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(2-1a)ベルンシュタイン邸

翌日、パーティはオラン郊外のベルンシュタイン邸へ向かった。
てくてく歩いてもうすぐ昼かという頃、大きな屋敷に到着した。

見上げるような立派な門を抜けた一行の正面には大きな噴水。
噴水の向こう側には立派な玄関が見え、馬車がすれ違うこともできそうな道が、その玄関まで続いている。

玄関前の広いポーチでは女中さん...と言うにはまだ少し小さいかもしれないエプロン姿の女の子が、デッキブラシを武器に奮闘している。
■アズラ・ラ・ライト To:独り言
うわぁ、広いお屋敷ですねぇぇ……
あっ、可愛らしいメイドさんがいますです♪

■カーガッド To:エプロン姿の女の子
すみません。
私達は銀の網亭で仕事の依頼を受けた冒険者なのですが、お取り次ぎをお願いできないでしょうか?

■女の子 To:カーガッド
え?あ、はい。少々お待ちくだっちゃったったわぁ!

振り返った拍子に水入りバケツをブラシで突き転がした...新米っぽい。
■女の子 To:カーガッド,ALL
.......失礼しました、どうぞこちらへ。

■アズラ・ラ・ライト To:独り言
……いつもあんな感じなんだったら大変そうです、大丈夫かなあの子……(^^;;;

■ジェニファー To:アズラ
…実はわたくしも、初めて冒険者の仕事をするということで、あの子に負けないくらい緊張しておりますの。
粗相があったら、こっそり教えてくださいね。

緊張のあまりか、はたまた単なる世間知らずか、ぐららんに礼節の指導をお願いするジェニファーであった。
■アズラ・ラ・ライト To:ジェニファー
え? あ……おねーさんは大丈夫だと思いますでしよ♪
それにちょっとくらい失敗しても気にしない気にしないでし☆
ささ、早くお屋敷に入りましょうでし〜☆

パーティは広々とした応接室に通されました。こちらでお待ちくださいと少女が退室して一刻、執事を伴って部屋に女性が入ってきた。見た目24,5程の、世間的に結構な美人に分類されるであろう顔立ちの女性は、光の加減によって深い緑に見えなくもない黒のロングスカートのドレスに......なぜか白衣を羽織っている。
■ミーティス・ベルンシュタイン To:ALL, カーガッド様
ようこそ、冒険者の皆様。そしてお久しぶりです、カーガッド様。
改めまして、わたくし、ミーティス・ベルンシュタインと申します。
こんなに早く依頼をお受け頂けるとは。助かりましたわ。

■カーガッド To:ミーティス様
こちらこそお久しぶりです、ミーティス様。
(一礼する)
あれから研究の方は進んでおられますか?

■アズラ・ラ・ライト To:ミーティス様
初めましてです、アズラ・ラ・ライトと申しますです〜。
何やら面白い研究をなさってるってカーガッドおにーさんから聞きましたですです♪

■ミーティス To:カーガッド様、アズラ
えぇ、おかげさまで順調に進展しております。

あら、グラスランナーの方ね?どうぞよろしく。
そうね。面白いと思うかどうかは人それぞれだけれど、魔法の道具を上手に使う方法を探す研究です。一見危険な品物に見えても、使い方さえ工夫すれば私たちの可能性を大きく広げてくれますわ。

■ウォルフ To:ミーティス
初めまして。ウォルフガングと申します。
具体的にはどのような研究をなさっておいでなのですか?

■ミーティス To:ウォルフ様
例えば...悪魔召還の壺はご存じでしょうか?
合い言葉を唱えることで悪魔を召還するという壺なのですが、召還の仕組みを解明し、こちらで封じた悪魔を在るべき場所へ送還する門として利用できるようにする研究をしております。
まだ着手したばかりで、実現にはそれなりの時間がかかりそうですけど。
あとは、そうですね...趣味の範囲ですが、植物の成長促進剤となる魔法薬の精製や氷室から吹雪まで創り出す水晶と触媒のバランス調整、魔法によって造り出されたはずなのに、魔力がまったく感じられない立体パズルの解体法調査等を行っています。未着手のものでは...(略)。

■アズラ・ラ・ライト To:ミーティス様
はにゃにゃ、凄いです♪
そっか、一つの道具でも使い方によっては色々に使えるって事でしね……ふむふむ☆

■キャス To:ミーティス様
キャス=ダインです。銀の網亭の紹介でやってきました。
自分は田舎の出で、魔物や魔法のこととかに詳しくありませんが、まあ、宜しくお願いします。

■ジェニファー To:ミーティス
ラーダ神にお仕えする、ジェニファーと申します。

■ミーティス To:キャス様
どうぞよろしくお願いします。冒険者としての活躍に期待させていただきますわ。

■ランバート To:ミーティス
私はランバート=アゲインともうします。
故郷の青葉の森を出て、駄洒落の修行を行っています。
修行には<冒険者>になるのが一番だと、<某、賢者>が言っておりましたので、今はこの方達と共にミーティスさんの依頼を受けるべくやってきました。
宜しくお願いします。

■カーガッド To:ミーティス様
研究が順調とは何よりです。
それで、今回はどういったご依頼なのでしょうか?
銀の網亭では詳しい話を伺えなかったので、それをお聞かせ願いたいのですが。

■ミーティス To:カーガッド様,ALL
......そうですね、皆様であればお任せできるでしょう。
退治していただきたいのは、レッサーバンパイアという魔物です。そして、その魔物がとある街に潜伏しているということは確かなようなのです。事を内密に処理しなくてはなりませんので、街や子細はまだ言えないのですが。
......どうでしょうか、この魔物討伐の依頼を受けていただけませんか?

