待ってるよね、ゴメンネ><) あっ、すっかり時間を取ってしまいましたね。 いろいろ教えてくださってありがとうございましたm(_ _)m |
■ピティ To:アリエ |
またのご来店をお待ちしてますね(^^) |
■オルフェ To:ピティ&ロック |
ありがとう、お邪魔したね。 今度は客としてまた来るよ。 |
そこからさらにピティに声をかけようとするが、気力が続かないのかそこで言葉が切れる。
恐るべし、ロック=エーテン。オルフェの悪癖を封じてしまうとは……。
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