■カーガッド To:ALL |
それでは、扉を開けますよ。 皆さん、心の準備をお願いします。 |
そしてバルドーの部屋の扉を開き、中の様子を伺った。
広く薄暗い部屋の中央に、仰向けで樽ほどもありそうな岩の下敷きになっているバルドーらしき人影が見えます。その傍らには、バルドーの顔をのぞき込むように座る少女(サリア)がいます。
苦悶するバルドーに、何事かをぶつぶつとつぶやいているサリアはパーティに気付いた様子はありません。
■アズラ・ラ・ライト To:サリア |
あの、サリアさん……でしよね? ナタリエさんの娘さんの? |
異様な光景に圧倒されつつ、そろそろと部屋に入るアズラ。サリアに掛ける声も怯え気味。
サリアは目だけをアズラに向けて、ぼそぼそと答えます。
■サリア To:アズラ |
そうだけど...なに?今、忙しいの...後にして...。 |
■アズラ・ラ・ライト To:サリア |
うーんと……忙しいって、何してるですか……? 岩、でしよね、それ。サリアさんが持って来たですか? そのままだとその人、死んじゃいますですよ。 |
■サリア To:アズラ |
大丈夫、もうしばらくは死なないよ。 |
■カーガッド To:サリア |
貴女がバルドー氏にそうされるわけはいったい何なのです? 一体貴方達の間に何があったのですか? |
■サリア To:カーガッド |
この人がお母さんを殺したのよ。 だから、お返し。 |
カーガッド、アズラとサリアのやり取りの最中、キャスも気を配りながら部屋に入り、部屋の中の光景を見た瞬間
■キャス To:サリア&バルドー |
!!!! |
持っていた弓と矢を投げ捨て、全力でバルドー氏の上の岩のところへ向かう。
■カーガッド To:キャス |
キャスさん!一応注意してくださいね。 バルドー氏の救出はお願いします。 |
■ウォルフ To:サリア |
‥‥サリアさん、ナタリエさんは貴女の幸せだけを祈っていたと思いますよ、きっと‥‥。 |
静かに、だが力強くサリアに語りかけるウォルフ。
■カーガッド To:サリア |
サリアさん、何処でそんな力を手に入れたのです? 復讐のためとは言え、ヴァンパイアの力を手に入れるなんて、悲し過ぎますよ……。 |
キャスはバルドー氏とサリアのところにたどり着くとバルドー氏から岩をのけようした。
■キャス To:独り言 |
とりあえずこいつをなんとかしちまわねぇとな。 |
しかし、岩を動かそうとするとバルドーが呻き声を上げます。
よく見ると、岩は不細工な人型をしており、バルドーの上に馬乗りになった形になっていることがわかります。
岩からのびた「腕」がバルドーの二の腕をがっちりとつかんでおり、下手に動かすとけがをさせてしまいそうです。
■キャス To:サリア&ALL |
こりゃなんだよ。動かせねぇじゃねえか。どうやったらこの岩を動かせるんだよ。 |
■カーガッド To:キャス |
もしかして、それはストーンサーバントでは? それだと、術者が命じるか、壊さない限り離れないと思います……。 ともかく、一旦そのままにしておいてください。 |
■ランバート To:ALL |
その上の岩は間違いなく、ストーンサーバントですね。 解除の魔法も効きませんので、被害を出さずに力ずくで動かすのは無理です。 |
■キャス To:カーガッド&ランバート |
じゃあ、どうすりゃあいいんだよ。どうしょうもねぇじゃねえかよ。 |
キャスはバルドーとストーンサーバントの前で立ちすくみます。
■アズラ・ラ・ライト To:サリア |
あのね、バルドーさんを憎いのは解ったです。 で、お母さんを殺されたって、その辺もうちょっと詳しく話して貰えませんでしか? 知ってたらでいいんでしが。ナタリエさんが殺された理由とか、いきさつとか経過とか。 |
■サリア To:アズラ |
こいつが手下に命令して、あたしとお母さんを殺そうとしたの。理由なんて知らない。 さっきから何度も聞いてるのに。こいつ、全然話そうとしないの。 |
サリアに歩み寄ると静かに語りかけるウォルフ。
■ウォルフ To:サリア |
‥‥残念ながら、たとえ、この男を殺したとしてもナタリエさんは還ってきません‥‥。 ならば、生かしてその罪を償わせることこそが大事だとは思いませんか? 貴女までがその手を汚すことをナタリエさんは望んではいらっしゃらないと思いますよ‥‥。 |
■サリア To:ウォルフ |
...それなら、もう遅いよ。 あたし、お母さんを殺した人、殺してるもの。 それにこいつを殺すためにバケモノになったんだもん。殺せなかったら、わざわざバケモノになったあたしが馬鹿みたいじゃない。 |
