商人街のはずれ、ちょっと折れた街角にその現場はありました。少し歩けば賑やかな通りがあるにもかかわらず、この路地の空気はしんと静まりかえっていて、人の気配が全くありません。
見回せば少し離れたところに二カ所、黒いシミが広がっています。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
ここ、ですかぁ。 あやや、血の跡がくっきりですねぇ。こんだけ日にちが経ってたら解る事は少ないかもですが、念の為ちょっと調べてみますですか。 |
地面に膝を突いて血痕とその周囲を調べ始めるアズラ。ぺたぺたと地面を触りながら目を凝らす。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
うーんと、これは一回土を被せて隠そうとしたのかにゃあ? 確かにこんだけくっきり跡が残ってるのって嫌ですもんにぇ。 まあ、雨かなんかで土が流れちゃったみたいでしが。 ……っと、これは何でしかね?? |
アズラが指し示した片方の黒いシミの中央には、土色の短い線の様な物がある。
よく見るとどうやらそこは短い溝となっていて、窪みに土が詰まって流れず残り、線の様に見えているという具合らしい。
どれどれ、とウォルフも覗き込み、
■ウォルフ To:ALL |
‥‥ダガーか何かを突き刺した跡のようにも見受けられるね。 |
と感想を述べるウォルフ。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
深さが気になります……土を除けてみたら解るですかね?? どうせ官憲の検証はもう終わりになっちゃってるんですし、多少弄っちゃってもいいでしよね? |
そう言いながら色の違う部分の土をつんつん、と突っつく。
「つんつん」の分だけ土はさらに凹みました。爪の先に付いた新しい土の粒子は細かく、軽くてさらさらしています。周りの粘土質の土も、小さなスコップでもあれば掘れそうです。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
あらら。土というより砂みたいな土でしね…… うーん、下手に弄ったら周囲の土まで掘れちゃいそうです。ふーふー吹いたら、詰まってる土だけ吹き飛んじゃったりしてくれないかにゃ? |
窪みに顔を近付け、「ふっ!ふっ!」と強く息を吹くアズラ。
ぽは、と小さく土埃があがりました。深さは小指の長さほどになり、細くて暗い溝の奥をよーくみると、湿っているのか吹き飛ばされなかった土と、薄い石のかけらのようなものが、まだ残っているようです。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
……なんか、ありますです?? |
■ウォルフ To:ALL |
なにかのかけらのようだね。 |
そう言うと、シーフ用ツールを取り出し、かけらを取り出そうとするウォルフ。
細い溝にピンセット状のツールを差し込み、溝の形を崩さないようかけらをつまみます。感触から、小指の爪ほどの大きさの薄い板状のかけらであることが想像できます。
しかし、引き出そうとしてもびくともしません。ツールの先でつついても揺れもしません。何か大きな固まりの一部を触ってる感じです。
根気よく力を込めていると、キシッという感触とともに"引き抜けました"。かけらは、やはり小指の爪ほどの薄い鉄片で、赤黒い土に汚れています。かけらを取り出した溝にツールを差し込むと、土の感触の後にコツコツと石のようなかたい感触がします。それ以上は差し込めそうにありません。
■ウォルフ To:ALL |
これ以上は無理かな‥‥?。 それにしても‥‥何のかけらだろう? |
■アズラ・ラ・ライト To:ウォルフ |
一体何ですかね。ウォルフおにーさん解ります?? |
■ランバート To:ALL |
とりあえず魔法をがかかっているか確認してみましょう。 |
そういうと、センスマジックの呪文を唱え始めた。
■ランバート To:ALL |
破片にも、溝の部分からも魔力は感じられませんねぇ。 念のためにノームに頼んで掘り出してみましょうか? |
そういうと、今度は精霊後でノームを呼び出して溝を中心に穴をあけていった。
穴を開け始めると、溝以外の土にはすぐに血の痕跡がなくなり、溝が無くなる辺りまで穴を開けると、ヒビが入ったこぶし大の石が見えてきた。
鉄片は溝の中心にあって、そのヒビに突き刺さる形になっていたようである。
■ランバート To:ALL |
石より深い所には土しかないようですね。 持ってきた凶器のナイフには確か欠けた部分があったはずなので、その破片がその欠けた部分に一致するか一応、調べてみましょう。 |
預かってきた凶器のナイフを取り出して、欠けている部分をあわせてみた。
鉄のかけらは、ナイフの先端の欠損部分にぴったりと合いました。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
(ランバートの手元を覗き込みながら) あらら、ぴったりですです〜。 じゃあこのナイフはこの石に突き立てられて欠けちゃったって事? 何でそんな事したですかねえ?? |
■ランバート To:ALL |
確認のしようは無いんですが、おそらく魔法でストーンサーバントに変えられていた石に対してこのナイフを突き立てたという事じゃないかと思います。 ほら、領主さんがゴーレムで魔物を退治したという話がありましたよね? ストーンサーバントというゴーレムは、こういう石から作るんですよ。 だから石に対してナイフを突き立てたと言うより、ナイフを突き立てられたゴーレムが石に戻ったと考える方が正しいと思います。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ランバート |
だとしたら、やっぱり第三者が介入してたって事でしかね。話聞く限りじゃ、二人とも魔法使えるような人じゃなかったみたいですし……。 ナイフの持ち方がおかしいっぽいってのもありますしね〜。 |
■ウォルフ To:ランバート |
ランバートさん、ストーンサーバントとやらはダガーの一突きで退治できるような代物ではないんでしょう? ストーンサーバントを作り出した輩も気にかかりますが、それに対抗した者は一体‥‥? |
と、半ば独白めいた発言をするウォルフ。
■ランバート To:ALL |
ストーンサーバントの相手が出来るということは、相当強いでしょうねぇ。 普通に考えるとストーンサーバントを作り出したのは、こんな田舎町では領主さんしか考えられないですよねぇ。 問題は、このナイフを使ったのが誰かという点ですよね。 死んだ二人に対してはもちろん、ゴーレムに対しても。 第三者がいたのか、はたまたストーンサーバント自身が使ったのか・・・ 後は、石がなんで土の中に埋まっていたのかも気にかかりますね。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
ふにゅう、解んない事だらけでしねぇ…… んっと、解んない事ばっかですが……此処にいても埒明かないですし、そろそろ聞き込みに回ってみますですか? 何か街の人が知ってる事から手掛かりが掴めるかも知れないですし。 |
■ウォルフ To:ALL |
そうだね。 聞き込みをすることで何か手がかりを得られるかもしれないし。 まずは商店街でナタリエさんについて聞き込みをしてみましょうか。 |
現場を後にした一行は商店街へとやってきました。
様々な商店がひしめき合っていて、買い物客なのか人通りも活発です。
■ウォルフ To:ALL |
さてと‥‥。どの辺りから聞き込みをして行こうか? ナタリエさんが住み込みで働いていた雑貨店に直接向かうか‥‥それとも商店街の中の酒場辺りで聞き込みをするか‥‥ 二人はどちらがいいと思う? |
■ランバート To:ALL |
やはり、まずは関係の深い雑貨店に行って話を聞いてみてはどうでしょうか? |
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
そうでしね。やっぱり先に雑貨店の方に行ってみるのがいいかと思うです〜。 酒場は遅い時間の方が人も多いでしょうし。 |
■ウォルフ To:ALL |
では、まずは雑貨店に伺うことにしよう。 |