■アズラ・ラ・ライト To:パーティメンバー
依頼受けなくちゃ、詳しい事は教えて貰えないでしか〜
でも詳しい事解らなきゃ、依頼受けるかどうか決められないかも……
うにゅにゅ、どうしますですか??

……それにしても……れっさーばんぱいあ……?(悩

■ウォルフ To:独り言
レッサーバンパイアねぇ‥‥記憶に無いな。(キッパリ)

肩をすくめつつ、呟くウォルフ。
■ランバート To:ALL
レッサー・・・パ・・・ンダ・・・では無いですよね?(^^;
うーん、思い出せませんねぇ。

■ジェニファー To:ALL
レッサー・バンパイアですか…。
神殿の書物で読んだことがありますわ。吸血鬼に血を吸われて魔物化した、恐ろしい化け物だそうです。

書物で読んだ知識を思い出しながら、一堂に伝えるジェニファー。
■キャス To:ALL(半分独り言)
吸血鬼かぁ・・・。
昔、親父に聞いたことはあったが、本当にいるんだなぁ・・・

なぜか感心しているが、何かが間違っている。
■アズラ・ラ・ライト To:ジェニファー
何だか恐ろしいバケモノさんみたいですね〜
あんまり面と向かってお相手したくないような気がしますです……

■ウォルフ To:独り言
吸血鬼か‥‥厄介な相手だな‥‥。

疎ましげに呟くウォルフ。
それにしても。独り言の多い奴である。(キッパリ)
■ランバート To:ALL
結構、強い魔物なのですか?

■ジェニファー To:ALL
一体一体も恐ろしい化け物ですが、数体がまとまって行動することがあるのが面倒ですね。

ところでミーティス様、レッサーバンパイアといえば、吸血鬼に血を吸われて誕生すると聞いておりますが、そうするとわたくし達はレッサーバンパイアだけでなく、上位種のバンパイアをも相手にする可能性があるのでしょうか?

■ミーティス To:ジェニファー, ALL
全く無いとは言い切れませんが...私の予想では今回の場合、親となるバンパイアと対峙することは、まず無いと思います。

■カーガッド To:ミーティス様
正直、そのレッサー・バンパイアの強さが今ひとつ私には分からないので何とも言えませんが……。
我々で何とか対処出来るならばお引き受けして良いかと思います。

……話の途中で済みませんでした。続きをどうぞ。

■ミーティス To:ALL
問題は、レッサーバンパイアが人の生き血を吸うとされ、そして吸われた人間もまた、レッサーバンパイアとなってしまう厄介な魔物だということです。
そんな魔物が街の中に潜んでいると知れれば、人々はパニックに陥り、疑わしい人間に危害を加えるでしょう。その街では、過去の似たような事件でそのような事態を引き起こしてしまっているのです。
今回、内密に動いてもらわねばならない理由はそこにあります。この事態が公になってしまう前に、レッサーバンパイアを何とかしなくてはならないのです。

■キャス To: ミーティス
そういやぁ、あんた、さっきから聞いていれば、悪魔の研究とか色々怪しげな研究しているみたいだけど、今回も何でそんな化け物がいるってのが分かったのかよ。
こんな事言いたかないけど、もしかしたら、あんた、何か、かかわってるんじゃないだろうね。

口調と共に少し血相も変っており、答え次第ではつかみかかりそうな感じである。

そんなキャスの様子をみてなだめるようにカーガッドは言った。
■カーガッド To:キャス
落ち着いてください、キャスさん。
とりあえずお怒りになるのは事情を聞いてからでも良いでしょう。

■カーガッド To:ミーティス様
確かに、レッサー・バンパイアが街に潜んでいるのは問題です……。
しかし、本当に一体何故このような事態になったのですか?
その辺りを出来ればご説明下さい。
こちらも引き受ける以上は、納得した上でやりたいですから。

■ミーティス To:キャス様、カーガッド様
確かに、キャス様の疑問はもっともですね。
まず魔物の存在は、その街に住む私の知人が知らせてきたものです。
魔物を退治できる、腕利きの冒険者を捜して欲しいという願いと共に。

ですから背後で何が起こっているか、私も予測でしか語れません。
しかし、無関係と考えられるその街の人々が、今危険に晒されていることは事実であり、その火の粉を払うことが悪事となるとは私は思いません。故に私は銀の網亭に、皆様にこの仕事を依頼したのです。

■キャス To: ミーティス
いや、そうだったのか。すまなかった。オレが言い過ぎた。

一応謝っているものの、顔からはまだ完全には怒りの表情は消えていない。
■ジェニファー To:ミーティス
先ほど、バンパイアに出くわす危険は低い…と仰っておいででしたが、ミーティス様はかなり事件について細かな点まで洞察なさっているようですね。
よろしければ、具体的な地名などを伏せたままで、ミーティス様の“予測“や仮説をお聞かせ願えないでしょうか?

ミーティスの予測にどのような根拠があるのかを疑問に思ったジェニファーは、眉をひそめながら質問した。
■ミーティス To:ジェニファー様
いいえ、実に大雑把な予測です。バンパイアのような強力な魔物と一戦交える可能性があるのなら、その危険性を伝えないわけがありません。下手に隠し立てしたところで犠牲者が増え、事態が悪化することは明らかです。
それをレッサーバンパイアの退治と限定していることから、その親に当たるバンパイア、もしくはそれに類する強力なモンスターは...既に存在していないか、少なくとも街から遠く離れている、もしくは私達にとって脅威の対象ではなくなっていると考えることができます。

もっともこの仮説は、私と私の知人が、あなた方に悪意を抱いていないということが前提となるのは言うまでもありませんが。


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GM 那緒:nawo@mizar.freemail.ne.jp