■カーガッド To:サリア |
一旦、バルドー氏を解放してやって貰えませんか。 その上で話を聞いては駄目でしょうか。 逃げ出さないように、私達が押さえておきますから。 |
■アズラ・ラ・ライト To:サリア |
……思ったんですけど、この状態じゃあ苦しくて喋ろうにも喋れないんじゃあ、と思うんでしが……。 取り敢えずこの石の人をおっちゃんの上からどかしてくれないでしかね。 色々聞くにも、その方が話もしやすいと思うですし。 |
■サリア To:カーガッド、アズラ |
解放したら、あたしは殺されちゃうんでしょ? 逃がさないなんて、理由がないじゃない。 苦しそうに見えるけど、喋れないほど重くしてるわけじゃないし。話そうと思えば話せるはずなのよ。 |
■ウォルフ To:サリア |
おこがましいかもしれませんが‥‥我々は貴女を救いたいのです。亡くなったナタリエさんのためにも。 どうか我々を信じて戴けませんか? |
■カーガッド To:サリア |
それに……サリアさん。ハインツさんが心配されてましたよ。 貴女が居なくなってから、ずっと捜しておられるようです。 彼の所に戻ってやることは出来ないのですか……。 |
■サリア To:カーガッド |
...あの人は...お母さんを好きだった人だし...捜してなんて...。 それに、戻れるわけないよ。私、もう人間じゃないし。 |
■カーガッド To:サリア |
まだ人間に戻れる方法はあります。早まらないでください。 奇跡のなかで、魂を救済するものがあります。 オランの高司祭へのコネもありますから、きっと、間違いなく元に戻れますよ。 |
■ウォルフ To:サリア |
ハインツさんも、お爺さんも本当に貴女のことを心配していらっしゃいます。 あの二人のためにも生きて戻って戴けませんか? 確かに辛いと思います。 ですが‥‥、生きてさえいれば、人は希望を抱くことができるものなのです。 お願いですサリアさん。もう一度生きる意志を持ってください。 |
■サリア To:カーガッド、ウォルフ |
...それでも...それができるとしても...こいつをこのまま、許すことなんて、できないよ...。 |
■カーガッド To:サリア |
当然、彼には司直の手により裁きが行われます。 社会的制裁、また貴女への保証などは解決するでしょう。 貴女の犯した罪に関しても情状酌量されるはずです。 それは、裁きを行う領主代行も分かってくれると思います。 ……ナタリエさんの事についてはとても残念ですが、もはや元に戻ることはかないません。 でもナタリエさんは、貴女が自分の手を汚すことをよしとは思わないはずです。 どうかここは、貴女の家族のために、考え直して貰えませんか。 |
■サリア To:カーガッド |
...。 ...、...わかった...もう、何もしない...。 |
サリアが何事かをつぶやくと、ストーンサーバントはバルドーを解放し、部屋の隅でうずくまるように座り込みました。
見たところ、バルドーに目立った外傷はないようです。
■ウォルフ To:バルドー |
さて‥‥、バルドーさん、とおっしゃいましたか‥‥。 私はウォルフガングと申します。以後宜しくお見知りおきを。 早速ですが、貴方が知っていらっしゃることを全て教えて戴けませんか?無論、無理にとは申しません。 職業柄、効率の良い残虐非道な拷問方法を幾つも知っておりますので。貴方ならば、さぞ試しがいがありそうですね‥‥。 |
口もとに冷ややかな笑みを浮かべつつ、冷然と言い放つウォルフ。
そこには、先程までのサリアに対する真摯な態度とは打って変わり、傲岸不遜かつ冷酷さをその身に漂わせる男がいた。
■ウォルフ To:バルドー |
あらかじめ申し上げておきますが‥‥、私はこの手を血に染めることを何ら厭いませんので。 人の情に訴えようとしても全くの無駄ですよ。 容赦、という言葉は、私には最も縁遠き言葉ですのでね‥‥。 |
しかし、バルドーはウォルフを見るでもなく、焦点の合わない目で苦しげに許してくれ、助けてくれと繰り返すばかりです。
■カーガッド To:ジェニファー |
……どうやら正気を失ってるようですね。 確か、神官の奇跡には心を落ち着かせるものがありましたよね。 済みませんが、彼に掛けて貰えますか? |
ジェニファーはうなずき、バルドーにサニティをかけました。はっとした表情になったバルドーは、ジェニファーを見、冒険者達を見た後、サリアと目を合わせ...ぼろぼろと泣き出しました。
■バルドー To:サリア&ALL |
な、なんでもします。なんでもしますからっ。お願いします、殺さないで、殺さないでくださいっ。 |
