商店街のにぎやかな通りから、一つ奥に入った小道に面してその雑貨店はありました。看板には「ルーベルト雑貨店」と書かれています。
静かな店の軒先で、椅子に座った一人の老人が本を読んでいます。
その様子に一瞬躊躇したかのようにみえるウォルフ。だが、意を決して毅然とした態度で老人に話しかける。
■ウォルフ To:老人 |
失礼いたします。 少々伺いたいお話があるのですが‥‥今、お時間よろしいでしょうか? |
■老人 To:ウォルフ |
お?うむ、構わんよ。何かね? |
■ランバート To:老人 |
もう、何度も官憲の方にお話しされたと思うのですが、ナタリアさんの件なのですが・・・・ |
■ウォルフ To:老人 |
お辛いかとは思いますが教えて戴けませんでしょうか? |
ああ、うん。と不明瞭な返事をしながら、老人は店の奥を抜けて住居部分へと一行を招きました。四人がけのテーブルにつくと、椅子を勧めて話し始めます。
■老人 To:ALL |
ナタリエのことじゃが...儂には到底信じられん事件だよ。 あの娘がここへ来たのはもう12年も前になるがね、それからこれまで、何の問題も無く暮らしてきたんじゃ...それがのう...。 |
何かを思い出すように、老人は壁を眺めます。そこには一枚の絵が掛かっており、30歳前後の男性と女性、そして少女の3人が並んで描かれています。
■ウォルフ To:老人 |
あちらの絵は‥‥? |
■老人 To:ウォルフ |
わしの息子とナタリエ、そしてナタリエの娘だよ。 まるで家族のようだろう?儂もそれを望んでおったんじゃがのう...まさかこんなことになるとは夢にも思わなんだ。 |
■ウォルフ To:老人 |
ナタリエさんには娘さんがいらっしゃるのですか‥‥。 ‥‥ナタリエさんのご主人は亡くなられたのですか? |
■老人 To:ウォルフ |
ああ、そう聞いておる。どこの誰とは話してくれんかったがの。昔のことは、まったく話してはくれなかったが...いま思えば、もっと親身になって相談にのってやるべきだったと後悔しとるよ。 |
■アズラ・ラ・ライト To:老人 |
えっと、じゃあナタリエさんの娘さんも一緒に暮らしてたんでしよね。今お幾つくらいでしか? ……お母さんがこんな事になって、さぞ辛かったでしょうね……ふにゅう…… |
■老人 To:アズラ |
うむ、13歳じゃよ。 |
■ウォルフ To:老人 |
‥‥できればナタリエさんの娘さんと会わせて戴けませんか? この事件の真相を探るきっかけが掴めるかもしれませんので‥‥。 |
と、ややくぐもった声で老人に告げるウォルフ。
■老人 To:ウォルフ |
それがのう、ナタリエの事の後、行方知れずになってしもうての。 今も息子が捜しに出ておるが、どこをどう探しておるのか...。 |
■ランバート To:老人 |
官憲には届けていないんですか? 東の詰め所のイーリスさんは、殺人や行方知れず等の事件は、ナタリエさんの一件以外は無いと言っていたんですけどねぇ。 |
■老人 To:ランバート |
いや、儂もそうするのがいいと思ったんじゃがのぅ。息子は、ナタリエから何か頼まれていたらしくての。事情があって公にはできない、自分が捜すと言って今も... |
と、表の店から青年が、ただいまと言いながら入ってきました。30歳前後に見える青年は、なぜか生傷とその手当の後が目立ちます。冒険者を認めて不審な顔をする青年に、老人は一行を紹介します。
■老人 To:青年=息子=ハインツ、ALL |
ハインツ、こちらはナタリエさんの件を調査されている方々だ。皆さん、先程お話しした私の息子です。 |
■ハインツ To:ALL |
...ハインツ・ルーベルトです...。ナタリエの件はもう調査しないと聞いていたのですが、なぜ今になって? |
■ウォルフ To:ハインツ |
失礼。私はウォルフガングと申します。 我々は領主代行の命により、ある事件を追っています。 その過程でナタリエさんの一件を知り、我々の追っている事件と何らかのかかわりがあるのではないかと思い、お訪ねした次第です。 今回の事件が起こる前に、ナタリエさんもしくはナタリエさんの娘さんの様子に何か変わった点はみられませんでしたでしょうか‥‥? |
■ハインツ To:ウォルフ |
