オランの街からほぼ3日。それなりに立派な城壁に囲まれたブラトニスの街へと到着しました。ここ数時間程土砂降りの雨の下を抜けてきたため正確な時間はわかりませんが、曇った空を見上げると夕方くらいかと推測できます。ハードレザーを身にまとった初老の門番が荷馬車に寄ってきて尋ねます。
■門番 To:ALL |
ブラトニスの街へようこそ。 街に来た目的と、滞在予定の日数を教えてもらえんかの? |
■カーガッド To:門番 |
我々は、オランのベルンシュタイン家当主のミーティス様から、領主代行のタティア様宛のメッセージを言付かって参りました。 メッセージを届けた後こちらで仕事を探したいこともあるので、少なくとも一週間程度は滞在する予定でおります。 |
と、御者台に居たカーガッドは門番に答えた。
門番は手に持った羊皮紙の束に慣れた手つきで何かを書き込む。
■門番 To:カーガッド |
ほう、そりゃ大役じゃな。ほい、通って構わんよ。 いい仕事が見つかるよう祈っとるよ。 |
■カーガッド To:門番 |
ありがとうございます。 それでは。 |
門を後にしてしばらく荷馬車を走らせると、小さな城とも言えそうな領主の館が見えてきました。館の門番に要件を伝えると、しばらく待たされた後に広い応接室へと通されました。男装とも取れるぴしっとした服装の女性(20歳前後)が一行を出迎えます。
■タティア To:ALL |
私はブラトニス領主代行のタティア・ブラティアス。 この依頼に応じてくれた、諸君の勇気と決断力に多大なる感謝を。 |
■ジェニファー To:タティア |
早速ですが、タティア様ご自身から、今回の事件について、これまでの経過や判明している事実、推測などをご説明願えないでしょうか? 詳細についてはタティア様から伺うようにとのことで、ミーティス様からはレッサーバンパイアを極秘裏に退治してほしい、としか聞かされておりませんので。 |
■タティア To:ジェニファー、ALL |
領主ブラトニス侯の言により、レッサーバンパイア潜伏の疑いが出たのは6日前だ。信頼の置ける官憲上層部にのみ極秘通達は出したが、レッサーバンパイアの特徴に該当する人間はまだ発見されていない。 現在進行中の事態は一般民衆には知らされていない。危険な魔物が街中に潜んでいると知れれば、民衆はパニックを起こし、多くの血が流れるだろう。この街には、そういう忌まわしい歴史もある。 諸君には冒険者としての知見を活かし、魔物の捜索を行ってもらいたい。街での行動にあたっては、私の名義で調査依頼書を発行しよう。人捜しなり素行調査なりと適宜理由を付けて聞き込みにあたってもらってもかまわない。官憲の協力も得られるだろう。 ただ、魔物が街に潜伏している事実だけは全てに優先して隠匿してほしい。 |
■ジェニファー To:タティア |
極端な話、事件を解決することよりも、秘密を守ることを優先する…という理解でよろしいのでしょうか? |
■タティア To:ジェニファー、ALL |
その通りだ。 もっとも...レッサーバンパイアが街中で増え始めたとすれば、事件が公になり秘密は秘密でなくなるわけだが。 |
■カーガッド To:タティア |
ところで……ひとつ、質問をして宜しいでしょうか。 領主様は、どのようにしてレッサーバンパイアが潜伏しているとの情報をつかまれたのでしょう? |
■タティア To:カーガッド、ALL |
そういうことがわかる、古い魔法があるらしい。 ただ、"いる/いない"ということはわかっても、"どこに"ということまではわからない。漠然と、この街の中にとしか言えないとのことだ。 もちろん誤報の可能性も捨てきれないが、その可能性はかなり低いと思ってもらって構わない。それなりの確信がなければブラトニス候も捜索を命じたりはしなかったはずだ。 |
■ジェニファー To:タティア |
情報の経路だけでなく、これまでに吸血鬼の痕跡としてどのようなものが見つかっているのかもお聞かせください。 |
■タティア To:ジェニファー、ALL |
その類の痕跡、物証はまだ出ていない。逆に出ていれば、それを手がかりに追うことができるのだが...。 |
■アズラ・ラ・ライト To:タティア |