小人とは哀れなものだな、と口には出さず、相変わらず冷ややかな笑みを浮かべつつバルドーを見下ろすウォルフ。
■アズラ・ラ・ライト To:バルドー |
あのね、取り敢えずは危害加えないから、ナタリエさんの事件について知ってる事を全部喋ってくれないかにゃ。事の起こりとか背景の事情とか経過とか、ぜぇーんぶ。 サリアさんもその事を凄く知りたがってるみたいだし。ね? |
■カーガッド To:バルドー |
(アズラの話に肯いて) とりあえず、これ以上あなたの命の危険は無いはずです。 一体何があったのです? なんでもするとおっしゃるなら、事件の事を詳しく話してください。 |
バルドーはしゃくり上げながら話し始めます。現会長であるバッカス・レイモンドの先が短いこと、そのバッカスが商会そのものを除いた私有財産の全てをなぜかサリアに譲ろうとしていたこと、逆に自分には一銭たりとも残さないと罵倒されたこと...。
そして突然立ち上がり、ただ脅して街を追い出すつもりが殺人事件になってしまったばかりか、手下も死んでしまいサリアも行方不明になってしまい途方にくれたことを弁解がましく並べ立て...そんなバルドーを睨み付けるサリアに気付き、膝を突いてうなだれてしまいました。
■ウォルフ To:バルドー |
貴方の醜悪な欲望がささやかな親子の幸せを奪ったのは厳然たる事実です。 当然ながら貴方には司直の裁きが下されるでしょう。事実を隠蔽しようとした官憲にも勿論ね‥‥。 |
凍て付いた氷のような眼差しをバルドーに向け、冷然と言い放つウォルフ。
■ウォルフ To:独白 |
‥‥どうやらバッカス翁にもお会いする必要があるようですね‥‥。‥‥尤も、ある程度の予想はついていますが‥‥。 |
■カーガッド To:ウォルフ>バルドー |
私も何となく分かるような気がします……。 バルドーさん。 あなたの身柄は領主代行に引き渡します。 ここに来られるように呼んでいるので、もはや逃ようとは考えないことです。 |
■ウォルフ To:サリア |
‥‥さて、サリアさん。 一段落着いたようなのでお尋ねしたいのですが‥‥、貴女のその力は、どうやって手に入れられたのですか? |
慈しみ深い限りなく優しい声と真摯な態度でそうサリアに尋ねるウォルフ。
■サリア To:ウォルフ |
お母さんが刺されちゃった後、私も殺されそうになって...。 そしたら、黒いマントの人が声をかけてきたの。その男に殺されないだけの力が欲しくないかって。 欲しいって叫んだら、男が動けなくなって倒れたの。私は夢中で男のナイフを取り上げて...殺しちゃった。 その後、目の前がまっくらになっちゃって、気が付いたら丸1日も過ぎていて...町はずれの水車小屋で...こんな身体になってたの。 ポケットには「やりたいと思ったらそうしろ」って手紙と、そこの石の人形を出す道具が入ってた...。 |
■ランバート To:サリア |
その体になってからは、どうやって過ごしていたのですか? 文献では、バンパイアは日の光に弱いと言うことですし、あと、人の生き血を吸わずにいられなくなるとも書いてありましたが? |
■サリア To:ランバート |
昼間は小屋に籠もってたの。夜は出歩いていたけど...血は吸ってないよ。 ヒトを見るたびに、すごくすごく欲しくなるけど...それは私のやりたいことじゃないから...それに、やっぱり怖いし...。 でも、それは必要なことだったんだね。 だんだん、カラダを動かすのが辛くなってきてたの...。 |
■ウォルフ To:サリア>独白 |
‥‥そうでしたか‥‥。 ‥‥どうやら、その黒マントの者がバンパイアだったようですね‥‥。しかし、いったい何の目的でこの街に‥‥? |
■カーガッド To:ウォルフ>サリア |
(独白に答えるように) この街に何かあるのか、それとも単なる気まぐれか……。 そればかりは本人に聞かないと分からないでしょうね。 さて……サリアさん。 先程も行ったように、あなたを元の体に戻せるよう、私達からも代行に働きかけてみます。 おそらく心配することは無いと思いますのでご安心下さい。 |
そう言って、入口の様子を見て呟く。
■カーガッド To: |
代行殿はまだしばらくかかりそうかな……。 |
■アズラ・ラ・ライト To:カーガッド |
何だったら、私がひとっ走り呼びに行ってきますですよ? 呼びに行って貰ったあの人じゃあ信用出来なくて来るのを迷ってるのかも知れないし。 |
■カーガッド To:アズラ |
うーん、そうですね。 それではお手数掛けますけど、アズラさん宜しくお願いします。 |