領主代行...タティア様の?...わかりました、お話しします...。 あの日...ナタリエが帰らぬ人となったあの日...。 買い物に出たサリアが、あの子が戻ってこなかったんです。そして夕方になって、男が三人、ナタリエを尋ねてきた。夜になって、気が付くとナタリエが居ませんでした。ナタリエがずっと大切にしていた、銀の短剣もなくなっていました。 そして...事件があって...。 事件の次の夜、サリアは帰ってきました。でも...サリアは、自分を死んだものと思ってくれと、自分のことを誰にも話さないで欲しいと、そう言って、また出て行ってしまいました。...それきりです。 |
■ランバート To:ALL |
これは、どうも事件の<核心>に近づいたと、私は<確信>しましたね。 |
そのようですね、とランバートに対し頷くウォルフ。
そして再びハインツの方に向き直ると
■ウォルフ To:ハインツ |
サリアさんが戻ってきたとき何か変わった様子はありませんでしたか? 外見ですとか、仕種ですとか‥‥? |
と切り出す。
■ハインツ To:ウォルフ |
...あの子はやけに落ち着いていて、やけに静かで、でも何かをこらえるように、ずっと俯いていました...。 握りしめた青白い手が、忘れられません...。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ハインツ |
あの、念の為に聞きますけど、サリアさんもナタリエさんも、魔法が使えるなんて事はないでしよね? |
■ハインツ To:アズラ |
はい。少なくとも私の知る限りでは、魔法には縁はなかったはずです。 |
■ウォルフ To:ハインツ |
‥‥青白い手、ですか‥‥。 ‥‥その青白さは病的な青白さでしたか? それから‥‥戻ってきた際にサリアさんとは視線を交わしていないわけですね? |
■ハインツ To:ウォルフ |
病的...というか、血の気の引いたような感じで...。 ええ、サリアは私と目を合わせてはくれませんでした...。 |
■ウォルフ To:ハインツ |
‥‥そうですか‥‥。 もう一つだけお尋ねします。ナタリアさんと一緒に亡くなった男性について何かお心当たりはありませんか? |
■ハインツ To:ウォルフ |
官憲の見立て通り、スラムの人間だろうというくらいしか...。 ただ、ナタリエがいなくなる前に、この店の前でそいつを見かけた気がするんです。確か1人ではなく、2人連れか3人連れだったような気がするので、私はその時に連れ立っていた者達を探しています。 ...雲を掴むような話だとは、思いますけどね...。 |
■ランバート To:ALL、ハインツ |
肌が青白かった事、目を合わせなかった事、帰ってきたのが夜だった事、ナタリエさんが銀のナイフを持って出かけた事・・・ ・・・ほぼ、間違いなさそうですね。 ちなみに、サリアさんが行方不明になった日って、何を買いに出かけたか御存知でしたか? |
■ハインツ To:ランバート |
いえ...わかりません。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ハインツ |
あ、その死んだ人と一緒に連れ立ってた人達って、どんな服装をしてましたでしか? いかにもスラムの人っぽいとか、鉱山で働いてる人らっぽいとか、商人っぽいとか…… あと、何か変わった物とか身に付けてませんでしたでしか? |
■ハインツ To:アズラ |
身なりは...そうですね、スラムの人間っぽかったですよ。とくに変わったものは身につけていなかったと思います。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ハインツ |
そうでしか……ありがとうございますです。 |
■ウォルフ To:ハインツ&老人 |
そろそろお暇させて戴こうかと思います。 色々と有益な情報を教えて戴き、ありがとうございました。 サリアさんのことについては‥‥最善を尽くさせて戴きます。 それでは失礼致します。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ハインツ&老人 |
ありがとうございましたです〜♪ 二人の事で何か解ったらまた報告にくるですね〜^^ |
■ハインツ To:ALL |
はい、よろしく....お願いします。 |
■ランバート To:ハインツ&老人 |
言葉では言い表せないほど辛い中、いろいろな情報を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。 |
■ウォルフ To:アズラ&ランバート |
それでは一旦戻ることにしましょう。 鉱山組の方々も何か有益な情報を掴んでいるかもしれませんし。 ギルドに行くのはそれからでも遅くはないでしょう。 |