つまり、いるらしいという事だけが解ってて、後は全く手掛かりが無いって事でしね。 一匹なのか複数なのか……までは解らないでしか? |
■タティア To:アズラ、ALL |
一体以上が存在するということはわかるが、数はわからない。 ある程度...十数体の規模になれば"増えてきた"のがわかるということだ。 |
■ウォルフ To:独り言 |
‥‥随分と厄介な話だねぇ‥‥。 |
誰にともなく呟くウォルフ。
■キャス To:タティア |
一つ聞きたいんだけど、数が分からないんなら、オレ達はいつまで捜索しつづければいいんだい。 仮に10体見つけたとしても、あと何体いるか全く見当もつかないし・・・。 かなりの長丁場になりそうだけど、時間を置くと、相手も増えるしね。 それとも、毎日ここへ結果の報告に来て、領主様にOKかどうかの確認をもらえばいいのかな。 |
■タティア To:キャス、ALL |
そういうことになる。 諸君がこの街に居る間は、この館の部屋を6部屋、寝所として貸与することになっている。食事の時分にでもお互いの状況報告ができるはずだ。 |
■カーガッド To:タティア |
お心遣いありがとうございます。 状況が状況ですから、早急に調査に掛かった方が宜しいですね。 具体的な調査方法については仲間と話し合ってからにするとして……。 まずは、調査依頼書を頂けませんか? |
■タティア To:カーガッド |
念のため、二枚渡しておく。文面は同じものだ。 |
タティアが取り出した二枚の羊皮紙には、領主令によって調査を依頼したこと、調査内容について深く詮索しないこと、領主の権限の及ぶ限りで官憲や施設の協力を得られること等が書かれており、複雑な文様のサインが添えられています。
■カーガッド To:タティア |
ありがとうございます。これで調査もしやすくなるでしょう。 |
そんなやりとりの中、少し考え込んでいたジェニファーですが、タティアに視線を戻して質問します。
■ジェニファー To:タティア |
モンスターの種類まで特定できているところから、ある程度相手のことを掴んでいると考えていたのですが…。相手の活動が一切掴めていないとなると、まずは街の噂話を集めるところから始めなくてはならないようですね。 情報集めにも惜しまずお金を使った方が効率がよさそうですが…。そのための経費も、ある程度は認めて頂けるのでしょうか? |
■タティア To:ジェニファー |
ミーティス殿から依頼の前金を受け取っていないのか? そうだな...どうしても報酬以上に必要となるなら、500ガメル程用意しよう。 |
■ジェニファー To:タティア |
いえ、確かにミーティス様からは前金と、吸血鬼との戦いに役立ちそうな道具をお預かりしていますし、ここで新たな経費を頂けなかったとしても、私たちが全力を尽くすことに変わりはありません。 ただ、情報を効率よく集めるために別途経費をお使いになるかどうかは、依頼人としてタティア様がお決めになるべきことかと思いまして。 |
■タティア To:ジェニファー |
そうか...わかった。 必要と認められるものであれば、それなりの追加経費を約束しよう。 |
■ジェニファー To:タティア>シーヴス |
ありがとうございます。 そういう訳でお二人さん、よろしくお願いしますわね。 |
■ウォルフ To:ALL |
‥‥まぁ、まずはそこらの酒場でギルドの場所でも探ってみるかねぇ。 |
肩をすくめつつ、そう告げるウォルフ。
■カーガッド To:ウォルフ&ALL |
そうですね。 今からだとその辺りでしか情報収集は出来ないでしょう。 そちらはお任せしますね。 後は……官憲の詰め所にでも行ってみますか。 一見関係なさそうでも、何か手がかりがあるかもしれませんし。 |
■ジェニファー To:カーガッド |
そうですね。夜の街に詳しいという意味では、是非とも協力すべきかと思います。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
ギルドにしろ官憲にしろ、何か良い情報が得られるといいんでしがね〜。 街の人にも聞いたり……まぁ、色々回ってみますですか。 |
■カーガッド To:ALL |
そうしたら、今日はとりあえず行けるところに行くと言うことにしますか。 後、何か聞いておくことはありますか? |